第1回 ニコ生 書店員井戸端会議

特集:「囲碁将棋雑誌」
ニコ生での中継などにわかに関心を
集めている囲碁将棋界の雑誌を特集。
オススメ本コーナー
「一億総ツッコミ時代」
twitter発 雑にジャンク出
版ネタ出しコーナー
週刊ニコ生書店員井戸端会議
ニコ生書店員井戸端会議
私自身が零細書店経営者(と三文ライター)で、リ
スナーさんにも書店員さんや本好きの方
が多くいらっしゃるので、毎回テーマに
沿って出版業界について自由にコメを頂
きながらワイワイやっていこう、といういき
あたりばったり企画。
毎号1本は書評もやります。
注:内容がマニアックになる場合がありま
す。分からないことはコメで質問頂ければ
できる範囲で解説いたします。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
ニコ生書店員井戸端会議
「囲碁・将棋」雑誌のほとんどは、プロ団体である「日本将棋連
盟」「日本棋院」が発行しているものです。そのため、趣味の雑
誌とは言えその内容は棋戦レポートや実力養成講座のみならず、
棋界・囲碁界のニュースを紹介する広報活動や、囲碁・将棋の
普及活動を推進していくツールとして幅広く利用されていると
言っていいでしょう。
現在・囲碁将棋の情報はネットや新聞・タブロイド紙・一般週刊
誌でも採り上げられ、特にもネット配信は熱心に協会が取り組ん
でいるためファン層の拡大に繋がっているようです。
そのような状況にあって「専門誌」を読む、という行為はより本
物の実力を鍛えたい、より深いところまで棋士のことを知りたい、
棋界のニュースを詳しく知りたい、というニーズを満たしていく
意味で重要な位置づけがあり、電子書籍化も積極的に進められ
ています。一方で「御用雑誌」ばかりの状況下では、業界の発展
を願うが故の、協会に対する建設的な批判意見を世に問う機会
が失われている、との声も実際には聞こえてくるようです。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
将棋ファンなら知らない人はいない日本将棋連盟発行
の機関誌。グラビアを多用した特集ページは機関誌な
らではの充実度。将棋界の話題も豊富に紹介し、この
雑誌で棋戦情報をチェックしているファンも多いことで
しょう。最近はプロのみならずアマチュア棋戦の話題
なども豊富。毎度一つのテーマ戦法を特集した別冊付
録がお馴染みです。
段位認定問題や懸賞問題も毎号掲載しているほか、機
関誌として日本将棋連盟の広報も担っています。囲碁
将棋関係の雑誌では売上はトップクラスです。
「将棋世界」
毎日コミュニケーションズ
標準価格 750円
実は元々機関誌では無かったのですが、もともと発行
していた博文館から譲渡される形で知名度や出版イン
フラが整った状態で発行できたことは大きなメリットと
言えるでしょう。発売は毎コミが担当。
電子書籍版も充実の内容。Ipadなどを使って、雑誌に
掲載された棋譜を実際に動かしたりと、紙の本にはで
きない充実した機能まで搭載しています。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
ご存知NHKの将棋番組「将棋フォーカス」・「NHK杯テ
レビ将棋トーナメント」に連動したテキスト雑誌。毎週
の番組と連動した棋譜解説を充実した棋譜盤面で手
厚くサポートします。
「将棋世界」に比べるとやや内容は易しめ、とも言われ
ています。また記事の雰囲気も柔らかめで、けっこう
砕けた雰囲気。気軽に読むことができます。
もちろんトーナメント戦の棋譜解説は充実。NHK杯を
録画しておいて、あとからテキストの解説と一緒に再生
しながら研究する、という将棋ファンも少なからずい
らっしゃると思います。
「将棋講座」
NHK出版
標準価格 530円
よりライトで取っつきやすい将棋雑誌。「近代将棋」が
休刊してからは唯一の連盟主体では無い将棋雑誌で
はありますが、NHKという特性上やはりあまり尖った記
事は載らず、結局のところスポーツ紙などがその役割
は担っているというところです。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
ギャンブル系では無い趣味の雑誌としては、珍しい専門
週刊誌。「将棋世界」同様、「発行=日本将棋連盟 発
売=毎日コミュニケーションズ」という形態で出版され
ています。
雑誌とは言ってもタブロイド紙形態で、主に店売りとし
ては大都市圏のスタンド及び一部のコンビニ・大手書店
などでしか取り扱いがありません。地方にいてこの雑誌
を入手するためには、直接定期購読を申し込まねばなら
ず、なかなかハードルは高いものがあります。それでも
実発行部数20万部と安定した売上を持っています。
「週刊将棋」
毎日コミュニケーションズ
標準価格 330円
週刊という形態上、棋戦の速報情報はとにかく早いもの
があります。もちろんネットにはかないませんが、それで
も解説や誌面を割いての情勢分析には定評があります。
月に一度はカラー版も。講座やコラムも豊富で、飽きさ
せません。定期購読者は実質日本将棋連盟の有料サ
ポーター、といった性格があるかもしれませんね。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
日本棋院発行の囲碁総合雑誌。原則として年間購読
申し込みを直接日本棋院に申し込んで送られてくる雑
誌なので、書店で見かけることは稀だと思います。
どちらかと言えばアマチュア級位者を対象にした内容
で、講座も初段を目指す方に向けたものになっている
場合が多いようです。年間定期購読を前提とした雑誌
なので、各種講座やコラムもそのほとんどがシリーズ
もの。じっくり腰を据えて棋力向上に励んでいきたい方
にオススメできると思います。
「囲碁未来」
日本棋院
標準価格
7,500円(年間購読)
囲碁界の情報はカラー写真付きで大きく紹介、また検
定問題や囲碁をテーマにした連載小説まで。こよなく
囲碁を愛する人が買っているのでしょうが、いかんせん
書店取り扱いが無いため、お試し読みができないのは
難点かもしれません。最近は電子書籍版もリリースし
ています。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
「囲碁未来」が初心者向けの雑誌だとすると、「碁ワー
ルド」は中級者・上級者向けの月刊誌と言えます。棋
戦情報はもちろんのことプロ戦の棋譜解説など、初段
以上の棋力を持つ読者を想定した内容になっています。
免状が取れる級段位認定問題やトライアル問題など、
布石・手筋・死活問題も豊富。囲碁界のニュースもグ
ラビアを中心に誌面を多く割いて紹介しているなど、
充実した内容になっています。特にも著名棋士による
自戦の解説「名局シアター」は人気コーナーで、毎号
有名棋士がこぞって登場します。
「碁ワールド」
日本棋院
標準価格 860円
こちらも年間購読を日本棋院が募集しています。なお、
「囲碁未来」と違って書店購入ができます。是非お申し
込みは書店経由で!
