2007年度 物流システム機器生産出荷統計

2014年度 物流システム機器生産出荷統計
【概要版】
2015年8月
物流システム機器生産出荷統計調査委員会・委員名簿
所
委員長
属
早稲田大学
役 職
理工学術院 創造理工学部
氏 名
吉本 一穂
経営システム工学科 教授
副委員長 村田機械(株)
委
員
(株)IHI
取締役 L&A事業部長
石山 敏彦
産業・ロジスティックスセクター 物流システム営業部
中里 公一
企画業務グループ 課長
〃
オークラ輸送機(株)
営業企画室 営業推進担当部長
中尾 守
〃
(株)岡村製作所
取締役 物流システム事業本部長
田尻 誠
〃
三機工業(株)
プラント設備事業本部 業務管理部長
岳本 津一
〃
西部電機(株)
東京支店 マテハン事業部 営業部 副部長
村上 光平
〃
第一工業(株)
搬送システム本店 営業部
三浦 洋
〃
(株)ダイフク
営業支援室
唐下 実
〃
トーヨーカネツソリュ 執行役員
渡辺 一人
ーションズ(株)
〃
(株)豊田自動織機
トヨタL&Fカンパニー 物流エンジニアリング部 部長
品川 満弘
〃
(株)日立製作所
産業ソリューション営業本部 ロジスティクス部 部長
松原 弘一
〃
ホクショー(株)
取締役 東京支店長
藤井 一哉
(2015年8月現在、敬称略、社名五十音順)
事務局:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会 JILS総合研究所
2
Ⅰ.統計の目的
物流システム機器は生産や流通の効率化、高付加価値化に重要な役割を果たしており、我
が国経済の発展のためにもその発展と成長が期待されている。そのためには、関係する企業
が適切な経営判断を行えるよう、物流システム機器についての定量的で継続性のあるデータ
が不可欠である。
このようなことから、物流システム機器の生産出荷状況を定量的かつ継続的に把握するこ
とを目的として、標記の調査を実施するものである。なお、本調査は「物流システム機器推
進部会」(旧:物流システム機器懇談会)が1985年度から実施している統計を実質的に継承
しているが、2007年度調査より新たに調査委員会を設置し、一般社団法人日本物流システム
機器協会・統計委員会の協力を得て、調査内容の検討・分析を行っている。
Ⅱ.調査対象と期間
国内主要物流システム機器メーカを対象とし、2014年4月から2015年3月までの実績を調査
集計したものである。
業種別調査は、調査対象25機種について、機種別に売上件数ベースで主要出荷先上位10業
種を選択し、金額構成比を記入する方式としている。各社の各機種の売上金額に金額構成比
を乗じて、各機種および小計別に、売上金額の上位10業種および金額のトータルを、グラフ
にまとめている。
97年度よりフォークリフト等、産業車両分野は一般社団法人日本産業車両協会の調査によ
る統計を別枠で発表している。また、2006年度より、一般社団法人日本パレット協会が調査
を実施しているパレット(木製パレット・金属製パレット・プラスチック製パレット・シー
トパレット・紙製パレットの合計)の生産数量および出荷額をあわせて別枠で掲載している。
2014年度フォークリフトは国内販売実績76,206台で、国内販売向け金額は1,986億2,700万
円である。輸出販売実績は37,187台である(一般社団法人日本産業車両協会において、輸出向
け販売金額は現在調査していない)。
2014年度パレットは生産数量が前年比2.0%減の6,205万枚で、出荷額は1,681億1,100万円
となっている。
1.アンケート実施状況
・実施日程:2015年5月29日発送~6月26日〆切
2.調査範囲
・製造業における組立ライン、ホテル、病院、図書館、オフィス等通常の物流領域以外への
出荷を含める(自動車の製造ラインも含む)。
・増設・改造等(工事を伴うサービス業務)についても、出荷データに含める。
・クリーンルーム向けを含む(クリーンルームの定義は次項参照)。
※増設は、基数、件数、売上金額を含む。
※改造は、売上金額のみ計上し基数、件数は含まない。
3
3.クリーンルームの定義
1)クラス10,000以下
