卵巣癌に対する初回治療としてのカルボプラチン+パクリタキセル

#5548
NEWS FLASH 第51回 米国臨床腫瘍学会
Poster Session
卵巣がん
May 29-June 2, 2015 McCormick Place I Chicago,Illinois
卵巣癌に対する初回治療としてのカルボプラチン+パクリタキセル±ベバシズマブ療法の
検討における病期と残存病変による探索的アウトカム解析(ICON7試験)
Exploratory outcome analyses according to stage and residual disease in the ICON7 trial of front-line carboplatin/paclitaxel (CP) ± bevacizumab (BEV)
for ovarian cancer (OC).
Antonio Gonzalez-Martin,
GEICO and MD Anderson Cancer Center Spain, Madrid, Spain
et al.
Quick Review
ICON7試験では、初発卵巣癌に対する初回治療として、カルボプラチン+パクリタキセル(TC)+ベバシズマブ(BEV)療法およびその
後のBEV単独維持継続投与(TC+BEV)が、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示されている1)。また、ITT集団における全
生存期間(OS)には差が見出されなかったが、サブ解析の結果、ハイリスク群(残存病変>1cmのstageⅢ、stage Ⅳまたは手術不能例)
ではTC+BEV療法によるOS延長が認められた2)。
病期(FIGO stage)および残存病変は卵巣癌の予後因子として確立しているが、これらの因子とBEVの治療効果の相関についてはあま
り知られていない。そこで今回、欧州で承認されているBEV併用療法の対象である初回治療におけるstage ⅢB−Ⅳについて、ICON7試
験における病期と残存病変に基づくBEVの有用性に関して探索的解析を行った。その結果、stageⅢB−Ⅳの患者において、BEV併用維
持継続投与によるPFS延長がすべてのサブグループで認められた。各サブグループの安全性は全体のものと一致していた。
本検討より、TC療法に対するBEV併用および維持継続投与によって病期および残存病変の大きさに関わらずPFSが延長することが示唆さ
れた。
1)Perren TJ, et al. N Engl J Med 2011; 365: 2484-2496
2)Oza AM, et al. Eur J Cancer 2013; 49(Suppl. 3): S4 (abstract LBA6)
Figure 1
試験デザイン
●
●
Carboplatin AUC 5 or 6
1:1
N =1,528
Paclitaxel 175mg/m2
FIGO stageⅠ-ⅡA(clear cell
or Grade3)or FIGO stageⅡB-Ⅳ
R
Surgically debulked histologically
confirmed epithelial ovarian,
primary peritoneal, or fallopian
tube cancer
Carboplatin AUC 5 or 6
Paclitaxel 175mg/m2
BEV 7.5mg/kg q3w
18 cycles(12months)
Stratification variables:
・ Stage and extent of debulking(Ⅰ-Ⅲ debulked≦1cm vs Ⅰ-Ⅲ debulked >1cm vs Ⅳ and inoperable stageⅢ)
・ Timing of intended treatment start(≦4 vs >4 weeks after surgery)
・ Gynecologic Cancer InterGroup group
本試験では、腫瘍減量術を施され、組織学的に確
認されたハイリスクの早期( FIGO stageⅠ−Ⅱ
A の明細胞癌 またはGrade 3 )
、または進行期
(StageⅡB−Ⅳ)の上皮性卵巣癌または原発性腹
膜癌、卵管癌の化学療法未治療患者1,528例を
対象に、TC療法とTC+BEV療法の有用性が比
較検討された。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、
副次評価項目には全生存期間(OS)が含まれて
いた。
AUC=area under the plasma concentration-time curve; q3w=every 3 weeks; R=randomization.
