1 平成27年千代田区議会第2回定例会議事速記録(第1347号

平成27年千代田区議会第2回定例会議事速記録(第1347号)(未定稿)
◎日
時
平成27年6月18日(木)午後1時
◎場
所
千代田区議会議事堂
◎出席議員(24人)
1番
岩
田
かずひと
議員
2番
秋
谷
こ う き
議員
3番
岩
佐
りょう子
議員
4番
寺
沢
文
子
議員
5番
大
串
ひろやす
議員
6番
米
田
か ず や
議員
7番
大
坂
隆
洋
議員
8番
池
田
とものり
議員
9番
山
田
丈
夫
議員
10番
飯
島
和
子
議員
11番
牛
尾
耕 二 郎
議員
12番
木
村
正
明
議員
13番
小
枝
す み 子
議員
14番
小
林
た か や
議員
15番
戸
張
孝 次 郎
議員
16番
永
田
壮
一
議員
17番
内
田
直
之
議員
18番
嶋
崎
秀
彦
議員
19番
たかざわ
秀
行
議員
20番
は や お
恭
一
議員
21番
林
則
行
議員
22番
河
合
良
郎
議員
23番
松
本
佳
子
議員
25番
桜
井
た だ し
議員
小
林
や す お
議員
◎欠席議員(1人)
24番
◎出席説明員
区
長
石
川
雅
己
君
長
山
口
正
紀
君
保 健 福 祉 部 長
松
本
博
之
君
高齢者総合サポートセンター準備室長
門
口
昌
史
君
副
区
1
地域保健担当部長
千代田保健所長
田
中
敦
子
君
地 域 振 興 部 長
立
川
資
久
君
オリンピック・パラリンピック担当部長
河
合
芳
則
君
コミュニティ振興担当部長
吉
村
以 津 己
君
環境まちづくり部長
細
越
正
明
君
まちづくり担当部長
坂
田
融
朗
君
政 策 経 営 部 長
政策推進担当部長
歌
川
さ と み
君
特 命 担 当 部 長
須
田
正
夫
君
会 計 管 理
者
高
橋
誠 一 郎
君
総
長
清
水
章
君
企 画 調 整 課 長
古
田
毅
君
財
長
亀
割
岳
彦
君
長
島
崎
友 四 郎
君
長
保
科
彰
吾
君
教 育 担 当 部 長
小
川
賢 太 郎
君
阿
部
寿
君
長
大
矢
栄
一
君
事 務 局 次
長
纓
片
淳
一
君
議
事
主
査
桐
谷
孝
行
君
議
事
主
査
長
田
美
樹
君
議
事
主
査
平
尾
丈
治
君
議
事
主
査
吉
田
匡
令
君
務
課
政
課
(教育委員会)
教
育
子 ど も 部
(監査委員事務局)
監査委員事務局長
◎区議会事務局職員
事
務
局
2
午後1時00分
開議
○議長(戸張孝次郎議員)
ただいまから平成27年第2回千代田区議会定例会継続会を開会い
たします。
これより各会派の代表質問に入ります。
初めに、自由民主党議員団を代表して、25番桜井ただし議員。
〔桜井ただし議員登壇〕
○25番(桜井ただし議員)
平成27年第2回定例会において、自由民主党議員団を代表して
質問をいたします。
去る4月26日に執行された区議会議員選挙では、私ども自由民主党議員団は、残念ながら全
員当選とまではいきませんでしたが、改選前から484票を伸ばし、7,564票の信任を受け、
改選前と同様の10議席を確保することができました。これも、私ども自由民主党議員一人一人
の日ごろの取り組みが、区民の皆様の高い信託を受けた結果だと思っております。今後とも、区
議会最大会派としての責任を持ち、区民の皆様のため頑張ってまいることをお約束をしたいと思
います。
さて、今回の選挙において、選挙ポスターが多くのマスコミにも取り上げられ、全国区で話題
になりました。そのポスターは、裸の候補者が日本刀を高く構えたもので、その姿に誰もが度肝
を抜かれ、これが選挙ポスターでよいのかと目を疑いました。公営掲示板は学校施設の周りに多
くあるため、小さなお子さんたちにも興味を持たれ、中には写真を撮る子どもも見受けられまし
た。
このことを選挙管理委員会に聞くと、ポスターについては、サイズなどの規格と掲示責任者と
印刷会社の記述だけで、内容については、それが虚偽の内容か、利益誘導に当たる内容かしかな
く、公序良俗に反するか否かを判断することが極めて難しいとのことでございました。今回の選
挙で、多くの方々から苦情が寄せられたと聞きました。私は、選挙期間中、何の対応もなくこの
ことが放置されたことに、大人の一人として、そして大人の責任として疑問を持たざるを得ませ
ん。ぜひ、選挙管理委員会の中で、このことについて話し合っていただきたいと思います。
私たち自由民主党議員団は、広く区民の信頼に応えられるよう、現状に甘んじることなく、国
政、都政、区政の連携のもとに、これからも真摯に取り組んでまいります。
こうした思いから、以下の質問をしてまいります。
まず、災害対策についてお伺いいたします。
去る5月30日の夜、小笠原諸島西方沖を震源とする地震が発生し、また、5月13日には岩
手県で震度5強の地震、22日には鹿児島県で震度5弱の地震、25日には埼玉県北部を震源と
し、茨城県で震度5弱の地震が発生しました。さらに、全国で活発な火山活動が続いており、災
害対策の重要性がますます高まっております。
数年前までの区の災害対策は、主に地震をベースに計画されてきました。しかし、東日本大震
災以降、リスクが高まってきた火山噴火による災害、また、近年増加している大型台風の接近や
ゲリラ豪雨により想定される水害などにも対応するため、区は地域防災計画の修正を行ってきて
3
いることは評価すべきことだと思います。
「区民生活の安全を確保し、安心を支えること」が区の役割でありますから、災害対策を充実
することは当然であります。対策を講ずるに当たって、「想定外の事態」「まさか」という言葉
は通用しません。「千代田区地域防災計画」が、災害対策、風水害対策、火山対策と、さまざま
な自然災害に備えて、今までに改定を重ねておりますが、今後も自然災害を一つ一つ検証して、
不断の見直しを行うべきだと思います。
いつのときにも大切なことは、計画の充実とともに、発災時の迅速、的確な対応をするための
態勢であります。突然の火山噴火で全島民が避難した口永良部島では、島民それぞれが、いつか
起こるであろう火山噴火に備え、自分たちは火山と共生しているという高い防災意識に基づいた
事前準備を進めていたそうであります。
常日ごろの備えは、まさに防災の基本理念である「自助」と「共助」を具現化したものであり、
このことが、突然の大規模な噴火にもかかわらず、全ての島民が速やかに島外へ避難することが
可能になったのではないでしょうか。「自助」と「共助」に加えて「公助」があってこそ、災害
対策は強化されます。
地元自治体である屋久島町は、昨年から口永良部島の火山活動が活発化していたことから、新
たな避難所の設置や避難ルートの整備、訓練実施など、避難準備の態勢を整えていたとのことで
あります。また、今回の噴火では、町長が速やかに全島避難指示を出したことにより、島民に、
より迅速な避難活動が促され、1人の犠牲者も出すことなく現在に至っております。
このように、災害が想定内であっても、想定外であっても、行政の役割である「公助」は必要
不可欠なものであり、住民の安全を守るために適時的確な指示を出さなければならない首長――
本区でいえば区長になりますが――の役割は、とても重要だと思います。そして、首長の指示が
必要な情報は、迅速かつ確実に人々に届かなければなりません。
現在、そのための有効手段の一つとして、本区では防災行政無線があります。東日本大震災に
おいて未曽有の津波被害が発生したことを受けて、内閣府が実施した「東日本大震災時の津波・
避難情報の入手に関する調査」によると、津波警報や避難に関する情報を見聞きした人のうち、
約半数の人が防災行政無線から情報を入手したそうです。都市と地方の差はあるものの、正確な
情報を一斉に、かつ速やかに提供するために、防災行政無線を活用した災害時の情報提供の重要
性は明らかであります。
そこでお尋ねします。
地震、火山噴火、台風や豪雨など、さまざまな自然災害に対する安全・安心が求められている
中、区の防災対策として、区長の判断がスピーディーに行き渡るような組織が形成できているの
でしょうか。昨今の多発する自然災害を踏まえた防災対策が、組織改正にどのように反映された
のか、改めて区長の見解を伺いたいと思います。
また、区長の判断や防災情報は、区民を初め、区内の在勤者や在学者の方々のみならず、観光
で区内を訪れる方々にもいち早く伝えなければなりません。そのための有効な手段であるべき防
災行政無線に関して、日常的に流れている試験放送が一部の地域では聞こえづらい、あるいは聞
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こえないという声を耳にすることがあります。今年度に防災行政無線の更新を図るための予算が
計上されておりますが、更新に当たって、これらの声への対応は考慮されたものとなっているの
でしょうか。区民の安全・安心を守るために、最大限努力する姿勢として、区の対応をお伺いし
たいと思います。
次に、住宅基本計画についてお尋ねします。
今、本区の住宅施策は、1つの曲がり角に差しかかっていると思います。住民基本台帳人口が
5万人を超え、10年後には6万5,000人を超えることが予想されています。このような状況
において、現在の住宅施策が本区にふさわしいかどうか、立ちどまって考えるべきではないでし
ょうか。
これまでの住宅施策は、昭和から業務地化や人口減少が平成に入ってもなお続く中で、住宅を
増やす、住民を増やすという1点に絞って行ってまいりました。このことが、バブル期にはコミ
ュニティ崩壊の危機と言われるまでに減少した人口が、増加に転じて、定住人口5万人の回復へ
とつながっていったわけですから、先人たちのご努力に対して敬意を表さなければなりません。
一方、10年間以上にわたって人口増加が続く中で、さまざまなところに生じているゆがみも
明らかになっております。例えば、保育園の数が足りない、幼稚園や小学校の教室数が足りない
などの懸念が顕在化しております。また、地域社会の担い手の高齢化に加え、マンション居住者
が大きく増えたことで、旧来からの町会を中心にしたコミュニティの運営が一層難しくなったと
いう状況も見受けられます。
また、首都直下型地震を初めとする大規模災害への懸念が指摘されている一方、全国的に老朽
化した住宅の増加の問題が大きくなりつつありますが、これは、区が管理する公共住宅について
も同様ではないでしょうか。昭和から供給してきた公共住宅については、建てかえを含めた機能
更新を検討すべき時期に来ているものと考えられます。
定住人口が減少する中で導入した借上型区民住宅制度や住宅付置・開発協力金制度、あるいは
老朽化した公共住宅の機能更新など、住宅施策はいずれも入居者や事業者など、さまざまな主体
とのかかわりの中で実施されています。それだけに、その方向性を変えることも決して容易でな
いことと考えられます。しかしながら、住まいを取り巻く状況がこれだけ変化している中では、
やはり住宅施策の方向転換をしていくことが必要なのではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
人口5万人回復を果たした一方、さまざまな課題が生じている状況において、これからの住宅
施策をどのように進めていくべきか、区の姿勢や基本的な方向性をお伺いしたいと思います。ま
た、老朽化が進む公共住宅の機能更新に対して、区はどのように考えているのか、基本的な方針
をお伺いしたいと思います。
次に、保養施設についてお伺いをいたします。
本区では、昭和34年の箱根の仙石荘の開設を皮切りに、保養施設などの運営が始まりました。
昭和44年には箱根千代田荘、昭和52年には湯河原千代田荘、昭和61年には軽井沢少年自然
の家、昭和63年には嬬恋自然休養村が開設され、その後、運営方法の改善を行いながら今日に
5
至っております。この間、区議会としても、効率的・効果的な施設運営の観点から、積極的に議
論をし、湯河原千代田荘の借り上げ方式への移行による財政負担の軽減に大きく寄与したものと
自負しております。
その後、執行機関からは、昨年の5月に保養施設などの見直しの方向性について、議会への報
告があり、また、6月から7月には区民への説明が行われました。その内容は、公が保養施設を
提供する必要が薄れており、区民の利用率の低さに比べて財政負担が大きく、また、施設の老朽
化に伴う財政負担増加が懸念されるとの認識から、区長招集挨拶にも触れていらっしゃいました
が、「湯河原千代田荘は借り上げ方式を当面継続する」「箱根千代田荘は貸与を継続するか廃止
することが望ましい」「嬬恋自然休養村は廃止することが望ましい」というものでした。
一方、保養施設ではありませんが、教育施設を利用した学校における宿泊行事についても同様
であります。学校における宿泊行事のあり方については、教育委員会での議論が未熟との指摘が
議会よりなされ、箱根千代田荘の事業者募集が行われた以外は、そのまま今日に至っているもの
と認識をいたしております。
本区には、教育施設として軽井沢少年自然の家があります。軽井沢少年自然の家は、自然に恵
まれない本区の子どもたちが、自然に親しみ、また、集団生活を通じて健全な心身の育成を図る
ことができるよう、軽井沢高原学校を前身として、昭和61年に開設されました。平成5年には、
生涯学習の場としても利用できるよう、いわゆるメレーズ軽井沢と呼ばれている2期施設が増設
され、広く区民などにも開放されています。軽井沢少年自然の家は、軽井沢高原学校の時代から
長きにわたり、林間学校や移動教室の際の宿泊施設として、千代田の子どもたちにも利用されて
きました。
こうした学校の宿泊行事は、軽井沢少年自然の家を利用したもののほかにも、かつては七尾林
間学校や、鎌倉臨海学園、保田臨海学校、箱根高原学校でも実施されていました。これらの教育
施設を利用した宿泊行事は、自然に触れる機会の少ない本区の子どもたちにとって、山や海の自
然環境の中で集団生活をするという貴重な体験が得られるよい機会でありました。
しかしながら、利用実態から見れば、軽井沢少年自然の家は、現在、小学校5年生の嬬恋自然
体験交流教室と中学校、中等教育学校の1年生の移動教室のみに利用されており、利用日数も年
40日程度であり、1年の大半は閉鎖されているのが実態と伺っております。
一方、こうした中、最近、「中1ギャップ」という言葉を耳にします。小学校から中学校に上
がった際に新1年生が直面する、科目数の増大や教科の担任制といった学習面での強化、先輩や
他の小学校からの同級生など、新たな人間関係の形成が、こうした変化になじめず、不登校にな
ったり、あるいは、いじめが発生する現象のことです。宿泊行事は、わずか数日間であったとし
ても、寝食をともにして生活し、集団生活の中で人間関係を学ぶよい機会であります。このよう
な「中1ギャップ」を解消し、いじめや不登校といった問題に早期に対処する一つの手段として、
宿泊行事を活用することはとても大切なことだろうと思います。もちろん、こうした宿泊行事を
行うためには、それに適した施設や環境が必要であることは、言うまでもありません。
そこでお尋ねします。
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1点目は、保養施設の利用状況や運営コストについてであります。詳細は委員会での報告を待
ちますが、区民の利用状況の実態、区民から寄せられている感想、そして、その運営にかかるコ
ストの実態についてお聞かせください。
2点目は、見直しについての区民の意見把握についてであります。公共が保養施設経営を行う
必要があるのか、また、膨大な財政支出を行うべきなのかといった問題提起は理解できますが、
保養施設の抜本的見直しには、区民の理解が必要であります。今後、どのように区民の意見を把
握されるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
3点目は、経過措置についてであります。昨年、議会に報告された経過措置案では、施設を廃
止する場合、連合町会・長寿会への宿泊補助は、民間宿泊施設を利用して継続するとともに、一
般区民向けには、廃止地区に民間宿泊施設の「指定方式」を導入するとのことでした。「指定方
式」により、利用者が施設を選択できるようになることは評価できますが、指定施設自体はどの
ように決定されるのでしょうか。区民が利用を望む施設でなければ、現在の保養施設の代替とは
なりません。経過措置についての区のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
4点目は、教育施設を利用した宿泊行事についてであります。私は、これまでの保養施設のあ
り方と、軽井沢のような教育的利用のための施設とは分けて考える必要があるのではないかと思
っております。区として、子どもたちを取り巻く状況の変化を踏まえた、これからの学校におけ
る宿泊行事をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。また、そのための施設には、どのよ
うな機能が求められ、どのような施設がふさわしいと考えているのか、区のお考えをお聞かせい
ただきたいと思います。
次に、子ども・子育て支援新制度についてお伺いいたします。
この4月、子ども・子育て支援新制度は、全国で一斉にスタートしました。この新制度は、社
会保障と税の一体改革の一環として、平成24年8月に成立した、いわゆる「子ども・子育て支
援3法」に基づくものです。新制度では、幾つかの大きな改革がありました。その一つが、認定
こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付及び小規模保育所への給付の創設であります。こ
れにより、幼児期の学校教育と保育が必要な子どもへの保育を、個人の権利として保障する観点
から、認定こども園・幼稚園・保育所・小規模保育等の施設等を利用した場合に共通の仕組みで
公費対象となりました。
また、放課後児童クラブについても、地域子ども・子育て支援事業として位置づけ、対象児童
を「おおむね10歳未満の児童」から「小学校に就学している指導」へ拡大するなど、地域のニ
ーズに応じた多様な子育て支援が実施されることとなりました。さらに、区市町村が制度の実施
主体として、「子ども・子育て支援事業計画」を策定し、計画的に幼児期の学校教育・保育、地
域子育て支援を提供する責務を負うこととなっています。
今回の第1回定例会では、私は自由民主党の代表質問の中で、区の子ども・子育て支援新制度
に関する方針をお尋ねし、保育園・学童クラブの計画的な整備や、在宅で子どもを育てているご
家庭への支援、子ども・子育て支援事業基金などの財源の確保状況など、区の取り組み内容が明
らかになりました。
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しかし、この子ども・子育て支援新制度は、既に私たち千代田区においては先進的に取り組ん
できた内容が多くありましたが、その内容において、少々難解であったために、区民の方々には、
今回の新制度になって何が変わったのかわかりづらいのが実態ではないかと思っております。
そこでお尋ねをいたします。
新制度になって、今までの次世代育成施策と比べて大きな変化があったのか、また、新制度が
導入されて、その成果としてはどう見込まれているのかをお聞かせいただきたいと思います。
最後に、衆議院九段議員宿舎跡地の活用についてお伺いをいたします。
平成22年に議員宿舎の建物が取り壊され、5年間、更地のままの状況になっています。周辺
住民のみならず、多くの区民からは、あの土地を子どもが自由に外遊びできる場所として活用す
べきという声が上がっています。一定規模の土地を確保することが困難な千代田区で、この場所
の存在に対して、このような声が出るのは当然であります。
我々自由民主党議員団は、執行機関に対して検討を促してまいりました。今までにも、執行機
関においては、この土地を所管する衆議院事務局に対して要望書を提出するなどの努力をしてき
たものの、相手側からは、手続等を考えると、暫定であっても貸し出しすることは困難との回答
を得ているということで、事実上、この件は行き詰まっていったという状況でありました。
そこで、我々自由民主党議員団では、公明党議員団と連携しながら、衆議院議会運営委員会の
委員長などにお会いして、本区の状況をお伝えし、区民のために活用できるよう要望し、あくま
で暫定利用の範囲ということで一定の制約はありますが、貸し付けに向けて、前向きに協議がで
きるような状況となりました。
そこでお尋ねします。
九段議員宿舎跡地を借りることが可能になった状況を受け、活用に向けて、協議の進め方、活
用策の検討方針について、執行機関としての見解をお答えください。
以上、千代田区政にとって最も基本となる諸事項について質問をいたしました。区長並びに関
係理事者の明快な答弁をお願いし、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
○区長(石川雅己君)
桜井議員のご質問にお答えいたします。
まず、防災面から見た組織体制についてお答えを申し上げます。
地震、火山噴火、台風といった自然現象を防止することはできませんが、それに伴う災害に備
え、被害をできる限り少なくすることが肝要であろうと思います。災害への備えは、一人一人が
自分の生命と財産を守る、地域の人、企業などが協働して地域を守る、そして行政が地域全体を
カバーし、支援をするという、いわゆる自助、そして協助は、普通の共助ではございませんで、
力を合わせた協助、すなわち区民の方と、膨大な事業所がありますし、行政、これが力を合わせ
て協助という関係と、最終的に公助という、そのバランスが必要だということでございまして、
ご承知のとおり、千代田区の災害対策基本条例上も、力を3つ合わせた「協助」という概念がご
ざいます。
そこで、区民の皆さんの安全を守る使命を担っている区役所は、災害発生の事前事後を含め、
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できる限り「対策」を講じ、公助を有効的に機能させる必要があると思っております。発災時に
おける対策として最も重要なことは、情報を収集し、一元的に管理すること。そして、必要な人
員を適切に配置をすることだろうと思います。
一方では、ご承知のとおり、災害時にも必要な行政機能を確保し、円滑に事業を継続するため
の事業継続計画、いわゆるBCPを考える上で、継続が必要な事業に対して、どのように人員配
置をするかということも、かなり重要な話になってまいります。そのために、災害対策を担う所
管課を、先般の組織改正で、区の職員の人事を持っているところ、あるいは広報を所管するとこ
ろであります「政策経営部」に災害対策の部門を移したのも、こうした考え方であります。これ
により、これまで以上に情報の一元化を徹底し、平時の組織体制の枠を超えた弾力的な区職員の
人員配置を行い、全庁を挙げて迅速な対応を図っていくということが、より一層可能になったと
いうことで、組織改正をしたわけでございます。
そして、首都直下地震や大型台風による水害など自然災害の発生が危惧されている状況の中で、
引き続き区民の生命と財産を守るために、柔軟に防災計画等を時宜に合わせて対応をしてまいり
たいと思います。
次に、住宅施策について、私から概略を申し上げます。
ご承知のとおり、千代田区では、首都東京の中心であり、立地特性を背景に、業務地化が急速
に進行し、それに伴い、住宅供給の停滞や一貫した人口減少など、自治体としての存立基盤その
ものが憂慮される状況に直面した経験を有していることは、議員ご承知のとおりだろうと思いま
す。
私が区長に就任したときは、3万9,000という定住人口でありまして、本当に自治体の存立
として非常に危機感を持っていたわけでございます。このような状況の中で、いかにして定住人
口を回復をするかということについて、区議会の皆様方と執行機関が英知を結集して今日の状況
をつくり出したというふうに私は思っております。その際、変化の激しい都心において、区のと
り得る施策の根幹をなしてきたのが、住宅付置制度による民間誘導だろうと私は思っております。
住宅付置制度は、業務優先の開発事業者に対して、住宅の供給を促すことで、住宅の量の確保
や住宅を取り巻く生活基盤の創出、そして人口回復に寄与してきたという意味では極めて、私は、
有効な施策であったというふうに思います。近年、都心回帰の流れの中で、都心部においても住
宅供給が、こうした状況で進められたのだろうと思います。
そうした中で忘れてはならないのは、多様な機能が高度に集積し、とりわけ業務地化としての
ポテンシャルの高い千代田区が、社会経済情勢の変化や開発事業の動向1つで、再び業務地化へ
と転ずる可能性も常にあるという、そういう認識を、私は持つべきではないかと思っております。
そのために、千代田区においては、開発事業者に対する誘導なくして、多様な都市機能と住ま