2)該当業種:半導体、FPD関係、太陽電池、HDD、メディアなど
3)医療・食品業界向けは、クリーンルーム向け販売には含めず、エンドユーザーと売買し
たものに含める(一般物流とする)
4.調査範囲について
2003年度(調査対象年)より、機器メーカ各社で取扱高が増えたクリーンルーム向けの調
査を開始しているが、2004年度までの定義は「クラス10,000以下で半導体を除く」としてい
た。また、調査範囲を2005年度(調査対象年)より変更しており、2004年度までは「製造業
における組み立てライン、ホテル、病院、図書館、オフィス等、通常の物流領域以外への出
荷は含まない」としていた。また、2007年度まではパレットおよびロールボックスパレット
を調査対象に含めていた。
Ⅲ.調査対象機種
図表3-1
1・2
パレット用自動倉庫
(ビル式・ユニット式)
調査対象機種
・一般的にパレット積みされユニット化された荷を、多段高層
の棚及びスタッカークレーン等を使用して自動的に搬入・搬
送・搬出できる保管庫をいう。
・また、荷を直接ハンドリングするパレットレスのものも含む。
(ビール樽、新聞用紙など)
3
バケット用自動倉庫
・通箱、バケット、カートンを単位としたもの。
(ユニット式)
4
天井走行台車
・天井空間に設置し、軌道ないし台車に駆動力を持つもの。
・基数は台車の数量とする。金額には軌道・制御装置を含む。
5
有軌道台車システム
・軌道ないし台車に駆動力を持つもの。
・基数は台車の数量とする。金額には軌道・制御装置を含む。
6
無軌道台車システム
・各種センサーにより誘導される無人搬送台車。
・基数は台車の数量とする。金額には制御装置を含む。
7
仕分機
・自動にて荷の仕分けを行うもの。
・構成範囲はインダクション部(誘導部、商品投入部)からソ
ータ本体、仕分けシュートまで。(リサークルラインはケー
ス搬送用コンベヤとする)
・基数は、台数とする。
8
パレット搬送用コンベ
・パレットを被搬送物とするコンベヤ。
ヤ
・対象範囲:パレットを搬送するコンベヤすべてを含む、及び
コンベヤ本体を制御する本体制御を含む。
9
ケース搬送用コンベヤ
・バケット及びカートンケースを対象としたコンベヤ。
ただし、石炭、鉱石、泥等のバルクを搬送するものは除く。
・対象範囲:ケースを搬送するコンベヤすべてを含む、及びコ
ンベヤ本体を制御する本体制御を含む。
4
図表3-1
10
ハンガー式コンベヤ
調査対象機種(つづき)
・天井空間に設置し、ハンガー商品を吊下げて搬送するコンベ
ヤ。
・対象範囲:物品を吊り下げて搬送するコンベヤで、本体・装
置・制御全体を含む。
11
デジタルピッキング表
示器
・コンピュータの指示によりピッキングする品物の位置と数量
を表示する装置。
・対象範囲:表示器を取り付けている流動棚、中軽量棚、コンベ
ヤは含まない。ただし、回転棚に取り付けているピッキング
表示器は回転棚に含む(バーチカル・ホリゾンタル共)。
・制御関係は本体制御を含み、指示するコンピュータはコンピ
ュータに集計する。
12
ピッキング台車
・ピッキングする品物の位置と数量を表示する装置を取り付け
ているピッキング用の台車。
・対象範囲:ピッキング台車本体及びコンソールと、付属する
部品(充電器等)も含む。
13・14 回転棚(垂直式・水平式)
・荷の軽重、制御レベルを問わない。垂直、水平両方式の回転す
る棚。
・基数は、台数とする。
15・16 移動棚(電動式・手動式) ・電動、手動にて移動する機構を備えた棚。
・基数は、台数とする。
17
重量棚
・パレット単位のユニットロードを格納する棚。
(ネスティングパレットを含む)
18
中軽量棚
・カートン単位、またはバケット単位などを格納する棚で、1棚
当りの重量が約500kg以下のもの。
19
流動棚
・カートン単位またはバケット単位のものを、傾斜の付いた棚
に置き、前面での取り出しを容易にさせたもの。
20
パレタイザ/デパレタ
イザ
・バケット、カートンケース、袋物等の物品を自動にてパレッ
ト上に整列集積(或いは分離)する装置。
・機械式、ロボット式のいずれの方式も含む。
21
パレット搬送用垂直搬
送機
