生化学・分子遺伝学分野 所属学生(3 年生)と坂上先生(心臓血管呼吸器

生化学・分子遺伝学分野
所属学生(3 年生)と坂上先生(心臓血管呼吸器・再生外科)
第 88 回
日本生化学会大会(神戸
2015 年 12 月)にて
配属学生による感想
4年生
河村勇志
田中涼果
私たちは一年生のときから生化学・分子遺伝学教室に所属して主にがんについて細胞レベルで研
究を行っています。私たちの医科学研究は論文を読むところから始まりました。最初、論文を読む
ようにと言われた時にはどうしようかと思いました(笑)。もちろん、英語で書かれている上に医学
的知識がまったくない私たちには分からない単語ばかりで正直、理解できませんでした。しかし、
心配することはありませんでした。東山先生はとても丁寧に教えてくださいました。その後、研究
をさせてもらえることになったわけですが、また分からないことだらけです。しかし実験の方法や
手技もしっかり教えていただきました。
次に、どんな研究をしていたか、紹介したいと思います。私たちは乳がん細胞を使って研究しま
した。細胞の形態は様々な因子によって様々に変化します。特にがん細胞は無秩序に増殖すること
が知られています。私たちの研究内容は主にがん細胞の形態変化と Shedding 活性(細胞膜上での
タンパク質の切断)に関連があるかどうかを調べることでした。がん細胞に蛍光タンパク質を導入
し、それを光らせることによって細胞の Shedding 活性を可視化します。このがん細胞の経時的な
細胞形態変化はどうか、薬剤を投与したら細胞の形態はどうなるか、Shedding 活性に注目して実
験を行いました。実験に使用する細胞の培養も自分たちで行うのですが、日々、成長する細胞をみ
ているとだんだん愛着が湧いてきます(笑)。最初は上手に細胞を培養することができず、カビを
生やしてしまうこともありましたが、3 年間を通して、細胞培養に関する手技は上達したと思って
います。
実際に研究をして初めて分かったことがたくさんありました。まず、研究はとても地道で大変だ
ということを実感しました。細胞培養に時間がかかったり、データの解析に時間がかかったりと、
すぐには結果がでません。そして全てが予想通りに進めば何も苦労することはありませんが、そう
はいきません。失敗をしたら、今度は違う条件で実験を行ってみる、これの繰り返しだと思いまし
た。しかし、実験が成功するとその分、嬉しいです。年に 1 度、学会で発表するのですが、自分た
ちが行った研究を、同じような分野の研究をしている先生方と同じ土俵で発表しました。もちろん
緊張しますが、私たちの研究に興味を持ってもらえる人が一人でもいると、とても嬉しいです。学
生の間にこのような貴重な機会を与えてもらえるのは素晴らしいことだと思います。
私たちの所属している教室の先生方はそれぞれ個性的で、色々な経歴を持っていらっしゃる方ば
かりで、話を聞いているだけでも世界が広がります。学生のことを好きな先生方が多いので、時間
を割いて、私たちに本当に熱心に指導してくださいました。基礎研究の楽しさを知ることができた
のは先生方のおかげです。生化学等に関する授業、実習はカリキュラムにも含まれていますが、授
業とは全く違う、おもしろい体験をすることができると思います。また、ほとんどの医学生が将
来、臨床の道へ進みます。だからこそ一度、基礎研究がどういったものか、学生の間に経験してみ
ることを皆さんに勧めたいと思います。熱心に研究をしたい、がんに興味がある、という人はぜひ
一度、気軽に遊びに来てください。
3年生
上杉恭広
二回生から配属させていただき、さまざまな実験について丁寧にご指導いただきました。基礎研
究を通して、臨床系科目の講義で学ぶ疾患の背景をより深く学ぶことができ、大変有意義な経験を
させて頂いたと思います。ご指導頂いた坂上先生(現・心臓血管呼吸器・再生外科学)をはじめ、
研究室の方々に感謝しています。
3年生
宇都宮果歩
がん研究に興味を持ち、こちらの研究室に配属させていただきました。基礎研究に関しては、座
学や実習で学ぶ機会が少ないため、医科学研究では貴重な時間を過ごしています。また、少人数で
先生に直接ご指導をいただくため、基礎研究について深く学ぶことができます。基礎・臨床医学だ
けでなく、研究について学習することは、自分の考え方や将来の幅を広げることにつながり、大変
良いことであると思います。
3年生
深江舜也
