大規模の建設事業

平成 27 年度
「大規模の建設事業」の評価に関する意見
平成 28 年 3 月 15 日
建設事業外部評価委員会
平成 28 年 3 月 15 日
神戸市長
久
元
喜
造
様
建設事業外部評価委員会
会長
福
島
徹
「大規模の建設事業」の評価に関する意見の提出について
本委員会は、市長からの審議依頼に基づき、市が実施する「大規模の建設事
業」に関する評価内容とそれに基づく対応方針(案)について、再評価では事
業の必要性、進捗の見込み、事後評価では事業の進捗状況、事業効果の発現状
況、その他必要な観点から調査審議を行い、市長に意見を具申します。
平成 27 年度の本委員会は、社会資本整備総合交付金事業 3 件について、市が
行った事後評価内容(行政評価に係る資料)の説明を受け、それらの妥当性に
関して慎重に審議を行いました。
審議の結果、本委員会の意見を次のとおりまとめましたので提出致します。
記
1
1
審議対象事業の内容と意見
今回の審議対象となった事業について、市の評価は妥当であると判断した。
(1) 「安全・安心な環境に配慮した公園整備等の推進」
本事業は、近年の地域コミュニティの希薄化や環境問題、自然災害の発生
等の課題を受けて、地球温暖化対策や地域活性化、生物多様性保全等に配慮
した公園整備等を図るものである。
今回の交付期間を終えた段階で、定量的指標に掲げた市民一人当たりの公
園面積は 17.14 ㎡、森林の保全・育成のための作業道の整備・既存ハイキン
グ道の再整備距離は 54.3km、六甲山の市民活動(こうべ森の学校)におい
てノウハウを学び、その経験を活かして他の保全再生活動に参加した人数は
121 人という実績値となり、いずれも目標値を上回っている。
事業の効果発現状況についても、本事業で整備された公園はいずれもよく
利用され、市民ニーズに応えており、再整備されたハイキング道、作業道に
ついても多くのハイカー等が、安全で快適に利用できる状況となっているこ
とから、市民にとって安心して利用でき、環境に配慮した公園整備が実施さ
れており、全体としての「評価」は妥当である。
今後は、計画の目標とその成果目標(定量的指標)の関連性についてわか
りやすくするべきで、必要に応じて新たな目標値の設定も視野に入れ次期事
業を進められたい。
また、各事業の目標を定める基となる神戸市緑の基本計画(グリーンコウベ
21 プラン)や、六甲山森林整備戦略といったマスタープランの中での本事業
の位置づけを明確にすること、またそれらを市民に分かりやすく示すことに努
めるとともに、社会情勢の変化に合わせ、公園に求められる機能をよく検討し
ながら効率的・効果的な事業の実施に努められたい。
(2) 「安全・安心で快適な公園づくり(防災・安全)」
本事業は、公園施設のバリアフリー化等を図るとともに、公園施設の長寿
命化計画を策定し、遊具等の老朽化した公園施設の重点的・効率的な維持管
理や改築・更新を行っていくことで、誰もが安全で安心して公園を快適に利
用できる環境の形成を図るものである。
今回の交付期間を終えた段階で、定量的指標に掲げた、園路広場のバリア
フリー化適合率は 55%、便所のバリアフリー化適合率は 44%、公園施設長寿命
化計画を策定している公園の割合は 96%の実績値となり、いずれも目標値を上
回っている。
事業の効果発現状況についても、長寿命化計画の策定により遊具等の公園
施設について適切なタイミングでの改築更新が可能となったほか、整備工事
2
の実施にあたって地域要望を十分把握することで、利用しやすい公園に再整
備することができている。このことから、全体としての「評価」は妥当であ
る。
なお、今後も計画的に老朽化した遊具等の更新を行い、また地域要望や年
齢構成等を把握し、神戸市緑の基本計画等の上位計画を踏まえた方向で地域
ニーズに即した公園施設の改修事業を進められたい。また、事業担当課のホ
ームページ上に掲載する等により、バリアフリー化や改築更新を行って使い
やすくなった公園について市民に対し広報していくことも検討し、その上で、
効率的・効果的な事業の実施に努められたい。
(3) 「神戸市の市街地における安全・安心のまちづくり」
本計画に挙げられている事業は、神戸市南部の市街地で、安全・安心なまち
をつくるために、生活利便性や防災機能の向上に資する市街地の整備改善を行
い、居住環境の向上及び都市機能の増進を図るとともに、住民が安心できるコ
ミュニティ形成を目指すことを目的としている。
計画目標の成果をあらわす定量的指標は、新規住宅完成件数と歩車分離道