い・住環境の調和を図ることができない点は、今後も変わらない方向だろうと思いますので、ぜ
ひそれはご理解を賜りたいと思います。
したがいまして、これからの住宅施策については、民間の力を活用しながら取り組みを進めて
いくことは変わらないと思います。その際、都心部において当面の人口増加が見込まれているこ
9
とを念頭に置き、「住宅の量」の確保から「住環境の質」への向上へと視野を広げながら、多様
な価値観を有する人々に対応した住まい方の推進や、住まいを取り巻く住環境の整備に対して、
これまで以上に力点を置きながら取り組んでまいりたいと思っております。
なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔子ども部長保科彰吾君登壇〕
○子ども部長(保科彰吾君)
桜井議員の子ども・子育て支援新制度についてのご質問にお答え
いたします。
まず、子ども・子育て支援新制度になっての変化についてでございます。
子ども・子育て支援新制度の発足によりまして、幼稚園等での教育を希望される方は1号認定、
満3歳以上で保育所等での保育を希望される場合は2号認定、さらに、3歳未満の保育を希望さ
れる場合は3号認定と、幼稚園や保育園の利用手続が変更になるなど、区民の皆さんにわかりに
くいのはご指摘のとおりでございます。
新制度は、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援など、必要とする全ての子育て世帯が
利用できる支援を目指すものではございますが、区では独自にさらなる質の向上を図る観点から、
新たに、「子どもが健やかに育つための環境の確保に関する条例」を制定しました。この条例に
基づきまして、本年度からは、認可保育所と認証保育所、こども園、幼稚園、幼保一体施設など、
その形態や公立、私立の実施主体の違いにかかわらず、等しく良好な保育・教育サービスの提供
を受けることができることを目指しまして、保育士の処遇改善などの財政支援や、遊び場確保な
どの施設支援を含め、支援内容をより強化してございます。
こうした取り組みを通じまして、子どもたちの発達や遊び、学びの連続性を考慮した環境を確
保し、保育の質の向上につなげてまいります。
次に、子ども・子育て支援新制度の導入による成果についてでございます。
新制度による地域型保育事業である家庭的保育事業や事業所内保育事業、さらには、居宅訪問
保育事業による保育供給が、待機児童ゼロの達成に寄与したものと考えてございます。
しかしながら、就学前人口の急増によりまして、保育需要の増大が予想されます。今後とも、
新制度を活用した保育供給の拡大に取り組むとともに、子どもが健やかに育成される環境の整備
に努めてまいります。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
○教育担当部長(小川賢太郎君)
桜井議員の宿泊行事についてのご質問にお答えいたします。
区立学校の宿泊行事は、これまでも学習指導要領にのっとり、子どもたちが自然に親しみ、ま
た、集団生活を通じてさまざまな体験ができるよう実施してまいりました。特に、都心にあって、
自然に親しむ機会の少ない千代田区の子どもたちにとって、宿泊行事は、貴重な自然体験の機会
として、大きな意義があるものと考えております。
こうした中、近年、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化し、不登校やいじめ等の諸問題が
社会問題化しています。これらを踏まえ、心の教育の推進に重点を置いた取り組みが重要でござ
いますが、その1つとして、集団への帰属意識や連帯感の育成、望ましい人間関係づくりといっ
10
た視点から、宿泊行事の見直しを図る必要があると考えております。
また、中学校、中等教育学校においては、各校の教育課程や特色化の方針を踏まえ、短期間の
宿泊行事の中で効率的に学力、体力、自己肯定感などを育成するプログラムを工夫して実施する
ことも大切であると認識しております。
具体的には、議員ご指摘のように、中学1年生では、中1ギャップの解消といじめ問題等に対
して、早期に対応するためのクラスづくりに視点を置いた「オリエンテーション合宿」を実施し
てまいりたいと考えております。また、中学2年生では、生徒の主体的に取り組む力の育成に向
けて、勉強合宿やスキー合宿など、各学校の特色や生徒の実態に応じたプログラムで実施する
「学校裁量型合宿」などを考えております。これらの宿泊行事を効果的に行うためには、セミナ
ールームのような室内での討議や作業ができる施設が有用であると考えております。
しかしながら、現在、移動教室等で使用している軽井沢少年自然の家は、こうした設備がない
など、今日的な教育課題に対応した宿泊行事が実施できる施設とはなっておりません。また、中
1ギャップの解消のために実施するオリエンテーション合宿は、4月の早い時期に行う必要があ
りますが、4月の軽井沢はまだ気温が低く、屋外での活動も大きく制限される場合もございます。
今後、現代の子どもたちを取り巻く教育課題を的確に捉え、その課題解決に向け、よりふさわ
しい立地、設備を備えた施設を活用し、最も有効かつ効果的な宿泊行事となるよう取り組んでま
いります。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
○地域振興部長(立川資久君)
桜井議員の保養施設に関するご質問にお答えいたします。
まず、利用状況や運用コスト等についてであります。
平成26年度の利用状況は、利用者の一番多かった箱根千代田荘でさえ、全区民の4.3%にと
どまっており、他の施設はそれ以下であります。なお、今年度は、残念ながら、箱根山の火山活
動が活発化し、現在、強羅周辺は人もまばらであり、区民利用の全くない日も多くなっておりま
す。そのような中でも、保養施設運営には毎年2億円強のコストがかかっております。さらに、
今後は、各施設とも大規模修繕が必要な時期を迎えており、一層の財政負担が求められる状況に
あります。なお、民間施設のレベルアップに伴い、区民からは、保養施設の維持管理、食事、従
業員の接遇等への苦情が増加傾向にあります。
次に、見直しについての区民の意見把握についてであります。
今後、見直しの具体的な内容につきまして、議会への報告の後、昨年同様、連合町会や長寿会
などの各利用団体に丁寧に説明を行い、ご意見を伺ってまいる予定でございます。
次に、経過措置についてであります。
議員ご指摘のように、指定方式の導入に当たりましては、区民が利用を望む施設を適切に選定
できるよう、区民の代表者等から成る選定委員会を組織して、ご検討をいただく予定でございま
す。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
○まちづくり担当部長(坂田融朗君)
桜井議員のご質問のうち、住宅施策について、区長答弁
11
を補足してお答えいたします。
千代田区では、近年、都心居住に魅力や価値を感じた人々の流入により、人口増加が続いてお
ります。マンション居住者の急激な増加や子育て世帯の流入、高齢者世帯の増加等に伴う課題に
対応していくためには、住宅供給そのものより、多様な住まい方や住まいを取り巻く環境の整備
を、より重視すべき時期に来ているのだろうと思います。
こうしたことから、現在策定中の第三次住宅基本計画においても、住宅の量から「居住の場を
取り巻く環境への整備」や「多様な住まい方の推進」へと視野を広げながら、住宅施策を展開し
てまいりたいと考えております。
次に、公共住宅の機能更新に対する考えについてですが、ご指摘のとおり、区の公共住宅につ
いても、経年による老朽化が顕在化しつつあるものが見受けられ、機能更新を具体的に検討する
べき時期に来ているものと認識しております。住宅の機能更新に際しては、入居者の調整や、工
事の際の仮住居の確保、住みなれた地域とのつながりなど、多くの検討課題に対応していかなけ
ればなりません。
また、限られた土地を有効に活用しながら建てかえ等を進めていくには、複数の住宅や併設施
設の機能も含め、包括的に検討する必要があります。建てかえ等の実施には都心ならでは難しさ
もありますが、老朽化が進む既存の公共住宅の機能更新に向けた具体的な取り組みを進めてまい
ります。
〔政策経営部長及び政策推進担当部長歌川さとみ君登壇〕
○政策経営部長及び政策推進担当部長(歌川さとみ君)
桜井議員の災害対策に関するご質問の
うち、防災行政無線の更新についてお答えをいたします。
先ほど区長の答弁にもございましたが、発災時どのような行動をとるべきかを区民の皆さん自
身で判断していただくために、リアルタイムな情報の発信が大切であります。区では、現在、災
害などの緊急情報の伝達手段として、防災行政無線、安心・安全メール、緊急速報メール、ホー
ムページ、ツイッターを用い、速やかな情報提供を行っております。
しかしながら、防災行政無線が聞こえづらい、または遮蔽されたマンションでは聞こえない、
安心・安全メールの事前登録が手間であるなどの声が寄せられており、現在の情報提供に関して
課題があることも事実であります。
このうち、防災行政無線につきましては、機器の老朽化などの課題解決に合わせて、今年度デ
ジタル式の機器に更新をいたします。デジタル式に更新することにより防災行政無線による放送
を聞き逃してしまった場合の補完措置として、放送の内容が電話で確認できる応答機能を追加い
たします。また、一部の屋外機器と、区施設及び町会等に配布する個別受信機では、放送内容を
文字で表示させることにより、聴覚に障害のある方を含め、今よりも確実に情報提供することが
可能となります。
さらに、屋外のスピーカーの音量についても簡便に調整ができるようになることから、地域の
状況に合わせて個別に対応することも可能となります。加えて、昨年度実施した伝達調査結果に
基づき、聞こえづらいと思われる地域に新たに4カ所の機器を増設することとしております。
12
今後につきましても、ご案内の防災行政無線の多言語化への対応や、現在実証実験中の東京ケ
ーブルネットワークによる文字放送など、正確な情報を迅速、かつ確実に皆様にお届けするため、
多様な伝達手段を活用できるよう努めてまいります。
次に、衆議院九段議員宿舎跡地の活用についてでございます。
ご質問にもありましたとおり、これまで、衆議院事務局に対して暫定利用に関する要望書を提
出するなどの折衝をいたしましたが、借用は難しいとの見解が示され、断念したという経緯がご
ざいました。そうした状況の中、さまざまな方々のお力添えにより、国の跡地活用が動き始める
までの暫定的な利用ではありますが、借用に向けて具体的な協議ができる状況となりました。
今後、速やかに衆議院事務局に借用の意思をお伝えし、使用可能な面積や借用の条件等につい
て協議を進めてまいります。また、協議と並行して、利用方法の具体的な検討を行い、できるだ
け早期に暫定利用が実現できるよう、鋭意取り組んでまいります。
○議長(戸張孝次郎議員)
午後1時45分
議事の都合により休憩します。
休憩
13
午後1時55分
再開
○議長(戸張孝次郎議員)
休憩前に引き続き、会議を開きます。
各会派の代表質問を続けます。
新しい千代田を代表して、19番たかざわ秀行議員。
〔たかざわ秀行議員登壇〕
○19番(たかざわ秀行議員)
第2回定例会に当たり、新しい千代田を代表して質問をいたし
ます。
世界各国において、異常気象による天候不順により多くの被害が発生し、熱波や豪雨による被
害者も大変多くなっております。日本においても毎年のように豪雨による被害が発生し、つい最
近も、九州南部では土砂災害などの被害が発生しました。
昨年、御嶽山が突然噴火し、56人の犠牲者を出し、今年に入って、口永良部島の噴火による
全島避難、箱根大涌谷、蔵王、浅間山火口付近の立入規制など、火山活動の活発化、多発する地
震と日本列島での地殻変動は活発になっています。首都圏直下型地震も予想される現在、最も身
近な自治体として、区民の安心・安全を確保するため、防災、減災を含め、ますます行政の果た
す役割が重要になっています。多くの課題を整理して、しっかりとした目標を立て、施策を展開
していくことが重要です。
本年3月、(改定)第3次基本計画終了を迎え、千代田区第3次基本計画2015「ちよだみ
らいプロジェクト」が作成されました。2020年オリンピック・パラリンピック開催を見据え、
4つの柱、20の施策、37の施策目標を掲げ、今後10年間の区民生活の充実を図る指針が計
画として示されました。想定人口6万5,000人とする新たな10年計画が始まりました。
区内の人口は、昨年同月比で約2,000人も増え、この10年程度の人口推計は増加の方向が
示されています。人口が増加するにつれ、現在の課題も大きくなり、新たな課題も見えてきます。
保育需要や学童クラブの必要性に対応するための施策、特別養護老人ホームや老人保健施設とい
った高齢者のための施設整備も重要となってきます。新たな基本計画は、社会情勢の変化に迅速
かつ柔軟に対応するため、5年をめどに見直すとされています。
議会も4月に改選され、新たな議会が構成され、スタートいたしました。二元代表制の一翼を
担う立場として、ちよだみらいプロジェクトをしっかり精査しつつ、さらなる区民生活の充実を
図っていきたいと思います。
それでは、質問に入ります。
第1回定例会予算特別委員会総括質疑の中で、はやお委員の「委託業者と行政の役割分担を通
して、団塊世代の伝承的なノウハウをどう継承するか、喫緊の課題である。そこで、安定的かつ
継続的に行政サービスを行っていくために区職員の人づくりをどうするべきか」という質問に、
他の委員から関連質問で別の意見が出され、それに対して区長答弁は、「可及的に研究機関の設
置を考えている」とありました。唐突に思えたのは私だけではないと思います。そのままを紹介
いたします。
「時代はどんどん変わっています。その中で施策をどういうふうにつくっていくかという意味
14
では、もちろん職員の人材養成というのも肝要だろうと思います。一方では、我々のOBも、ど
のような形で活用するか。そして、一方では、聞くところによりますと大変ベテランの議員さん
も引退されるということも聞いておりますんで、我々としては、そろそろ、そうしたことを考え
て、しかも、学者も交えて、千代田区として研究組織をつくらなきゃいけないという私は認識に
立っております。
多分、新年度になりましたら可及的に、専門家を交え、そしてOB、あるいは、かつ、今回勇
退をされると聞いております議員さんも交えて、我々が、どういう研究組織をつくったらいいの
かということを議論していきたいと思います。で、特に、23区の中で幾つかつくっていること
は事実でございます。
そういうものを勉強しながら、今までかなり民間に業務委託をしたものが、ただその場限りで
とどまらないように、そういう研究組織の中にノウハウがたまっていくということも私は肝要だ
ろうと思いますんで、できるだけ27年度の上半期ぐらいにはめどを立てたいというふうに思っ
ておりますんで、ぜひご理解を賜りたいと思う。
このことが結果として人材養成にもつながるんだろうと思います。以上でございます」とあり
ます。
区長は、平成27年度予算書に全く項目のない研究組織設置を唐突に発表されました。27年
度が始まり、第1四半期の3カ月が過ぎようとしている現時点での進捗状態はどうなっているの
でしょうか。お答えください。
確かに、世田谷区や荒川区では、自治体シンクタンク(研究組織)があるようです。区長答弁
では、「他の自治体の状況を勉強しながら」とありますが、他区の状況はどのようなものでしょ
うか。
本区では、平成13年から平成22年まで、「政策会議」という会議体がありました。平成2
2年に廃止になりましたが、その理由をお聞かせください。また、政策会議の成果はいかなるも
のであったか、お答えください。そして、区長がおつくりになろうと考えている研究組織と廃止
になった政策会議との違いは、どこにあるのでしょうか。
そもそも研究組織の設置は必要があるのでしょうか。人口増が続く本区においては、住民サー
ビスの拡充に投資するのが自然で、もし必要性があり、つくるのであれば、千代田区第3次基本
計画2015、ちよだみらいプロジェクトを作成する前に立ち上げるべきだと思いますが、お考
えをお聞かせください。
次に、シティプロモーションの推進、まちみらい千代田がかかわる地方との連携支援について
伺います。
この問題は、第1回定例会予算生活福祉分科会で議論をしましたが、なかなか理解し切れなか
った問題だと認識しております。予算の概要や、ちよだみらいプロジェクトを見ますと、「千代
田区の魅力を区民とともに、改めて調査発掘し、創造し、磨き上げ、効果的に発信していくシテ
ィプロモーションを推進していきます」とあります。
その理由として、千代田区に住み、働き、学ぶ全ての人の誇りにつながる。多種多様な魅力あ
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る資源がある地域だが、効果的に発信することにより、その魅力を高めていくことが期待できる。
外国人を初め来街者への区の魅力の発信が求められている。本当にそうでしょうか。
また、ちよだみらいプロジェクトの中で、現状と課題には、「区民等が区民の誇りや区の魅力
を自覚し、発信することが難しい側面があります」、あるいは、「多様な観光資源・文化資源が
混在・集積していますが、効果的な情報発信が不十分です」とあります。そのためにシティプロ
モーションが必要だとされています。
一方、「予算の概要」の中では真逆の説明がされています。地方との連携支援では、「千代田
など大都市は、人材、食料、エネルギーなど地方に支えられ、生かされている。共生の理念に基
づき、地方とともに発展していくため、千代田区の集客力・情報発信力を生かし、「場」の提供
を求める地方都市との連携を深める」とあります。ここでは、千代田区では集客力もあるし、情
報発信力もあるから地方に場を提供するんだと言っております。一体どちらなのでしょうか。魅
力の発信能力はないが、その他の発信能力はあるということでしょうか。
本来、シティプロモーションとは、三位一体の改革により国の補助金が減り、財政難に陥った
地方自治体が、自らの魅力を創造し、自ら稼ぐことが求められ、地方が自立するための施策です。
本区になじむものでしょうか。1,077万5,000円の予算がついておりますが、コンサルタ
ント会社への委託経費だと聞いております。コンサルタントにどのようなことを委託し、何を期
待しているのでしょうか。また、現在の進捗状況も含め、お答えください。
シティプロモーションは、2020年オリンピック・パラリンピック開催を見据えてのことだ
ろうと思います。担当も、オリンピック・パラリンピック担当課が担当しています。オリンピッ
ク・パラリンピックが開催されれば、来街者は多く訪れるものと考えます。
ちよだみらいプロジェクトの中で課題解決の方向性として、「区内地域の活力を高めるとか、
文化資源を効果的に発信し、観光客の回遊性を高めます」とありますが、また、目指すべき10
年後の姿にも、「回遊性が増し、国際的な観光地としてにぎわっている」となっています。つま
り、財政難の地方が観光客等を集め収益を上げるには必要な施策だと思います。
そこで伺います。
本区として、シティプロモーションの必要性についてどのように考えているか、行政としての
考えをお聞かせください。
地方との連携支援では、多くの取り組みがなされています。姉妹都市交流・商店街・観光協会
などとの連携・NPOとの農商工連携・サテライトオフィスへの入居・災害連携・環境対策連携
など、まちみらい千代田が調整役を担っているとのことです。その中の1つとしてフードバレー
ネットワークがあります。
ちよだみらいプロジェクトによれば、フードバレーネットワークとは、「全国各地の「食」を
生かしたまちづくりと、生産地と消費地が協力し合い、互いの地域産業振興を目的とする、地方
と千代田区の連携です」とあります。
そこで伺います。
「地方との連携支援」は、地方にとってはよいPRになると思いますが、千代田区にはどのよ
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うなメリットがあり、どのような効果を期待されているのでしょうか。お答えください。
また、現在14事業が、31年には28事業、36年には54事業と、倍々に増やす目標が定
められています。全国的に拡大していく必要があるのでしょうか。どのような展開を想定されて
いるのか、お考えをお聞かせください。
まちみらい千代田は、昨年、公益財団法人となり、住宅まちづくり、産業まちづくり、協働ま
ちづくりと、3つを柱に運営されています。特にマンションに関することに対し、一元的に対応
し、しかも産業振興など多くの事業を展開しています。公益財団法人となり、何か変化がありま
したでしょうか。また、この1年間の成果と課題についてお答えください。
以前、まちみらい千代田について調査をする中で、必要なものは何か尋ねたことがありました。
すると、予算も必要であるが、人手(マンパワー)が最も必要ですという話をされていました。
「多くの事業展開をしていくには、何よりマンパワーが必要です」ということです。
そこで伺います。
今年、予算も増額されている中、事業を展開していくに当たり、仕事量も大幅に増えることが
予想されています。若い力も必要となるはずです。新たな若手の職員は何人採用されたのか、お
答えください。
最後に、お茶の水小学校建てかえについてお尋ねします。
お茶の水小学校は、平成5年、千代田区公共施設適正配置構想により、錦華小学校・小川小学
校・西神田小学校の3校が統廃合され、旧錦華小学校の場所にあります。
旧錦華小学校は、明治6年、第四中学区二番小学校(後に久松学校と称す)として開校し、統
廃合までの間120年の歴史を持つ名門校で、昭和48年(体育館兼講堂は昭和40年)建てか
えられ、現在に至ります。学校施設は安全性が考慮され、地盤のしっかりとした地に、しかも、
火災による延焼を防ぐために隣接地に公園が整備されました。今でも、学校建設は安全性が最も
重要なファクターであるとされています。
平成5年、統廃合時、児童・園児の数が700名程度となり、小学校のクラスは多い学年で4
クラスとなりました。幼稚園も、当時の園舎では対応できず、隣接する錦華公園に特例として仮
園舎を建て、対応することとなり、園庭も錦華公園を使用することとなりました。当時、園児の
安全をどのように担保するかということが大きな問題となり、平成13年、大阪・池田小の事件
もあり、保護者の不安は大変なものでした。小学生も休み時間は交代で校庭を使うなど、不便な
状態がしばらく続きました。都市公園内に設置された幼稚園の仮園舎は、当初3年程度という区
の説明がありましたが、22年たった現在でも、そのままです。
私は、当時児童保護会、これはPTA組織ですが、携わっていた関係で、行政に対し、何度も
申し入れをいたしました。その回答として、当時副区長の大山氏は「早速対応します」、施設課
長も「設計はできています」と、このような回答があったにもかかわらず、3年どころか、22
年たった現在も錦華公園の敷地にプレハブの仮園舎がそのまま建っています。統廃合当時に比べ、
児童・園児の数も落ちつき、校舎内に戻れる状態になっても、平成20年、以前校舎内にあった
園舎の場所には、学校内学童クラブ(アフタースクール)が入り、今では戻る場所もありません。
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私は、区政に携わるようになっても、教育環境の整備という立場から、何度も環境文教委員会、
予算特別委員会などで質問を繰り返してきました。「課題と受けとめている」「近隣の再開発計
画に合わせて、よりよい方法で」などの答弁に終始し、現在に至ります。一昨年ですか、ようや
く「お茶の水小学校・幼稚園施設整備調査検討」の名目で予算に上がりました。しかし、昨年、
それも消え、今年再び予算として計上されています。
まちづくり総務課長や区長答弁による「近隣の再開発に合わせて、よりよい方法で」と説明を
受けてから何年たちますでしょうか。再開発の話も、地域によって反対があり、進んでいないと
いうことも聞いております。
現在の校舎は、平成19年に耐震工事はしたものの、開発計画が進まなければ、幼稚園は仮園
舎のまま、小学校も一部トイレが使えないままの状態で、あと何年待てばよいのか、保護者・関
係者の我慢も限界です。小学校・幼稚園の建てかえと周辺の開発整備とは分けて考えるべきでは
ないでしょうか。
今年度の予算に、和泉小学校・こども園の大規模改修の予算が計上され、九段小学校・幼稚園
は建てかえが決まっております。築年数でいえば、和泉小学校・こども園より番町小学校・幼稚
園、お茶の水小学校・幼稚園の建てかえが先だと思いますが、いかがでしょう。調査費により、
何を調査検討するのでしょう。
調査検討は進んでいるのでしょうか。近隣の開発も何年先になるのかわからないと思います。
近隣にお住まいの方や保護者、卒業生も含め、さまざまな要望を聞いております。「お茶の水小
