大学スポーツ・アスリートにおける スポーツ環境に対する満足度について

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大学スポーツ・アスリートにおける
スポーツ環境に対する満足度について
西川 大輔・小山 貴之・松本 恵・竹俣 壽郎
野口 智博・高橋 正則・佐久間智央・小岩 瑶
キーワード:アスリート,スポーツ環境,満足度
Ⅰ.はじめに
スポーツ競技において,アスリートの競技力向上のためにスポーツ環境がもたらす影響は
大きい。日常の練習やトレーニング効果を左右するだけでなく,傷害の防止や実際の競技に
向けてのコンディショニング,それに伴う競技結果にも多大な影響を与える要因になる。し
たがって,アスリートを取り巻くこれらの要因を探り,その実態を把握することは重要であ
る。
スポーツ環境には,年齢や競技特性,活動形態によって様々な形態があるが,特に大学生
アスリートの場合,その活動形態は主に運動部に所属しているか体育系サークルに所属して
いるかに分けられる。競技種目は数多くあるが,競技特性によって大きくは集団競技と個人
競技に分けることができる。いずれもスポーツ活動を主な目的としており,競技力の向上は
最大の課題である。
アスリートは誰もがより恵まれた環境で活動できることを望んでいるが,多くの場合,自
分自身以外の理由により,スポーツ環境に対して期待に満たない事情を抱えている。大学生
アスリートのスポーツ活動は,基本的には大学が所有する,あるいは大学が許可した体育施
設で行われている。活動形態や競技特性によって与えられた環境に違いはあるが,活動の運
営については施設の使用条件や練習内容,指導者やチームメイト,競技を取り巻く生活環境
などにも規則や通例があり,大学スポーツ・アスリートは通常,与えられた環境の中で,そ
れぞれが現状のスポーツ環境に合わせる形で活動している。阿保(2009)は,大学体育会運
動部の運営に対する基本的因子構造は練習・交流・活動日・施設・部員・民主的運営である
と指摘している。また,スポーツ環境の現状や問題については,平松(1984)のスポーツ指
(1980)
の高校生の生活状況とスポーツの満足度,加藤・若杉(2009)
導者行動と満足度や犬飼
108
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
の総合地域型スポーツクラブにおける保護者から見た満足度,山下ら(1985)によるスポー
ツクラブ成員の満足・不満足構造,田中ら(2008)による学生の体育施設などに対する満足
度,安田ら(2009)による大学生運動部活動におけるサポートなど,多くの研究がなされて
いる。しかしながら大学スポーツ・アスリートの競技力向上のための改善策を示した研究は
少ない。大学スポーツ・アスリートを取り巻く様々なスポーツ環境について大学スポーツ・
アスリート自身が競技力向上の観点からスポーツ環境の現状を評価させ,それを分析するこ
とは,競技力向上のための負の要因を探るためには有効といえ,そして改善策を講じること
は今後の大学スポーツの発展のためにも重要であると考える。
そこで本研究では,大学スポーツ・アスリートを対象とし,競技力向上のためのスポーツ
環境に対する満足度について調査し,クラブ要因(大学運動部・体育系サークル)と競技種
別要因(個人競技・集団競技)の二つの観点から検討することを目的とした。
Ⅱ.方法
1.調査対象
調査対象は,大学運動部および体育系サークルに所属する 1 年生から 4 年生までの 412 名
であった。このうち,分析可能な有効回答数は 400 名(有効回答率 97.1%)で,大学運動部
に所属する者は 202 名(男子 154 名,女子 48 名)
,体育系サークルに所属する者は 198(男
。平均年齢は,それぞれ 19.7±1.34 歳,20.0±1.23
子 133 名,女子 65 名)名であった(表 1)
歳であった。また,専門としている競技から判断すると,個人競技群は 204 名(男子 137 名,
女子 67 名),集団競技群は 196 名(男子 150 名,女子 46 名)であった。
2.調査方法と調査内容
調査は,2013 年 7 月に質問紙法を用いて集合調査法にて実施した。また,調査内容は,
学科や学年,性別,年齢,所属クラブ,競技レベル等のプロフィールと,スポーツ環境に対
する満足度に関する質問であり,全 29 項目で構成した。具体的には,1)スポーツ施設・設
備,2)競技に用いる用具,3)トレーニング設備・器具,4)スポーツ施設の広さ,5)スポー
ツ施設の清潔さ,6)指導者(監督・コーチなど),7)指導者の人数,8)指導者の指導方法・
