特集2 EY総研フォーラム: 第1回「課題解決先進国『新生日本』への道」

特集2
EY総研フォーラム
概要
EY Japan /新日本有限責任監査法人/ EY総合研究所
第1回
「課題解決先進国
『新生日本』
への道」
開催報告
の共同主催による“EY総研フォーラム 第1回 「課題解
決先進国『新生日本』への道」”を2014年10月7日にイ
イノホール(飯野ビルディング、東京都千代田区)にて、
開催いたしました。
本フォーラムでは、13年9月の設立から開催時点で約1
年が経過したEY総合研究所(以下、EY総研)の調査・研
究の方向性とEYのグローバルネットワークを生かした情
報発信力を紹介すべく、機関誌「EY総研インサイト」創
刊号からテーマを取り、
「課題解決先進国『新生日本』へ
の道」としました。経済、社会・産業、パブリック、ビジ
ネスの視点にてEY総研の常勤の研究員に加え、前オラン
ダ首相でEY総研客員研究員のヤン・ペーター・バルケネ
ンデ氏(EYオランダパートナー)も講演を行いました。
当日は、前日までの台風の猛威も去り、好天に恵まれた
中で、企業経営者から大学、官公庁、自治体とさまざまな
企画部 副部長
笹渕 拓郎
分野から350名以上の方々にご来場いただき、課題先進国
から課題解決先進国への変革の必要性とその取るべき方策
への関心の高さをうかがうことができました。
(主なプログラム)
※所属・肩書などはフォーラム開催日時点
(14年10月7日)
【第1部】
• 特別講演「The Necessity of Realizing Reforms:
Risks and Opportunities. Experiences from
Europe and The Netherlands」
EY総研 客員研究員(EYオランダパートナー、前オラ
ンダ首相)ヤン・ペーター・バルケネンデ
【第2部】
• 講演①「足元の金融・経済の動向」
EY総研 チーフエコノミスト 市川信幸
• 講演②「2020東京五輪を『新生日本』実現のスプリ
ングボードに」
EY総研 主席研究員 牛島慶一
• 講演③「日本の強みに磨きを」
EY総研 主席研究員 小川高志
第1部のバルケネンデ氏の特別講演に続き、第2部とし
てEY総研客員研究員の岡本義朗をファシリテーターに常
勤の研究員による講演を行いました。
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Feature
EY総研の松尾絹代が総合司会を務め、満席に近い盛況の中でフォーラムが開催されました
フォーラム詳細
Netherlands”が行われました。元首相という経験と知見
とを合わせて、欧州・オランダで課題解決に向け取り組ん
Ⅰ 開会の挨拶
できたこと、
改革してきたことなどをお話しいたしました。
まず新日本有限責任監査法人理事長兼EYジャパンエリ
まずは、改革の必要性“the necessity of reforms”と
ア・マネージング・パートナーの英による開催挨拶から始
その背景にあるものを説明し、特に改革を推進するのに必
まりました。今のEYの目指しているもの、またその中で
要なものとして“強い信念”
(strong convictions)を伝
EY総研を設立した意義について紹介しました。また予測
えていた点は、まさに前オランダ首相としての経験にもと
が難しいこの昨今の経済・社会の情勢に対し、予想するだ
づく言葉といえます。次に、前首相としてオランダにて推
けではなく、アイデアをもって積極的に課題解決を推進し
進した改革について、社会保障などを中心に課題解決に向
ていく姿勢が大切である点も、EY、EY JapanおよびEY
けて取り組んできたことを説明いたしました。欧州におけ
総研が目指す姿と重ね合わせて開会の挨拶を締めくくりま
る課題とそれに対する各国の取り組みについても触れ、最
した。
後には改革を推し進めるのに必要な事項として、改革思考
(mindset of reforms)
、民間部門(private sector)、リー
ダーの役割(role of business leaders)
、マルチステーク
ホルダーとの対話(multistakeholders dialogue)をキー
ワードに提言いたしました。
Ⅲ (第2部)講演①~③
続いて第2部は、岡本客員研究員がファシリテーターに
入り、EY総研のチーフエコノミストおよび主席研究員か
ら本フォーラムのテーマでもある「課題解決先進国『新生
日本』への道」に至るロードマップについて紹介いたしま
開会の挨拶を行う英理事長兼EYジャパンエリア・マネージン
グ・パートナー
した。
• 講演①
講演①「足元の金融・経済の動向」では、市川チーフエ
Ⅱ (第1部)特別講演
コノミストより足元の世界・日本の金融・経済動向につい