学校・幼稚園建てかえをいつまで待ち続ければよいのでしょうか」、長年にわたり言われ続けて
きました。
そろそろ決断をされる時期だと考えますが、まだ近隣の開発の状況を見てとおっしゃいますか。
お考えをお聞かせください。
明快な答弁を求め、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
○区長(石川雅己君)
たかざわ議員のシティプロモーションの必要性について、ご質問にお答
えいたします。
ご案内のとおり、千代田区は、江戸開府以来400年以上にわたり、我が国の政治・経済・文
化の中心として発展を遂げながら今日に至っており、さまざまな文化資源や観光資源に恵まれて
いるのはご案内のとおりだろうと思います。この魅力を広く内外に積極的に発信することは、こ
こに住み、働き、学ぶ全ての皆さんの思いであり、誇りだろうと思いますんで、こうしたことを
やりたいという思いでございます。
しかし、多種多様な魅力ある資源に満ちあふれた地域で日々生活をしておりますと、それが空
気のような存在となってしまい、魅力に気がつかないことも往々にしてあると思います。文化資
源などさまざまな魅力に満ちあふれた大都市は、魅力の記録装置であるとともに、何もしなけれ
ば、忘却装置にもなり得る存在であると私は認識しております。そのため、2020年東京オリ
ンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、区民とともに区の魅力を改めて調査、
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あるいは掘り起こし、創造し、磨き上げ、効果的に発信をしていくということを考えたものでご
ざいます。
こうしたことで、我々は多くの区民の方々、多くの方々がこの千代田区に訪れ、にぎわいのあ
るまちとなっていくだろうと思います。すなわち、シティプロモーションは、本区にあります多
種多様な資源、魅力があり、発信する情報が豊富でありますが、反面、情報が多過ぎて、整理を
し、効果的な発信をする必要があるという趣旨でございます。言うならば、見える化ということ
だろうと思います。このことが、私は、オリンピックを通じた千代田区におけるレガシーにもな
ると思います。
一方、地方との連携の話は、全然このシティプロモーションとは直接関係ございません。ご承
知のとおり、千代田区は、地方からエネルギー、食材、さまざまなことを提供を受け、支えられ
ているという、そういう意味で、千代田区が1日300万人以上の方が来街いたしますんで、そ
うしたことを、この千代田区という場で、情報の、地方の食材等を提供し、あるいは発信をする
ということを考えて、この地方との連携という事業をさせていただいております。まさに、お互
いにウィン・ウィンで、よりよい関係をつくっていくというのがこの事業の趣旨であります。
なお、詳細及びその他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
○教育担当部長(小川賢太郎君)
たかざわ議員のご質問のうち、お茶の水小学校・幼稚園の建
てかえについて、お答えいたします。
お茶の水小学校校舎は昭和48年竣工、体育館は昭和40年竣工で、老朽化が進んでいる状況
でございます。小学校・幼稚園の建てかえは、これまでの例では、現位置での建てかえを基本手
法としておりました。しかしながら、現在のお茶の水小学校・幼稚園は敷地が狭く、現位置で建
てかえた場合、例えば校庭に50メートル走や100メートル走のトラックが整備できないなど、
十分な教育環境の確保が難しい状況にございます。
また、たかざわ議員ご指摘のとおり、幼稚園は、隣接する錦華公園の一部を暫定利用の形で、
長期間、継続的に利用している状況でございます。建てかえに際しては、もとの公園用地に戻す
ことが求められ、さらに敷地が狭くなることが予想されます。加えて、仮校舎への移転、それに
伴う通学路変更への対応など、児童・園児、保護者の皆様に多大なご負担をおかけすることとな
ります。
これらの状況を踏まえ、まずは教育環境の向上を第一に考え、子どもや保護者の負担軽減など
も考慮し、お茶の水小学校・幼稚園の建てかえに際しては、従来の現位置での建てかえにとらわ
れず、さまざまな選択肢を視野に入れ、検討を進めている状況でございます。
調査費については、新しい学校の構想について、専門的な検討を進めるため、まちづくり部門
とも連携し、活用していく予定でございます。今回の建てかえにより、教育環境のみならず、地
域全体に寄与する計画となるよう、早急に検討を進めてまいります。
建てかえのスケジュールは、ちよだみらいプロジェクトにも掲載してございますが、今年度策
定する構想をベースに、平成28年度・29年度に基本設計・実施設計を行い、平成30年度に
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工事に着工後、平成32年度の新校舎開校を目指し、着実に進めてまいります。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
○地域振興部長(立川資久君)
たかざわ議員の「地方との連携」並びに「まちみらい千代田」
に関するご質問にお答えいたします。
まず、「地方との連携」についてであります。
千代田区を初めとする大都市は、人材はもとより、食料・エネルギーなど、経済活動、生活全
般にわたり地方に支えられ、成り立っております。地方あっての大都市であり、お互いの強みを
生かし、不足するところを補完し合い、共生の理念に基づき、ともに発展・成長していくべきで
あります。
連携の具体的なメリット・効果といたしましては、「区内消費者の産直商品等の購入機会の拡
大」「地域や商店街等の集客力の向上」「イベント関連事業者や産直食材を活用する飲食店、広
告・印刷業、空きビル活用を行う不動産業の商機の拡大」などが挙げられます。
次に、フードバレーネットワーク事業数についてであります。
地方と商店街や事業者との連携が進んでいくことにより、区が側面的に支援として関与する事
業数が発展的に増加するとの想定で指標を設定したものであります。
次に、まちみらい千代田の1年間の成果と課題についてであります。
公益財団に移行した後、昨年の6月からは、「住宅まちづくり」、「産業まちづくり」、「協
働まちづくり」を3つの柱として位置づけ、事業を展開しております。
住宅まちづくりでは、マンション関連施策の一元的推進を目指し、まちみらい千代田をその総
合窓口として位置づけ、マンション防災対策への積極的な支援や、マンション管理にかかわる事
業に幅広く取り組んでおります。
また、産業まちづくりでは、中小企業支援に向け、新たにビジネス法律相談を実施したほか、
千代田ビジネス大賞に国の後援を得ることができ、この賞の格付も上げることができました。
さらに、協働まちづくりでは、休止していたまちづくりサポートを再開し、19団体の応募を
得て、今年6月に、3年ぶりに公開審査会を実施いたしました。
課題といたしましては、防災対策を切り口に、区内の400棟を超える分譲マンションへ計画
的にアプローチを行うこと、マンション・カフェの開催等を通じたマンション内コミュニティの
醸成や地域との連携体制の構築、さらには、継続的・安定的に各事業を実施していくための自主
財源の確保などが挙げられます。
なお、職員につきましては、マンション施策の一元的推進のため、昨年4月、区派遣職員を2
名増員するとともに、民間のマンション管理士を活用いたしております。さらに、技術部門の強
化を図るため、今年2月に専門職員を1名増員したところでございます。
〔オリンピック・パラリンピック担当部長河合芳則君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック担当部長(河合芳則君)
たかざわ議員のご質問のうち、シテ
ィプロモーションにおけるコンサルタントの委託内容及び現在の進捗状況についてお答えいたし
ます。
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初めに、コンサルタントへの委託内容につきましては、魅力発信会議において専門的なアドバ
イスを受けることにより、会議の議論を深め、整理していくなどの運営支援や、区民アンケート
の実施・集計・分析作業や報告書の作成などでございます。
また、民間企業が持つシティプロモーションに関するノウハウを活用して、専門的な見地から
さまざまな支援・アドバイスを受けることにより、効率的に議論を進め、区の魅力を整理・体系
化し、効果的に発信していくシティプロモーションの推進を図るものでございます。
次に、現在の進捗状況につきましては、シティプロモーションの検討組織といたしまして、区
内在住・在勤・在学者で構成する「千代田区魅力発信会議」を新たに設置して、議論を始めたと
ころでございます。今後、多様な視点から区の魅力についてご議論いただき、体系化していきた
いと考えております。
〔特命担当部長須田正夫君登壇〕
○特命担当部長(須田正夫君)
たかざわ議員の研究組織の設置についてのご質問にお答えいた
します。
まず、これまでの進捗状況につきましては、現時点では、他の自治体の取り組み事例や専門家
へのヒアリング方法など、検討の素材となる情報収集に取りかかったところでございます。研究
組織の検討はまだ緒についたばかりというところでございます。
次に、他区の状況につきましてでございます。
現在、23区では、港、新宿、世田谷、荒川の4区が政策研究組織を設置していると認識して
おります。その形態は各区の実情に合わせて、さまざまでございます。
次に、政策会議廃止の理由とその成果につきましては、政策会議は平成13年に設置して以来、
さまざまな分野の専門的な知見を有する委員からの幅広い視点でご意見を伺い、区政全般に生か
してまいりました。しかし、区民ニーズの多様化などとともに、1つの課題に絞った専門的議論
が難しくなってきたことから、廃止に至りました。
次に、区長の考える研究組織と政策会議との違いにつきましてでございます。
政策会議は、各界の専門家から幅広い意見を伺う懇談会的なものでございます。一方、研究組
織は、単なる調査機関にとどまらず、新たな発想や中長期を見据えた政策を考え、それを実現に
つなげていくものであり、そうした人材を育成するという点でも大きな役割を担っていると考え
ております。
次に、研究組織の必要性があるのであれば、基本計画前に立ち上げるべきではないかという点
についてでございます。
千代田区は、「ちよだみらいプロジェクト」に掲げておりますように、区政運営に当たっては、
他の自治体以上に、世界や日本全体の社会経済情勢を見きわめ、地方との連携の促進や地域固有
のポテンシャルの活用、多様な主体による地域社会のつながりへの対処などの必要があり、多角
的・多面的な視点で柔軟に対応することが求められております。そこで、その実現に向けた取り
組みの一環としての体制づくりが重要であると考えております。
○19番(たかざわ秀行議員)
19番たかざわ秀行、自席より再質問いたします。
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まず、研究組織、自治体シンクタンクについてですが、自治体シンクタンクというのは今どん
どんできてきているが、どんどん廃止しているところもあると聞いております。23区でも、中
野区が3年間やっていたんだが廃止に至ったということを聞いておりますが、その状況というの
は把握されていますでしょうか。
それからもう一点、シティプロモーションについてですが、私の認識とは違って、千代田区で
は情報が多過ぎる、魅力が多過ぎるので、それを整理して発信していくんだよと、そういう答弁
だったかと思うんですが、これは確認です。それでよろしいでしょうか。
それともう一点、お茶の水小学校についてですが、児童の負担を軽減することを一番にという
ご答弁がありましたけども、どこに建てるのも、私が途中でお話ししましたけども、昔つくられ
た学校は、ここが安全だよというところが、主眼が置かれてつくられているところが多いんです
ね。公園についてもそうですけども。その子どもの負担の軽減を第一に考えるということである
んであれば、安全性というのは二の次なのかという、その辺のお答えをいただきたいと思います。
以上で終わります。
〔区長石川雅己君登壇〕
○区長(石川雅己君)
たかざわ議員の再質問にお答えいたします。
シティプロモーションに関することだろうと思いますけど、私が答弁で申し上げましたのは、
大変魅力がある、それをまず見える化をしなきゃいけないということもあります。一方では、気
がつかない部分もあるだろうと。そういうものも含めて掘り起こしをし、それで見える化をした
いというのが、このシティプロモーションの大きな目的であります。
以上でございます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
○教育担当部長(小川賢太郎君)
たかざわ議員のお茶の水小学校・幼稚園の建てかえについて
の再質問にお答えいたします。
議員ご指摘の安全につきましては、これは全ての施策の基本となるものでございまして、大前
提でございます。その上で、子どもの教育環境の改善を第一に、今回の建てかえについては進め
てまいりたいというふうに考えてございます。
〔特命担当部長須田正夫君登壇〕
○特命担当部長(須田正夫君)
たかざわ議員の研究組織についての再質問にお答えいたします。
議員ご指摘のとおり、中野区は平成19年から平成22年までの3年間で、「中野区政策研究
機構」という名前で創設したものを、解散したというふうな記述がございます。その理由としま
しては、当初立ち上げた自治体シンクタンクとして培ったノウハウと、それから、その中で得ら
れたネットワークを活用して、政策室調査研究分野として区政課題の調査・研究に取り組んでい
るということでございまして、その組織としてノウハウを職員が会得し、区の内部で調査に取り
組んでいるということでございます。(発言する者あり)
○議長(戸張孝次郎議員)
次に、日本共産党区議団を代表して、12番木村正明議員。
〔木村正明議員登壇〕
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○12番(木村正明議員)
私は、日本共産党区議団を代表して質問いたします。
今定例会は、戦争か平和かの歴史的岐路の中で開かれました。安倍内閣が5月15日、安保関
連法案、いわゆる戦争法案を国会に提出したからであります。最初にこの問題を質問します。
法案の目的は、国民の命と日本の平和を守ることではありません。逆に、日本を「海外で戦争
する国」につくり変える法案です。これまで、日本政府の憲法9条解釈に関する全ての見解は、
一貫して、「海外での武力行使は許されない」ということを土台に構築されてきました。ところ
が、昨年7月1日の「閣議決定」と、それを具体化した戦争法案は、集団的自衛権の行使を容認
し、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために海外で武力行使をする道を切り開くものと
なっています。
さらに、戦争法案は、これまで政府が「戦闘地域」としてきた場所にまで自衛隊を派兵し、戦
争をしている米軍等への補給、輸送などの「後方支援」を行おうとしています。「後方支援」、
つまり兵たんは、国際法上、格好の軍事目標とされる戦争行為の一部とされ、武力行使と一体で
す。武力行使と一体でない「後方支援」など、およそ世界で通用するものではありません。こう
して、いつでも、どこでも、どんな形の戦争でも、米軍が始めた戦争に日本が参戦することにな
ります。この法案の危険性は、国会審議を通して一層浮き彫りになりました。
第一は、憲法をじゅうりんする違憲立法だということです。6月4日の衆議院憲法審査会で、
与党推薦を含む3名の憲法学者が全員、「憲法違反」と断じました。既に220名を超える憲法
学者が、違憲・廃案の態度を表明し、戦争法案の憲法的な正当性を根底から揺るがす事態となっ
ています。
そこで政府は、合憲の根拠として、1972年の「政府見解」と砂川事件最高裁判決を持ち出
してきました。しかし、「72年見解」は、集団的自衛権の行使は「憲法上、許されない」と結
論づけたものであります。「安全保護環境の変化」という理由で、結論だけを180度変更する
のは、詭弁と言うほかありません。
また、砂川判決について言えば、問われたのは、「米軍の駐留」が違憲か合憲かでした。集団
的自衛権については全く触れていません。何よりもこの判決が出て約55年間、政府は一貫して、
「集団的自衛権」の行使はできないと言い続けてきたわけであります。それが安倍政権になって
突如として、砂川判決は集団的自衛権の行使を容認していると言い出しました。戦争法案の合憲
性を装うためにこのような判決しか持ち出せないところに、戦争法案の危うさと無責任さがはっ
きり示されています。
第二の危険性は、この法案を推進する勢力の異常なアメリカ追随ぶりであります。集団的自衛
権問題の一番の核心はどこにあるでしょうか。日本政府が米国の無法な戦争に参加するのではな
いかという危険性にあります。なぜなら、日本政府は、米国による国際法違反の先制攻撃の戦争
に、戦後ただの一度も反対したことのない、世界でも珍しい国だからであります。実際に、グレ
ナダ派兵、リビア爆撃、パナマ軍事介入と、国連がアメリカを名指しした非難決議に対して、日
本政府は、それぞれ「賛成」「支持」「理解」を示してきました。イラク戦争の口実とされた
「大量破壊兵器」が米国政府による「捏造」だったことが明らかになっても、安倍政権には、こ
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れらの戦争を支持し、協力してきたことを検証し、反省する立場がありません。このようなアメ
リカ追随の政府が、集団的自衛権の行使に踏み出すことがいかに危険か。米国による無法な戦争
に参戦し、侵略国家になりかねない。ここに集団的自衛権の一番の現実的危険があります。
もともと、戦争法案の準備は、日米両政府が4月27日に合意した、新たな日米軍事協力の指
針(ガイドライン)と一体で進められてきました。「ガイドライン」とは、いわば日米共同の戦
争マニュアルであります。「新ガイドライン」は、集団的自衛権の行使を前提としています。そ
のため、日本政府は、従来の法律や憲法解釈では対応できなくなり、そこで戦争法案が必要にな
ったのです。戦争法案は、「新ガイドライン」のいわば実施法でもあります。
アメリカのアーミテージ元国務副長官は、4月28日、あるテレビ番組で、「新ガイドライン」
についてこう述べました。「日米が、より対等なパートナーシップになる。日本周辺でアメリカ
人を助けるため、自衛隊員も命をかけるという宣誓だ」、こう言ったわけです。なぜアメリカは、
日本の若者の命を欲しがるのか。米国は、アフガニスタン戦争とイラク戦争で大破綻しました。
両戦争で六千数百名の米兵が戦死し、さらに、帰還した米兵200万人以上のうち60万人がP
TSDなどを患い、年間8,000人、毎日平均で22名が自ら命を絶っています。戦場で命を奪
われる恐怖とともに、人命を奪ったことへの心の痛みがPTSDの原因と言われています。それ
に加え、膨大な戦費が財政も破綻させました。2つの戦争で、累計100兆円にもなる戦費を費
やしたといいます。ですから、米国内で反戦世論が高まるのも当然であります。
こうした事情から、アメリカは、自衛隊が米軍の補完部隊となるよう求めてきました。この要
請に忠実に応えたのが安倍首相であります。もともと、「軍事同盟は血の同盟」というのが彼の
信条でもあるからです。
アフガン戦争とイラク戦争に派遣された自衛官のうち、54名が、帰国後、自ら命を絶ったこ
とが国会に報告されました。「非戦闘地域」「人道復興支援」とされた派遣でも、戦地と変わら
ない現地の恐怖とストレスから精神に不調を来した、その結果であります。未来ある若者を、今
度は「戦闘地域」に派兵するのが戦争法案です。アメリカの戦争に日本の若者の命を差し出す国
になってはなりません。
戦争法案について、国民世論は「反対」が「賛成」を上回り、8割が「今国会での成立」に反
対しています。にもかかわらず、安倍政権は、「8月中に成就する」との対米公約を、この世論
よりも優先させています。安倍政権の政治姿勢を、区長はどう思われますでしょうか。戦争法案
とともに、民意に背を向ける安倍政権の政治姿勢について、区長の所見を伺うものであります。
戦争法案は、「存立危機事態」とみなされると、地方自治体に対し、戦争への協力を義務づけ
ます。安全保障の問題だからといって、住民を危険にさらす法案についてまで、地方自治体が見
解表明を抑える理由はどこにもありません。明快な答弁を求めます。
関連して、自衛隊からの「適齢者情報の提供」の依頼について、区長の基本姿勢を伺います。
自衛隊は毎年この時期に、自治体に対し、18歳から26歳までの氏名・住所・男女別・生年
月日の4情報の名簿の閲覧を求めてきます。そもそも「適齢者名簿」の情報提供は、自治体の判
断に委ねられており、拒むことも自治体の裁量権の範囲であります。ましてや、「海外で戦争を
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する国」づくりに対して、広範な区民が批判と不安の声を上げています。自衛隊への適齢者名簿
の提供はもちろん、名簿の「抽出閲覧」にも、応ずる必要は全くありません。区長の所見を求め
るものであります。
次に、国民健康保険制度について質問します。
「大砲かバターか」、この言葉があるように、「戦争する国」づくりと社会保障の充実は決し
て両立しません。社会保障制度の大後退の1つが、5月28日に成立した医療保険制度改革関連
法案であります。現役世代も高齢者も負担増と給付減という内容です。私は、その中から、国保
制度の「改革」について伺います。
国保制度の一番の問題は、加入者の貧困化が進んでいるのに、保険料が上がり続けていること
にあります。滞納世帯が増えるのも当然です。千代田区の滞納世帯は、約2,700世帯に上って
います。こうした事態の元凶には、国の予算削減と、区の一般会計からの繰入額の削減がありま
す。ところが、医療改革は、この元凶に目を向けず、市町村国保を「都道府県単位」に寄せ集め
て、都道府県の監視のもとで住民負担増と収納対策の強化を進めようとしています。
例えば、都道府県による区市町村への「標準保険料率」の提示、保険料平準化の推進、保険料
の収納率などに応じて補助金を出す「保険者努力支援制度」の創設などは、区市町村を保険料引
き上げと収納対策の強化に駆り立てることになるのではないでしょうか。
さらに、都道府県が策定する「医療費適正化計画」の強化も盛り込まれました。そこでは、医
療給付費の目標総額が明記されます。「地域医療構想」によるベッドの機能の再編・削減とリン
クさせ、医療給付費を抑える仕組みであります。これにより都道府県が、国保料と医療給付費と
いう2つの手綱を握ったことになります。今後、保険料の引き上げか、それとも医療費の抑制か
という選択を都道府県が市区町村に迫っていくことになるのではないでしょうか。
こうした悪政に対し、区政は区民の防波堤となるべきです。この立場から3点質問します。
第一、国庫負担の引き上げを国に求めるとともに、新しく創設された「保険者支援制度」1,7
00億円を活用し、国保料の引き下げの検討を求めるものです
第二、資格証明書の発行をやめることです。国保料滞納理由に正規の保険証を取り上げられ、
「資格証明書」が発行されると、区民は窓口で10割負担を求められます。千代田区の発行世帯
は226世帯であり、加入世帯の2.75%を占めます。23区平均の1.51%と比較しても高
い割合です。国民の命と健康を守る公的医療保険が、住民の生活苦に追い打ちをかけ、医療を奪
うことなど絶対にあってはなりません。
第三、国保料と一部負担金の減免制度の運用改善です。千代田区は23区の中で減免制度の利
用者が一人もいない区であります。利用する際の要件が厳しいのではないでしょうか。
2011年2月の仙台高裁秋田支部の判決は、「収入の著しい減少」を「2分の1以上」に限
定する要件について、「合理性は認めがたい」と判断しました。また、一部負担金の減免判断は、
生活保護基準を目安とすることが合理的との見解も示しています。同様の要件を持つ千代田区も
参考にすべき判決だと思います。この判決を踏まえ、低所得者に対する国保料と一部負担金の減
免制度の運用改善を求めたいと思います。
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最後に、住み続けられるまちづくりについて質問します。
国連の社会権規約は、居住の権利を「適切な住居に対する権利」、「安全に、平穏に、人間と
しての尊厳が認められる場所で生活する権利」と規定しました。この権利は、単に居住費、居住