内容,9)1 週間あたりの練習日数,10)練習時間の長さ,11)技術および体力向上の練習
メニュー,12)チームワーク向上のための練習メニュー,13)練習の運動量,14)練習時の
緊張感,15)練習時の助け合い・励ましあい,16)主将や副将のリーダーシップ,17)部員
の人数,18)部員の資質,19)部内のコミュニケーション,20)部費の金額,21)レジスタ
ンストレーニングの内容,22)レジスタンストレーニング頻度の適切さ,23)レジスタンス
トレーニング指導,24)合宿の時期や期間,場所,25)栄養サポート,26)朝食摂取状況,
「満
27)昼食摂取状況。28)夕食摂取状況。29)安全対策であった。なお,回答は「大変満足」
「どちらともいえない」
「不満足」
「大変不満」の 5 件法にて求め,全 29 項目の素点と合
足」
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
109
計点を算出した。
3.統計処理
得られたデータは充分精査した後,統計処理ソフト IBM SPSS Statistics ver.21(IBM 社製)
を用いて有意差検定を行った。有意差検定は,すべての間隔尺度においてクラブ要因(運動
部群・体育系サークル群)と競技種別要因(個人競技・集団競技)による 2 要因分散分析を
行った。交互作用が有意な場合には,各水準で単純主効果検定を行った。また,交互作用が
有意でなく主効果が認められた場合には,主効果検定を行った。なお,すべての有意判定に
用いた有意水準は 5%とした。
Ⅲ.結果
まず,運動部群と体育系サークル群の被験者数について学年差を比較したところ,両群間
における学年のばらつきは認められなかった(p=.333)
。また,競技レベルについても,運
動部群では全国大会レベルが 70%以上を占めており,体育系サークル群よりも明らかに高
い競技力を有していることが確認された(p<.001)
。
スポーツ環境に対する満足度(全 29 項目および合計点)について,クラブ要因(運動部,
体育系サークル)と競技種別要因(個人競技,集団競技)による二要因分散分析を行った(図
。その結果,1)スポーツ施設・設備(p=.023)
,4)スポーツ施設の広さ(p=.007)
,5)
1 ∼ 30)
スポーツ施設の清潔さ(p=.012)
,6)指導者(監督・コーチなど)(p=.006)
,8)指導者の指
,20)部費の金額(p=.011)の 6 項目において,有意な交互作用が認
導方法・内容(p=.028)
められた。そこでこれらの 6 項目について単純主効果検定を行った。
まず 1)スポーツ施設・設備と 4)スポーツ施設の広さ,5)スポーツ施設の清潔さにつ
いて,競技種別要因では集団競技群に有意な単純主効果が認められ(すべて p<.001)
,多
。ま
重比較の結果,運動部群は体育系サークル群よりも有意に高かった(すべて p<.001)
個人競技
6
集団競技
個人競技
p<.001
p=.002
5
満足度(点)
5
満足度(点)
集団競技
6
4
3
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
体育系サークル群
図1.「スポーツ施設・設備」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=5.187, p=.023)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=23.530, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=4.840, p=.028)
図 1.「スポーツ施設・設備」に対する満足度の
平均値と標準偏差
(F
(1, 396)=5.187, p=.023)
交互作用
(F
(1, 396)=23.530, p<.001)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)=4.840, p=.028)
競技種別要因
運動部群
体育系サークル群
図2.「競技に用いる用具」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=1.101, p=.295)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=24.060, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=2.003, p=.158)
図 2.
