税関におけるテロ対策と協力依頼について

平成28年3月
大阪税関 監視部 保税総括部門
• 平成22年10月、英国やアラブ諸国にて、イエメン発アメリカ向け航空貨物
から、レーザープリンタ内に隠匿された爆発物が発見された。また、同年
11月欧州各国にて、ギリシャ仕出の各国大使館や各国首脳宛小包から
爆発物が発見された。
• 平成23年5月、米国の作戦により、パキスタン・イスラマバードに潜伏して
いたアル・カイーダの指導者オサマ・ビンラディンが死亡した。
• 平成27年10月、エジプト・シナイ半島でロシア旅客機が墜落した。「墜落
原因は99.9%の確率で爆弾によるテロ」との航空事故調査委員会の見
解が報道され、また、ISIL(イスラム国)が「ロシア機に仕掛けた爆弾」とし
て即席爆発装置の写真をweb上で公開している。
• 平成27年11月、フランス・パリで劇場、競技場、レストランを狙った同時多
発テロが発生。狙撃犯はTATPという爆薬を取り付けたベストを着用してい
た。
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• 過去に、国内で発生したテロ事案(よど号ハイジャック事件、浅間山荘事件、
地下鉄サリン事件等)や法人が関与したテロ事案(テルアビブ空港乱射事件
等)多数あり。
• アルカイダやISILは、日本を「米国の同盟国」として敵視している。
• 本年5月26~27日、伊勢志摩にて主要国首脳会議(サミット)が開催され、本
年4月から9月にかけて、全国で関連会合が開催される。
• 平成32年には東京オリンピック・パラリンピックが開催される。
• 近年外国人旅客が増加傾向にあり、テロリストが潜入する危険性が増してい
る。
• 総理官邸や国会議事堂等の重要施設、米国関連施設のほか、空港のように
多数の人が利用する施設や物流拠点が狙われるリスクもある。
• 近年のテロはインターネットや電話を介して支持者に呼び掛ける手法が主流と
なっており、日本においても若年層を中心に呼び掛けの対象となっていると言
われている(いわゆるホームグロウンテロリスト)。
• シリアやリビアに連れてきてテロ実行に必要な訓練を受けさせ、帰国後にテロ
を実行させる手法が、直接実行者を送り込んで実行する手法と並んで主流に
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なってきている。
①関係法令の整備、通関・検査体制等の強化
• 米国同時多発テロを契機として、平成13年にテロ行為等を未然に防止する
ために通関体制や保税地域における貨物保全措置の点検を強化する旨の
通達発出。
• 平成17年度の関税法改正により、爆発物、火薬類及び化学兵器の製造に
使用される特定物質を輸入禁制品に追加。
• 平成18年度の関税法改正により、生物テロに使用されるおそれのある病原
体等を輸入禁制品に追加。また、外国貿易船等の積荷及び旅客等に関す
る事項の事前報告を義務化。
• 平成23年度の関税法改正により、航空機旅客について予約記録も入手で
きるよう事前報告を求める情報の範囲を拡充。
• 平成24年度の関税法改正により、24時間前の電子的報告、混載貨物の
House B/Lにかかる情報の事前報告の義務化等、外国貿易船等の積荷に
関する事前報告を強化。
• 本年開催の伊勢志摩サミットに向けて、各税関において対策本部を設置す
ると共に、関係機関との連携を強化(危機管理コアメンバー会合等での意
見交換、連絡体制の整備、合同訓練及び知識向上のための研修等の実 3
施)。
②検査機器の整備
• 大型X線検査装置
大量のコンテナ貨物を短時間で効率的に検査することが可能。
• X線検査装置
固定式のものと車載式のものがある。対象貨物の実効原子番号
を表示する「物質識別機能」を有しているものがあり、爆発物の
探知が可能。
• 爆発物探知犬
麻薬探知犬に新たに爆発物の匂いを覚えさせたものであり、爆
発物及び麻薬類の探知が可能。
• 不正薬物・爆発物探知装置(TDS)
拭取材で採取した微量検体から、薬物や爆発物の痕跡の有無を
探知するもの。
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①爆発物を構成する部品
• 火薬類
ダイナマイト、無煙火薬、爆竹、発炎剤等(花火や緊急保安円炎筒などを分解して入手でき
る類のものもある)
• 起爆装置・時限装置
電気雷管、点火用ヒーター、豆電球、導火線、スイッチ、タイマー等
• 容器等
消火器、魔法瓶、圧力釜、ビニールテープ等
②化学兵器の種類

神経剤
G剤(サリン・ソマン・タブン・シクロサリン等):揮発性が高く、吸引毒性大
V剤(VX・VM・VE等):無臭の油状液体で揮発性が低く、皮膚や眼から吸収される。

びらん剤
硫黄マスタード・窒素マスタード・ルイサイト等:主に遺伝子に作用し、皮膚がんや喉頭がん等の重篤な症状を
引き起こす。

無能力化剤・嘔吐剤・催涙ガス
これらは致死性が低く、テロに使用される可能性はあまりない。
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③火器等の種類

小火器
けん銃(ハンドガン)・小銃(ライフル)・機関銃(マシンガン)・散弾銃(ショットガン)

火砲
追撃砲・榴弾砲・加農砲・ロケット弾発射機・無反動砲・機関砲

弾薬
小火器弾薬・火砲弾薬・ロケット弾・地雷・てき弾
輸入禁制品に該当しないものも多く、直接的な規制が難しい面もある。
爆薬や火器をそのままの形で輸入することはリスクが高いため、あまり考えら
れない。部品または分解しての輸入の蓋然性が高いと想定される。
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①貨物の状態

外装のマーク(記号・番号)
例)通常と異なる・他の貨物と異なる・アラビア文字の表記がある・油状のしみや変色がある

重量
例)他の貨物よりも明らかに重い・内容物のバランスが悪い

梱包
例)過剰にテープが使用されている・書類上の品名と梱包が不釣り合い

その他
例)異臭がする・異音がする
②荷主に関する情報

荷主と貨物の整合性
例)自動車メーカーが食料品を輸入する等品名と荷主が不釣り合い

配送
例)異常に引取りを急いでいる・配送先が駐車場やホテル等・受取人が身元が不明瞭な外国人

問い合わせ
例)通関状況や貨物の取扱いについて頻繁に問い合わせがある・身分や連絡先を明かさない

取引形態
例)荷主以外による保管料の支払い
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

触らない
近づかない
化学兵器の疑いがある場合は、皮膚を隠し、風上に避難する必要がある。

近づかせないような処置をとる
例)コーンを置く・ロープを張る

関係機関(警察、税関等)への迅速な通報
税関検査時に発見した場合は、税関職員の指示に従ってください。

周りの人の避難誘導
ご協力をよろしくお
願いします。
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黒色火薬
産業用爆薬
TNT
無煙火薬
プラスチック爆薬
(コンポジションC-4)
電気雷管
無煙火薬
プラスチック爆薬
(セムテックス)
電気雷管
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