スペースを含む住宅保障にとどまらず、居住環境や生活保障全般を含むものと言えるでしょう。
そのような居住の権利を保障するまちづくりはどうあるべきでしょうか。3つの視点から質問し
ます。
第一は、安全な住宅の保障です。「適切な住居」の第一の要件は安全性であり、命を守れる住
居でなければなりません。阪神淡路大震災の直後に亡くなった約5,500名のうち、住宅倒壊に
よる圧死が約9割を占めたといいます。その大半が木造住宅でした。住宅白書によると、区内の
木造住宅の過半数が、旧耐震の住宅です。木造住宅の耐震促進事業の一層の周知と促進を求める
ものであります。
さて、まちみらい千代田が管理組合を対象に実施した「マンション実態調査」によると、耐震
診断を実施していない理由として、「費用が高い」が5割、「耐震工事費を捻出できない」が2
5%となっています。区民の8割がマンション住まいです。安全な住居をつくる前提として、耐
震診断は欠かせません。23区の中でも数区で始めた「無料の簡易耐震診断制度」を千代田区も
実施すべきではないでしょうか。あわせて、耐震補強工事における住民の合意形成の困難さも踏
まえ、住民が合意した部分の補強工事だけでも助成する、段階的な助成制度の検討を求めるもの
であります。
第二は、市街地再開発事業などの大型開発事業や、マンションの建てかえ問題についてであり
ます。
居住の権利は、誰もが住んでいる場所に住み続けられる権利でもあります。市街地再開発事業
などの大型開発事業を、住み続けられるまちづくりという視点から検証が求められているのでは
ないでしょうか。
例えば、富士見二丁目あるいは淡路町の再開発事業では、1割を大きく超える地権者が転出い
たしました。転出理由の1つが、居住環境の激変です。土の上で生活してきた80代、90代の
区民が、20階、30階という高層階で生活することがどんなに苦痛か。容易に想像できます。
超高層となることで、ビル風、日照等の環境問題、人口急増に伴う教育・保育施設等のインフラ
不足などを引き起こします。また、独自の問題として、保全についての合意形成の難しさ、修
理・修繕のコスト高等があり、さらに長周期地震動などの被害が未知数であります。何より、5
0年後、100年後を見通した持続可能な住宅となるのか。課題は山積していると言えるでしょ
う。市街地再開発事業などの大型開発事業を、住・環境への影響、開発前後における従前地権者
の推移、維持管理コスト、コミュニティ等について、継続的に検証することを提案するものであ
ります。
さて、建てかえ計画が進んでいる、あるマンション住民から、建てかえに対する不安の声が寄
せられました。居住環境が大きく変わること、費用負担への不安でありました。
先ほどの「マンション実態調査」を見ると、デベロッパーの建てかえと開発意欲は旺盛であり
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ます。あるデベロッパーは、「リノベーションマンションはローリスク、ローリターンなので積
極的には展開しない」とはっきり述べていました。こうした声を受け、「実態調査報告書」も
「デベロッパーは千代田区でのマンション事業について前向きである。老朽化したビルやマンシ
ョン建てかえ、再開発の進行に大きな期待を持ち、積極的に意欲のあることが読み取れる」とま
とめています。
問題は、この方向で果たして建物と住民の2つの老いに直面するマンションで、誰もが住み続
けられる再生を図れるかどうかであります。日本は、人口減社会に向かっています。今や大量生
産・大量消費・大量廃棄は過去のものになりつつあります。そうした時代にふさわしいマンショ
ンの再生方向はリニューアル、あるいはリノベーションではないでしょうか。人間関係の断絶は
なく、居住環境の激変もありません。高齢者にとっては心身の負担も少ないでしょう。費用負担
も少なくて住み、自然環境にも優しい手法であります。これからは、建てかえではなく、リニュ
ーアルやリノベーションを区政の推進方向として、強く太く打ち出すべきではないでしょうか。
見解を求めるものであります。
第三は、まちづくりへの住民参加であります。
居住環境に影響をもたらす建設計画や、都市計画などの決定過程に住民が参加できる権利が保
障されなければなりません。今定例会には、総合設計制度を使った日本テレビスタジオ棟の建て
かえ計画に対する陳情書が提出されています。総合設計制度は、市街地の環境の整備改善に資す
ると行政長が判断すると、容積率が上乗せされます。その許可は、原則的に数値基準による機械
的判断が中心であります。そのため、この制度には、市街地環境が改善されるかどうかを最も身
近に判断できる周辺住民の意向を酌み取る視点が欠落しています。だからこそ、区独自の調整制
度が求められるのではないでしょうか。
独自の制度を持つ2つの自治体を紹介します。
1つは荒川区です。独自の「荒川ルール」を定めています。千代田区の早期周知条例の趣旨に
加え、興味深いルールが定められています。例えば、建設計画の周辺住民で構成される「地域関
係者会」の規定です。地域関係者会は、その計画に対する要望を、「意見書」という形でまとめ、
区長に提出します。その意見書の内容を踏まえ、区長と事業者が協議をし、「意見書」への「回
答書」を事業者は区長に提出します。地域関係者が、その「回答書」に不満があれば、区長に協
議の継続を要請でき、事業者は、その協議に引き続き応じなければなりません。あわせて、地域
関係者会が、意見書をまとめる際、助言をしてくれる学識経験者を派遣する制度を規定している
ところも注目に値します。
いま一つは狛江市であります。まちづくり条例で、近隣住民と事業者との調整システムを定め
ています。学識経験者と公募区民で構成されたまちづくり委員から調整会を選び、その調整会が
近隣住民、事業者、市長の出席を求め、しかも公開で口頭審理を行います。住民、事業者、市長
は、この調整会の勧告を尊重しなければなりません。大変進んだ住民参加のシステムではないで
しょうか。
区長、千代田区でも、こうした自治体の取り組みにも学び、住環境を守る区独自の調整制度を
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一緒につくっていこうではありませんか。答弁を求めるものであります。
以上、誰もが住み続けられるまちづくりを、住宅の安全性、大型開発、住民参加の3つの視点
から見てきました。根底にあるのは、住民の居住権であります。この居住権の保障を、自己責任
や市場原理に委ねるのでなく、文字どおり人権の中核として区政の中心に位置づけることを最後
に強調し、質問を終わります。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
○区長(石川雅己君)
木村議員の、平和安全保障関連法案など、現政権に関するご質問にお答
えいたします。
議員ご指摘の法案というものは、我が国の安全を守るという点において、従来の認識とは異な
る観点から示されていると私も認識をしております。ぜひ、国政における唯一の立法機関である
国会において、十分な議論をいただくことを期待しているところでございます。
なお、詳細、その他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。(発言する
者あり)
〔保健福祉部長松本博之君登壇〕
○保健福祉部長(松本博之君)
木村議員の国民健康保険制度に関するご質問にお答えいたしま
す。
初めに国庫負担の引き上げを国に求めることについてですが、これまでも全国市長会として要
望してきており、今年も財政支援の拡充と確実な実施、さらなる国保財政基盤の強化の実施等の
提言を行う予定となっております。また、「保険者支援制度」を活用した保険料の引き下げにつ
いてですが、先月、改正国保関連法が成立し、国保の財政運営責任主体を平成30年度から都道
府県に移行することなどが決まった状況のもと、今後、都内区市町村の保険料水準がどう定めら
れていくか等を注視しながら、国民健康保険事業の安定的な運営のために活用してまいります。
次に、資格証明書の発行についてですが、加入者間の負担の公平性や事業の適正運営を図るた
め、国保法令などに基づいて発行をしております。資格証明書の発行に際しましては、文書によ
る督促・催告等の通知だけでなく、窓口における納付相談や電話督促、戸別訪問などにより滞納
者との接触を図り、その生活実態の把握に努めるなど、きめ細やかな対応をしております。また、
小規模な保険者としての千代田区の特性を生かしながら、顔の見える関係性の中で、滞納者との
接触の機会を確保するよう努力し、厚生労働省の通知などの内容に即した適切な運用を図ってい
るところでございます。
最後に、国保料と一部負担金の減免制度についてですが、区で用いております減免基準では、
「収入の著しい減少」について2分の1以上に限定しておらず、また、「生活費の基準」につい
ては、生活保護制度の基準生活費に15%上乗せした額を使用しております。今後は、こうした
基準を職員に徹底し、相談対応の中で対象者に対して適切な情報提供を行い、個別ケースごとに
きめ細やかな相談対応をしてまいります。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
○地域振興部長(立川資久君)
木村議員の「自衛隊への適齢者情報の提供」に関するご質問に
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お答えいたします。
各自治体は、法定受託事務として自衛官募集事務の一部を担っております。自衛隊が自衛官募
集に当たって必要となる情報を提供することは、自衛隊法、同施行令、住民基本台帳法など各法
令に照らし合わせても、特に問題はないものと認識いたしております。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
○まちづくり担当部長(坂田融朗君)
木村議員のご質問にお答えいたします。
まず、木造住宅の耐震化でございますが、木造住宅については、地震の際に突然建物が倒壊す
ることのないよう、生命財産を守るという観点から、区独自の取り組みとして支援策を拡充して
まいりました。今後も引き続き耐震化の重要性についてのご理解を得られるよう、周知方法を工
夫しながら支援してまいりたいと考えております。
次に、マンションの簡易耐震診断についてでございます。
簡易耐震診断は、主として法に基づく本診断の必要性や、その費用の概算を所有者に提示する
ものであり、図面の確認など、限られた調査であると承知しております。区では、分譲マンショ
ンで一定の住民登録があれば、ほぼ全額の本診断助成を実施しておるところでございます。補強
工事にその結果を用いることができない簡易診断よりも、建物全体の耐震上の課題を把握でき、
補強工事にもつなげていくことができる本診断の実施を今後とも進めてまいりたいというふうに
思います。また、建物の一部補強についてですが、費用等の課題から全体の補強工事を一気に実
施することは困難なケースも考えられることは確かでございます。そのため、耐震化への第一歩
として、建物全体の耐震性の確保を前提に行う段階的な改修工事に対しても、既に助成対象とし
ているところでございます。
次に、市街地再開発事業等の検証に関するご提案でございます。
面的な開発は、敷地単位では改修や建てかえの困難な建物が密集している地域の機能更新や、
道路や広場等の生活基盤の確保など、当該エリアのみならず、周辺の市街地環境の改善にも寄与
する有効な手法の1つであると認識しております。また、本区においては、再開発事業の実施に
際して、地区計画により地域の将来像を地域の方と共有しながら、周辺地域への影響も考慮した
取り組みを進めており、地権者間の合意はもとより、周辺地域との融合も図っておるところでご
ざいます。再開発事業の検証については、開発前に生じていた課題と、それを解決するための開
発に伴って新たに生じた問題を、事後的に比較することが、従前地権者や周辺住民の意識、感情、
あるいは価値観等、定性的なものになるため、何をもっての評価か難しいものがあると考えてお
ります。
次に、リフォームやリノベーションに対する考え方でございます。
一般的に建てかえと比較しますと、費用負担が小さく、工期が短いことなどのメリットがあり
ます。しかしながら、既存建物の主要構造を残すため、住宅の強度などに不安を感じている方に
とっては、抜本的な解決策にはなり得ません。マンションの更新・再生を円滑に進めていくため
の第一歩となるのは、日ごろからの適切な維持管理です。改修か建てかえかという二者択一では
なく、それぞれの状況に応じて適切な対応を選択していくことができるよう、マンション管理の
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適正化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、区独自の建築・開発調整制度についてでございます。
千代田区では、個々の建築行為から生じる紛争を未然に防ぎ、当事者間の自主的な解決を図る
ため、「建築計画の早期周知制度」を他の自治体に先駆け、「条例」により制度化してきたとこ
ろでございます。これにより区の紛争予防条例の適用案件はもとより、都の紛争予防条例の適用
案件についても、地域関係者に対する説明会の開催や意見書の受理・回答などを通じて、計画に
対する理解を深めているところでございます。議員ご指摘の区独自の調整制度ですが、例示され
た自治体では、それぞれがその地域特性に即した調整の手法を取り入れているということと思い
ますが、多様な土地利用が考えられる千代田区においては、これまで、良好な街区形成を行うた
めの手法として、地域が主体となる地区計画制度の有用性に対する認識を持ちながら取り組んで
おるところでございます。
今後も、地区計画を通じて定めた、きめ細かなまちづくりルールを基本にしつつ、「早期周知
条例」や「紛争予防条例」の運用の中で、実効性のある建築紛争の予防・調整に取り組んでまい
ります。
○12番(木村正明議員)
12番木村正明、自席より再質問いたします。
まず、今言われた――あ、座ってからに。じゃあ、国保の、伺います。資格証明書の問題です。
適切に対応しているというご答弁でした。
問題は、国保料を払っているか払っていないかという問題と、医療を受けるか受けないかのリ
ンクをさせているというのが問題だと言っているわけですよ。国保料を払っていなくても、医療
を受ける権利は誰にでもあるんですよ。国保料が払えないというのは、独自の減免制度で個別に
対応する問題で、国保料を払っていないから10割負担ですよというやり方はおかしいじゃない
かと。大体、国保料を払えなくて経済的にご苦労されている方が、病院へ行って10割負担でき
ますか。その辺はきちんとリンクを断ち切って対応すべきだと。個別の問題として。国保料を1
年間滞納したら資格証明書に切りかえるというやり方を改めるべきじゃないかというのが趣旨で
ありますので、再答弁をお願いします。
それから、独自のルールについてであります。
荒川に聞いてきました。そこの独自のルールで約40件対応して、ほとんどが協定締結まで行
き着いたという話であります。早期周知条例があるのは承知していますよ。しかし、それでも住
民の声に応えてくれないから、陳情書が出ているんでしょう。区のより積極的な介入をお願いし
たいということで陳情書が出ているわけですよ。今の早期周知条例で間に合うんだというんだっ
たら、区の願い事を受け入れませんよという態度と同じですよ。やはり、評価は、現状の到達は
きちんと評価した上で、次、何ができるのかということを一緒に考えようと言っているわけです
よ。一緒に考えたくありませんか。(発言する者あり)区独自の調整制度について、再度お願い
します。
それから、戦争法案です。
いや、部長の答弁、驚きました。そうしますと、自衛隊から要請があったら、適齢者とされた
30
年齢、(ベルの音あり)子どもたちの4つの情報を自衛隊に提供するということですか。はっき
りご答弁ください。
以上です。
〔保健福祉部長松本博之君登壇〕
○保健福祉部長(松本博之君)
木村議員の国民健康保険に関する再質問にお答えいたします。
木村議員が冒頭のご質問の中でも引用されました判決の中でも、その国民健康保険制度という
のが加入者相互の扶助の精神に基づいて運営をされるべきだと、それを大前提にした判決でござ
いまして、そういう中では、やはり保険料の負担、また、一部負担金の負担、そういったものに
ついて、他の加入者の理解を得られるような、そういった中での運用が必要だというのがこの判
決の大前提になっておるところでございまして、そうしたところについてきちんと対応していく
というのは保険者として求められていることであると、そのように考えてございます。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
○地域振興部長(立川資久君)
木村議員の自衛隊への適齢者情報の提供に関する再質問にお答
えいたします。
住民基本台帳法でも国の機関の住民基本台帳の閲覧請求を認めておりますし、自衛隊法施行令
でも、防衛大臣は自衛官募集に関し、区長に対し必要な報告または資料の提出を求めることがで
きると定められております。閲覧に応じるのは当然であり、現に都内の全自治体は応じておりま
す。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
○まちづくり担当部長(坂田融朗君)
木村議員の再質問にお答えいたします。
区独自の調整制度についてでございますが、他の自治体の例でそのようなものが現実にあるこ
とは承知をしております。しかしながら、実態として、千代田区との土地の違い、用途・容積・
土地利用が全く違うという中では、その手法は取り入れない。また、一緒に考えていこうという
ことは大いに結構なことだろうというふうに思っております。(発言する者あり)
○議長(戸張孝次郎議員)
午後3時14分
議事の都合により休憩します。
休憩
31
午後3時30分
○議長(戸張孝次郎議員)
再開
休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、会議時間を延長します。
各会派の代表質問を続けます。
ちよだの声を代表して、13番小枝すみ子議員。(発言する者あり)
〔小枝すみ子議員登壇〕
○13番(小枝すみ子議員)
それでは、ちよだの声を代表して、大きく4本のテーマについて、
初回の質問をさせていただきます。
全てに貫く問題意識は、人口5万人の目標を達成したことを機に、これまでバブル期以降、
「ハコと床と人口増」にシフトしてきたまちづくりを、文化とコミュニティを重視し、量から質
に転換してはどうかということが、全ての問題に貫かれている私の意識です。
まず、初めに、長期計画「ちよだみらいプロジェクト」について伺います。
この計画は、今年から10年間、つまり2020年のオリンピック前の5年、後の5年を挟む
大変重要な10年間になります。この10年間をどういうふうに運営するかによっては、本当に
千代田区、このまちがどのようなまちになっていくか、本当に重要なときに私たちは立たされて
いるというふうに思っています。そして、行政の方は、この計画をつくるに当たっては大変なエ
ネルギーを投じられてきたというふうには思います。しかし、私たちは、その一方で、こうした
計画に対して苦い経験も味わってまいりました。この種の計画は、一旦動き出すとひとり歩きを
して、行政の錦の御旗になってしまうときがあるからです。多くの区民が知らないようなことで
も、後で、ほら、ここに書いてあるよと、決まっているのですと言われてしまうことがたびたび
あって、これが大きな住民運動の入り口になったりすることがありますので、何が起こるのだろ
うかと、見落としてはいけないというふうに身構えてしまう自分もいます。
中身に入らせていただきます。
バブル期に夜間人口4万人を切った千代田区が、このたび悲願の人口5万人を達成しました。
この考え方、すなわち人口回復を悲願とするという考え方には、実は常に対立がありました。数
さえ増えればいいのか、再開発をして床さえ増えればいいのかと、絶えず論争がありました。ハ
コと床が増えれば人口は増えるかもしれませんが、税の負担や環境悪化で、地べたの住民や従来
からの住民はほとんどいられなくなるのではないか、文化の破壊が進むのではないかという声に
対し、行政は人口増の政策を常にとらざるを得ませんでした。しかし、ここまで歩みを進めてき
てどうだったのか、立場を超えて、一度振り返ってみる必要があると思います。
まず、この10年計画ですけれども、歴代、今回は3代目の計画ということになります。初代
の計画は1980年の遠山区長によってスタートしたもので、その5年後、加藤区長による改正
基本計画とこの2つがセットで、1980年代全体をカバーしています。2代目の計画は木村区
長によるもので、学校や公共施設のあり方をめぐって地域が二分した時代、1990年代をカバ
ーしています。そして3代目が、2000年以降、石川区長によるものですが、今回の計画は、
その改定版ということになります。
32
内容的には、初代遠山区長による計画から35年、千代田区は一貫して定住人口の回復と、住
み続け、営業を続けられるまちを再生すること、この1点、それから、世界に2つとない歴史と
文化、伝統のまちを、その豊かさを守り抜いていくという、この2つの「大きな命題」を背負っ
てまいりました。新たなスタートに当たり、2つのこの命題に対して、区が取り組んできたこと
が果たして有効だったのか、もしくは力足らずだったのか、区長のみならず、区政に携わってき
た全ての者たちが一旦振り返る必要があると思います。
記録によりますと、初代の計画を策定する当時、石川区長は東京都から千代田区に派遣をされ
た企画部企画課長、すなわち現在の古田課長のようなお立場にあって、(発言する者あり)仕事
に携わっていらっしゃいました。そのころからどのように見ていらっしゃるでしょう。ちよだみ
らいプロジェクトには、10年後の人口が6万5,000人というふうにありますが、5年後なら
まだしも、10年後、オリンピックの先にそのように人口が向上していくということがあるでし
ょうか。そのお考えの根拠を伺っておきたいと思います。
1つの参考になるデータがあります。千代田区で何十年も変わらず、毎年調査をしている「区
民世論調査」というものです。必ず最初に居住年数を聞き、そして次に、永住するつもりはある
かどうかということを問います。
30年前の1985年と現在を比較してみました。居住年数については、「生まれてからずっ
と居住」と答える方が、30年前は24%、そして今現在が13%で、1割の減です。定住意向
について、「永住するつもり」と答えた方は、30年前で57%、今回の調査で39%、2割の
減です。30年前と現在の人口がほぼこういうふうになって同じですので、母数で計算すると、
1割なら5,000、2割なら1万というふうに大ざっぱにはなります。
どこに生まれて育とうと、法のもとには平等です。しかし、これではコミュニティは守り切れ
ません。かつて国の規制緩和策に疑問を持った私はロビー活動や国会傍聴に通ったことがありま
したが、そこで交わされた議論は、都心の住民は、便利さも、環境も、日照も独占をしている。
都心の一等地を、それ以外の人にも住めるようにすべきだと、大臣自らが激白していたことを私
は忘れることができません。このようなことを激白する議員や大臣の出身地は大抵関西であった
り、もうちょっとその向こうであったり、そのようにして必要な規制が緩和され、都心の文化を
守ってきた住民は、次々と転居を余儀なくされてしまいました。
古くからの住民がかなりの割合で根っこを張って暮らしていてこそ、このまちのあったかみや
よさ、そして安全性というものがあります。それは、古くからの住民ではない私のような者のほ
うがきっとよく見えるのだと思います。そのためにこそ、これより議論される開発協力金の使い
方を含め、維持してきた年間予算の1.5倍以上の基金を十分にそれらのことに活用していく知恵
を出すべきではないかと思っています。
20年前に、生まれる子どもが200人を切って、小学校の13校を8校へと減らしました。
その20年後の今、0歳児の人口が600人以上。ということは、3倍以上になっているんです。
ということを一体誰が予測したでしょうか。2020年、東京オリンピックの後、地価はどうな
るでしょうか。マンション価格はどうなるでしょうか。既に日本の人口は激しく下降線をたどり
33
始めています。駆け込み建設をわざわざ呼び込んで、再びバブル崩壊の憂き目に区民たちを遭わ
せることのないよう、量より質を重視した都市計画に切りかえていく手だてを講じる必要がある
のではないでしょうか。区長の問題認識を伺います。
次に、住み続け、商売を続けるということに対する積極的支援策について伺います。
まず、空き家ストックの活用の考え方についてです。
千代田区住宅白書によりますと、今ある直近のデータでは2008年しかないんですが、29.