「競技に用いる用具」に対する満足度の平
均値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=1.101, p=.295)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=24.060, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=2.003, p=.158)
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
110
個人競技
集団競技
個人競技
6
6
5
満足度(点)
満足度(点)
5
4
3
4
3
2
2
1
1
0
運動部群
0
体育系サークル群
運動部群
図3.「トレーニング施設・器具」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=1.217, p=.271)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=21.751, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=6.638, p=.010)
図 3.
「トレーニング施設・器具」に対する満
図 4.「スポーツ施設の広さ」に対する満足度
の平均値と標準偏差
個人競技
6
交互作用(F(1, 396)=7.395, p=.007)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=15.881, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=19.193, p<.001)
個人競技
集団競技
p<.001
集団競技
p<.001
6
p<.001
p=.002
5
満足度(点)
5
満足度(点)
体育系サークル群
図4.「スポーツ施設の広さ」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=7.395, p=.007)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=15.881, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=19.193, p<.001)
足度の平均値と標準偏差
(F
(1, 396)=1.217, p=.271)
交互作用
(F
(1, 396)=21.751, p<.001)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)=6.638, p=.010)
競技種別要因
4
3
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
体育系サークル群
運動部群
図5.「スポーツ施設の清潔さ」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=6.424, p=.012)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=10.559, p=.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=18.103, p<.001)
図 5.
「スポーツ施設の清潔さ」に対する満足
(F
(1, 396)=6.424, p=.012)
交互作用
(F
(1, 396)=10.559, p=.001)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)=18.103, p<.001)
競技種別要因
個人競技
体育系サークル群
図6.「指導者(監督・コーチなど)」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=7.717, p=.006)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=25.435, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=2.353, p=.126)
図 6.
「指導者(監督・コーチなど)
」に対する満
度の平均値と標準偏差
足度の平均値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=7.717, p=.006)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=25.435, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=2.353, p=.126)
個人競技
集団競技
集団競技
p<.001
6
6
p=.010
5
満足度(点)
5
満足度(点)
集団競技
p<.001
p<.001
4
3
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
体育系サークル群
図7.「指導者の人数」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=3.419, p=.065)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=38.328, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=.192, p=.661)
図 7.
「指導者の人数」に対する満足度の平均値
と標準偏差
(F(1, 396)
交互作用
=3.419, p=.065)
(1, 396)=38.328, p<.001)
主効果:クラブ要因(F
(F
(1, 396)=.192, p=.661)
競技種別要因
運動部群
体育系サークル群
図8.「指導者の指導方法・内容」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=4.864, p=.028)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=24.180, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=2.110, p=.147)
図 8.
「指導者の指導方法・内容」に対する満足
度の平均値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=4.864, p=.028)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=24.180, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=2.110, p=.147)
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
集団競技
個人競技
6
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
個人競技
4
3
2
1
0
体育系サークル群
運動部群
図 9.
「1交互作用
週間あたりの練習日数」に対する満足
(F(1, 396)<.001, p=.995)
図9.「1週間あたりの練習日数」に対する満足度の平均値と標準偏差
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=33.287, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=.001, p=.970)
度の平均値と標準偏差
体育系サークル群
図10.「練習時間の長さ」に対する満足度の平均値と標準偏差
図 10.「練習時間の長さ」に対する満足度の平
交互作用 (F(1, 396)=1.966, p=.162)
均値と標準偏差
競技種別要因 (F(1, 396)=.089, p=.765)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=11.182, p=.001)
(F
(1, 396)<.001, p=.995)
交互作用
(1, 396)=33.287, p<.001)
主効果:クラブ要因(F
(F(1, 396)=.001, p=.970)
競技種別要因
個人競技
交互作用(F(1, 396)=1.966, p=.162)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=11.182, p=.001)
競技種別要因(F(1, 396)=.089, p=.765)
集団競技
個人競技
6
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
3
1
0
集団競技
4
2
運動部群
111
4
3
4
3
2
2
1
1
0
集団競技
0
運動部群
体育系サークル群
運動部群
図11.「技術向上や体力向上のための練習メニュー」に対する
満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=1.311, p=.253)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=31.072, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=.062, p=.804)
体育系サークル群
図12.「チームワーク向上のための練習メニュー」に対する
満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=.043, p=.836)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=17.478, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=1.695, p=.194)
図 11.
