作 刀 技 術 実 地 研 修 会 実 施 さ れ る

平成二十七年度美術刀剣製作技術保存研修会
出雲町大字大呂にある本 協 会 の 施 設 で
の四日間にわたって、島 根 県 仁 多 郡 奥
去る九月二十九日から 十 月 二 日 ま で
造 」 そ し て 最 後 の 三 年 目 に「 焼 入 れ 」
一年目を「鍛錬」
、二年目を「素延・火
で三十三回目となります。本研修会は、
して昭和五十八年より開設され、今年
た作刀技術の向上を図ることを目的に
またそれと同時に、近年のサブテーマ
あたり、「焼入れ」
をテーマとしました。
本年の研修は、第十一期の三年目に
終えると研修修了となります。
リキュラムを組み、この三工程を全て
埼玉 山口 秀雄
奈良 藤村 惠當
岡山 平井 昇利
作 刀 技 術 実 地 研 修 会 実 施 さ れ る
ある「日本刀鍛錬道場」 に お い て 、 標
島根 堀尾 薫(薫)
記研修会が実施されまし た 。
山口 湯川 夜叉
(以上八名)
本年度の講師及び研修生は次の通り
が行われ、勝田康則奥出雲町町長、ま
研修の初日は八時五十分より開講式
です。講師以外は五十音順、氏名の括
研修も行いました。
である「各種玉鋼の効果的使用法」の
玉鋼選別実習
を行い、三カ年をもって修了とするカ
この研修会は、若手刀 匠 を 中 心 と し
開講式 勝田町長による挨拶
た選定保存技術保持者の木原明氏ら出
席のもと、開催されました。
弧内は刀匠名。
続いて、各講師の紹介を行ない、研
上林 勇二
(恒平)
修内容や注意事項の説明ののち、実地
講 師 吉原 義一(義一)
るべく各研修生は黙々と取り組んでい
修テーマのもと、各々の課題を解決す
研修へと移りました。焼入れという研
松葉 一路(國正)
(以上三名)
(義基)
特別研修生 静岡 内田 善基
ました。
聴 講 生 島根 曽根
(正法)
寛
ないしは一年以上の価値ある時間だっ
で、研修生にとっては四日間が数カ月
ました。ほぼ個人指導ともいえるもの
本年は参加者が少なかったこともあ
東京 水木 良一(良一)
(以上二名)
り、非常に密度の濃い指導を受けてい
(房幸)
研 修 生 岐阜 福留 裕晃
(以上一名)
宮崎 富岡慶一郎
埼玉 根来 広和
刀剣美術2015.11
(706号)
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上林講師による土置き指導
炭切り実習
聴講生による鍛錬の練習
閉講式 吉原講師による修了証書授与
閉講式 上林講師による講評
閉講式 木原村下による挨拶
また、刀匠資格への挑戦を控えた聴
たようです。
講生は、実際の場面を想定しながら実
践的に講師の指導を受けていました。
最終日には、閉講式に先立ち玉鋼を
選別する実習も行われ、八種に分けら
れた玉鋼の実物を前にし、それぞれの
違いや用途での使い分けなどを講師か
ら指導され、大いに吸収できたことと
閉講式では、木原明氏の挨拶と上林
思われます。
講師の講評をいただき、吉原講師から
受講生全員に、修了証書が手交されま
この研修会は、技倆向上のみならず
した。
研修生同士の和の涵養のためにも有意
義な場となっているようです。各々の
一門を越えた、研修会一門ともいえる
研修生同士の仲間意識がますます強く
また玉鋼の効果的使用法というサブ
なってきました。
テーマも近年では定着し、この方面で
本年は、神在月の「鳥上」(
『出雲国
も成果が着実に上がってきています。
風 土 記 』 で は「 鳥 髪 」
)での研修会と
いう刀剣を学ぶ上では絶好の機会であ
ったと思われます。研修生は永い歴史
を背景に持つ刀剣を制作することの重
いました。
みを嚙み締めつつ、技倆向上を誓って
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