6%、つまり1万戸近い空き家が区内に存在するとありました。景気の浮き沈みがあるにせよ、
今後も相当数存在することは確かです。これまで千代田区は、区民住宅、区営住宅など、建てる
ことが中心で、ほかは次世代育成助成など、家賃補助による支援などもありますが、区民住宅や
区営住宅に投資している経費に比べれば、微々たる予算でした。千代田区の応能応益家賃設定の
考え方は、ほぼ所得の25%程度だったんじゃないかと思うんですが、400万円の所得であれ
ば月額8万円程度と、この価格の高さについては議論を別にするとして、これからは新たなハコ
ものを供給することに税金を使うより、既に存在する民間のストックを活用し、耐震シェルター
などの補助的な措置を施してリノベーションする、これを一定の基準のもとに登録し、応能応益
家賃で差額補助をする。例えばそのような考え方は成り立たないんでしょうか。
民間には、一定期間貸したい人がいます。介護が必要になって、施設に入った後、空き家にな
っているケースもあります。そうした物件を行政が介在して、商店街の跡取りなど、子ども夫婦
を近所に住まわせたいが家賃が高い、あるいは、何十年と商売を続けてきたけれど、家主の追い
出しに遭って住む場所が見当たらないというような昨今の状況を改善することの一助にはならな
いでしょうか。使っていない家は傷む一方ですし、貸したいけれどもノウハウがないなど、さま
ざまな事情で使われない空き家が放置をされ、いつしか壊され、空き地となってしまいます。
一方、商店街や地元商店で後継者の維持継続が必要です。その際、親が健在であるうちは、跡
取り夫婦は同居ができず、区外に転居、町会活動なども区外から通ってきているという方々は結
構目についています。1つの方法のみで継続維持ができるものではありませんが、地域で商売を
続けることのメリットをあらゆる角度から見せていく政策が必要です。その1つとして、次世代
への居住支援には多くの効用が期待をされます。地元商店は消防団の担い手でもあり、地域行事
の担い手でもあります。結婚して、親の商売を継いでいこう、地域や商店街の担い手になってい
こうとなることが望まれます。個人の努力だけではなく、行政の積極的な支援をしていくことが
望まれると思います。
この論点で、もう1つ角度を変えますが、千代田区にある「オンリーワンブランド」の「見え
る化」について伺っておきます。
千代田区は、歴史と伝統や皇居だけではなく、どの分野でもオンリーワンのヒト・モノ・サー
ビスがあると思います。遠くから食べに来たり、海外から買い物に来る、そのようなものが存在
をしています。そして、それらがある日忽然と消えてしまって、地域をがっかりさせるというよ
うなことも繰り返されています。百年企業と言われる歴史を持つ企業もあります。江戸時代から
あるものもあります。また、宮内庁御用達という自営業者も結構いらっしゃいます。甘酒屋や寒
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天屋、洋菓子、和菓子、コーヒー、紅茶、それらもオンリーワンのものですね。お寿司、おそば、
お肉、お酒などのグルメ、あるいは、刺しゅうや江戸小物、紙、生地、ボタン、アートフラワー、
刃物屋、まだまだいろいろなものがあるでしょうが、そういった工芸系のオンリーワンもあるの
ではないでしょうか。無名もあれば、有名もあります。複数のものもあれば、たった1つしかな
いものもあります。それ自体が既にもう「千代田ブランド」を形成していることもあります。
墨田区では「スカイツリータウンソラマチ」という拠点をつくって、「すみだ
まち処」とし
て店舗の紹介をしています。多くの人が集まるところに、そのようなブランドを、より見えるよ
うにしてアピールし、各商店街でもそうした情報を交換しながら、オンリーワンのブランドをも
っと見える化して、連なる強さを発揮して、相互の発展をしていけるようにしてはどうでしょう
か。
また、これはちょっとつけ足しですけど、どこに行っても手軽なまち歩き用の地域マップ、小
林たかやさんも以前やったと思いますけど、こういう、これは谷根千で歩いていたらもらったん
ですけど、本屋さんとか、どこかに、こう、ぽっと置いてあるんですね。そうすると、これを見
ながら――全然知らない道なんだけれども、これを見ると、あ、もうちょっと歩いてみようかな、
もうちょっと、あ、こことこういう距離なんだというふうにわかるんですよね。こういうお手軽
なものが、別に有名なところじゃなくても各所にあるという。ほどよい距離でね。そういうのが
いいと思うんです。
ここまでが商店街関係です。
次に、歴史的建造物の保存に対する積極的支援策について伺います。
1984年の「教育と文化のまち千代田区宣言」は、いつ読んでも色あせることがありません。
新人の議員さんたちも、もうお読みになったでしょうか。これは長期計画の中でも、加藤清政さ
んのときのなんですけれども、区長挨拶の次ページにこのように書いてあります。
現状に対する強い危機感と、郷土への愛情、文化を守る強い思いが表現されています。一部紹
介します。「わたしたちのまち千代田区は」という始まりで、「日本の経済発展のために、……
歴史的環境が壊され、多くの仲間がこのまちを離れ、地域社会としての人々のふれあいが薄くな
り、都市としての活力が失われつつあります。わたしたちは、地域に根差した人間性豊かな教育
を行い、歴史的に培われた郷土の文化遺産を子どもたちに伝え、次の世代の市民をはぐくみま
す」。
このような先人たちの苦悩と決意を、私たちはどんなことがあっても忘れてはならないと思っ
ています。しかし、果たして今、千代田区政はこの思いをしっかりと引き継げていると言えるで
しょうか。歴史的に培われた郷土の文化遺産がますます加速度がついて壊されようとしています。
それに対して、区は有効な手だてが打てないのでしょうか。
この間、江戸城外濠の鬼門でもある御茶ノ水駅の開発は進み、九段会館の取り壊しは参議院で
決議をされ、日大カザルスホールに対しても、いまだ何の動きも見られません。宮内庁も皇居も、
高木を植えて、光公害から生態系を守るしかありません。昭和の方たちは、皇居や歴史的建築物、
先人の文化を大切にすることが、自分たちが都心に住み続けられることでもあるということを知
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っていたかのような、そのような宣言になっていると思います。この内容に感心するとともに、
現在の認識にそういった苦悩が感じられないことに私は危機感を感じています。
九段会館については、昨年の6月に岩佐議員が、9月に小林たかや議員が本会議で質問をし、
区長は、「今後も国の窓口と十分にいろんな情報を収集しながら、国がどういう方向を考えてい
るかということも把握しながら、この問題について対応してまいりたいと思います」と答えてい
ます。その後どういう対応をされてきているのでしょうか。
日大カザルスホールは、平成25年の3月、私の質問に区長は、「区政ができることをできる
だけさせていただきます」とお答えになっています。その後の状況をお聞かせください。
九段小学校については、一部保存の上、建てかえが決定しています。一部保存されるとはいえ、
千代田区最後の復興小学校、そして国指定の近代化産業遺産の事実上の解体は、大変残念なこと
でもあります。せめて、解体のその前に、記録として日比谷図書館の資料館職員や建築の専門家
の手によって、公式に記録として保存をし、復興小学校とは何だったのか、関東大震災後の学校
に込められた、その大人たちの思いを今後の後世に残し、公開できるようにしておくことが必要
だと思います。文化財担当のお考えを伺います。
大変駆け足ですみません。
最後に、学校跡地利用のあり方として、旧千桜小学校、東松下町計画のこれまでとこれからに
ついて伺います。
お聞きになる皆さんは、遠くの知らない学校の話ではなく、もしこれが自分の身近な、例えば
番町小学校だったら、例えばお茶の水小学校だったらと、身近な学校に置きかえて想像しながら、
旧千桜小学校の扱われ方について、重ねてお聞きになってみてほしいと思います。
この計画は、2001年第3次長期計画と並行して発表された「推進プログラム」に当初頭出
しをされた計画です。学校跡地と民有地を合わせて3,400平方メートル、その土地に高さ62
メートルの区営住宅棟と83メートルの民間住宅棟を2棟一体で整備することで、官民合わせて
407戸の住宅が新たにできるという計画です。
これがそのパース図です。新人の皆さん、まだご存じないかもしれません。
この計画をわかりやすく説明することは至難のわざです。現在混迷を深めている新国立競技場
問題と同様に、この計画を本当に理解している人は、職員も議員も、実は本当に誰もいないんじ
ゃないかというような、そういう計画になっています。とりわけ、責任者が6代ぐらいかわって
いますので、行政側のほうにしてみれば、過去のことも含めて、経緯経過がわかっている者が誰
もいません。そして、説明できないまま、もうこれは処理済みです、終わったことですというふ
うになっています。
6月5日、ちょうど2週間前に、千代田区と、事業者であるスターツコーポレーションは、7
3年間に及ぶ定期借地権契約を交わしました。73年と一言で言いますが、今が平成27年です
から、平成100年、そう契約書に書いてあるんです。時価30億円以上の価値を持つ学校を、
幾つかの必要な手続を飛ばして進めてしまったと、この問題はそういう問題です。
どんな手続を飛ばしたのかということについて、説明いたします。
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私は、その必要な手続さえ踏んでいれば、手順・手続さえ踏んでいれば、ここで質問に取り上
げることはありませんでした。行政の論理は、学校の跡地といえども、この計画は、73年間定
期借地で土地を貸し付けて、最後には原状復帰をして、73年後ですけれども、千代田区に返し
てくれるんだから、売却ではない。区長の専権事項なのだと、そういうふうに言っているわけで
すね。
渋谷区では、今年の3月に、宮下公園というところ、三井不動産と組んで30年間の定期借地
で、商業施設、宿泊施設を建設するということが発表されました。ところが、議会でもまれ、基
本協定案が議会の了解が得られなかったために、審議未了、廃案になったということです。そし
て、新しい議会にも、今回6月は見送って、次回の9月までに十分に議論するというふうにあり
ました。渋谷区は、区の本庁舎も定期借地で行うため、これも議決事項として整理したというふ
うに聞いています。30億円相当の、高額かつ貴重な住民の共有財産を貸し付けるという重要な
行為を、議決も委員会への相談も報告も何もなく行うということは、既に二元代表制のあり方と
しても、想定の枠外であります。法の趣旨、条例の趣旨を逸脱するものであると。これが第一の
問題です。
議会の議決を経る、このことによって、区民に不都合なことは一生懸命修正され、平成100
年の73年後の住民が、不都合なことがないように、議員の一人一人も責任を持たなければなら
ないとの意思を持つので、そこで、議会と事業者と緊張関係が生まれることによって計画が高ま
り、そして住民の発言権も高まるわけです。行政と事業者と進めているそのレベルでは、事業者
は区民の利益より開発の利益、ましてや、事業者であるスターツコーポレーションは、1年前に
この件で一部上場を果たし、44億の株式公開をし、Jリートによって投資を集めているという
ことを考えれば、投資家の利益を第一に考えるのは当たり前のことです。
定期借地権は平成4年に誕生した仕組みで、まだ事例や判例が足りません。が、地方自治法9
6条第1項、「議会が議決すべき事項」と、それに基づく千代田区の条例、「財産の取得又は処
分に関する条例」において、社会通念上、この中に位置づけられているものとみなすべきではな
いでしょうか。いずれにしても、本契約は議会の議決を経るべき事柄だと考えます。
少し計画について説明をいたします。駆け足でいたします。
ここが、これですね、千桜小学校の跡地ですね。「定期借地権契約」で、この、区営は区が直
接、こちらが民間棟、73年の開発をするということで、この周辺、学校の周辺に1,200平方
メートルの民間の土地が張りついているんですけれども、その15地権者が協議会を結成して、
所有者と等価交換契約で事業参加することが前提になっている。区有地だけではどうにもならな
い計画なんです。
計画発表からもう13年たっているわけですけれども、さまざまなもめごとや問題が発生した
ことは古い議員はみんな知っているんですけど、それが公開制を担保をすることが必要だという
ことで、デベロッパー選定委員会というのをつくって、8カ月間かな、7回にわたる公開の議論
を行った末に、最も良質な提案であるということで、スターツコーポレーション、そのグループ
を選定しました。そして、幾つかの条件をクリアしたら貸しますよということで、基本協定を結
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んでいます。ところが、この基本協定に反する大きな2大違反があります。2分しかないので、
ぺらぺらとしゃべります。
1つは、この七、八カ月かけてつくった、この計画が優良であるという、その論点が全てない
がしろにされているということです。30秒で言います。
これは区民の説明会で使った資料なんですけれども、高さを70メートル台に抑えてまちなみ
に配慮したというけれども、これはもう今変更して、83メートルになっています。広場が非常
にできがよいというけれども、入り口の北側の広場のところの有権者は、(ベルの音あり)もう
排除して、その分、100平米、入り口、建物がふさいでいます。それでその面積を区営住宅棟
のところを削り取って数字を合わせたと言っています。そして、吹き抜けで通風がいいというの
も大変大きな要素だったんですけども、もう、この吹き抜けはありません。全部埋まっています。
そして、このスーパーマーケット720平米というのもありますけれども、これはもう200平
米、3分の1以下です。
まだまだいろいろある……
○議長(戸張孝次郎議員)
小枝議員、質問時間が過ぎましたので、直ちに終了してください。
○13番(小枝すみ子議員)
はい。まだまだいろいろあるんですけれども、と言えないぐらい
たくさんあります。終わったんだ。
それで、最後、2点目。2点目だけ一言言います。(発言する者あり)地元の地権者……
○議長(戸張孝次郎議員)
時間が過ぎています。
○13番(小枝すみ子議員)
15地権者が、もう既に判こを押してなきゃいけないんです。こ
れも協定の……
○議長(戸張孝次郎議員)
ルールに従ってください。
○13番(小枝すみ子議員)
前例だったんですけれども、これも判こを押していないのに、区
と事業者が判こを押してしまったという現状があります。これも協定違反。この2つの協定違反
を含め、この計画は手順・手続を踏んでいないというふうに申し上げて、質問とさせていただき
ます。ご答弁をお願いします。
○議長(戸張孝次郎議員)
皆さんにお話ししますが、ルールは守っていただきたいと思います
ので、よろしくお願いいたします。(「そうだ」と呼ぶ者あり)(拍手)(発言する者あり)
〔区長石川雅己君登壇〕
○区長(石川雅己君)
小枝議員のご質問のうち、「ちよだみらいプロジェクト」の現状把握に
ついて、まずお答えいたします。
ご承知のとおり、「みらいプロジェクト」についてでありますが、この計画の策定に当たりま
しては、インターネットによるアンケートの実施や、区民会議を設置し、熱心なご議論をいただ
くなど、区民の参画については、過去に例がないほど意を私は尽くしてきたと思っております。
今後も、「住民のための計画」として区民参画を重視して、計画の実現に取り組んでまいりたい
と思います。
そして、10年間、これは固定するわけではなくて、5年たった段階で、必要があれば見直す
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という、そういうことも入っております。
次に、人口に関する認識でございますが、定住人口は自治体の存立基盤であるということは、
小枝議員もいろいろご承知だろうと思います。急激な人口増がインフラ整備等に課題となること
がありますが、人口を少なくするという、考える、私は、自治体は、聞いたことがありません。
ご案内のとおり、千代田区の人口流動は社会的特性が要因となっております。1つは、いろん
な、新しく入ってきている方からお聞きしますと、千代田区の子育てとか高齢者、そうした施策
というのを捉えて入ってくる方もいらっしゃいます。あるいは、交通の利便性がある。あるいは
教育環境がいい、あるいは文化施設がさまざまにあるなど、社会的資源という観点からの判断も
あって、人口増というのはあると思います。もちろん、冒頭自民党の代表質問でもお答えしまし
たけど、住宅地という、そういう政策的な効果も、私は相まっているんだろうと思います。
で、みらいプロジェクトで示しております10年後の人口6万5,000人は、目標人口ではな
い。あくまでも想定であります。従来の計画が全て目標人口という設定をしておりますが、これ
は想定人口である。したがって、想定人口を前提にしたさまざまな行政サービスは、計画化をい
たします。これが「みらいプロジェクト」の考え方でございます。したがいまして、この計画に
おきましては、増えることを歓迎、人口の増えることを歓迎したり、悲観的に捉えるという、そ
ういう種類のものではないということだけはご理解を賜りたいと思います。
次に、古くからの――まあ、質問のちょっと、趣旨がよくわからないわけですけど、古くから
の住民のための基金を活用するというようなご提案があったと思います。これは、私は、新たな
住民と古くからの住民との間に差をつけるというような趣旨であるならば、それは到底できるこ
とではありません。しかし、千代田区が、千代田区で生まれ育ち、住み続けたいという区民の
方々の思いを十分に配慮し、尊重していくということは、当然のことだろうと思います。
それから、歴史的建造物についての保存について、個別には担当部長からお答えいたしますけ
ど、今回の九段小学校のああいうパターンについては、建築学会は大変評価をいたしております。
しかも、あれについてはかなり建築学会の先生方にも加わっていただいて、教育環境の整備と、
それから現状のああいう歴史的建造物の保存との調和をとったものであります。
我々は、常に、文化学院を含めて、中央郵便局あるいは博報堂等々について、既にいろんな知
恵を働かせながら、歴史的建造物についての保存ということを、全面的ではないですけれども、
そういうことを常にやってきておりまして、その一環として九段小学校も取り組んだわけでござ
いますんで、そこはぜひ、認識を改めていただきたいと思います。
なお、詳細、他の事項については、関係理事者をもって答弁いたさせます。
〔地域振興部長立川資久君登壇〕
○地域振興部長(立川資久君)
小枝議員のオンリーワンブランドの「見える化」に関するご質
問にお答えいたします。
区では、現在、区の財産として蓄積されてきたさまざまな文化資源や観光資源などの魅力を体
系化し、そして、効果的に発信していくためのシティプロモーションに取り組んでおります。議
員ご提案の「見える化」は、まさに同じ方向にあるものと存じます。
39
また、本区の商工振興基本計画におきましても、「千代田ブランドの向上」を目標に掲げ、区
で生まれた多くの地域ブランドの力を一層高め、効果的に情報発信していくことといたしており
ます。現在、商店街等において、パンフレットの作成・配布やホームページでの情報発信を行い、
また、観光協会においても、ガイドマップの配布や、ホームページ、ソーシャルメディアでの情
報発信を行っており、区もその支援を行っております。
今後は、シティプロモーションの検討状況を踏まえながら、ご指摘のように、一層、連帯感・
一体感を持ったアピールを行えるよう、具体策を検討してまいります。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
○まちづくり担当部長(坂田融朗君)
小枝議員のご質問のうち、商店の後継者育成のための空
き家利用についてお答えいたします。
本区においては、今日社会問題化している、いわゆる「空き家」と言われ、放棄された住宅は
ほとんど存在しないものと思います。ただし、既存ストックの活用方策は、今後も有効利用を検
討していかなければならないものと考えております。
議員ご指摘のように、商店の後継者を育成していくことは区内商工業の課題であり、商工振興
施策の中で効果的な方策を検討することが求められております。その中で、既存ストックを活用
した居住支援という間接的な手法にどれだけの効果があるのか、そもそも特定の商店の保護に税
金を投入することに区民の理解が得られるのか等々を考慮すると、住宅施策の中で商工振興を考
えることは困難であろうというふうに考えております。
次に、歴史的建造物の保存についてですが、その土地の歴史的な建造物を大切にすることは、
その土地だけが持つ固有の文化、あるいは生活様式等に触れ、その土地に対する愛着、誇り、帰
属意識を形成し、コミュニティの形成の一助になるものと考えております。その趣旨で、従来か
ら、地域を象徴する建物や愛着のある建物の更新に際しては、建物所有者と協議を行い、できる
限り土地の記憶を継承する方策を検討し、努力をしているところでございます。
まず、お尋ねの九段会館につきましては、昨年11月に改正遺族会国有財産無償貸与法が成立
をいたしました。その内容は、国は民間に定期借地権契約で土地を貸し、国が民間建物の床を取
得して遺族会に無償で貸し付けるという仕組みでございます。そのために、今後、民間事業者の
募集に際し、与条件の整理をすることになりますので、区としては景観重要物件として指定した
経緯を踏まえまして、財産を所管する財務省と協議してまいりたいと考えております。
次に、カザルスホールでございますが、現在なお建物に関する計画はないものと聞き及んでお
ります。
次に、九段小学校・幼稚園の建てかえに伴う記録保存についてでございますが、これは先ほど
区長も述べておりましたが、本件は、地域の英知を結集して現計画に結実したものでございます。
建てかえに当たっては、仮校舎移転後、解体に着工するまでの時間を使って、文化財担当等の意
見も踏まえながら、校舎内外の写真撮影等を行い、記録を残し、後世に伝えていくことを検討し
ております。
次に、東松下町計画についてのご質問でございます。
40
本計画は、平成14年から既に10年以上経過をし、この間、議会でのたび重なる議論や地権
者等の合意形成を経て、工事着手の段階に来たことを考えますと、もう一度原点に立ち返って考
えるという段階ではないと考えております。この上で、最初のご質問の地権者の住民の数につい
てでございますが、現在は6世帯、整備後は8世帯になると聞いております。
次に、定期借地権設定契約手続についてですが、現行条例上、議決案件とはなっておりません。
また、契約については、既に地権者おのおのが個別に事業者との等価交換基本協定、実質的な契
約内容を結び、そのことを基点に早期周知条例、紛争予防条例等の手続を進め、本年建築確認を