現在、医学生は卒後臨床の道に進むのが主流となっており基礎研究に携わる人は大変少ないで
す。そのような状況の中で、学生の間に先生方の丁寧なご指導を受けながら基礎研究に関われるこ
とはとても貴重なことであり、今後医療に従事するうえでも非常に有意義なものだろうと思いま
す。
1年生
須藤瞳
藤堂幸奈
・医科学研究では、何も分からないところからのスタートで不安でいっぱいでしたが、研究室の
方々が一から教えてくださるので、楽しく学ぶことができました。実際に手を動かして考えること
の面白さや難しさなど、いつもの授業では知ることができなかったことを体験できる、素敵な科目
だと思います。
・私たちは、この研究室で(とても難しく言うと)腫瘍細胞において cullin-3 を発現抑制した際
に、細胞増殖に関与する分子の発現が変動する可能性を実験を通して検証しています。この研究室
の魅力は、とても丁寧に熱心に実験の手技や研究について教えてくださることです。医学部に入っ
てまだなにもわからない私たちに一から楽しく指導してくださるので楽しく研究、実験をしていま
す。
所属学生(4 年生)
第 74 回
日本癌学会学術総会(名古屋
2015 年 10 月)にて
平成 26/27 年度の医科学研究発表演題リスト
1.
河村勇志
田中涼果
難波大輔
東山繁樹
トドメインシェディング活性変化
乳がん細胞の形質転換に伴う proHB-EGF のエク
2015 年
平成 26/27 年度学生の研究成果リスト
(論文)
1.
Tate S, Imai M, Matsushita N, Nishimura EK, Higashiyama S, Nanba D. Rotation is the primary
motion of paired human epidermal keratinocytes. J Dermatol Sci., 79, 194-202, 2015.
2.
Nanba D, Toki F, Tate S, Imai M, Matsushita N, Shiraishi K, Sayama K, Toki H, Higashiyama
S, Barrandon Y. Cell motion predicts human epidermal stemness. J Cell Biol., 209, 305-15,
2015.
(学会)
1.
今井統、田手壮太、難波大輔、東山繁樹
集団分布
2.
第 13 回日本再生医療学会
京都
2014 年
(ポスター発表)
田手壮太、今井統、難波大輔、松下夏樹、井上博文、東山繁樹
ロニー回転運動の分子機構
3.
ヒト表皮角化細胞の 2 細胞コロニーダイナミクスの
第 13 回日本再生医療学会
京都
ヒト表皮角化細胞の 2 細胞コ
2014 年
(ポスター発表)
Kawamura Y, Tanaka S, Nanba D, and Higashiyama S, Association of ectodomain shedding of
proHB-EGF with non-genetic phenotypic transition of breast tumor cells, 第 73 回日本癌学会学
術総会
横浜
2014 年
(ポスター発表)
4.
Kawamura Y, Tanaka S, Nanba D, and Higashiyama S, The change in ectodomain shedding
of proHB-EGF associated with phenotypic transition of breast tumor cells, 第 74 回日本癌学会
学術総会
5.
名古屋
2015 年
(ポスター発表)
深江舜也、上杉恭広、宇都宮果歩、坂上倫久、泉谷裕則、東山繁樹
CUL3 結合タンパク質で
ある KLHL20 は EGFR の発現を制御する
神戸
第 88 回日本生化学大会
2015 年
(ポス
ター発表)
6.
上杉恭広、深江舜也、宇都宮果歩、坂上倫久、中山寛尚、福田信治、泉谷裕則、東山繁樹
CUL3 は様々な EGF 受容体タンパク質の発現を制御する
2015 年
7.
第 88 回日本生化学大会
神戸
(ポスター発表)
宇都宮果歩、上杉恭広、深江舜也、藤崎亜耶子、坂上倫久、高橋宏隆、澤崎達也、東山繁樹
AlphaScreen アッセイシステムを用いた新規 Nrf2 結合 BTB ドメインタンパク質の解析
88 回日本生化学大会
神戸
2015 年
(ポスター発表)
第