週刊ニコ生書店員井戸端会議
おそらく一番身近な囲碁雑誌がNHKテキスト「囲碁講
座」になりますね。将棋同様、NHKの「囲碁フォーカ
ス」「NHK杯テレビ囲碁トーナメント」に連動した企画
の記事が並びます。
内容としては初段を目指す方を対象とした棋力アップ
の講座、そしてNHK杯の棋譜と解説がメイン。他の専
門雑誌に比べるとどうしても充実度は劣りますが、囲
碁界の情報などもサポートしています。
NHK系のテキストは値段が手頃、「今日の料理」など
もそうですが、ほとんどが530円で購入できます。(付
録で型紙がついてくる「すてきにハンドメイド」などの
例外はありますが)
「囲碁講座」
NHK出版
標準価格 530円
そういう気軽さや書店での入手のしやすさもあって、
安定した売上や定期購読も多い雑誌のひとつです。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
「週刊将棋」同様、唯一の週刊囲碁専門誌。やはりタ
ブロイド紙の形態で発行され。駅スタンドやコンビニ、
新聞社経由の定期購読などで入手される「知る人ぞ知
る」雑誌です。
やはり週刊と言うこともあってその速報性は紙媒体と
してはダントツ。日本棋院オフィシャルなので、実力あ
る棋士・人気棋士によるタイトル戦の解説がいち早く
読めるのは大きな魅力です。
「週刊碁」
日本棋院
標準価格 270円
講座や実力養成問題のコーナーも棋譜が大きくなっ
てより見やすくなっています。ディープなファンしかこ
ういうのは買わないのでは?とお考えの方もいらっしゃ
るかもしれませんが、最近はネット碁ブームや普及活
動の成果もあってか、このような専門誌は若手を中心
に増売傾向にあるようです。もちろん背景には、電子
書籍化に早くから取り組み、誌面のネット配信などを
精力的に行っているからかもしれませんね。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
ニコ生書店員井戸端会議
2012-2013年週刊誌発売スケジュール情報
※首都圏基準ですので、都道府県によっては一部週刊誌は1日遅れになる場合があ
ります。(ウチなんかも、週刊ジャンプは月曜日ですが週刊ポスト・現代は火曜日、文
春・新潮は金曜日です。)
※up先は別館になります。
http://budoupan.com/blog/?p=305
週刊ニコ生書店員井戸端会議
twitter発
雑にジャンク出版ネタ出しコーナー @budou_pan
週刊ニコ生書店員井戸端会議
「減点法な世の中」に違和感を抱きませんか?誰もが
「ツッコミ=叩く」に参加する時代を考察する鋭い一冊。
よくブログやtwitterなどで有名人がバッシングに遭い結
局サイトを閉鎖してしまったり、企業の不祥事や醜聞に対
して「直接の被害者で無い」大多数の人間からクレームや
抗議が来る、そんな現代の事象を「叩き=ツッコミ」と置
き換え、一億層ツッコミ時代と名付け鋭く論じる本です。
ニコ生における叩きコメなども含めた著者の経験則に基
づき、このような「攻撃」は、行った時点で攻撃者はもう
スッキリしていて、特にそのことに対する真摯な対応を、
叩いた側は実は期待もしていない無責任なものだ、と指摘
する部分ではなるほどなぁ、と思いました。
「一億総ツッコミ時代」
槙田雄司
星海社新書
861円
2012年
一方でマイナスポイントばかりに目が行ってしまい、評価
が下がる一方となってしまう「減点法」な人々の目線につ
いては、「物事に対して自分で面白みを見つけていく」加
点法のものの見方を身につけては、と提言。世の流れに
抗うようで努力は必要でしょうが、このように自分で自分
の生き方を面白くしていく工夫・重要性を痛感しました。
週刊ニコ生書店員井戸端会議
「本を売るという行為」
新古書店の誕生やネットオークション
など、多様化を極める「売本」の諸相。
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