・複数の搬入出装置を備え、連続で搬送物を垂直搬送する装置。
(パレットを被搬送物とする)
・ただし、エレベータ、小荷物専用昇降機は含まない。
22
ケース・ピース搬送用垂
直搬送機
・複数の搬入出装置を備え、連続で搬送物を垂直搬送する装置。
(バケット及びカートンケースを対象とする)
・ただし、エレベータ、小荷物専用昇降機は含まない。
23・24 コンピュータ
(ハード・ソフト)
25
WMS
・物流機器の情報処理と在庫監視を同期化して行うコンピュータ
システムのハード・ソフト。
・物流センター・倉庫等で入荷から出荷までの一連の作業を支
援するコンピュータシステム(ハード・ソフト)。
・対象範囲:物流設備の有無、物流設備との接続の有無を問わ
ない。
26
その他
・以上1~25の分類に該当しないもの。
5
Ⅳ.調査事項
前項であげた各々の機種につき、A売上件数、B基数、C総売上金額、D海外向金額を調
査しており、数値の重複を避けるため、以下の区分で調査を行なっている。
M:同業他社向けに売買したもの
U1:エンドユーザー、商社などと売買したもの
U2:ゼネコン・エンジニアリング・コンピュータ会社と売買したもの
C:クリーンルーム向けに売買したもの
C総売上金額、D海外向金額の数値はいずれも売上ベースであり、売上件数に対応する据
付、調整工事を含む全金額とする。ビル式の場合には土木、建築工事の金額を含むものとす
る(建築の範囲:ラックに付属する屋根・壁)。D海外向金額はC総売上金額の内数である。
なお、売上件数については、例えば同一顧客企業に2回以上納品した場合、部品だけを納
品した場合等、回答企業によりカウントの方法が異なる回答が含まれている可能性があり、
注意が必要である。
業種別調査は、売上金額を出荷先業種別に調査したものである。業種別調査は、下記の業
種分類により調査を行っている。ただし、業種別調査は出荷先上位10業種のみの調査である
ことに加え、業種別の回答が得られない企業があることから、業種別売上高の総計が総売上
金額に一致しない場合がある。
図表4-1
業種分類
業種調査の業種分類
大分類
業種分類
1 建設
8 その他
191 小売業
2 食料品製造
3 食品・医薬等
192 通信販売
3 繊維・衣服
4 その他製造
20 自動車販売
4 パルプ・紙加工
21 自動車整備サービス
5 出版・印刷
22 サービス業
6 化学
23 倉庫業
7 医薬・化粧品・塗料
3 食品・医薬等
24 陸運
8 石油・ゴム製品
4 その他製造
25 海運
9 ガラス・窯業・土石製品
大分類
5 卸・小売
8 その他
6 倉庫・運輸
26 空運
10 鉄鋼
27 鉄道
11 非鉄・金属製品
28 通信
12 一般機械器具
29 電気・ガス・水道
8 その他
13 電気機械器具
1 電機・精密機器
30 官庁・学校
14 自動車/輸送用機械器具
2 輸送機器・部品
31 団体・組合(JA 等)
15 精密機械器具
1 電機・精密機器
32 ホテル
8 その他
16 自動車部品製造
2 輸送機器・部品
33 病院
7 官庁・図書館等
17 その他製造
4 その他製造
34 図書館
18 卸売業(商社含)
5 卸・小売
35 その他
6
7 官庁・図書館等
8 その他
Ⅴ.全体の推移
集計の結果、2014年度の物流システム機器の総売上金額は、2013年度の378,102百万円か
ら8.0%減の347,912百万円となった(図表5-1)。また、売上件数も2013年度の125,430件か
ら112,291件へと減少した。
2014年度はデフレ脱却により景気回復が進み、一部の企業の業績が好転した一方、消費税
増税(2014年4月)前のかけこみ需要の揺り戻しや、労働力不足による着工の遅れなどがあ
り、設備投資が停滞したものと推察される。
売上金額を領域別に見ると、海外向けは3.6%減少し(p11参照)、クリーンルーム向けも
10.3%の減少となった。業種別に見ると、「電機・精密機器」に対する売上の比率が、依然
として高水準となっている(図表5-3)。
なお、2013年度調査から業種分類を変更しており、従来「小売業」の内数であった「通信
販売」を新たに業種分類として独立させ、調査している。2014年度の「通信販売」への売上