Table 1
Figure 2
病期および残存病変の程度による患者分布
PFS・OSのサブグループ解析
BEV better Reference better HR(95% CI)
No. of patients
Suboptimally
No surgery
debulked
>0-≦1cm Not known (>1cm)
Optimally debulked
PFS
Total
High risk(N=502)
0.71(0.58-0.86)
StageⅢB-Ⅳ(N=1,160)
0.81(0.70-0.92)
StageⅢB-Ⅳ no residual disease(N=411)
0.77(0.59-0.99)
StageⅢB-Ⅳ residual disease(N=749)
0.81(0.69 -0.95)
Stage
0cm
Ⅰ/Ⅱ
232
29
14
7
0
282
Ⅲ(no further
classification)
11
8
1
11
1
32
OS
ⅢA
39
9
2
3
1
54
High risk(N=502)
0.78(0.63-0.97)
ⅢB
46
25
4
14
0
89
StageⅢB-Ⅳ(N=1,160)
0.92(0.79 -1.08)
ⅢC
322
259
18
262
9
870
StageⅢB-Ⅳ no residual disease(N=411)
1.03(0.75 -1.41)
39
2
98
19
201
0.87(0.73-1.04)
43
Stage ⅢB-Ⅳ residual disease(N=749)
693
369
41
395
30
1,528
Ⅳ
Total
1,528例中、stageⅢBが89例、stageⅢC が 870例、stageⅣが201例含
まれており、残存病変別では残存病変0cmが693例、optimal surgery例
が369例、残存病変 >1cmのsuboptimal surgery例が395例、手術不能
例が30例含まれていた。Optimal surgery 例のうち41例は残存病変に関
する情報が欠落していたため、残存病変有り
(残存病変>0cm)
および手術
不能群に含められた。
企画・提供:
0.5
1
HR(95% CI)
2
TC療法に対するBEV併用によるPFS延長は、ハイリスク群(残存病変>
1cmのStage Ⅲ、StageⅣまたは 手術不能例 )、Stage ⅢB−Ⅳ全患者
群、StageⅢB−Ⅳの完全切除群、StageⅢB−Ⅳの残存病変有り(残存
病変>0cm)および手術不能群の全サブグループで認められた。BEV併
用によるOS延長は、ハイリスク群でのみ認められた。
この資材は学会の最新情報を掲載しています。
記載されている薬剤の使用にあたっては、各薬剤の添付文書を参照してください。
#5548
NEWS FLASH 第51回 米国臨床腫瘍学会
Poster Session
卵巣がん
May 29-June 2, 2015 McCormick Place I Chicago,Illinois
卵巣癌に対する初回治療としてのカルボプラチン+パクリタキセル±ベバシズマブ療法の
検討における病期と残存病変による探索的アウトカム解析(ICON7試験)
Figure 3
StageⅢB−Ⅳの完全切除例 におけるPFS・OS(R0:N = 411)
PFS
OS
(%)
100
(%)
100
Reference
BEV
75
75
50
50
25
0
No. of events(%)
Median PFS, months
Restricted mean PFS, months
HR(95% CI)
0
6
No. at risk:
Reference 203
BEV 208
12
Reference
(n=203)
BEV
(n=208)
25
118(58) 110(53)
19.5
24.3
24.9
28.0
0.77(0.59-0.99)
18
24
Time(months)
145
174
30
36
83
101
42
0
Reference
BEV
No. of events(%)
Median OS, months
Restricted mean OS, months
HR(95% CI)
0
6
No. at risk:
Reference 203
BEV 208
61
74
12
18
183
194
24
Reference
(n=203)
BEV
(n=208)
74(36)
80(38)
NR
NR
48.5
48.4
1.03(0.75-1.41)
NR = not reached
30
36
Time(months)
166
178
42
143
148
48
54
119
122
60
35
39
stageⅢB−Ⅳの 完全切除群 において、TC 療法群 および TC+BEV療法群における PFS 中央値 はそれぞれ19. 5ヶ月および 24.3ヶ月であり、TC
療法に対するBEV併用および維持継続投与によりPFSの有意な延長が認められた[ハザード比 0.77(95%信頼区間:0.59 -0.99)]。OSは両群
あった。
(画像中央判定
peer review)
に差は認められなかった[ ハザード比1.03
(95%信頼区間:0.75
-1.41)]。
Figure 4
StageⅢB−Ⅳの不完全切除例(749例)におけるPFSおよびOS
PFS
OS
(%)
100
No. of events(%)
Median PFS, months
Restricted mean PFS, months
HR
(95% CI)
75
Reference
(n=370)
(%)
100
BEV
(n=379)
295(80)
310(82)
12.0
16.7
16.6
19.5
0.81(0.69-0.95)
75
50
50
25
25
No. of events(%)
Median OS, months
Restricted mean OS, months
HR(95% CI)
Reference
BEV
0
Reference
BEV
0
No. at risk:
Reference 370
BEV 379
6
12
179
266
18
24
Time(months)
74
87
30
36
53
41
42
0
0
No. at risk:
Reference 370
BEV 379
6
12
315
341
18
24
Reference
(n=370)
BEV
(n=379)
246(66)
242(64)
35.7
40.3
37.3
39.7
0.87(0.73-1.04)
30
36
Time(months)
244
273
174
207
42
48
130
141
54
60
35
45
stageⅢB−Ⅳの残存病変有りおよび手術不能群において、TC療法群 および TC+BEV療法群におけるPFS中央値はそれぞれ12.0ヶ月および16.7
ヶ月であり、TC療法に対するBEV併用および維持継続投与により、PFSの延長が認められた[ハザード比 0.81(95%信頼区間:0.69-0.95)]。
OSは両群で有意差を認めなかった[ハザード比 0.87(95%信頼区間:0.73 -1.04)]。
企画・提供:
この資材は学会の最新情報を掲載しています。
記載されている薬剤の使用にあたっては、各薬剤の添付文書を参照してください。