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平 成 27 年度 春季セミ ナー 大会
我が国の証券・流通市場の
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活性化について
中央大学証券 研究会
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1. 証 券 の 定 義
1.1. 証 券 と は
証券とは財産上の権利を表すものであり、有価証券 と証拠証券とに大きく二
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つに分類することができる。証拠証券は預金証書や保険証書といった財産上意
味のある事実が記載された証明書であり売買の対象にはならない。 有価証券は
財産的価値のある私権を表章する証券であり、権利の移転・行使が証券によっ
てなされるもののことである。
1.2. 有 価 証 券 に つ い て
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有価証券はさらに貨幣証券、商品証券、資本証券の三つに分類することがで
きる。貨幣証券は手形、小切手などの貨幣に対する請求権を表章するものであ
る。商品証券は倉荷証券、船荷証券、貨物引換証などの物権的請求権を表章す
るものである。資本証券は債券、株式などの資本および利子や配当に対する権
利を表章するものである。これらのうち、証券市場で取引されている有価証券
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は資本証券であり、具体的に証券取引法という法律によって限定列挙されてい
る。
よって本論分のテーマは証券市場の活性化ということなので、資本証券のこ
とを中心に述べていくものとする。
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2. 直 接 金 融 の メ リ ッ ト
2.1. 企 業 の 資 金 調 達 方 法
企業が事業の運営のための資金を調達する方法として、銀行や信用金庫とい
った金融機関から融資を受けて資金を調達 する間接金融と、株式や債券など有
価証券を発行し、証券市場を通し不特定多数の投資家から資金を調達する直接
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金融という二つの方法がある。
2.2. 間 接 金 融
間接金融は金融機関から資金提供を受けるという関係から、金融機関の利益
になる融資、つまり金融機関が確実に資金を回収できるような融資でないと融
資を受けにくいという難点がある。そのため事業が軌道に乗るか否か定かでな
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いベンチャー企業や規模が小さいが故に信頼度の低い中小企業の資金調達には
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不向きである。
2.3. 直 接 金 融
直接金融において、株式会社は有限責任であるため会社が損失、いわゆる赤
字を出しても返済の義務を負うことはない。よって株式や債券といった資本証
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券の発行は、一個人や一金融機関では引き受けることができないような大きな
信用リスクを多数の資金提供者で分担し、更に市場での換金性を付与すること
によって、本来短期資金にしかなりえない資金を長期資金に転換できるという
メリットが存在する。また債券の発行が一般的な借り入れと異なる点は、 債券
自体が借用証書と異なり転売可能であるということである。
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3. 証 券 市 場 と は
3.1. 発 行 市 場 と 流 通 市 場
証券市場とは債券や株式などの有価証券が新たに発行される発行市場と、発
行された有価証券が売買を通じて流通していく流通市場を総称するものである 。
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発行市場は、国や地方自治体、民間企業あるいは外国企業などの経済主体が
公社債や株式を発行し投資家から資金を調達する市場のことで、資本調達市場
とも呼ばれている。
有価証券の発行方法として、発行者が投資家との間の直接の当事者となる直接
発行と、金融機関や証券会社などの仲介者を介在させて行う間接発行に大きく
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分けられる。また、取引対象を特定しない公募と、対象を特定、あるいは制限
す る 非 公 募 (私 募 、 縁 故 )に 分 け る こ と が で き る 。
流通市場とは発行された証券に流通性を付与する役割を持っており、発行市
場の機能を円滑化させると共に、投資家に資金運用の場を提供している。 また
流通市場は証券取引所が開設している取引所市場とそれ以外の店頭市場に分け
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られており、それぞれ取引所取引、店頭取引と呼ばれている。