「技術向上や体力向上のための練習メ
図 12.
「チームワーク向上のための練習メ
ニュー」に対する満足度の平均値と標準
ニュー」に対する満足度の平均値と標準
偏差
偏差
(F
(1, 396)=1.311, p=.253)
交互作用
(1, 396)
主効果:クラブ要因(F
=31.072, p<.001)
(F
(1, 396)
競技種別要因
=.062, p=.804)
個人競技
交互作用(F(1, 396)=.043, p=.836)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=17.478, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=1.695, p=.194)
個人競技
集団競技
5
満足度(点)
5
満足度(点)
集団競技
6
6
4
3
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
体育系サークル群
図13.「練習の運動量」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=3.827, p=.051)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=18.585, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=.034, p=.855)
図 13.「練習の運動量」に対する満足度の平均
値と標準偏差
(F
(1, 396)=3.827, p=.051)
交互作用
(F
(1, 396)=18.585, p<.001)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)=.034, p=.855)
競技種別要因
運動部群
体育系サークル群
図14.「練習時の緊張感」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=.372, p=.542)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=18.531, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=1.112, p=.292)
図 14.「練習時の緊張感」に対する満足度の平
均値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=.372, p=.542)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=18.531, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=1.112, p=.292)
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
112
集団競技
個人競技
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
個人競技
6
4
3
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
体育系サークル群
運動部群
図 15.「練習時の助け合い・励まし合い」に対
図15.「練習時の助け合い・励まし合い」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=.039, p=.844)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=6.886, p=.009)
競技種別要因 (F(1, 396)=.288, p=.592)
(F
(1, 396)=.039, p=.844)
交互作用
(F
(1, 396)=6.886, p=.009)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)
競技種別要因
=.288, p=.592)
交互作用 (F(1, 396)=.170, p=.680)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=7.734, p=.006)
る満足度の平均値と標準偏差
競技種別要因 (F(1, 396)=7.755, p=.006)
交互作用(F(1, 396)=.170, p=.680)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=7.734, p=.006)
競技種別要因(F(1, 396)=7.755, p=.006)
集団競技
個人競技
6
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
個人競技
体育系サークル群
図16.「主将や副将のリーダーシップ」に対する満足度の平均値と標準偏差
図 16.
「主将や副将のリーダーシップ」に対す
する満足度の平均値と標準偏差
4
3
集団競技
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
体育系サークル群
運動部群
図17.「部員の人数」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=2.429, p=.120)
効果:クラブ要因(F(1, 396)=13.314, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=1.223, p=.269)
図 17.「部員の人数」に対する満足度の平均値
個人競技
体育系サークル群
図18.「部員の資質」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=1.849, p=.175)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=4.532, p=.034)
競技種別要因 (F(1, 396)=5.102, p=.024)
図 18.「部員の資質」に対する満足度の平均値
と標準偏差
と標準偏差
(F
(1, 396)=2.429, p=.120)
交互作用
(F(1, 396)
効果:クラブ要因
=13.314, p<.001)
(F(1, 396)
競技種別要因
=1.223, p=.269)
交互作用(F(1, 396)=1.849, p=.175)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=4.532, p=.034)
競技種別要因(F(1, 396)=5.102, p=.024)
個人競技
集団競技
6
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
集団競技
4
3
p=.01
4
3
2
2
1
1
0
集団競技
p=.001
0
運動部群
体育系サークル群
図19.「部内のコミュニケーション」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=.081, p=.776)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=3.567, p=.060)
競技種別要因 (F(1, 396)=9.672, p=.002)
図 19.「部内のコミュニケーション」に対する
満足度の平均値と標準偏差
(F
(1, 396)=.081, p=.776)
交互作用
(F
(1, 396)=3.567, p=.060)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)
競技種別要因
=9.672, p=.002)
運動部群
体育系サークル群
図20.「部費の金額」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=6.459, p=.011)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=5.254, p=.022)
競技種別要因 (F(1, 396)=1.146, p=.285)
図 20.「部費の金額」に対する満足度の平均値
と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=6.459, p=.011)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=5.254, p=.022)
競技種別要因(F(1, 396)=1.146, p=.285)
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
個人競技
集団競技
6
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
個人競技
4
3
3
2
1
1
0
運動部群
体育系サークル群
運動部群
図21.「レジスタンストレーニング内容」に対する満足度の平均値と標準偏差
図 21.