金額は7,505百万円となり、これは総売上金額の約2%である。
図表5-1
総売上金額の推移
4,000
3,781
(億円)
3,357
3,500
自動倉庫(1~3)
3,479
3,401
台車系(4~6)
コンベヤ系(8~10)
2,955
3,000
仕分け・ピッキング
(7,11~12)
回転棚(13,14)
2,500
移動棚(15,16)
2,000
棚(17~19)
1,500
パレタイザ/デパレタイザ
(20)
垂直搬送機
(21~22)
コンピュータ
(23~25)
その他(26)
1,000
500
0
2010年度
金額
前年比
2011年度
2012年度
2013年度
295,489
335,665
340,088
378,102
109
114
101
111
2014年度
347,912 (百万円)
92 (%)
注:凡例の数字は、図表3-1の番号に対応
7
図表5-2
物流システム機器の総売上高(長期時系列)
500,000
(百万円)
合計
450,000
400,000
350,000
300,000
250,000
200,000
150,000
100,000
合計 Cを除く
50,000
合計 合計(Cを含む)
0
85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
注:2003年度より、クリーンルーム向け(図中のC)を調査対象に加えており、それ以前との比較のため、
Cを除いたグラフも掲載した。図表6-4以降も同様である。
なお、調査範囲はそれ以外にも変更を行っており、Ⅱ.4項を参照のこと。
図表5-3
業種大分類別売上高の推移
(左:金額ベース/右:構成比)
450,000
100%
400,000
338,933
350,000
300,000
299,055
301,217
80%
301,118
271,624
250,000
60%
200,000
40%
150,000
100,000
20%
50,000
0
10年度
11年度
12年度
13年度
0%
14年度
10年度
業種別比率(%)
電機・精密機器
輸送機器・部品
食品・医薬等
その他製造
卸・小売
倉庫・運輸
官庁・図書館等
その他
11年度
10年度
27.5
9.4
14.0
16.8
15.5
9.8
4.5
2.5
12年度
11年度
33.9
11.4
11.8
17.2
11.8
6.2
4.6
3.0
13年度
12年度
25.1
16.4
15.4
13.8
13.9
6.4
5.3
3.7
13年度
27.9
12.7
12.4
15.0
16.4
7.9
4.5
3.2
14年度
14年度
29.3
12.5
12.6
16.0
13.0
9.7
3.8
3.1
注1:業種分類については図表4-1を参照のこと。
2:売上高の業種別構成比の記入がない回答があるため、総売上金額の合計と一致しない。
8
Ⅵ.各機種の動向
■自動倉庫(1~3)
自動倉庫全体の売上金額を見ると、前年度の85,305百万円から2014年度は72,101百万円へと減
少(△15.5%)した。機種別に見ると、パレット用自動倉庫(ユニット式)の売上金額が、36,33
1百万円から40,918百万円へと増加(12.6%)となった。また、クリーンルーム向けについては、
前年度に売上が好調であった反動もあり、32,483百万円から24,621百万円へと減少(△24.2%)
する結果となった。基数(パレット数)は1,295千パレットから1,364千パレットへと増加(5.3%)
している。
■台車系(4~6)
台車系は、2009年度に大幅に減少したが、2010年度以降は毎年、売上金額が増加している。201
4年度についても、62,049百万円から63,938百万円へと3.0%の増加であった。基数は4,418台から
4,902台に増加(11.0%)した。
機種別にみても、天井走行台車が45,451百万円から45,488百万円、有軌道台車システムが10,2
36百万円から11,990百万円(17.1%)、無軌道台車システムが6,362百万円から6,460百万円(1.