取得したという、一連の法令手続にのっとり、行ったものでございます。
最後に三者協定でございますが、これまでの状況の変化を踏まえながら、3者間において十分
な議論を重ねた上で、この事業を進めるための骨格を定めたものでございます。
〔政策推進担当部長歌川さとみ君登壇〕
○政策推進担当部長(歌川さとみ君)
小枝議員のみらいプロジェクトに関するご質問に、区長
答弁を補足してお答えをいたします。
本区の区政運営におきましては、常に区民の視点を重視して、さまざまな事業に取り組んでお
るところでございます。当然、定住化の政策や都市政策においても同様でございまして、ハード
面の開発等に偏ることなく、区民の暮らしを重視した視点でソフト面でのさまざまな施策の充実
に取り組んでおります。その結果が、今日の定住人口増加の要因の一つになっているものと認識
してございます。
都市政策やまちづくりの視点においては、量から質へのシフトは大きな流れであり、現在、策
定作業を進めている第三次住宅基本計画においても、住宅の量の確保から、住環境の質の向上に
シフトさせることを検討しております。
今後も、区民の視点に立ち、生活の質の向上を図るために各種施策を推進し、住み続けられる
まちの実現に向けて取り組んでまいります。
○議長(戸張孝次郎議員)
次に、公明党議員団を代表して、5番大串ひろやす議員。
〔大串ひろやす議員登壇〕
○5番(大串ひろやす議員)
平成27年第2回定例会にあたり、公明党議員団を代表して質問
を行います。
質問は、東日本大震災の教訓を踏まえ、防災対策の大きな転換がなされたことをまず確認し、
阪神淡路大震災からちょうど20年、東日本大震災からは丸4年が経過した節目に当たり、改め
て区の防災対策を問うものであります。
最初に、区の防災対策の基本的な考え方についてであります。
平成25年に、東日本大震災の教訓を踏まえ、国は災害対策基本法の大幅な改正を行いました。
過去最大の改正が行われたと言われております。その主な改正点は2点であります。
1点目は、「住民主体の防災対策」の促進を基本理念として第2条の2に新設したことです。
条文では、「住民一人一人が自ら行う防災活動及び自主防災組織、その他地域における多様な主
体が自発的に行う防災活動を促進すること」とうたわれたのであります。
41
もう一点は、これも新設でありますが、「地区防災計画」制度が定められたことであります。
第42条の3に、「市町村内の一定の地区内の居住者及び当該地区に事業所を有する事業者が、
共同して行う防災訓練、地区居住者による防災活動に必要な物資及び資材の備蓄、災害が発生し
た場合における地区居住者の相互の支援、その他の当該地区における防災活動における計画につ
いて定めることができる」と、住民の作成する防災計画を制度として定められました。
さらに、この「地区防災計画」を市町村の地域防災計画に反映させることができる「計画提案
制度」も同時に定められました。防災に関しては、国、都道府県、区市町村という縦の計画体系
となっています。阪神淡路大震災のときも、それは変わりませんでした。今回、ボトムアップ型
の地域住民からの地区防災計画を法に定めたことは、まさに画期的な出来事となりました。
以上の2つの主な改正は、防災に対するこれまでの考え方を、「行政主体の防災対策」から
「住民主体の防災対策」へと大きく転換する大改正となったのであります。
内閣府が作成した「地区防災計画制度入門」――内閣府防災担当の西沢雅道氏と、同じく筒井
智士氏の共著であります――という本があります。これは、内閣府が作成した「地域防災計画作
成ガイドライン」を、よりわかりやすく説明した解説書となります。
まず、こちらが内閣府のつくった「地区防災計画ガイドライン」。インターネットでプリント
をとれるようになっております。これをまたさらに詳しく、Q&Aも交えて解説したのが、この
同じ内閣府の「地区防災計画制度入門」という本でございます。この本の冒頭に、この大きな転
換のことが書かれているので、ご紹介させていただきたいと思います。
その冒頭に地区防災計画制度の設けた背景が述べられていますが、防災に関しての大きな転換
について、わかりやすく明快なのでご紹介させていただきます。
「従来の防災は、国に計画があって、その下に都道府県や市町村の計画があるというように、
上意下達・トップダウンというイメージでした。しかしながら、平成7年の阪神淡路大震災、平
成23年の東日本大震災等では、被害が大変大きなものであったため、本来、被災した方々を支
援することはできませんでした。このような中で、災害時に、行政による「公助」に頼り切ると
いう姿勢から、地域住民による「自助」や町内会、隣近所等の相互の助け合いである「共助」を
重視するという方向に国民の考え方が変わってきました」と。これまでの縦の計画体系による防
災では限界があり、公助に頼り切る姿勢を改め、自助・共助を強くしていくことが必要なこと。
また、そのように国民の考え方も変わってきたと述べています。つまり、「行政主体の防災」か
ら「住民主体の防災」への転換であります。
このことについては、釜石市で防災教育で有名となりました群馬大学教授の片田敏孝氏が、か
ねてからその必要性を述べていました。災害対策基本法のこれまで50年にわたり果たしてきた
役割と成果は成果として評価した上で、以下のように述べています。
「災害対策基本法のもと、50年にわたって「行政が行う防災」が進められてきた結果、この
ような防災は行政が行うものというような防災文化が定着してしまっている。防災に対して過剰
な行政依存、情報依存の状態にある。自分の命の安全を全部行政に委ねる。いわば住民は「災害
過保護」という状態にあるのです。これが我が国の防災における最大の問題なのです。今、本当
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に必要なのは、主体的な自助であり、共助です」。また、「基本的に緊急避難の主体は国から国
民に返していくべきではないかと考えているのです」と。まさに、このたびの法改正は、片田氏
の主張に沿ったものになったと理解しております。
避難については若干説明が必要です。日本では、避難は漢字2文字しかありませんが、英語で
は3種類に分類されます。1つは、緊急避難、evacuation(エバキュエーション)、命からがら
の避難です。2つ目は、滞在避難、sheltering(シェルタリング)、体育館など避難所で一時生
活するような避難です。そして3つ目は、難民避難、refuge(レフュージ)、避難した家に戻れ
ない仮設住宅で生活しているような状態です。本来、難民生活と言うべきですが、日本では避難
生活と言っています。
片田氏は、緊急避難の主体を国から国民に返すべきであると述べています。私も賛成でありま
す。このたびの災害対策基本法の画期的な大改正をわかりやすく、広く区民にアピールしていき
たいものであります。
さて、この「住民主体の防災」の具体例ですが、これまでの本会議質問でもご紹介させていた
だきました釜石市の小中学生3,000人がとった自主的な避難行動や、気仙沼市子鯖地区の防災
行動などは、そのよい例であります。また、復旧・復興段階における例としては、宮城県岩沼市
があります。昨年の2月11日の朝日新聞デジタルに、宮城県岩沼市で「被災地初の集団移転事
業完了」の記事が掲載されました。「海沿いの6集落が1つにまとまって3キロ余り内陸に移っ
た」。
これが朝日新聞デジタルに掲載された写真なんですけど、こちらが全部新しいまち、集団移転
したまちでございます。行ってまいりました。
そして、「造成地約20ヘクタールに、先に自力再建した150戸と、長屋形式を中心とした
災害公営住宅210戸が並び、1,000人が暮らす。総事業費は200億円。「顔なじみの皆さ
んと一緒に暮らせることに安心しています」」との記事であります。コミュニティを大切にして、
集落ごと移転した最初の例になります。
「住民主体の防災」について調査しようと、公明党議員団として、今月1日に、この岩沼市を
訪問し、直接、市長――菊地市長さんと言われますけれども、お話をお伺いすることができまし
た。市長からは、「被災した6つの地区はもともとコミュニティの強い地域でした。また、移転
先のまちをどう描き、どうつくっていくかも、6つの各地区3名ずつ、代表格の人1人と、それ
から女性の方が1名、そして若い方1名という、こういう構成になっているそうですけれども、
検討会が重ねられました。また、被災地や住民が意見を出し合うワークショップなどを重ねてま
いりました。その積み重ねがあって住民の合意に結びつき、集落ごとの移転につながりました」
との説明がありました。
役所で説明を受けた後、移転先の新しいまち、先ほどの写真ですが、玉浦西地区を案内してい
ただきました。また、被災した6地区の現場も視察させていただきました。そこは、「千年希望
の丘」と命名され、約10キロにわたる森の防潮堤を築こうと取り組んでおられます。先月の3
0日に行われた第3回植樹祭では、住民とともに全国で支援してくださる方々、合わせて6,00
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0人の方が参加し、4万本の苗木を植えられたそうであります。住民主体に防災やまちづくりが
進められている典型的な例だと思います。大変参考となりました。
千代田区としては、平成18年に、「災害対策基本条例」を定め、「自助、協助、公助が相互
に補完し合い、連携しながら災害対策に当たる」ことを理念としてうたい、減災という考え方も
条例に入りました。また、建物の耐震補強を中心とする数値目標の入った「災害対策事業計画」
を策定し、行政としての防災対策を進めてまいりました。これらのことは、平成7年に起きた阪
神淡路大震災の教訓を生かしたものでありました。
そして、このたびの東日本大震災の教訓を生かした防災対策の大きな転換であります。東日本
大震災の教訓を生かした防災対策とはいかにあるべきなのか。節目を迎えた本年、区として防災
対策全般を「住民主体の防災」という視点から一度再評価し、今後の防災対策の推進を図るべき
と考えます。
そこで、区長に、今後の防災対策について、基本的な考え方をお伺いいたします。
次に、「地区防災計画」についてであります。
災害対策基本法に新たに「地区防災計画」制度が設けられたことは既に述べました。住民主体
の防災対策の目玉となるのが、この「地区防災計画」制度であります。特徴としては、以下の5
点が考えられます。
1点目に、地域コミュニティ主体のボトムアップ型計画であること。
2点目は、地区の特性に応じた計画であること。これは各地区の特性(自然特性や社会特性)、
また、想定される災害等(災害特性)に応じて、多様な形態をとることができるようになってい
ること。つまり、計画の作成主体、防災活動の主体、防災活動の対象である地区の範囲、計画の
内容等は地区の特性に応じて自由に決められるようになっているのが特徴であります。
3点目は、東日本大震災でも高齢者で亡くなられた方が66%に上りましたが、災害時要援護
者対策は重要な課題となっています。これは、地域のつながり、コミュニティの中での対策が必
要であります。よって、このコミュニティ主体の地区防災計画の中でしっかり位置づけていくこ
とも特徴となっています。
4点目です。継続的に地域防災力を向上させる計画であること。これは、単に計画を作成する
だけでなく、計画に基づく防災活動を実践し、評価し、見直しを行い継続することであります。
最後に、5点目です。計画づくりや日常の防災活動を通して、地域を守る共同体意識や連帯意
識が生まれ、新たなコミュニティも形成され、共助の厚みができ、共助の力が増していくという
ことが大きな特徴であります。
以上が考えられる計画の特徴であります。
さて、特徴として述べました、防災を通して新しいコミュニティが形成されるという考え方は、
昨年の区民集会のテーマでもありました。区民集会運営協議会では、「防災は各地域によって特
性も異なるので、連合町会ごと、防災のしおりを作成してはどうか」との提案がなされ、作成が
ほぼ完了したところであります。今後、地区防災計画の5つの特徴を兼ね備え、バージョンアッ
プを図ることも可能だと思います。新しいコミュニティの形成という視点からも、また、住民主
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体の防災という視点からも、大変有意義な区民集会となったと思います。
私は、平成21年第3回定例会において、この地区防災計画と同趣旨の「コミュニティ防災計
画」について、そのメリットも述べ、作成の提案をさせていただきました。答弁では、「地域の
メンバーによる地域主体のコミュニティを形成することが肝要であります。こうした方々が膝を
交えて話し合う中で、地域の実情を踏まえた図上訓練や防災マップづくり、災害時要援護者の救
援体制の整備などを通じて、地域の課題を住民自らが主体的に整理し、防災計画としていくこと
は、極めて有用と認識しております。区は、こうした取り組みに際して、警察、消防機関やボラ
ンティア組織と関連づけた行動指針など支援してまいります」と前向きな答弁でした。
また、自民党の内田議員は、昨年の第3回定例会にて、この「地区防災計画」について質問し
ています。答弁では、「地域コミュニティからボトムアップ型の地区防災計画の策定、これが最
重要課題です。したがって、区としても後押ししてまいります」と、積極的な答弁がありました。
今後、区としては、地域が自ら計画づくりを発意し、また、作成できるようさまざまな支援を
していくことが必要であります。例えば、制度周知のため、講師を招いてのシンポジウムや講演
会の開催。誰にもわかりやすい千代田区版の地区防災計画作成ガイドの作成。計画づくりには、
ハザードマップや地震の被害想定などリスク情報の提供が必要ですが、住民が主体的な行動がと
れるようリスク情報のつくり方を工夫し、提供すること。例えばハザードマップであれば、愛知
県清須市の作成した「逃げどきマップ」などが大変参考となります。具体的に計画作成段階に入
ったときは、職員の持っているノウハウの提供とアドバイスなどが考えられます。
繰り返しになりますが、「行政主体の防災」から「住民主体の防災」へと大きな転換を果たす
ための目玉となるのが、この「地区防災計画」制度です。より多くの地域で計画が策定されるこ
とを望むものです。
計画の特徴と具体的な支援の方法について述べさせていただきました。
そこで、「地区防災計画」策定のため、区はどのような支援を考えておられるのかお伺いいた
します。また、地区防災計画が完成した後、区の地域防災計画とどう整合性を保ち、どう位置づ
けていくのかも重要であります。あわせてご答弁ください。
次に、防災教育についてであります。
片田氏は、防災教育について、おどしの防災教育、知識の防災教育、姿勢の防災教育の3つの
タイプがあるとし、姿勢の防災教育が大事であると述べています。私も賛成であります。
おどしの防災教育については、恐怖心ばかりあおっても、故郷を嫌いになるばかりで効果はな
しとします。知識の防災教育、最も一般的なもので、ハザードマップなどリスク情報を配って終
わりとなってしまうものが多いようです。浸水域外に自分の家がある。ああ、よかった、で終わ
ってしまう。これでは想定を固定化し、災害イメージの最大値を固定することになってしまいま
す。事、災害情報に限れば、情報はInformationではなく、Communicationでなくてはなりません。
情報を一方向では、一方向――あ、すみません。ちょっとページが飛んでいる。ちょっと待って
くださいよ。(発言する者あり)ない。ちょっと待ってください。(発言する者あり)ここ、ど
うしちゃったんだ。(発言する者あり)すみませんね。ちょっと、思い出せる範囲で。
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情報を一方向ではなく、与えて、ともに考えさせるようにすることが大事であるということで、
知識の防災教育が、あれですよ、じゃなく、姿勢の防災教育が大事なんだというふうに、こう続
いてまいります。
で、姿勢の防災教育というのは、まさに子どもたちが自ら考え、自ら判断し、行動できるよう
に、こう教育を行っていくんですけれども、釜石市では避難の三原則を発表しました。想定にと
らわれるな。それから――想定にとらわれるな。それから、(発言する者あり)えっ、そうそう。
最善を尽くせ。それから、率先避難者たれ。この3つを釜石市はやって、大変、子どもたちはそ
のとおり行動したんです。(発言する者あり)はい、そのとおりです。
そして、千代田区はどうかということなんですけれども、私はこの姿勢の防災教育に準じた同
じような教育が千代田区にもある。これは、共に育む共育マスタープランに掲げられた教育目標
であります。その1点目が、自立性を育むとされた教育目標なんです。まさに内容を読みますと、
ほとんど同じなんです。ですから、千代田区版の姿勢の防災教育。例えば千代田区版の三原則な
んていうのができたら、すごくいいなというふうに思っております。そういうことですね。もう、
18ページに戻りましたので、いいですか。(発言する者あり)
そこで、区として、防災教育の意義をどう捉え、どのような教育を行っているのかお伺いいた
します。
次に、衆議院九段宿舎跡地の暫定利用についてであります。衆議院九段宿舎跡地について暫定
的な利用でよいので、子どもたちがボール遊びできるようにしてもらいたい。また、野球のキャ
ッチボールなど、練習に使えるようにしてもらえないかとの相談が多く寄せられました。国の今
後の利用計画等もあり、一朝一夕にはなかなか解決できません。私ども公明党議員団としても、
国会議員とのネットワークを生かし、衆議院の高木美智代議員、また竹谷とし子財務大臣政務官
と連携し、この相談への対応を図ってきたところでございます。3月13日には、現場で両議員
とともに、私と米田議員も立ち会い、衆議院の事務担当者より説明を受けたところであります。
今後、国との折衝や調整、また必要な整備等を行うことも出てこようと思います。そこで、区
として今後の進め方についてお伺いいたします。
以上、防災対策及び衆議院九段宿舎跡地について質問を行いました。区長並びに関係理事者の
前向きな答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍
手)
〔区長石川雅己君登壇〕
○区長(石川雅己君)
大串議員の行政主体の防災対策から住民主体の防災対策へのご質問にお
答えいたします。
議員ご指摘のように、平成25年の災害対策基本法の改正で、自助、共助による自発的な防災
活動が重視をされ、地域住民や企業などの積極的な防災活動が期待されることになったのが法の
改正の趣旨であります。で、その副次的な効果あるいは本質的な効果であるかもわかりませんけ
ど、まさに地域コミュニティやまちづくりの維持、活性化にも寄与するものだということで、こ
ういう法改正が出されたというふうに思っております。
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ところで、私たちの千代田区は、議員ご指摘のように、平成18年3月に千代田区の災害対策
基本条例によりまして、区民、事業者、帰宅困難者など、千代田区を構成する全ての者が支え合
って減災に取り組むという、「力」を3つ合わせた協助の理念をもって、地域の皆さん、特に地
域防災向上に努めているところである。
一例を申しますと、この条例ができる前に、ご承知のとおり、駅、主要な鉄道駅での帰宅困難
者訓練を通じて、帰宅困難者連絡会あるいは防災隣組ができております。それは、既にそこ、そ
の地域を構成する事業所等と、そうした帰宅困難者に関する隣組という制度もつくられておりま
す。我々も、議員がご指摘のように、まさに住民主体の防災対策という考え方は、今までも取り
組んでまいりましたが、さらに一層、法改正という趣旨を踏まえまして、こうしたことについて
取り組んでまいりたいと思っております。
ところで、災害対策基本法の改正では、区内の一定のエリアの地域住民と事業者の皆さんの発
意のもとに、地域の実情に応じた災害対策に力を合わせて取り組み、地域全体の防災力を向上す
るという趣旨であります。この取り組みの成果が地区防災計画であり、計画をつくる過程で、従
来にない新たなコミュニティの単位が誕生し、1つのコミュニティ形成がなされるものと私は認
識をしております。
地域を構成する住民の皆さんが、地区防災計画を策定するという発意は、それぞれの地域の課
題に関心を持ち、住民、あるいはそこでその地域を構成する事業者が解決しようという意欲のあ
らわれで、それこそがこれからの地域社会のあり方を考えるものにつながり、まさに新しいコミ
ュニティづくりに最大限寄与するものだろうと思います。
そこで、今後、各地域でこのような地区防災計画が策定される場合には、必要な情報あるいは
策定の過程で必要な支援等をさせていただきたいと思いますし、でき上がった成果物が現行の地
域防災計画との整合性を図ることも、今後課題に残されているだろうと思います。いずれにいた
しましても、今回の法改正による趣旨を十分に踏まえて対応してまいりたいと思います。
なお、他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔教育担当部長小川賢太郎君登壇〕
○教育担当部長(小川賢太郎君)
大串議員のご質問のうち、防災教育についてお答えいたしま
す。
防災教育の意義については、議員ご指摘のとおり、有事の際、自ら考え、自ら判断し、行動で
きる子どもを育成していくことであると認識してございます。このため、自らの身を守る知恵と
行動力を持った子どもを育てるということを主眼として、防災教育に取り組んでいるところでご
ざいます。
毎月実施している避難訓練では、事前に訓練時刻や内容を予告せず、抜き打ちで訓練を実施し
ています。また、区が実施しているシェイクアウト訓練にも参加し、まずは身を守ることの大切
さを認識するとともに、さまざまな場所での身の守り方を学びます。これらの取り組みにより、
災害時に子ども一人ひとりが自ら判断し、主体的に自らの命を守る力を身につけるものにつなが
っていると考えてございます。
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また、全ての小学校で、本所防災館等の防災学習施設において、首都直下型地震の発災から避
難までの一連の流れを体験的に学習しております。さらに、全ての中学校、中等教育学校では、
自らの命を守った上で周りの人を助けることができるようになるため、実践的な救命講習会を実
施して、自助・協助・公助の考え方を学んでいます。
今後も、各学校・園において、さまざまな災害状況を想定した避難訓練等を継続的に実施し、
あらゆる災害に対して自分たちの身を守るために主体的に行動できる子どもの育成に努めてまい
ります。
〔政策推進担当部長歌川さとみ君登壇〕
○政策推進担当部長(歌川さとみ君)
大串議員のご質問のうち、衆議院九段議員宿舎跡地の暫
定利用についてお答えをいたします。
区では、議員宿舎跡地の暫定利用に関する要望書を提出するなど、衆議院事務局との折衝をい
