エスペック技術情報 Test Navi Report No. 23 (通巻 80 号) NEW 新製品紹介 充放電専用チャンバー(ADBC-Next) 「電池温度の均一化技術」を搭載した ADBC-Next タイプを 紹介します。 ■ADBC-Next タイプの特長 ・独自技術のマルチエリア温度制御(特許出願中)により、優れた温度分布性能と電池発熱による電池間の熱 干渉の低減。複数個の電池を設置する場合の電池間の温度差を低減します。 ・個別セル温度制御(オプション/最大6CH)を搭載可能です。電池ごとに充放電レートや試験開始のタイミング が異なる場合でもセル温度を均一に保つことができます。 【マルチエリア温度制御】 槽内に 6 か所の吹き出し口を 設け、吹き出し口ごとに独立し た温度制御を行う制御方式 ■主な仕様 項目 外形寸法(単位:mm) 仕様値 W:1000×H:1980×D:1245 ※突起物除く寸法 温度範囲 -40℃~+100℃ 電池設置エリア数 電池設置エリア寸法(単位:mm) 温度分布性能 安全装置(標準装備) 6 エリア W:220×H:130×D:300 ±0.5℃ シーズヒータ ねじ込み式扉ロック装置 放圧ベント シグナルタワー 備考 試料温度制御(オプション)の 制御範囲:-20℃~60℃ ガス、煙検知、消火器、吸排気装 置などご要求に応じカスタマイズ 可能です。 エスペック技術情報 Test Navi Report No. 23 (通巻 80 号) ■ADBC-Next タイプ 性能検証事例① -低温環境下での電池無通電時の電池表面温度比較- 【目的】 ・恒温槽の温度分布および送風方式に起因する、電池無通電状態のおける表面温度の 電池間温度差を当社従来機と ADBC-Next タイプで比較する。 ・試験槽温度は温度差が顕著になりやすい低温環境(-30℃)で実施する。 【試験方法】 ・LiB(角型)を 6 個設置。温度制御は従来機、ADBC-Next タイプとも吹出口の空気温度制御。 ・試験槽内を-30℃で十分安定させたのち、電池の表面温度を 1 時間測定。 ・電池は無通電状態とし、温度測定箇所は電池底面とする。 【試験結果・考察】 ・従来機と比較し電池間の温度差を大幅に低減(1/3に低減) ・出力特性試験など、電池温度による特性への影響が大きい試験において、恒温槽 に起因する誤差要因を最少化できます。 従来機(吹出口制御) ADBC-Next タイプ(吹出口制御) エスペック技術情報 Test Navi Report No. 23 (通巻 80 号) ■ADBC-Next タイプ 性能検証事例② -低温環境下での電池通電時の電池表面温度比較- 【目的】 ・電池通電状態のおける表面温度の電池間温度差を当社従来機と ADBC-Next タイプで比較する。 ・試験槽温度は温度差が顕著になりやすい低温環境(-30℃)で実施。 【試験方法】 ・通電よる電池自身の発熱バラツキ要素を除外するため、発熱量を規定できる <ダミー電池発熱量設定> ダミー電池(内部に面状ヒータを配置したアルミブロック)を使用(3 個設置)。 下記 STEP1~11 を 6 回繰り返す ・温度制御は従来機、ADBC-Next タイプとも吹出口の空気温度制御。 ・試験槽内を-30℃で安定後、ダミー電池を発熱させ電池温度の上昇推移を 測定する。電池温度測定箇所は電池側面中央とする。 【ダミー電池情報】 ・寸法 :W40mm×H85mm×D152mm(5Ah 程度の角型電池を想定) ・発熱量 :ハイレートパルス試験を想定した発熱量を設定(右表参照) 【結果・考察】 STEP 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 時間 (sec) 設定熱量 (W) 40 10 76 10 160 10 180 10 60 38 6 ・従来機と比較し通電中の電池間の温度差を大幅に低減(1/7に低減) 従来機は空気の吹出口を槽の天面、吸込口を床面に配置したダウンフローの送風方式のため、熱干渉が発生。 ADBC-Next タイプは水平送風方式(奥⇒手前)のため、熱干渉がなく、均一の電池温度の上昇トレンドを得る。 ・出力特性試験やサイクル寿命試験における、試験条件の均一化を実現でき、試験結果の精度を 大幅に向上することができます。 従来機(吹出口制御) ADBC-Next タイプ(吹出口制御) 6 0 6 0 4 0 2 0 4 0 12 エスペック技術情報 Test Navi Report No. 23 (通巻 80 号) ■ADBC-Next タイプ 個別セル温度制御事例紹介 -充放電(40A/1C)による電池表面温度比較- 【目的】 ・リチウムイオン電池の充放電における電池表面温度の推移を下記の3つの温度制御方式で比較する。 ①当社従来機(吹出口空気温度制御) ②ADBC-Next タイプ(吹出口空気温度制御) ③ADBC-Next タイプ(個別セル温度制御) 【試験方法】 ・電池は 40Ah の LiB を 3 個設置。試験槽を 40℃に安定させた後、充放電を実施し、電池温度(側面中央)の推移を測定。 【電池および充放電条件】 ・使用電池(中古品) 型式:WB-LYP40AHA (Winston 社製) 定格容量:40Ah ・充放電条件 STEP1:CC 放電(初期放電) 40A/3.0V 終止 STEP2:CC-CV 充電 40A/4.0V/0.2A 終止 STEP3:CC 放電 40A/3.0V 終止 【試験結果】 ・当社製従来機(吹出口制御) :充放電により電池温度が上昇。下段配置の電池は熱干渉を受け、温度上昇が ・ADBC-Next タイプ(吹出口制御) :充放電により電池温度が上昇。電池同士の熱干渉を受けないため、均一な温度 ・ADBC-Next タイプ(個別セル温度制御) :セル温度を直接温度制御しているため、充放電による電池の発熱を吸収し、 顕著となる。 上昇トレンドを得ることができる。 電池温度を均一に保つことができる。 従来機(吹出口制御) ADBC-Next タイプ(吹出口制御) ADBC-Next タイプ(個別セル温度制御)
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