路等の整備延長の2つの指標からなっている。歩車分離道路等の整備延長は
目標値 50.3km を達成しているが、新規住宅完成件数については目標値 7,650
戸に対し実績値 7,507 戸となっている。
後者の目標値を達成していない要因は、新長田駅南地区において昼間人口
を増やす目的で、業務系施設を誘致するなど住宅供給計画を見直しているた
めであり、地域の課題に対応して事業は着実に進められている。また、新規
住宅完成により人口が増加しているとともに、景観形成市民協定を住民主体
で運営することでコミュニティの形成・再構築や良好な景観形成などが図ら
れており、全体としての「評価」は妥当である。
なお、事業ごとに整備手法が異なっていることから、成果目標の設定にあ
たっては、各事業の効果がより適切に示されるよう一層工夫されたい。
これらの事業は、住民が安全で安心して暮らすことができるまちづくりに寄
与するためのものである。今後とも都市基盤の整備、住宅・宅地の供給及び居
住環境の改善を進めるにあたり、変動する社会経済情勢に柔軟に対応しながら、
効果的な事業の実施に努められたい。
2
その他
今後の事業推進にあたっては、「計画の目標」における基本計画等との関連、
「計画の成果目標」の設定の適切性について、十分検討し、事業の位置づけや
意義をより明確にするとともに、市民がより理解しやすい表現に努められたい。
以上
3
平成 27 年度 審議対象事業一覧表
番
号
1
2
3
事業
事
業
名
安全・安心や環境に配慮した公園
整備等の推進
安全・安心で快適な公園づくり(防
災・安全)
神戸市の市街地における安全・安
心のまちづくり
事業
前回
完了
再評価
(予定)
実施
条例
再評価
年度
年度
区分
区分(国)
事業
採択
着工
年度
年度
行政評価区分
所
管
課
H22
H26
-
④
-
建設局公園部計画課
H24
H24
H26
‐
④
‐
建設局公園部計画課
H22
H22
H26
‐
④
‐
①:国庫補助事業のうち、実施を決定した後実施機関が定める期間未着手であるもの
及び実施機関が定める期間継続中であるもの
②:一定規模以上の建設事業のうち、実施を決定した後5年間未着手であるもの
③:一定規模以上の建設事業のうち、実施を決定した後10年間継続中であるもの
④:社会経済情勢の変化等により実施機関が必要があると認める建設事業
※再評価区分(国)とは、国庫補助事業において、
①:事業採択後一定期間(5年)が経過した時点で未着工の事業
②:事業採択後一定期間(5、10年間)が経過した時点で継続中の事業
③:再評価実施後一定期間(5、10年間)が経過している事業
④:その他、社会経済情勢の急激な変化等により見直しの必要が生じた事業
※今回の審議対象 3 件は、交付期間が終了している社会資本整備総合交付金事業の事後評価
※事後評価(案)については、神戸市ホームページに掲載
4
省庁名
国土交
H22
※条例区分とは、神戸市行政評価条例施行規則において定める、
所管
通省
国土交
通省
住宅都市局市街地整
備部市街地整備課
国土交
通省
参
考
資
料
建設事業外部評価委員会
委員名簿(平成 27 年度)
(敬称略・五十音順)
いのうえ
井上
さ だ こ
定子
いりょう
た か まさ
井料
隆雅
お お い し
大 石
流通科学大学 商学部 経営学科 教授
神戸大学大学院 工学研究科 教授
さとる
哲
神戸大学 自然科学系先端融合研究環 都市安全研究セン
ター 教授
おおうち
大 内 ますみ
ながはま
のぶたか
長 濱
伸 貴
ふ く し ま
(会長) 福 島
ふ な き
舩木
や ま む ら
山 村
三宮法律事務所 弁護士
神戸芸術工科大学大学院 芸術工学研究科 准教授
とおる
徹
兵庫県立大学 環境人間学部 教授
の ぶ え
伸江
神戸学院大学 現代社会学部社会防災学科 准教授
みつる
充
兵庫県立大学 環境人間学部 教授
平成 27 年度
区分
審議経過
開催年月日
審
議
内
容
・会長の互選、委員会運営
第 1 回 平成 27 年 12 月 22 日 ・対象事業の公開審議を決議
・審議
第2回
平成 28 年 2 月 9 日
・第 1 回委員会審議資料の修正に関する報告
・意見とりまとめ
対象事業位置図
(1)「安全・安心な環境に配慮した公園整備等の推進」
対象事業位置図
(2)「安全・安心で快適な公園づくり(防災・安全)」
(3)「神戸市の市街地における安全・安心のまちづくり」
対象事業位置図
1-A1
浜山土地区画整理事業
1-C2
市街地の避難路整備事業