たしましたが、借用は難しいとの見解が示され、断念したという経緯がございました。そうした
中、さまざまな方々のお力添えによりまして、国の跡地利用が動き始めるまでの暫定的な利用で
はありますが、借用に向けて具体的な協議ができる状況となりました。
今後速やかに衆議院事務局に借用の意思をお伝えし、使用可能な面積や整備の方法など、借用
の条件について協議・調整を進めてまいります。
また、これと並行して利用方法の具体的な検討を行い、できるだけ早期に暫定利用が実現でき
るよう、鋭意取り組んでまいります。
○議長(戸張孝次郎議員)
以上で各会派の代表質問を終わります。
議事の都合により、休憩します。
午後4時38分
休憩
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午後4時50分
再開
○議長(戸張孝次郎議員)
休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問に入ります。
通告順に質問をお願いいたします。
初めに、16番永田壮一議員。
〔永田壮一議員登壇〕
○16番(永田壮一議員)
初めに、昨日、参議院本会議で改正公選法が全会一致で可決されま
した。選挙権年齢が18歳以上になり、若者の意見がより政治に反映されるようになった一方、
教育現場での政治的中立性の確保が重要になっています。そのためにも、国や地域を愛する気持
ちを育てるよりよい教科書を子どもたちに届けたいという思いで、教科書採択について質問しま
す。
本年4月に、来年度から使用される中学校社会科教科書の検定結果が公表され、全ての教科書
に竹島・尖閣諸島の領土問題や自衛隊について政府見解が記述されるようになりました。かつて
は、領土問題は北方領土のみ、自衛隊に関しては違憲論だけの記述が多かったので、一歩前進し
たと言えるでしょう。8月には、4年に一度の、公立中学校で使用される教科書の採択が教育委
員会によって行われます。教科書は、感受性豊かな子どもたちの将来を左右する重要なものです。
特に、公民、歴史の内容は、国家観、歴史観について教科書によって見解の相違があることを理
解した上で審査しなければなりません。中学校の公民的分野の学習指導要領では、「国民主権を
担う公民として必要な基礎的教養を培う」、「自国を愛し、その平和と繁栄を図ることが大切で
あることを自覚させる」とあり、歴史分野では「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民として
の自覚を育てる」とあります。
公民教科書の記述の1つを紹介すると、「主権国家には、国際法上、自衛権があるとされ、世
界各国は相応の自衛力を持っています。日本政府も、日本国憲法前文に『平和を愛する諸国民の
公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と記した国際政治の理想
と現実が異なっていることから、防衛体制の整備など、現実的な対応をしてきました。自衛隊は、
日本の防衛に不可欠であり、また、災害時の救助などでも国民から期待されるとともに、信頼さ
れています」とあります。
ほとんどの教科書では、こうした現実的な視点が欠如していて、一部引用すると、「私たち一
人ひとりが夢を実現できる平和な社会を築いていくためには、平和主義を広めることが必要で
す」。と。これでは、子どもたちが一見心地よい無責任な理想論に埋没してしまい、現実的視点
を失ってしまうでしょう。
天皇論では、「天皇は、日本国の象徴であり、日本国統合の象徴であって、この地位は主権を
存する日本国民の総意に基づく」という憲法第1章に触れる程度の教科書が多数な中で、日本の
歴史において権威と権力が分離するようになった後は、天皇は自ら権力を振るうことなく、幕府
などその時々の政治権力に正当性を与える権威としての役割を果たしてきました」というように、
我が国特有の天皇を中心としてきた現代につながる文化をわかりやすく説明しているものもあり
49
ます。
次に、歴史観の問題では、従来の歴史教科書の多くは、「先の大戦で、日本は軍部の力が強ま
ったことにより戦争に突き進み、アジアの多くの国々に迷惑をかけ、日本国民をも困難に陥れた」
というような内容の記述がほとんどです。安倍総理は世界各国を精力的に外遊していますが、日
本に迷惑をかけられたと主張する国は中国と韓国だけで、それ以外の国からはアジアを超えて世
界の盟主として期待されていることがわかります。
我が国の近現代史、とりわけ日清、日露戦争の勝利によって、不平等条約を撤廃し、世界の一
等国となった先人の歴史的偉業や愛国心を強調することは偏狭なナショナリズム、軍国主義につ
ながると批判する意見もありますが、このような教科書で学んでしまっては、「我が国の歴史に
対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」ことなどできません。
私は、学校教育は、まず集団生活の中で道徳心、公共心を教え、国家、社会に貢献できる人材
を育成することが大切であると、一貫して主張しています。自由や個性を主張するのは、以上の
基本ができた後のことです。
さて、前回の本区教育委員会の教科書採択会議の議事録を見ると、全ての教科書が全会一致で
決定されていることから、十分な議論があったかどうかわかりません。全国的傾向として、採択
率の高い教科書を採用し、議論を避けていると思われる現在の教科書採択について危惧していま
す。
最後に、本区では、今年男女2名の自衛隊入隊者を出しました。現在は候補生として厳しい訓
練中だと聞いています。このように、国家、国民に貢献したいという気概を持って、さまざまな
分野で活躍できる若者を育てていくためにも、日本人としての誇りと自尊心を育てることができ
る教科書の採択を求め、以下3点質問します。
1、本区教育委員会における教科書採択は、教育基本法の趣旨にのっとって中立公正な採択が
進められているのか。
2、教科書採択会議は、公民、歴史教科書の国家観、歴史観といった対立点を認識した上で議
論できる環境なのか。
3、各社の教科書の違いを認識するのは時間もかかり困難な作業ですが、どのような過程を経
ておのおのの教科書の内容を把握し決定に至ったのか、採択をした根拠、決定の過程を明確に示
すことができるか。
以上、教科書採択についての質問を終わり、次の自転車対策と取り締まりについてお聞きしま
す。
6月1日、自転車運転の取り締まり対象となる危険行為、罰則規定を定めた改正道交法が施行
されました。悪質運転危険行為として14項目が規定され、信号無視、通行禁止違反、歩行者妨
害、歩道での徐行違反、通行区分違反、一時停止違反、ブレーキのない自転車運転、酒酔い運転、
携帯電話使用など、安全運転義務違反が取り締まり対象として明記されました。近年、自転車事
故は減少していますが、歩行者との事故については横ばい状況で、特に都心部で多くなっていま
す。
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今回の改正道交法施行以前から、ここ数年増加している自転車通勤やロードバイク普及による
事故対策で取り締まりは強化されており、道交法違反容疑での摘発は5年間で5倍に増えました。
日常的に多く見られる信号無視、携帯電話や傘を使用しながらの運転で事故を起こせば、自動車、
自動二輪車同様に安全運転義務違反で責任を問われることになります。
これら危険行為によって摘発された場合、交通違反切符あるいは自転車指導者警告カードを交
付されますが、3年以内に交通違反切符を2回受けると、公安委員会から自転車運転者講習、3
時間で手数料5,700円が課せられます。この講習は3カ月以内に受けなければならず、従わな
い場合は5万円以下の罰金となります。14歳未満には罰則は適用されませんが、違反切符にか
わる自転車安全マナーカードが交付されることになりました。このマナーカードには、保護者に
対しても交通安全指導や保険加入を促す文章が記入されています。車の交通違反は、ほとんどの
場合、青切符で、罰金を納めて終わりですが、自転車には点数制度がないため、より重い罰則と
なる赤切符交付で、数日後、出頭通知届が来ます。千代田区の場合、錦糸町の警視庁交通執行課
墨田分室に出頭し、取り調べを受け、検察の略式命令によって、1回目は起訴猶予、2回目以降
は講習受講命令を受け、従わない場合は5万円以下の罰金。罰金も拒否すれば、労役場留置とい
う懲役刑になります。
では、実際の取り締まりはどのように行われるのか。厳罰化で気軽に自転車に乗れなくなると
心配されている方も多いでしょう。そこで、区内警察署交通課に今回の改正道交法の目的につい
て尋ねたところ、「さらに取り締まりを強化するというよりも、罰則を定めることにより、車や
自動二輪車同様、自転車も軽車両として交通ルールを守らなければならないと認識してもらうこ
とが一番の目的である。そして、自転車が加害者になる事故を減らすことはもちろん、事故に備
え、保険に加入してほしい、運転免許を持っていない人、未成年にも信号無視など、特に14項
目の危険行為をしてはいけないと、時間をかけて周知をしていきたい」と答えてくれました。最
後に、「私もゴールド免許ではなく、ブルーなんですよ。違反切符を切られて腹が立っても、事
故防止につながる戒めとして受けとめてほしい」と、担当課長が言ってくれました。それを聞い
て、私自身も40過ぎて念願のゴールド免許になり、東陽町ではなく神田警察で更新できたとき
はうれしかったことを思い出しました。(発言する者あり)
続いて、世界最大の自転車メーカー社長の話を聞いてきました。「メーカーとして自転車取り
締まりの強化はむしろ賛成。自転車運転者にも交通ルールを徹底させること。特に、自転車専用
道路など、環境整備が必要だ。日本はどちらも世界と比べておくれている。さらに、日本の自転
車マーケットは、ママチャリが9割を超える独特なもので、多くが粗悪な中国製である。電動ア
シスト自転車が普及してきているが、長距離を移動する趣味としての自転車とは別で、余り興味
はない。それより、ロードバイク、クロスバイクを普及させ、愛好家を増やすことが本当の自転
車文化をつくっていくことになる。日本でも広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長80キロメ
ートルのしまなみ海道は、道路上に青い線を引いた自転車専用道路「ブルーライン」が整備され、
サイクリストの聖地と呼ばれ、世界中から自転車愛好家が集まり、地域活性化につながっている。
電動アシスト自転車なんかやめて、ヘルメットをかぶってロードバイクに乗ったほうがいいよ」
51
と言われました。地道に、欧米、アジアでのマーケットを開拓し、最大のシェアを獲得した自転
車メーカー社長からの交通ルール、環境整備、自転車文化についての指摘は、5年後の東京五輪
開催に向けての課題でもあると思います。
本区として、既に多くの自転車関連の施策を行っていることは私も理解しています。今回の改
正道交法施行をきっかけに、交通ルールを徹底させ、さらに環境・健康の視点から、自転車愛好
家を増やす取り組みなど、一歩進んだ自転車対策推進を求め、以下4点を質問します。
1、改正道交法による自転車取り締まりについて、多くの区民は不安に感じていると思うが、
警察との協力、周知方法など、本区としての対策はどのように行うのか。
2、自転車事故に備えた保険には、個人賠償保険、損害保険などがあるが、義務化などの考え
はあるのか。
3、放置自転車対策、自転車専用道路の現状はどうなっているのか。また、歩道上の自転車通
行帯についてどのように考えているのか。
4、ロードバイク、クロスバイクといった、趣味性が強く、長距離移動が可能な自転車の普及
は、環境・健康にもよいと考えるが、コミュニティサイクルとして加えるなど、普及についてど
のように考えるか。
以上の点について関係理事者の答弁を求め、私の、教科書採択についてと自転車対策について
の質問を終わります。(拍手)
〔教育長島崎友四郎君登壇〕
○教育長(島崎友四郎君)
永田議員の教科書採択についてのご質問にお答えいたします。
教科書採択は、教育基本法や学校教育法の趣旨にのっとり、地教行法や教科書無償措置法の規
定に従って、区市町村の教育委員会が自らの権限と責任において公正かつ適正に行うこととされ
ております。本区においては、これら関係法令を踏まえ、中立公正かつ円滑な採択を行うため、
「教科用図書採択事務取扱要綱」を制定し、教科書採択事務を執行しております。
本要綱では、教育委員がより適切な採択を行うことができるよう、あらかじめ教員による校内
研究会や教科ごとの調査委員会、さらには学識経験者や保護者代表、校長等から構成される選定
委員会を設置し、それぞれの教科書について、内容、構成・分量、表記・表現、使用上の便宜な
ど、複数の観点から詳細かつ専門的な調査研究を行うこととしております。その結果は、選定委
員会答申として教育委員会に提出されることとなっております。
今回は、中学校、中等教育学校(前期課程)で来年度から使用する教科書について7月上旬に
選定委員会から答申を受け、各教育委員は独自に、本区の中学生の学習に最もふさわしいものを
選ぶという共通認識のもとに、答申の内容を参考にしつつ、各教科書を多様な観点から調査いた
します。公民や歴史教科書についても、記載の内容、構成・分量、表記・表現などの視点から、
各教科書の特徴や差異を十分に調査してまいります。
教育委員各自の調査の後、教員委員会において教科書ごとの特徴を確認しながら、それぞれの
調査結果を踏まえての協議を行います。教育委員の意見が相違することもありますが、最終的に
は合議により、教科ごとに1種類の教科書を選定いたします。
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最終決定に至るまでの教育委員会における採択事務については、静謐な環境を確保するため、
時限秘としておりますが、教育委員会での決定後は、速やかに採択結果をホームページに掲載す
るとともに、教育委員会の議事録についてはホームページで、また、選定委員会や教育委員会の
議事録、関連資料については、区役所の区政情報コーナーにおいて閲覧できるようにいたしてお
ります。
本教育委員会といたしましては、こうした手順・手続をもとに、公正で適正な教科書採択を進
めてまいります。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
○環境まちづくり部長(細越正明君)
永田議員の自転車対策についてのご質問にお答えいたし
ます。
このたびの道路交通法の改正は、単なる厳罰化と捉えるのではなく、利用者が自転車のルール
を知り、快適な運転を楽しむための契機としていくことが肝要であると考えています。
区といたしましては、区総合ホームページに改正内容を掲載するとともに、去る5月に開催い
たしました区主催の「サイクルフェア」のイベントにおきまして、安全講習会を実施し、法改正
についての説明と、安全運転の注意喚起を行ったところでございます。また、広報千代田におい
ては、特集記事を7月に掲載する予定で準備を進めております。
今後も、警察との連携による交通安全の集いなど、さまざまな交通イベントを通じて、法改正
の趣旨を周知し、危険な自転車運転行為を減らしていくよう努めてまいります。
次に、自転車事故に備えた保険加入の義務化についてですが、近年、自転車事故に伴う損害賠
償額の高額化が大きな話題として取り上げられており、その必要性については十分認識している
ところでございます。しかしながら、自転車保険の加入に当たっては、あくまでも個人の責任に
おいて判断するべきものと考えております。区といたしましては、自転車保険の有用性について、
改正道路交通法の周知とあわせて、広く呼びかけてまいります。
次に、自転車通行帯を含む自転車専用道路の現状についてですが、平成25年12月に策定い
たしました「千代田区自転車ガイドライン」の自転車ネットワークの整備として、現在、神田警
察通りの整備に向けて、精力的に取り組んでいるところでございます。現在の進捗状況ですが、
道路における車両の荷捌き状況を調査し、警察との線形協議を進めており、今年度の工事着手を
目指しているところでございます。
次に、放置自転車対策の現状ですが、区はこれまで駐輪場の整備と放置自転車の警告・撤去を
中心に進めてまいりました。しかしながら、放置自転車対策は、行政のみならず、民間事業者を
初めとする地域の関係者でともに知恵を出し合うことが肝要であると考えております。現在、秋
葉原駅周辺の放置自転車対策については、鉄道事業者や集客施設事業者など、関係する団体と協
力・連携しながら、利用実態に合わせた具体策を検討しているところでございます。こうした考
え方のもと、放置自転車問題の改善に努めてまいります。
次に、ロードバイクやクロスバイクをコミュニティサイクルに加える普及策についてですが、
ご案内のとおり、コミュニティサイクルは誰でもどこでも気軽に利用できる汎用性が特徴であり、
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加えて、都心4区における広域連携を模索しているところでございます。ロードバイク、クロス
バイクにつきましては、議員ご指摘のとおり、趣味性が強く、限られた方々の利用にとどまるも
のと考えられ、一般的に誰もが利用するという状況には、まだ至っていないと認識しております。
区といたしましては、まずは現行のコミュニティサイクルの普及拡大に努めてまいります。
○議長(戸張孝次郎議員)
次に、17番内田直之議員。
〔内田直之議員登壇〕
○17番(内田直之議員)
平成27年第2回区議会定例会におきまして、自由民主党の一員と
して一般質問をいたします。
国土交通省は、今後10年程度の住宅政策の基本方針や目標を示す住生活基本計画の見直しに
着手し、来年3月までの閣議決定を目指しています。主な課題として、人口減少、若年層の収入
低下、空き家の増加、省エネ化のおくれなどが挙げられています。住宅環境は、私が建築士とし
て長らく携わってきた専門分野でもあり、その動向を注視していきたいと思っています。
居住環境を考えた場合、都心に位置する千代田区は、世界トップ水準の住宅地となるポテンシ
ャルを擁しています。世界的なビジネス街である大丸有地区を有し、皇居や北の丸公園など、豊
かな緑と水辺に恵まれています。道路率も世界トップレベルであり、区内全域が災害時の地区内
残留地区にも指定されています。そして、何より、古来より続く豊かな歴史と伝統文化が継承さ
れています。千代田区でも第三次住宅基本計画が現在検討されていると思います。都心の立地を
生かした職住共存の環境に配慮された居住空間をぜひ実現してほしいと思います。人口が増加に
転じている状況において、これまでの住宅の供給量の確保から、住環境の質の確保へと転換すべ
きではないでしょうか。
さて、千代田区は、昨年「環境モデル都市
第2期行動計画」を策定し、地球温暖化対策に取
り組んでいます。区内のCO2排出量は2017年度時点で236万トンであり、業務部門が7
5%を占めている点が千代田区の大きな特徴となっています。18%を占める運輸部門や4%を
占める家庭部門は排出量が減少傾向にあることから、今後のCO2排出量の増加分はほぼ業務部
門ということになります。千代田区の地球温暖化対策における最重要課題は、業務部門の省エネ
対策、具体的には建築物の省エネルギー対策の抜本的強化となります。
国会では、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案が衆議院で可決され、現在、参
議院で審議されています。この法案は建築物のエネルギー消費性能の向上を図るもので、202
0年までの省エネ基準適合義務化の一環です。この通常国会で法案が成立すれば、2017年4
月の施行が見込まれています。
具体的な内容として、一つは、延べ面積が2,000平米以上の事務所ビルや商業施設、ホテル
など、大規模な非住宅建築物に対する適合義務及び適合性判定義務です。適合しない場合は、建
築確認は認められなくなります。
二つ目は、延べ面積が300平米以上の事務所ビルや集合住宅など、中規模以上の建築物に対
する省エネ計画の届け出義務です。省エネ基準に適合せず必要と認める場合、所管行政庁が改善
の指示や命令を行うこととなります。
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一方、この法案は、規制が厳しくなるだけではなく、新たな誘導措置も盛り込まれています。
一つは省エネ性能向上計画の認定です。省エネ性能のすぐれた誘導基準に適合した建築物につい
ては、所管行政庁の認定を受けて、容積率の特例を受けることができます。二つ目は、エネルギ
ー消費性能の表示です。省エネ基準に適合している建築物について、所管行政庁の認定を受けて
表示することができます。この建築物の省エネ法は、日本における省エネルギー推進において大
きな一歩であり、CO2排出量削減に積極的に取り組む千代田区には、追い風となるものです。
自治体の責任と権限も大きくなり、2017年義務化に向け、千代田区としても早い段階から急
変する法制度に備えることが必要となります。例えば、大阪市は、これまでCASBEE大阪版
で建築物の省エネ化を推進してきましたが、国に先行して省エネ基準への適合を義務化する建築
物の環境配慮に関する条例を改定し、4月より施行しています。これらトップランナーの自治体
と比べれば、千代田区は一歩も二歩もおくれていると言わざるを得ません。
それでは、質問いたします。建築物の省エネ基準適合義務化が2017年から始まります。千
代田区におきましても、建築物の省エネ対策を抜本から見直す絶好の機会だと思います。また、
性能表示制度を活用して、区独自の補助制度などによる誘導措置の検討も必要であると考えます。
見解をお聞かせください。
次に、千代田区で最も顕在化している環境問題がヒートアイランド現象です。19世紀には既
に世界中の都市部で確認されており、東京では、周辺地域と比較して、過去100年で平均気温
が3度も上昇しています。そして、ヒートアイランド現象に関する代表的な事例が熱帯夜です。
千代田区における熱帯夜の日数推移を5年間の移動平均で見てみますと、昭和10年は平均7.6
日、昭和35年は平均12.8日、それから50年後の平成22年には平均30.4日、そして直
近の平成26年では、何と平均44.4日と、大幅に増加しています。また、国立環境研究所の報
告では、平成26年夏に熱中症で緊急搬送された方は、東京23区で2,356名に上り、そのう
ち65歳以上の高齢者が全体の42%を占めています。また、44%が入院の必要があると診断
されています。
これまで、千代田区でも、ヒートアイランド対策計画に基づき、多くの施策が推進されている
ことは承知しています。長期的、広域的な対策は、東京都と連携した「風の道構想」やCASB
EE千代田モデルの導入などをぜひ推進していただきたいと思います。
また、都市機能を集積し、高層化を図るアップゾーニングと、それにより生まれた空間に自然
を回復するダウンゾーニングは、都心にしかできない手法であると考えます。近い将来、環境に