5%)と、すべての機種で増加する結果となった。
■コンベヤ系(8~10)
コンベヤ系は、2010年度以降、4カ年連続で増加を続けていたが、2014年度の売上高は、前年
度の97,068百万円から82,104百万円へと減少(△15.4%)した。機種別には、パレット搬送用コ
ンベヤが41,634百万円から37,190百万円(△10.7%)、ケース搬送用コンベヤが43,706百万円か
ら37,274百万円(△14.7%)、ハンガー式コンベヤが11,728百万円から7,640百万円(△34.9%)
とすべての機種で減少する結果となった。
コンベヤ系は従来からクリーンルーム向けの売上金額の割合が小さく、大勢には影響を与えな
いが、クリーンルーム向けの売上金額についても、13,149百万円から6,300百万円へと大きく減少
(△52.1%)した。
■仕分け・ピッキング系(7,11~12)
仕分け・ピッキング系は、物流システム機器の中では好不況の影響が比較的少なく、他の機種
と比べると例年、売上金額の変動は小さいが、2014年度は前年度の29,311百万円から27,776百万
円へとわずかに減少(△5.2%)している。
全体の過半は仕分機が占めているなか、仕分機の売上金額は、21,721百万円から18,785百万円
へと減少(△13.5%)したが、基数については、1,052台から2,721台へと大きく増加(158.7%)
している。なお、仕分機の主たるユーザは卸・小売、倉庫・運輸等の内需関連産業であり、設備投
資の波動が大きくないため、長期的にみても安定した売上を維持している。デジタルピッキング
表示器は、売上金額が7,177百万円から8,446百万円へと増加(17.7%)している。
■回転棚・移動棚(13~16)
回転棚・移動棚の売上高は、好不況の影響で多少増減するものの、近年は安定的に推移してい
るが、2014年度は前年度の14,982百万円から13,826百万円へと減少(△7.7%)している。
機種別にみると、売上金額の大半(86.8%)を移動棚が占めている。移動棚の売上は電動式が
8,192百万円から7,612百万円(△7.1%)へと減少、手動式も5,016百万円から4,394百万円(△1
2.4%)へ減少となった。回転棚(垂直式)は1,012百万円から644百万円へと大きく減少(△36.
9
4%)しているが、回転棚(水平式)については、762百万円から1,176百万円へと大きく増加(54.
3%)している。
なお、本調査の調査対象はオフィスなど通常の物流以外の領域を含んでいる。業種別調査の結
果を見ると、たとえば移動棚(手動式)では「官庁・図書館等」向けが2/3を占めている。移動棚
(電動式)でも「官庁・図書館等」の比率が高くなっている。
■棚(17~19)
棚は、重量棚、中軽量棚、流動棚の3機種からなる。売上金額は30,733百万円から30,880百万
円へと微増(0.5%)した。中軽量棚および流動棚が減少するなか、重量棚の売上金額は7,881百
万円から8,984百万円へと増加(14.0%)した。
なお、棚の出荷先は、卸・小売、倉庫・運輸、官庁・図書館等が多く、年によって変動がある
が、この3業種で概ね過半を占めている。
■パレタイザ/デパレタイザ(20)
パレタイザ/デパレタイザは、2009年度の一時的減少を除くと、景気の影響を大きく受けず長
期的に安定的な水準を維持しているが、2014年度は、前年度の売上高11,632百万円から10,341百
万円へと減少(△11.1%)している。基数でみると、1,144台から1,129台とほぼ横ばい(△1.3%)
となっている。
業種別調査の結果によると、出荷先業種は「その他製造」と「食品・医薬等」がそれぞれ半分程
度を占めており、両業種で大半を占める。
■垂直搬送機(21~22)
垂直搬送機は、売上金額が9,813百万円から9,454百万円へとやや減少(△3.7%)している。
機種別にみると、パレット搬送用垂直搬送機は7,927百万円から8,250百万円へと増加(4.1%)
しているが、ケース・ピース搬送用垂直搬送機は1,886百万円から1,204百万円へと大きく減少(△
36.2%)している。
業種別に見ると、ケース・ピース搬送用垂直搬送機の出荷先は、「電機・精密機器」、「食品・
医薬等」向けで過半を占めている。パレット搬送用垂直搬送機は倉庫・運輸が4割程度(39.2%)
を占める。
■コンピュータ(23~25)
コンピュータは、物流システム機器の情報処理や在庫管理を行う、一般的には制御系の機能を
含むコンピュータソフト・ハードと、WMS(倉庫管理システム)からなる。
このうちWMSについては、本統計が主として物流システム機器のメーカー(エンジニアリン