第1部として、バルケネンデ客員研究員による特別講演
て、日本銀行にて長らく金融政策の企画立案に携わってき
“ The Necessity of Realizing Reforms: Risks and
Opportunities. Experiences from Europe and The
た経験にもとづき解説いたしました。
世界経済については、全体外観に続き、米国・欧州・中
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国という三大市場について論点ごとに動向と課題を提示
つ、2020年東京五輪の良い遺産(レガシー)を2020年
し、日本経済については、市場動向の概観に続き、今後の
代以降のわが国の発展にいかに活用させていくかを大局的
課題として人手不足などの供給制約があること、
「第三の
観点から説明いたしました。
矢」としてこの供給力を高める戦略が必要である点も提示
いたしました。
• 講演③
講演③「日本の強みに磨きを」では、小川主席研究員よ
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• 講演②
り先の牛島の説明を受けて課題解決先進国としてわが国が
講演②「2020東京五輪を『新生日本』実現のスプリン
注力すべきアプローチ、企業等に期待することなどについ
グボードに」では、牛島主席研究員より今の日本が抱える
て紹介いたしました。
先進国共通の課題について2020年東京五輪をスプリング
具体的には、社会技術の活用によって社会・地域課題の
ボードとして活用して解消させ、その課題解決モデルを世
解決、“おもてなし”の潜在力の活用、リアル・ネット融
界に先駆けていきたいという強いメッセージを伝えまし
合による日本の産業競争力の再生、を各種事例を交えなが
た。同時に、ロンドン五輪でのレガシー活用例を紹介しつ
らそのアプローチについて解説いたしました。
特別講演にて改革の必要性を説明するバルケネンデ客員研究員
講演①を担当した市川チーフエコノミスト
第2部のファシリテーターを務めた岡本客員研究員
講演②を担当した牛島主席研究員
Feature
最後には企業・ビジネスサイドに対して、顧客価値追求
研が今後“EY総研らしさ”を発揮していくためのポイン
のビジネスモデルの必要性、大学と企業が連携した人材の
トを紹介しました。世界150カ国に展開するEY拠点のエ
育成、大企業とベンチャー企業による新ビジネスの共創に
コノミスト、産業アナリスト、経営戦略などの専門家と機
ついて提言しました。小川の経済産業省において産業政策
動的に連携することで、グローバルな視点での調査研究に
の企画立案に携わった経験や、大学において現場・フィー
取り組んでいくという国内の他のシンクタンクにはない強
ルドに即した研究を行ってきた実体験、EY総研における
みについて取り上げ、EY総研内の組織体制と方針につい
ビジネス関連の活動を踏まえ、解説いたしました。
ても説明いたしました。
Ⅳ 閉会の挨拶
全ての講演の最後には、EY総研所長の柴内より閉会の
おわりに
挨拶を行いました。グローバルに広がる課題を解決し、パ
2時間半の講演が続く長時間のフォーラムにも関わら
ラダイムシフトを捉えていくためにシンクタンクの重要性
ず、最初から最後まで、来場者の皆さまには熱心に耳を傾
が高まっていく中で、シンクタンクとしては後発のEY総
けていただき、好評のうちにフォーラムを閉会することが
できました。当日ご来場いただきました皆さまには、ここ
で改めまして感謝をお伝えいたします。
課題先進国と言われて久しい日本が、東京五輪をはじめ
2020年という数年後の「見えてきている」将来に向けて、
課題解決先進国へと変革するべくかじを切り始めていま
す。これは政府、官公庁、産業界、民間部門も一緒になっ
て推進していかなくてはなりません。会計監査やアドバイ
ザリー業務において多数の企業クライアントと多くの国と
地域において関係を有する新日本有限責任監査法人ならび
に税務やトランザクション・アドバイザリー・サービスも
含めたEY Japan全体では、ほぼ全ての領域に接点をもっ
講演③を担当した小川主席研究員
ております。開会の挨拶でも触れられていました「アイデ
アをもって積極的に課題解決を推進していく姿勢」のEY
における推進役をEY総研が担うことで、多くの企業クラ
イアントと日本経済の発展ならびに課題解決先進国への変
革に寄与していきたいと考えております。
最後まで熱心に講演に耳を傾けていただき、好評のうちに
閉会の挨拶を行うEY総研の柴内所長
フォーラムが閉会いたしました
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