配慮されたゼロ・エネルギー・ビルと、緑やビオトープが広がるオープンスペースや親水性を取
り戻した神田川や日本橋川の実現を期待しています。
一方では、熱中症の対策など、即効性が期待できる施策が求められています。道路や公園の保
水・透水性舗装や窓の断熱化とあわせて、ヒートアイランド対策に有効とされているのがドライ
ミストです。水を霧状にして噴霧し、蒸発する際の気化熱により気温を2度から3度冷却します。
六本木ヒルズが有名ですが、千代田区でも三菱一号館広場や東京大神宮、秋葉原駅西側広場など、
多くの場所に設置されています。粒子が小さいため素早く蒸発し、肌や服がぬれることもありま
55
せん。気温、湿度、風などの気象条件に応じた自動運転により、エネルギー消費量は家庭用エア
コンの20分の1以下であり、最近は住宅への導入も増えています。この多くの事例があるドラ
イミストを、まずは高齢者や子どもたちが多く利用する区内の高齢者施設、小中学校、幼稚園、
保育園に設置してはいかがでしょうか。
次に、区民の皆様や区内事業者への助成を行い、さらなる推進を図ることを提案いたします。
比較的低コストで簡単に設置でき、効用がリアルタイムに体感できます。定量的なデータの収集
により、投資対効果の検証や今後の基礎データとしても活用できそうです。
それでは、質問いたします。地球温暖化問題、中でもヒートアイランド現象は、ここ千代田区
の環境問題の中で、最も顕在化している課題です。東京都と連携した、長期的、広域的な対策と
同時に、すぐに効果が期待できるドライミストなど、現実的な対策を提案いたします。見解をお
聞かせください。
最後に、千代田区内には、平成26年度末時点で、旧万世橋警察署跡地などの低未利用地を7
カ所、旧今川中学校などの低未利用施設を18カ所抱えています。中には、全く未利用の物件も
あり、まちづくりにおいても、財政的にも大きな課題となっています。公有財産の有効活用につ
いて、今回は小川広場についてお聞きいたします。
小川広場は小川小学校の跡地であり、次の計画が具体化するまでの間、暫定的な広場として利
用されています。人工芝へと整備されたフットサルコートや、町会や商店街でのイベント会場と
して一部活用はされていますが、平成9年に暫定利用が開始されてから、既に20年弱が経過し
ています。また、周辺には、機能更新の時期を迎えている建物も多数あるとお聞きしています。
小川広場周辺は、古書店街、スポーツ用品店街、楽器店街、大学などが集積する、我が国屈指
の文化・商業・文教スポットです。東京オリンピック・パラリンピックの開催を控える中、いつ
までも暫定利用の継続では、無策と言われても仕方がありません。昨年、小川広場やその周辺の
まちづくりを検討する「駿河台下交差点まちづくり協議会」が立ち上げられ、学識経験者や地域
関係者による協議が始まりました。これまで状況確認等が行われているとは聞いていますが、そ
の後どの程度検討が進んでいるのか疑問です。
小川広場は公有地ですが、周辺には民間地もあります。整備に当たっては、その全てを公共の
セクターが担う必要はないものと考えます。必要に応じて民間の知恵や活力も導入し、スピーデ
ィーで費用対効果にすぐれた手法を採用すべきではないでしょうか。
一方、当会派には、千代田区体育協会より、小川広場における新スポーツセンター整備の要望
が寄せられています。平成27年に発表された千代田区世論調査でも、整備・充実すべき施設の
2位に「スポーツ施設」が選ばれ、過去20年の調査では、17回も1位でした。年代別では、
20代、30代からは5割近くもの区民から要望されており、スポーツ施設がいかに千代田区民
に熱望されているかがうかがえます。
それでは、質問いたします。「駿河台下交差点まちづくり協議会」の進捗と今後の予定につい
て、また、千代田区が考える具体的な整備手法についてお答えください。さらに、スポーツ用品
店が集積する小川広場周辺のまちづくりに当たり、スポーツという視点は不可欠と考えます。見
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解をお聞かせください。
以上、区長並びに関係理事者のお考えを伺い、私の一般質問を終了いたします。ありがとうご
ざいました。(拍手)
〔区長石川雅己君登壇〕
○区長(石川雅己君)
内田議員の、省エネを初めとする環境対策に関するご質問にお答えいた
します。
大都市における環境対策のありようというのは、私は、今世紀、大都市の評価を決めるキーワ
ードだというふうに思っております。そうした思いで、区政はさまざまに進めていることはご案
内だろうと思います。
もちろん、環境という枠組みは大変幅が広うございますが、例えば環境美化というのを捉えて
みますと、平成14年に、ご承知のとおり、路上におけるポイ捨て、歩きたばこの禁止という、
そういうことを取り組みまして、この仕組みが、恐らく日本全国、政令指定都市を含めて、観光
都市に全部普及をしております。内容は若干違うと思います。このように、まさに大都市の環境
施策というものをどのようにやっていくかということは大変全国的に私は影響が大きいものだろ
うと思います。
そこで、地球温暖化対策というのを捉えてみましても、ご承知のとおり、平成19年に千代田
区は地球温暖化対策条例を制定いたしまして、CO2削減の対策目標を設定したところでござい
ます。国は、そうしたことを捉えまして、環境モデル都市、都内で唯一千代田区を環境モデル都
市として指定をし、まさに環境対策についてのトップランナーだという、そういう位置づけを頂
戴したわけでございます。
我々はそうした思いでもって今後も進めてまいりたいと思いますし、今年3月、改定いたしま
した地球温暖化対策の地域推進計画でも、ご案内のとおり、将来的にはエネルギーの利用による
CO2排出ゼロのまちを目指すという高い目標を設定しながら、着実に進めているところでござ
います。
ご指摘のように、この千代田区が大都市として環境に関するトップランナーという位置づけを
今後も担保するためには、さまざまにご提案のものも含めて、今後取り組んでまいりたいと思っ
ております。
なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
○環境まちづくり部長(細越正明君)
内田議員のご質問に、区長答弁を補足してお答えいたし
ます。
まず、建築物省エネ法と千代田区の取り組みについてでございますが、これまでの省エネ法は、
社会全体のエネルギー使用の合理化を目的としており、建築分野については届け出制の中で建築
主に一定の努力義務を求めるにとどまっておりました。現在の国会で審議されている新法は建築
物に特化しており、一定規模以上の建築物に適合の義務を課し、建築確認とリンクさせることで、
より実効性の担保が図られ、エネルギー消費性能の一層の向上が期待されております。このこと
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は、喫緊の課題である温暖化対策を推進していく上でも追い風となり、区としても積極的に捉え
ていきたいと考えております。
これまで、千代田区は、環境モデル都市として行動計画を策定し、建築物の省エネ化を促進す
るべく、建築物環境計画書制度や既存建物の低炭素化を促すグリーンストック作戦、中小テナン
トビル向けの省エネ改修工事助成事業など、一貫して高水準の建物エネルギー対策を進めてきま
した。
改定された「地球温暖化対策地域推進計画2015」では、主要事業の1つとして、国の新た
な省エネルギー対策の動きに先駆けた、(仮称)環境事前協議制度の創設を掲げ、建築計画の初
期段階から協議を重ねることで、省エネや環境にすぐれた建築物を目指すこととしています。
こうした仕組みの構築に当たっては、CASBEEの視点や性能表示制度を活用した省エネル
ギー性能の極めて高い建築物へのインセンティブ、環境対策基金を財源としたCO2削減割合に
応じた区独自の補助制度の創設など、新たな誘導策もあわせて検討してまいります。
次に、ヒートアイランド対策ですが、千代田区では平成18年に策定した千代田区ヒートアイ
ランド対策計画に基づき、国、都、企業等との連携した、ハード、ソフトの取り組みを展開して
きました。具体的には、緑化計画による緑化の推進、地域や事業所単位で実施する打ち水の支援
や緑のカーテンによる壁面緑化など、多岐にわたるヒートアイランド対策を推進しています。
ご提案いただいたドライミストについては富士見みらい館にも導入しておりますが、今後はそ
の効果や課題などについて検証し、結果を踏まえて、他の区有施設や民間事業所への導入・誘導
についても検討してまいります。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
○まちづくり担当部長(坂田融朗君)
内田議員のご質問のうち、小川広場及び周辺の環境整備
についてお答えいたします。
小川広場の存する駿河台地域では、ワテラスやソラシティ、日大病院などが既に整備をされ、
現在進行中の御茶ノ水駅の改修、明大通りの整備を踏まえますと、今後もまちの状況は変化をし
ていくものと想定しております。そのため、小川広場の利活用検討には、今後のまちの動きを見
据え検討することが重要であると思います。
また、広場の近傍にある靖国通りや明大通りが交差する交通結節点の駿河台下の交差点は、重
要なポイントであると考えられます。この交差点周辺には、大学、古書店街、スポーツ用品店街、
楽器店街など、区内でも個性的な通りを形成し、多様な人が行き交う、特色ある交差点であると
言えます。こういった地域的特徴を踏まえまして、地域関係者や学識経験者の方々と駿河台下交
差点まちづくり協議会を立ち上げ、検討を開始しております。
現在は、広場の存する地域的特性はもとより、これまでの広場利用の経緯、近年の地域の人口
動態、周辺の開発動向などについて共通認識を図っている段階でございます。今後は、場所の特
性を踏まえ、行政需要や地域要望等を総合的に勘案しながら、また議員ご指摘の民間活力の活用
も視野に入れながら、検討を進めてまいります。
○17番(内田直之議員)
17番内田直之、時間がありませんので、簡潔に再質問いたします。
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まず1つ、まちづくり協議会がこれまで何回開催されたのかお答えください。そして、もう1
つは、答弁漏れでございます。小川広場及び周辺のまちづくりに当たり、スポーツという視点を
どう考えているか、(ベルの音あり)これについてお答えいただいていませんので、具体的に再
度ご答弁をお願いいたします。
〔まちづくり担当部長坂田融朗君登壇〕
○まちづくり担当部長(坂田融朗君)
内田議員の再質問にお答えいたします。
まず協議会の回数ですが、私も途中参加ではっきり承知をしておりませんが、まず2回であっ
たろうというふうに思っております。
また、スポーツ施設に関しましては、今般この広場の周辺というのは、先ほど申しましたよう
に多様な人が行き交うまちであり、また、靖国通りは本区の中でも親しみの深い幹線道路の一つ
であり、隣接する小川広場に対する要望は、議員ご指摘のスポーツ施設も含め、福祉、文化・芸
術等々、多様であろうというふうに思います。こういったことを総合的に勘案しながら、今後検
討を、スピード感を持って行ってまいりたいと思います。
○議長(戸張孝次郎議員)
次に、6番米田かずや議員。
〔米田かずや議員登壇〕
○6番(米田かずや議員)
平成27年第2回区議会定例会におきまして、公明党議員団の一員
として一般質問をいたします。
初めに、生活環境条例について質問させていただきます。
平成14年10月1日から、全国に先駆けて、総合的な生活環境の向上を目指し、安全で快適
な千代田区の生活環境の整備に関する条例、生活環境条例を施行いたしました。
この条例は、歩きたばこの危険性や吸い殻のポイ捨て、置き看板、放置自転車などで地域の環
境が悪化しているという区民の皆様の声から生まれました。全国で初めて路上喫煙を罰則つきで
規制する内容であったため、さまざまな反響を呼び、他の自治体の同様の取り組みにも大きな影
響を与えました。全国で初めて路上喫煙を罰則つきで規制するという、画期的な条例です。
この条例は、行政のみが行動するのではなく、区民の皆様、事業者の皆様、地域のあらゆる
人々が一体となり、ともに汗をかきながら、安全で快適なまちを実現することを目指し、これま
で区内10地区に区民の皆様、町会の皆様、商店会の皆様、事業所の皆様、学校の皆様で構成す
る環境美化・浄化推進団体が設立され、生活環境の向上に向けて地域ぐるみで考え、行動する、
自分たちのまちは自分たちできれいにするという自治の原点に立ち返った自主的な取り組みが行
われています。施行して13年目となりますが、一定の成果を上げていると思います。条例の浸
透に伴い、路上喫煙が目に見えて減少し、吸い殻が劇的に少なくなっています。その一方、喫煙
場所が少なくなったことにより、新たな問題も出てきております。例えば、今まで喫煙していな
かった私道に入り、喫煙することにより、通行人の妨げになることや、近隣の住民からは窓を開
けることができない、等です。区としてこのような課題を踏まえ、今後どのように生活環境条例
を推進するかお聞かせください。
続いて、公園における喫煙対策についてです。
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健康増進法の施行や受動喫煙に対する健康意識の高まりなどから、事業所内や飲食店など、屋
内での喫煙の制限が進んでいます。このため、罰則が適用されない公園や私有地、公開空地など
に喫煙者が集中する状況が見られるようになっています。
昨年3月の環境文教委員会では、条例の一部改正があったとき、以下の附帯決議、1、非喫煙
者に十分配慮しながら分散型の喫煙所を確保すること。2、公園等への路上禁煙地区の指定に当
たっては、地域や関係者と十分協議するとともに、代替えとなる喫煙所を確保すること。3、2
020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、生活環境条例の規制内容や喫煙所
の見える化を進めるよう、周知方法等について検討することとの3点がつけられました。
区長が招集挨拶でも述べられたように分煙を基本としていましたが、喫煙者のマナーが守られ
ず、公園利用者との間にトラブルが多発してきました。私がほぼ毎週の月曜日から金曜日まで行
っている小学校、幼稚園、保育園前での朝のご挨拶時に直接いただいた保護者からの要望は、喫
煙スペースのない西神田公園、錦華公園ではあらゆる箇所で喫煙しているため、登校・登園の児
童に煙がかかっている。公園は禁煙にしてほしい、登下校時だけでも禁煙にしてほしい、もしく
は喫煙スポットをつくり、喫煙される方を集約してほしい、との要望です。一方、和泉公園など
喫煙スペースがある公園でも、一部モラルのない方が原因で、喫煙スペースからはみ出し、喫煙
していることが原因で隣接している歩道、通学路に登校・登園する児童に煙が当たるため、禁煙
にしてほしい、登下校時だけでも禁煙にしてほしい、煙がかからないように喫煙スポットを改善
してほしい、との要望を受けております。喫煙スペースのない公園は、現在、区が推進している
公園近隣に、屋内喫煙所設置助成制度を活用しながら早急に屋内喫煙所を確保し、随時禁煙化を
進めていただきたいことを要望いたします。
そこで、屋内喫煙所設置助成制度の現在の進捗状況をお答えいただき、今後の見通しと、推進
する上でどのような課題があるのかお伺いいたします。
喫煙スペースのある公園での問題は、喫煙者が喫煙スペースから外れて喫煙し、煙とにおいが
周辺に飛散していることが大きな要素と考えます。現在、公園に設置されている喫煙スポットの
新たな提案ですが、新宿区信濃町駅南側に、平成26年12月26日リニューアルした喫煙スポ
ットがあります。
それが、こちらの2枚になります。(発言する者あり)こちらが全体像ですね。ガラス張りに
なっております。出入り口が2カ所あり、奥に入らないと、灰皿がなくて吸えない状況になって
います。(発言する者あり)ええ。あと、迷路みたいになっていますので、入り込まないと、だ
めな状況です。
こちらが外周ですね。ポールが立っていまして、ポールの内側には、ここで吸ってはいけませ
んと、そういう形で示してあります。一応、見せながら。
このスポットは、分煙効果を高めるため、(発言する者あり)四方を、中が透き通る半透明の
分煙パネルで囲い、今ある千代田区の公園の喫煙スポットよりも煙が四方に逃げにくい構造とな
っております。
スポット外周も、写真にあるように、一定の間隔でポールを設置し、外周ポール、内側の足元
60
には、「火をつけるのはエリア内で。ここでたばこは吸えません」の注意書きがあります。出入
り口も入りやすい設計にし、スロープ型にすることによって、スポットの中に入らないと灰皿が
なく、喫煙者が自然と奥で喫煙しております。また、出入り口にも看板があり、「ここは出入り
口です。出入りの妨げになりますので、立ちどまらないでください」とあり、出入り口での喫煙
を防止するだけでなく、外周での喫煙を防ぐ、二重三重の抑止力があります。(発言する者あり)
実際に何日か検証してきましたが、私が見ている限り、喫煙スポットからはみ出して喫煙して
いる方はいませんでした。聞くところによると、JTでは、屋外喫煙スポットのパーテーション
の設置には協賛していただけると伺っております。現在、公園に設置されている喫煙スポットを
信濃町駅型の喫煙スポットにリニューアルすること、また、JTに支援していただけるよう働き
かけることを提案いたします。ご所見をお聞かせください。
最後に、2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックについてお伺いいたします。
最近のオリンピック・パラリンピックの開催期間中は、いずれも公共施設は禁煙となっており
ます。開催期間までの準備と、開催期間はどのように対策するか、区としての考えをお聞かせく
ださい。
以上、生活環境条例について質問させていただきました。区長並びに関係理事者の前向きな答
弁を期待し、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔コミュニティ振興担当部長吉村以津己君登壇〕
○コミュニティ振興担当部長(吉村以津己君)
米田議員の、生活環境条例と公園における喫煙
対策、オリンピック・パラリンピックに向けた公共施設の禁煙対策についてのご質問にお答えを
いたします。
まず生活環境条例についてでございますが、千代田区では平成14年に生活環境条例を制定し、
全国に先駆け、路上喫煙の禁止に取り組んできたところでございます。
その上で、条例の実効性を高めるため、区内各地域でのパトロールを継続して実施し、現在で
は表通りで喫煙するという状況は、ほぼ改善されました。また、区民並びに町会、商店会、地元
企業、教育機関及びPTAなどで構成する環境美化・浄化推進団体が区内に10団体設立され、
「自分たちのまちは、自分たちの手できれいに」のスローガンのもと、清潔で風格ある安全・安
心なまちの実現に向け、区や警察署と合同で清掃活動や路上喫煙への注意や路上障害物、放置自
転車などへの指導・警告などを行ってきたことは、議員ご指摘のとおりでございます。
しかし、その一方で、健康増進法の施行による受動喫煙への意識の高まりから、全館禁煙化を
図るオフィスビル等が増加し、公園等の公共の場所での喫煙が大きな課題となっているところで
ございます。また、表通りとは相反し、裏路地などでの喫煙が多く見られるようになるといった
問題も出てきております。今後も、地域の方々と連携しながら、裏路地も含め、パトロール等の
一層の強化を図り、路上喫煙対策の取り組みを着実に進めてまいります。
次に、公園における喫煙対策ですが、喫煙者が公園に集中している現状があることから、可能
な限り公園周辺に屋内喫煙所設置助成制度を活用した屋内喫煙所を設け、喫煙者の分散化を図り、
その状況も踏まえ、地域のご意見を十分に伺いながら、具体の取り組みを検討してまいります。
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なお、屋内喫煙所設置助成制度を活用した屋内喫煙所は、現在準備中のものを含め、9カ所と
なっております。屋内喫煙所のスペースを確保することは簡単ではございませんが、今後も公園
周辺を含め、昨年見直した助成制度の内容を広く周知しながら、事業所等のご理解とご協力を得
て、屋内喫煙所の整備をし、喫煙者の分散化を図っていきたいと考えております。
次に、公共施設の禁煙対策ですが、現在喫煙スペースが設けられている公共施設については、
経過的に分煙としておりますが、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、公共施設の
禁煙化については避けて通れないものと考えております。今後、国や東京都等の動向も踏まえな
がら、禁煙化も含め、検討を進めてまいりたいと存じます。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
○環境まちづくり部長(細越正明君)
米田議員のご質問のうち、公園の喫煙所のリニューアル
についてお答えいたします。
区は、これまでも俎橋児童遊園内の喫煙所など、JTの協力を得ながら、公園等の敷地内に喫
煙所の整備を進めてきた経緯がございます。こうした喫煙所の整備に際しては、公園内の他の利
用者や近隣への影響等から、特定の位置や範囲を条件として検討されるため、その後の喫煙者の
増加に対応できない状況があることも認識しております。
今後、個別の喫煙所の状況を再確認し、可能な改善方法について改めてJTの協力を求めなが
ら取り組んでまいります。
○6番(米田かずや議員)
6番米田かずや、自席より再質問いたします。
先ほどの信濃町駅型は採用される、検討はありますでしょうか。ちなみに、JTさんは、あれ、
全額負担で、贈与だったらしいです、新宿区に。ちなみに4,000万です。(発言する者あり)
できれば、その交渉をしていただければと思っております。
〔環境まちづくり部長細越正明君登壇〕
○環境まちづくり部長(細越正明君)
米田議員の再質問にお答えいたします。
信濃町駅前の喫煙所の整備につきましては、そういったものを含めて参考にしながら検討して
まいりたいと思います。(発言する者あり)
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○議長(戸張孝次郎議員)
お諮りします。本日は以上で延会したいと思いますが、異議ありま
せんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(戸張孝次郎議員)
異議なしと認め、決定します。
次回の継続会は、明日6月19日午後1時から開会します。
ただいま出席の方には文書による通知はしませんので、ご了承願います。
本日は以上で終了します。延会いたします。
午後5時51分
延会
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