3.2. 取 引 の 種 類
取 引 所 取 引 は 日 本 全 国 8 か 所 の 証 券 取 引 所 で 行 わ れ て お り 、投 資 家 は 取 引 所
会員である証券会社を通じて取引に参加している。 そこでの取引の対象は上場
証券に限られており、競争売買による取引が行われている。
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店頭取引は、取引所取引以外の取引で、証券 会社と投資家との相対売買によ
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って取引が行われる。
証券市場には代表的なものとして株式市場と公社債市場が存在するが、株式
市場は取引所取引が中心で、公社債市場は店頭取引が圧倒的な割合を占めてい
る。
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4. 株 式
4.1. 株 主 と は
株式とは、一般的には有価証券である株券と同義で用いられるが、 法律的に
は、株式会社の出資者(株主)がその企業に対して有している持分、つまり、
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株主としての地位そのものを指す。その持分を有価証券という形で表章したも
のが株券である。
4.2. 株 式 の 種 類
株式は、株主の権利内容によりさまざまに分類され る。
① 普 通 株 式 … 株 主 の 権 利 に な ん ら の 特 典 や 制 限 の な い 株 式 で 、通 常「 株 式 」と
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いう場合には、この普通株式のことをいう。
② 優 先 株 式 … 配 当 や 残 余 財 産 の 分 配 に つ い て 、普 通 株 式 よ り も 優 先 権 が 与 え ら
れ て い る 株 式 の こ と で あ る 。た だ し 、議 決 権 に つ い て は 定 款 の 規 定 に よ り 付
与 し な い こ と が で き る 。優 先 株 式 に は 、い っ た ん 優 先 配 当 を 受 け た 後 に 残 余
財 産 に つ い て も 参 加 で き る「 参 加 型 」と 優 先 配 当 が 固 定 さ れ て い る「 非 参 加
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型 」、 あ る 期 の 配 当 が 優 先 配 当 に 満 た な か っ た 場 合 に 翌 期 に 不 足 分 を 請 求 で
き る「 累 積 型 」と 、請 求 で き な い「 非 累 積 型 」な ど 、い ろ い ろ な タ イ プ の も
のがある。
③ 劣 後 株 式 … 配 当 や 残 余 財 産 の 分 配 に つ い て 、普 通 株 式 よ り も 劣 後 的 な 地 位 に
おかれる株式のことである。
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④ 転換株式…ある株式を他の種類の株式に転換できる権利を認めた株式であ
る。たとえば、普通株式への転換を認めた優先株式などがある。
⑤ 償還株式…発行されてときから償還が予定されている株式のことである 。
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5. 日 本 国 内 に お け る 証 券 市 場 の 歴 史
5.1. 明 治 期 か ら 第 二 次 世 界 大 戦 後
日本での証券市場の歴史は明治時代までさかのぼることができる。産業革命
を起こした西洋の近代国家を見本に日本も明治以降近代化を進め、その過程で
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株式会社や証券市場に関する仕組みやルールが取り入られるようになった。
1870 年 に 日 本 で 初 め て 誕 生 し た 証 券 で あ る 日 本 国 債 が ロ ン ド ン の 証 券 市 場 で
発行、売買が行われるようになった。 当時の日本国債の主な目的は鉄道の建設
費用を調達することであった。当時経済的に世界で最も繁栄していたイギリス
のポンド建てで国債を発行することで海外の投資家をターゲットに資金集めを
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行 っ て い た 。 ま た 国 内 で は 、 1878 年 に 東 京 と 大 阪 に 株 式 取 引 所 が 設 立 さ れ た 。
1880 年 代 後 半 以 降 、 株 式 会 社 の 設 立 ブ ー ム が 到 来 し 、 鉄 道 会 社 、 海 運 会 社 、
紡績会社など近代産業を担う企業を中心に株式の発行も活発になり、それに伴
い証券取引所の取引内容も、以前の公債中心から、株式中心へとシフトしてい
っ た 。し か し そ の 後 、第 一 次 大 戦 の 戦 時 特 需 終 焉 に よ る 戦 後 恐 慌 、1915 年 に 発
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生 し た 関 東 大 震 災 に よ る 震 災 恐 慌 、1929 年 の 世 界 恐 慌 の 影 響 を 受 け 発 生 し た 昭