グ会社を含む)を調査対象としており、カバレッジが充分でない点に留意が必要である。特に、
大手情報システムベンダーでは、WMSの機能を含む物流情報システムを個別に開発しているケ
ースが多いと思われるが、上記の理由から本調査ではカバーできていない。
さて、コンピュータ全体の売上金額をみると、2014年度は、前年度の20,755百万円から19,930
百万円へとわずかながら減少(△4.0%)に転じた。機種別に見ると、コンピュータ(ソフト)が
10,785百万円から10,920百万円へと微増(1.3%)している一方、コンピュータ(ハード)は5,72
4百万円から5,336百万円へと減少(△6.8%)した。なお、コンピュータは物流システム機器の制
御等に利用されるものが多く、他の機種の出荷傾向に影響を受ける。
10
Ⅶ.海外の市場動向
海外向け売上金額は、2013年度の110,885百万円から2014年度の106,925百万円へと減少(△
3.6%)となった。海外向けは従来クリーンルームの割合が高く、その影響を強く受ける傾向
がある。2014年度については、クリーンルーム向けの海外売上高は71,046百万円から70,183
百万円へと微減(△1.2%)となったが、ここ数年の推移を見てみると、海外向け全般が2013
年度に引き続いて高い水準を保っていることが分かる。
海外向け売上金額では、自動倉庫が全体の30.0%、台車系が41.8%、コンベヤ系が16.4%
を占め、この3機種でほとんど(88.2%)を占める(国内を含めた全売上金額では、この割
合は62.7%である)。
この3機種のうち、台車系は43,187百万円から44,686百万円と増加(3.5%)しているが、
自動倉庫は34,291百万円から32,113百万円(△6.4%)へ、コンベヤ系も20,218百万円から1
7,489百万円(△13.5%)へ減少する結果となった。
なお、自動倉庫、台車の海外向け金額は、いずれも70%程度ないしそれ以上がクリーンル
ーム向けで占められている。
なお、クリーンルーム向けの売上金額は、海外向け総売上に対して65.6%を占めている。
図表7-4
海外向け売上金額の推移
1,200
(億円)
1,109
1,000
1,069
903
853
800
755
600
400
200
0
金額
前年比
2010年度
2011年度
75,542
206
90,295
120
2012年度
85,327
94
2013年度
110,885
130
11
2014年度
106,925 (百万円)
96 (%)
自動倉庫
(1~3)
台車系
(4~6)
コンベヤ系
(8~10)
仕分け・ピッキング
(7,11~12)
回転棚
(13,14)
移動棚
(15,16)
棚
(17~19)
パレタイザ/デパレタイザ
(20)
垂直搬送機
(21~22)
コンピュータ
(23~25)
その他
(26)
Ⅷ.最後に
以上で見てきたとおり、2014年度は前年比8%の減少とはなったが、労働力不足による着工の遅
れや消費増税前のかけ込み需要の揺り戻しなどがその要因のひとつと考えられる。デフレ脱却へ
向けた政策や企業努力が奏功し、日本経済は着実に回復への道のりを歩みだしているなか、今後
の国内の設備投資の動きにも期待をしたい。
なお、本調査では、四半期毎の受注額も調査を行っている。受注調査では、売上高ベースで出
荷調査の85%程度に相当する企業の回答を得ている。受注は出荷の先行指標であるが、2014年度
の出荷額は、2013年度の受注金額(364,135百万円)の96%程度であり、受注金額と次年度の出荷
額は、ある程度近似していると考えることができる。
2014年度の受注金額は4,083億円と大きく増加しており(図表8-16)、2015年度の売上金額は増
加することが予測される。
我が国製造業は、欧州や中国における経済危機やアジア各国との競争激化など、依然、予断を
許さない状況に置かれている。そのなかで、少子高齢化が進み、人材の確保がますます困難にな
る一方、各企業においてはさらなる物流の効率化が急務となっている。
こうした状況のもと、物流現場の省力化・自動化を実現する物流システム機器へのニーズはさ
らに増すものと考えられることから、物流システム機器業界として、産業界の発展に貢献するた
めにも、さらなる技術革新と標準化を推進し、安全で環境負荷の少ない物流システム機器を提供
することが重要である。
図表8-16 物流システム機器の受注額との比較(参考)
グラフは、各年度における「売上金額」と「受注金額」を表す。大型の機器等では、受注と売上
(出荷)には1年ないしそれ以上のタイムラグが生じる。そのため、受注は売上(出荷)の先行
指標となる。
450,000
408,319
(百万円)