「レジスタンストレーニング内容」に対
交互作用 (F(1, 396)=.526, p=.469)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=39.636, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=.543, p=.462)
さ」に対する満足度の平均値と標準偏差
(F
(1, 396)=.526, p=.469)
交互作用
(F
(1, 396)=44.204, p<.001)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)=2.118, p=.146)
競技種別要因
個人競技
体育系サークル群
図22.「レジスタンストレーニング頻度の適切さ」に対する満足度の平均値と標準偏差
図
22.
「レジスタンストレーニング頻度の適切
交互作用 (F(1, 396)=.722, p=.396)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=44.204, p<.001)
する満足度の平均値と標準偏差
競技種別要因 (F(1, 396)=2.118, p=.146)
交互作用(F(1, 396)=.722, p=.396)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=39.636, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=.543, p=.462)
個人競技
集団競技
6
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
集団競技
4
2
0
4
3
集団競技
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
運動部群
体育系サークル群
図23.「レジスタンストレーニング指導」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=1.583, p=.209)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=29.288, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=1.351, p=.246)
図 23.「レジスタンストレーニング指導」に対
(F
(1, 396)=1.583, p=.209)
交互作用
(F
(1, 396)=29.288, p<.001)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)=1.351, p=.246)
競技種別要因
個人競技
体育系サークル群
図24.「合宿の時期や期間,場所」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=3.522, p=.061)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=.545, p=.461)
競技種別要因 (F(1, 396)=1.067, p=.302)
図 24.「合宿の時期や期間,場所」に対する満
足度の平均値と標準偏差
する満足度の平均値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=3.522, p=.061)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=.545, p=.461)
競技種別要因(F(1, 396)=1.067, p=.302)
集団競技
個人競技
6
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
113
4
3
4
3
2
2
1
1
0
集団競技
0
運動部群
体育系サークル群
図25.「栄養サポート」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=2.514, p=.114)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=16.711, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=.339, p=.561)
図 25.
「栄養サポート」に対する満足度の平均
値と標準偏差
(F
(1, 396)=2.514, p=.114)
交互作用
(F
(1, 396)=16.711, p<.001)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)=.339, p=.561)
競技種別要因
運動部群
体育系サークル群
図26.「朝食摂取状況」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=2.208, p=.138)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=17.549, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=.068, p=.795)
図 26.「朝食摂取状況」に対する満足度の平均
値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=2.208, p=.138)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=17.549, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=.068, p=.795)
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
114
集団競技
個人競技
6
5
5
満足度(点)
満足度(点)
個人競技
6
4
3
4
3
2
2
1
1
0
0
運動部群
体育系サークル群
運動部群
図27.「昼食摂取状況」に対する満足度の平均値と標準偏差
図 27.