和 恐 慌 に よ っ て 経 済 の 混 乱 が 続 き 、株 式 市 場 も 長 期 的 な 低 迷 を 余 儀 な く さ れ た 。
こうした不況に対して高橋是清蔵相のもとで行われた 金輸出再禁止、赤字公債
の日銀引き受けを伴う財政の拡大、低金利対策推進、の三本柱からなるデフレ
克服策により昭和恐慌を世界に先んじて脱出することができた。
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第 二 次 大 戦 後 の 1948 年 に は ア メ リ カ の 証 券 諸 法 を 模 範 と す る 新 証 券 取 引 法
が公布され、法に範をとった新証券取引法が公布され、戦前の諸制度を一変さ
せる民主的な証券市場の枠組みが確立した。その骨子は①金融機関の証券業務
の兼営禁止、②証券業者の地位確立と証券業者の登録制採用、③投資家保護の
立場から公募有価証券の届出制採用、④証券取引所を証券業者のみを会員とす
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る会員組織に改変、⑤市場監視機構として証券取引委員会の創設、の 5 点に集
約される。その後、証券取引法にもとづき、証券取引所が再開された 。そして
取引 3 原則により現物取引が主体となった。
5.2. 高 度 経 済 成 長 期 か ら バ ブ ル ま で
1961 年 の 公 定 歩 合 引 き 上 げ を 契 機 に 証 券 市 場 か ら 資 金 が 一 気 に 流 出 し た た
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め株価は暴落し、株式市場は一転して証券不況になった。しかし日銀特融の発
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動により証券恐慌にはならなかった。その後、時価発行公募増資の盛行によっ
て 株 式 発 行 ・ 流 通 市 場 の 急 拡 大 、 急 膨 張 に よ り バ ブ ル 経 済 が 広 が っ た 。 1989
年から 6 回にわたって行われた公定歩合の引き上げと不動産関連融資の総量規
制の導入をきっかけにバブル経済は崩壊に向かった。株式、不動産の価格下落
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を伴う資産デフレの進行は実体経済を次第に圧迫し始め、大手証券会社による
大口顧客への巨額損失補てん事件が発覚したことなどにより金融不安が表面化
し始め、株価の下落とともに出来高も大幅に減少し流通市場は長期不振に陥っ
た。さらには株式発行市場の機能も大きく停滞した。資産デフレの深刻化に歯
止めがかからず、大手金融機関の経営破たんが相次いだ。
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5.3. バ ブ ル 崩 壊 後 か 21 世 紀 に 入 っ て
1998 年 に は 、 預 金 者 保 護 も 含 め 公 的 資 金 の 投 入 枠 を 60 兆 円 に 拡 充 す る 緊 急
措 置 も 盛 り 込 ま れ た 金 融 再 生 関 連 8 法 案 が 成 立 し 、金 融 シ ス テ ム は ひ と ま ず 沈
静 化 さ れ た 。 し か し 2000 年 、 I T 革 命 の 進 展 に 支 え ら れ 長 期 上 昇 傾 向 を 辿 っ
て き た ア メ リ カ の 株 価 下 落 を 契 機 に 、日 本 の 株 価 市 場 も 再 び 下 落 傾 向 に 転 じ た 。
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こうした株価の崩落過程で、戦後形成されていた株式持ち合い体制が崩れ、そ
れに伴い株主構成が劇的に変化した。また、買収ファンドや新興企業によるM
&Aが活発化して、社会的にも注目を集めた。しかし、その後の世界的な金融
危 機 に よ っ て こ れ ら の 動 き は 不 活 発 に な る 。株 価 は 回 復 傾 向 を 辿 っ た が 、2007
年 の 世 界 的 な 金 融 危 機 に よ り 、2009 年 に は 大 き く 下 落 し た 。最 近 で は ギ リ シ ャ
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財政危機がヨーロッパ諸国に波及する懸念が高まったことを背景に日経平均株
価は下落している。
1990 年 代 半 ば 以 降 は 、従 来 の 漸 進 的 な 金 融 自 由 化 の 進 め 方 を 根 本 的 に 見 直 し
て、大胆かつ全面的な自由化、言い換えれば、金融改革の元祖であるイギリス
のビッグバンを凌ぐような抜本的かつ包括的な金融システム不安の根底にある
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不良債権処理と金融大革命を同時並行的に進め、 5 年間のうちに改革を完了す
る と し た 金 融 シ ス テ ム 改 革 構 想 が 1996 年 に 打 ち 出 さ れ た 。 こ の 金 融 シ ス テ ム
改 革 構 想 (日 本 版 金 融 ビ ッ グ バ ン )の 基 本 的 な 理 念 は 、 フ リ ー 、 フ ェ ア 、 グ ロ ー