378,102
400,000
350,000
335,665
342,990
364,135
340,088
300,000
347,912
310,862
250,000
出荷調査(売上金額)
200,000
受注調査(受注金額)
150,000
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
出典:物流システム機器の受注統計整備に関する調査
注:本調査の回答企業は、売上高ベースで「出荷統計調査」の85%程度に限られる。
以 上
12
2014年度 物流システム機器 生産出荷統計
M:同業他社と売買したもの
U1:エンドユーザー、商社などと売買したもの
U2:ゼネコン・エンジニアリング・コンピュータ会社と売買したもの
C:クリーンルーム向けに売買したもの
計:U1+U2+C
A売上件数
設備機器名
1
自動倉庫(1~3)
1.パレット用自動倉庫(ビル式)
2.パレット用自動倉庫(ユニット式)
3.バケット用自動倉庫(ユニット式)
2
台車系(4~6)
4.天井走行台車
5.有軌道台車システム
6.無軌道台車システム
3
コンベヤ系(8~10)
8.パレット搬送用コンベヤ
9.ケース搬送用コンベヤ
10.ハンガー式コンベヤ
4
仕分機(7)
7.仕分機
5
ピッキング系(11~12)
11.デジタルピッキング表示器
12.ピッキング台車
6
回転棚(13~14)
13.回転棚(垂直式)
14.回転棚(水平式)
7
移動棚(15~16)
15.移動棚(電動式)
16.移動棚(手動式)
8
棚(17~19)
17.重量棚
18.中軽量棚
19.流動棚
9
パレタイザ/デパレタイザ(20)
20.パレタイザ/デパレタイザ
10
垂直搬送機(21~22)
21.パレット搬送用垂直搬送機
22.ケース・ピース搬送用垂直搬送機
11
コンピュータ(23~25)
23.コンピュータ(ハード)
24.コンピュータ(ソフト)
25.WMS
12
その他(26)
26.その他
13
合計(1~26)
(台)
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
M
U1
U2
C
計
41
1,162
87
270
1,519
241
961
20
163
1,144
1,487
20,322
292
220
20,834
252
2,038
41
10
2,089
186
1,714
21
0
1,735
62
135
1
0
136
27
2,184
31
0
2,215
1,776
67,346
87
0
67,433
0
254
11
20
285
99
289
110
11
410
446
3,181
86
73
3,340
82
11,051
84
16
11,151
4,699
110,637
871
783
112,291
B基数
(パレット)
28
1,343
142
336
1,821
42
1,061
54
3,787
4,902
214
2,662
44
15
2,721
0
12
0
0
12
56
152
3
0
155
73
5,998
10
0
6,008
21
1,098
26
5
1,129
219
625
266
138
1,029
653
12,951
545
4,281
17,777
13
7,807
1,098,252
200,650
64,971
1,363,873
C売上金額
(百万円)
572
45,296
2,184
24,621
72,101
654
20,450
477
43,011
63,938
5,150
72,829
2,975
6,300
82,104
2,625
18,311
244
230
18,785
727
8,883
108
0
8,991
629
1,811
9
0
1,820
493
11,758
248
0
12,006
2,578
30,799
81
0
30,880
204
9,890
256
195
10,341
1,402
6,839
2,252
363
9,454
845
17,022
382
2,526
19,930
563
14,601
222
2,739
17,562
16,442
258,489
9,438
79,985
347,912
D海外向金額
(百万円)
0
8,208
910
22,995
32,113
68
6,451
79
38,156
44,686
178
12,409
97
4,983
17,489
30
1,062
10
15
1,087
0
1,211
0
0
1,211
72
0
0
0
0
0
197
0
0
197
0
0
0
0
0
0
2,352
0
195
2,547
83
314
10
217
541