「昼食摂取状況」に対する満足度の平均
交互作用 (F(1, 396)=.072, p=.788)
交互作用 (F(1, 396)=.078, p=.780)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=13.625, p<.001)
値と標準偏差
競技種別要因 (F(1, 396)=.462, p=.497)
(F(1, 396)
交互作用
=.072, p=.788)
(1, 396)
主効果:クラブ要因(F
=5.863, p=.016)
(1, 396)
競技種別要因(F
=.191, p=.663)
個人競技
体育系サークル群
図28.「夕食摂取状況」に対する満足度の平均値と標準偏差
図 28.「夕食摂取状況」に対する満足度の平均
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=5.863, p=.016)
値と標準偏差
競技種別要因 (F(1, 396)=.191, p=.663)
交互作用(F(1, 396)=.078, p=.780)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=13.625, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=.462, p=.497)
集団競技
個人競技
6
集団競技
140
5
120
満足度(点)
満足度(点)
集団競技
4
3
100
80
60
2
40
1
20
0
0
運動部群
体育系サークル群
図29.「安全対策」に対する満足度の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=.079, p=.778)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=6.911, p=.009)
競技種別要因 (F(1, 396)=1.190, p=.276)
図 29.「安全対策」に対する満足度の平均値と
標準偏差
(F
(1, 396)=.079, p=.778)
交互作用
(F
(1, 396)=6.911, p=.009)
主効果:クラブ要因
(F(1, 396)
競技種別要因
=1.190, p=.276)
運動部群
体育系サークル群
図30.「スポーツ環境」に対する満足度における合計得点の平均値と標準偏差
交互作用 (F(1, 396)=.294, p=.588)
主効果:クラブ要因 (F(1, 396)=43.971, p<.001)
競技種別要因 (F(1, 396)=2.202, p=.139)
図 30.「スポーツ環境」に対する満足度におけ
る合計得点の平均値と標準偏差
交互作用(F(1, 396)=.294, p=.588)
主効果:クラブ要因(F(1, 396)=43.971, p<.001)
競技種別要因(F(1, 396)=2.202, p=.139)
た,クラブ別要因では運動部群に有意な単純主効果が認められ(それぞれ p=.002,p<.001,
p<.001),多重比較の結果,集団競技群は個人競技群よりも有意に高かった(それぞれ
。
p=.002,p<.001,p<.001)
次に,6)指導者(監督・コーチなど)と 8)指導者の指導方法・内容について,競技種
,多重比較の結果,
別要因では個人競技群に有意な単純主効果が認められ(いずれも p<.001)
運動部群は体育系サークル群よりも有意に高かった(いずれも p<.001)。また,クラブ別要
,多重比較の結
因では運動部群に有意な単純主効果が認められ(それぞれ p=.002,p=.010)
。
果,個人競技群は集団競技群よりも有意に高かった(それぞれ p=.002,p=.01)
20)部費の金額について,競技種別要因では個人競技群に有意な単純主効果が認められ
(p=.001),多重比較の結果,運動部群は体育系サークル群よりも有意に高かった(p=.001)
。
また,クラブ別要因では体育系サークル群に有意な単純主効果が認められ(p=.011)
,多重
。
比較の結果,集団競技群は個人競技群よりも有意に高かった(p=.011)
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
115
一方,クラブ要因の主効果が認められた項目は,交互作用が認められた上記 6 項目に加
え,2)競技に用いる用具(p<.001)
,3)トレーニング設備・器具(p<.001)
,7)指導者の人
,10)練習時間の長さ(p=.001)
,11)技
数(p<.001),9)1 週間あたりの練習日数(p<.001)
,12)チームワーク向上のための練習メニュー
術および体力向上の練習メニュー(p<.001)
