Google Mapsを用いた飲食店推薦システム

平成 23 年東北地区高等専門学校専攻科研究発表交流会
講演番号 T11-D09
Google Maps を用いた飲食店推薦システム
○千葉 剛宏
小林 秀幸
高橋 薫
仙台高等専門学校
1. はじめに
近年,
携帯電話を始めとするモバイル端末の普及,
高機能化により,モバイル環境下のユーザを対象と
した実世界のコンテンツ/サービス推薦システムの
研究が数多く行われている(例えば,[1])
.その日
の予算や同伴者の情報など,日によって変化するユ
ーザコンテキストを活用した店舗推薦方式を提案し
たものもある[2].しかし,こうしたシステムは最終
的に一つの店舗をユーザが選択することをサポート
するものであり,ユーザが選択した店舗を訪れ,そ
こで用事を済ませた後のことは考慮されていない.
例えば,日本人は二次会と称し,一つの飲食店での
会合が終了した後,新たに場所を変えて会合を開く
ことが多い.その際,最初に訪れた店舗でその日の
予算を多く消費した場合には,二次会に比較的安価
な店舗を選択し,あるいは最初に中華料理店を訪れ
た場合には,二次会に中華料理店以外の,例えば,
日本料理店を選択するなど,二次会の店舗は最初に
訪れる店舗の持つ性質と,それによって変化し得る
ユーザの状況を反映して選択されるものと考えられ
る.
本研究では,そうしたユーザの二次会店舗の選択
をサポートすることを目的とし,モバイル環境下の
ユーザを対象に,各店舗の特性,そしてそれらが影
響を及ぼし得るユーザの状況を考慮した二次会店舗
推薦システムを実装し,提案手法の評価を行う.一
軒目の店舗の推薦にはシステムが知識として持って
いる飲食店の特性と,電子化・オンライン化したス
ケジュール手帳を用いる.
2. システムの概要
図1 システムの概要図
3. 二次会店舗推薦に使用するパラメータ
飲食店テーブル内の各店舗は,
“次の店舗”という
パラメータを持っている.これはその店舗を訪れた
後で,二軒目に最も多くの人が訪れた店舗を意味し
ている.この“次の店舗”を設定するために,Twitter
を用いた情報収集を行った.飲食店テーブルに格納
されたすべての店舗について,
“今現在その店舗にい
る”こと,及び“指定したエリア内で,この後はど
の飲食店に行くのが良いか”
という旨の文を投稿し,
不特定多数の Twitter ユーザの意見を募集した.先着
500 件の返信を実際に利用し,その中で最も多く名
前が挙がった 10 店舗を各飲食店の“次の店舗”とし
た.10 件の“次の店舗”の中から,一次会店舗推薦
機能と同様にして,開店・閉店時間,同伴者全員で
入れるか否か,閉店前にその店舗に到着できるか否
か等の要素を用いて,すべての条件をクリアした店
舗を選定し,さらにユーザによる評価の平均値を用
いて順位付けを行った.こうすることで,二次会の
店舗推薦に一次会の店舗を反映し,ユーザの状況も
考慮するシステムを構築した.
図 1 にシステムの概要図を示す.まず,ウェブサ
ーバに電子スケジュール帳を実装し,ユーザがスケ
ジュール管理をウェブ上で行えるようにした.
また,
ユーザ毎にスケジュール帳を使用するため,ユーザ
ログイン機能を実装し,モバイル端末のユーザが ID
参考文献
とパスワードを用いてシステムにログイン可能にし
[1] 通山和裕,西尾信彦,
“実世界 Folksonomy を醸成す
る情報交流システム”,情報処理学会研究報告,
た.データベース内にはスケジュールテーブル,店
2007-UBI-16 (4),2007.
舗の情報が格納された飲食店テーブル,各駅間で移
[2] 奥健太,他,
“Context-Aware SVM に基づく状況依
動に所要する時間等が格納された駅テーブルがあり,
存型情報推薦方式の提案”
,日本データベース学会,
これらを用いて店舗推薦が行われる.
DBSJ Letters,Vol. 5,No. 1,2006.