バ ル で あ っ た 。 具 体 的 に は 、 (1)投 資 家 ・ 資 金 調 達 者 の 選 択 肢 拡 大 、 (2)金 融 仲
介 者 の サ ー ビ ス の 質 の 向 上・競 争 促 進 、(3)利 用 し や す い 市 場 の 整 備 、( 4)公 正 ・
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透 明 で 信 頼 で き る 市 場 構 築 に 向 け 情 報 提 供 の 充 実・徹 底 と 取 引 ル ー ル の 明 確 化 、
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の 4 つ が テ ー マ と な っ て い た 。イ ギ リ ス の ビ ッ グ バ ン が 証 券 市 場 と 証 券 業 界 の
改革であったのに対して、日本版金融ビッグバンは金融システムと金融業界全
体を巻き込んだ包括的でより大規模な改革であった。
1996 年 に ス タ ー ト し た 金 融 ビ ッ グ バ ン は 、 2000 年 度 末 で 一 応 完 了 し た 。 し
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かしこの間、実体経済の長期低迷、金融不安の発生、株式市場の不振などもあ
って、現実の証券市場は依然として活力を欠いた状態が続いた。このような状
況 を 踏 ま え 、 2001 年 以 降 に (1)金 融 商 品 販 売 法 の 制 定 、 (2)会 計 基 準 の 改 正 と 企
業 情 報 開 示 の 充 実 、 (3)証 券 仲 介 業 制 度 の 開 始 、 (4)投 資 ス キ ー ム の 増 大 、 (5)株
式 を め ぐ る 制 度 変 更 、 (6)証 券 決 済 シ ス テ ム 改 革 、 (7)会 社 法 の 執 行 、 の よ う な
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証券市場の機能強化に向けた改革・整 備策が推進された。
6. 日 本 の 家 計 の 資 産 構 成 に つ い て
6.1. 日 本 の 家 計 の 資 産 構 成 の 内 訳
日本では世界の先進国に比べ資産構成の中で現金、預金の割合が多く占められ
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ているといわれていた。それでは現在の日本人の家計における資産構成はどう
変化しているのであろうか。
「日米欧比較の資金循環統計の家計資産内訳
2015 年 第 2 四 半 期 」の デ ー タ
を 引 用 す る と 、 家 計 の う ち 現 金 ・ 預 金 が 53.1% 、 株 式 ・ 出 資 金 は 9.1% 、 投 資
信 託 が 5.0% 、債 券 が 1.8% と 未 だ 日 本 人 が 家 計 に お い て 現 金 や 預 金 に 重 き を 置
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いていることがわかる。
対 し て ア メ リ カ は 現 金・預 金 が 13.1% 、株 式・出 資 金 が 33.5% 、投 資 信 託 が
13.1% 、 債 券 が 5.0% と 現 金 の 割 合 が 日 本 と 比 べ 4 分 の 1 以 下 で あ り 、 株 式 ・
出 資 金 、 投 資 信 託 、 債 券 の 合 計 の 割 合 は 日 本 の 3~4 倍 と な っ て い る 。
ま た ユ ー ロ エ リ ア に お け る 家 計 資 産 構 成 の 割 合 は 現 金 ・ 預 金 が 34.5% 、 株
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式・出 資 金 が 17.7% 、投 資 信 託 が 7.3% 、債 券 が 6.0%と 日 本 と ア メ リ カ の 中 間
といったところである。
こ の 通 り 日 本 の 家 計 の 資 産 構 成 は 未 だ 現 金・預 金 が 大 き な 割 合 を 占 め て お り 、
これらをいかにして株式や投資信託、債券の方にシフトさせていくかが証券市
場の活性化のカギとなるであろう。
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では今まで現金や預金に重きを置いていた 有価証券などにまったく関心のな
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かった人々、あるいは関心があっても自分で購入するのをためらっていた人々
をどのようにして証券市場に参加を促すことができるだろうか。我々はこの有
効策として投資信託の活用を考える。
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7. 投 資 信 託
7.1. 投 資 信 託 と は
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を 集めた上で、専門機関が投資
家に代わって主として株式や債券などの 有価証券で運用し、そこで得られた収
益を投資金額に応じて投資家に分配する金融商品のこ とを言う。投資信託の場