(p<.001),13)練習の運動量(p<.001)
,14)練習時の緊張感(p<.001)
,15)練習時の助け合い・
,16)主将や副将のリーダーシップ(p=.006)
,17)部員の人数(p<.001)
,
励ましあい(p=.009)
,21)レジスタンストレーニングの内容(p<.001)
,22)レジスタ
18)部員の資質(p=.034)
ンストレーニング頻度の適切さ(p<.001)
,23)レジスタンストレーニング指導(p<.001)
,
,26)朝食摂取状況(p<.001)
,27)昼食摂取状況(p=.016)
,
25)栄養サポート(p<.001)
,29)安全対策(p=.009),および合計得点(p<.001)の 22 項目で,
28)夕食摂取状況(p<.001)
いずれも運動部群が体育系サークル群よりも有意に高かった。
また,競技種別要因の主効果が認められた項目は,交互作用が認められた 1)
,4)
,5)
の 3 項目に加え,3)トレーニング設備・器具(p=.01)
,16)主将や副将のリーダーシップ
(p=.006),18)部員の資質(p=.024)
,19)部内のコミュニケーション(p=.002)の 7 項目で,
いずれも集団競技群が個人競技群よりも有意に高かった。
Ⅳ.考察
今回,調査対象となった運動部群 202 名と体育系サークル 198 名は,結果に示した通り,
それぞれ学年の偏りがなく,運動部群の方が体育系サークル群よりも競技力が高いことを前
提に考察していく。
1.クラブ要因と競技種別要因の関連について
まず,スポーツ環境に対する各項目の満足度について,クラブ要因(運動部,体育会系
サークル)と競技種別要因(個人競技,集団競技)による二要因分散分析を行ったところ,
スポーツ施設・設備,4)スポーツ施設の広さ,
有意な交互作用が認められた項目として,1)
5)スポーツ施設の清潔さ,6)指導者(監督・コーチなど),8)指導者の指導方法・内容,
20)部費の金額)の 6 項目が抽出されたことから,以下に具体的内容を考察する。
1)スポーツ施設・設備と 4)スポーツ施設の広さ,5)スポーツ施設の清潔さに対する満
足度は,単純主効果検定により,集団競技で体育系サークル群<運動部群,運動部群で個人
競技群<集団競技群,という結果であった。つまり,運動部群のスポーツ施設等は専用施設
または優先的に使用できる施設を保有しており,特に個人競技に比して集団競技で使用する
スポーツ施設の設備や広さ,清潔さ等の充実ぶりが指摘できる。一方,体育系サークル群は
主に大学体育施設を借りて活動しており,多くの場合他と施設を共有しているため,練習時
間の制限も多く,用具の運び入れや準備,後片付けにも時間を取られることになる。また,
大学施設以外を利用する場合も多く,使用料が発生するなど活動環境の不便さが満足度の低
116
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
下につながっているものと考えられる。
次に,6)指導者(監督・コーチなど)と 8)指導者の指導方法・内容に対する満足度は,
単純主効果検定により,個人競技で体育系サークル群<運動部群,運動部群で集団競技群<
個人競技群,という結果であった。運動部群では,常時監督やコーチなどの指導者がおり,
適宜,効果的な指導を受ける事ができるが,特に集団競技よりも個人競技の方が高い満足度
を示したことは,指導者の指導内容が直接的にパフォーマンスに影響を与え,その効果が個
人の競技力に反映しやすいためと推測される。また,個人競技で体育系サークル群の満足度
が低いことは,小林ら(2007)が大学での部活・同好会の指導者に対する学生の満足度の低
さについて言及しているように,指導者に支払われる報酬の捻出が難しい,あるいは選手自
体があまり高いレベルでの競技を望んでおらず,厳しい指導者を望まないなど,もともと指
導者が配置されていないことが原因と考えられる。
さらに,20)部費の金額の満足度は,単純主効果検定により,個人競技で体育系サークル
群<運動部群,体育系サークル群で個人競技群<集団競技群,という結果であった。個人競
技では他のアスリートの用具を代用することはまれで,初心者,上級者に関わらず自分のレ
ベルに見合った金額の用具を購入することが可能であることから,自らの用具に費やす費用
に対して不公平を感じることは少ないと考えられる。また,運動部群は施設や用具,遠征費
用,指導者に対する報酬など,活動費用の一部分を大学や OB 会などの組織から援助されて
いることから,総合的にみると体育系サークル群よりも運動部群の方が費用対効果は高く,
結果として満足度が高まったものと推測される。
2.競技種別要因による満足度について
次に,競技種別要因の主効果が認められた項目(7 項目)について,交互作用が認められ