8
512
0
2,308
2,820
40
2,920
0
1,314
4,234
479
35,636
1,106
70,183
106,925
物流システム機器生産出荷統計表 総売上金額の推移
売上金額(単位:百万円)
設 備 機 器 名
2010年度
315
25,805
63,982
623
26,985
40,349
10,941
12,500
77,118
166
0
15,737
480
0
7,746
151
0
2,248
404
3
9,582
2,740
0
23,061
500
1,312
11,407
1,040
613
5,791
37
2,807
25,260
482
2,059
13,209
17,879
72,084
295,489
17,879
72,084
295,489
2011年度
553
36,050
80,623
709
35,927
53,091
12,827
16,412
80,041
665
0
12,196
366
0
7,765
62
0
2,153
501
0
11,673
3,279
69
27,916
471
996
12,281
1,192
1,710
8,967
123
2,827
21,512
782
3,213
17,449
21,530
97,204
335,665
21,530
97,204
335,665
2012年度
326
19,320
66,144
667
34,892
58,446
3,654
10,137
89,896
751
0
12,856
494
0
7,126
3
0
1,467
320
0
12,299
859
0
27,175
674
546
11,623
1,210
1,309
9,404
77
1,564
20,286
569
3,092
23,367
9,602
70,860
340,088
9,602
70,860
340,088
2013年度
721
32,483
85,305
337
37,558
62,049
4,726
13,149
97,068
1,390
230
21,721
624
0
7,590
12
0
1,774
525
0
13,208
1,356
0
30,733
175
261
11,632
1,048
572
9,813
143
2,331
20,755
617
2,580
16,454
11,674
89,164
378,102
11,674
89,164
378,102
2014年度
572
24,621
72,101
654
43,011
63,938
5,150
6,300
82,104
2,625
230
18,785
※ フ ォ ー ク リ フ ト
140,302
163,927
171,340
185,834
198,627
※ パレット
146,622
186,533
149,458
164,676
168,111
( )は集計対象機器(小分類)の番号
自動倉庫(1~3)
台車系(4~6)
コンベヤ系(8~10)
仕分機(7)
ピッキング系(11,12)
回転棚(13,14)
移動棚(15,16)
棚(17~19)
パレタイザ/デパレタイザ(20)
垂直搬送機(21~22)
コンピュータ(23~25)
その他(26)
パレットを除く合計(1~26)
合計(1~26、参考1~2)
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M
C
U1+U2+C
M:同業他社向けに売買したもの
U1:エンドユーザー、商社などと売買したもの
U2:ゼネコン・エンジニアリング・コンピュータ会社と売買したもの
C:クリーンルーム向けに売買したもの
14
727
0
8,991
629
0
1,820
493
0
12,006
2,578
0
30,880
204
195
10,341
1,402
363
9,454
845
2,526
19,930
563
2,739
17,562
16,442
79,985
347,912
16,442
79,985
347,912
本概要版には、機器大分類別の売上金額、海外への売上金額といった概要データを記載して
います。機器小分類別の売上金額、機器別・業種別の売上金額等の詳細データは、回答企業
に配布している詳細版報告書(約70ページ)に収録しています。
2014年度
物流システム機器生産出荷統計【概要版】
2015年8月発行
公益社団法人
日本ロジスティクスシステム協会
〒105-0022 東京都港区海岸1-15-1 スズエベイディアム
電話 03-3436-3191
FAX 03-3436-3190
ホームページ http://www.logistics.or.jp/
禁無断転載
15