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合 、 信 託 財 産 の 運 用 に つ い て の 指 図 を 行 う 投 資 信 託 委 託 会 社 (委 託 者 )が 、 受 益
証 券 の 売 り 出 し に よ り 一 般 投 資 家 (受 益 者 )か ら 資 金 を 集 め 、 こ れ を 信 託 会 社 ま
た は 信 託 業 務 を 営 む 銀 行 (受 託 者 )に 信 託 す る 。 そ し て 信 託 銀 行 等 で は 、 受 託 し
た財産を委託者の指図に従って有価証券を中心に運用し、運用収益を分配金・
償還金として受益者に還元する。このように委託者が受益者の利益向上をめざ
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して受託者に運用を指図することにちなみ委託者指図型と呼ばれる。
こ れ に 対 し 、委 託 者 を 置 か ず に 投 資 家 (受 益 者 = 委 託 者 )と 信 託 会 社 (受 託 者 )の 二
者で構成され、受託者となった信託銀行が信託契約に基づいて運用する投資信
託も存在し、これらは委託者非指図型と呼ばれる。
これら投資信託は、銀行預金とは異なり元利金の保証は付されていないが、
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価格上昇に伴うキャピタルゲインが期待できる。その意味で、投資信託は投資
家に対し簡便で効率的な証券投資機会を提供する一方、証券市場の活性化・安
定化に資するという機能・役割をも担っている。
7.2. 投 資 信 託 の 種 類
投資信託では多種多様な資産運用ニーズにこたえるため、バラエティに富んだ
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数多くの商品が提供されている。株式投資信託と公社 債投資信託の二つに大別
することができる。株式投資信託は、株式の組み入れが可能である投資信託の
ことであり、公社債投資信託では株式組み入れは一切行われない。 両者ともい
つ で も 購 入 可 能 な 追 加 型 (オ ー プ ン 型 )と 購 入 期 間 が 限 定 さ れ て い る 単 位 型 (ユ
ニ ッ ト 型 )に 分 類 で き る 。 更 に 投 資 対 象 を 基 準 と し て 国 内 株 式 型 、 外 国 株 式 型 、
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転換社債型などに分類することができる。
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7.3. 投 資 信 託 の メ リ ッ ト
投 資 信 託 は 一 般 の 個 別 株 式 な ど に く ら べ 購 入 者 (一 般 大 衆 投 資 家 )に と っ て ①
危 険 分 散 (リ ス ク ヘ ッ ジ )② 小 額 投 資 が 可 能 ③ 投 資 の プ ロ に よ る 運 用 ④ 国 境 を 超
え た グ ロ ー バ ル な 投 資 の 容 易 さ な ど が 挙 げ ら れ る 。様 々 な 株 式 や 公 債 や 社 債 を 、
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国内外すら選択して購入できる点からすべての資産が暴落することを防ぐ、あ
るいは片方の資産価値が下落してももう一方の資産価値が守られるようにリス
クを分散することができる。また、株式投資信託は一口一万円という小額から
の投資が可能なため、一般的な資産家だけでなくいわゆる「普通の人」も参加
することが容易である。また、実際の投資は受益者である投資家ではなく、委
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託者である投資信託委託会社が行うので、一般人による無計画で危険な投機を
行う可能性は低くなる。そして国内株式型、外国株式型など様々な組み合わせ
の商品が存在するため、国境を超えたグローバルな投資が投資信託によって容
易となる。これは①のリスクヘッジに通ずる部分がある。
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8. ま と め
これらのことから投資信託の普及び拡大が、一般大衆投資家の増加、家計の資
産構成における投資の増大、ひいては国内における証券市場の活性化を起こす
手段として提案する。
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出 典 :『 日 本 の 金 融 制 度 』 (第 3 版 )、 鹿 野 嘉 昭 著 、 2013 年 、 東 洋 経 済 新 聞 社
『 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 』、 日 本 銀 行 調 査 統 計 局 、 2015 年
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(PDF: http://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf )
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