た 1),4),5)の 3 項目を除くと 4 項目が挙げられる。つまり,トレーニング設備や器具,
主将や副将のリーダーシップ,部員の資質,部内のコミュニケーションに対する満足度は,
個人競技群よりも集団競技群の方が有意に高かった。今回の結果のように主将や副将のリー
ダーシップ,部員の資質,部内のコミュニケーションに対する満足度の高さは,集団競技に
おいて競技不安の軽減(上条・湯川,2013)や心理的競技能力の向上(岡本ら,2007)に間
接的に役立っていると考えられ,いわゆるアスリートの精神力や実際の競技力に影響を与え
ていることが推測される。また今井(2008)が指摘しているように,スポーツにおける「満
足度」を得るためには他者との関係性を重要視する必要がる。そのため,これら 3 項目は
チームワークおよび競技力を高める重要な要素と捉えられ,スポーツ環境を構築していく上
で考慮すべき項目として挙げられる。
3.クラブ要因による満足度について
さらに,クラブ要因の主効果が認められた項目(28 項目)について,交互作用が認めら
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
117
れた上記 6 項目を除くと 22 項目が挙げられる。具体的には,競技に用いる用具やトレーニ
ング施設・器具などの競技自体を実施する土台を始め,指導者の数や練習の日数・時間,練
習量,練習メニュー,緊張感,レジスタンストレーニング内容,安全対策に至る練習に関わ
る全般的な内容,主将や副主将,部員など,チーム内における人間関係に関わる内容,ま
た,食事や栄養サポートなど,生活に関わる内容に至るまで,体育系サークル群よりも運動
部群に有意に高い結果が表れた。したがって,総合的なスポーツ環境は,体育系サークル群
よりも運動部群の方が優れていることが理解でき,競技力を高める上でもスポーツ環境が重
要な要因となっていることが改めて理解できる。基本的に運動部群は,大学側から競技力向
上のための施設や指導者,競技に関わる費用など,その競技を取り巻く環境において様々な
サポートを受けており,競技種目においては多少の待遇の違いは感じられるものの,体育系
サークル群に比べて概ね良好な環境を与えられている。また,運動部群の選手は,大学側よ
り良い競技成績を収めることを義務付けられている代わりに,ある程度の環境サポートは約
束されている背景があり,体育系サークル群よりスポーツ環境に満足していることは十分理
解できる。
以上のように,様々なスポーツ環境に対する満足度は,競技力向上を目指した場合,個人
競技か集団競技かといった競技種別の要因が関与している項目が存在している。つまり,集
団競技と個人競技では満足度の高い項目が異なることが明らかとなったことから,スポーツ
環境を構築していく上で,競技種別要因を常に考慮する必要があろう。
Ⅴ.結論
本研究の目的は,大学スポーツ・アスリートを対象とし,競技力向上のためのスポーツ環
境に対する満足度について調査し,クラブ要因(大学運動部・体育系サークル)と競技種別
の二つの観点から検討することであった。その結果,大学スポー
要因(個人競技・集団競技)
ツ・アスリートにおけるスポーツ環境の満足度は,体育系サークルよりも運動部に所属する
者において高く,運動部群はより充実した環境で活動していることが明らかとなった。しか
しながら,集団競技と個人競技の間には内容によって満足度の明らかな差が存在していた。
現代のスポーツにおける競技力向上には,競技を取り巻く様々な要因が存在し,それぞれが
競技に大きく影響している。競技力向上のためには施設や設備,指導者やチームメイト,ト
レーニング内容,食事,経済問題に至るまで,たとえ集団競技と個人競技の競技種別の特性
が影響しているとしても,ひとつとして軽視することはできない。施設や設備などは施設を
提供している大学の事情もあり,早急な改善は容易ではないことも大きな課題ではあるもの
の,指導者やチーム内に関わる諸問題等への対応は今回の研究結果が参考となるであろう。
特にこうした大学のスポーツ環境の問題は,大学スポーツが教育機関であるという観点から
も軽視できない部分といえ,運動部のみならず体育系サークルにおいてもアスリートとして
競技活動を行う以上,競技力向上は活動動機の最も大きな意味を持つ事項であることから,
大学スポーツ・アスリートにおけるスポーツ環境に対する満足度について
118
今後,多方面からアスリートを取り巻くスポーツ環境の構築をめざした検討が必要となろ
う。
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回顧調査―中学時代のストレス,サポート,自己効力感に注目して―.教育実践学研究,
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