第13回 国際悪性リンパ腫会議 Lugano, Switzerland, June 17-20, 2015 POSTER SESSION #219 リツキシマブ時代における二次性中枢神経系リンパ腫の実態: 前向き登録研究から患者107例の抽出 Secondary CNS Involvement in Malignant Lymphoma in the Rituximab-era: Data on the First 100 Patients from a Prospective Registry A. Hirsch, et al., Charité University Medicine Berlin, Berlin, Germany Quick Review 二次性中枢神経系(CNS) リンパ腫はまれな疾患であり、その実態の解明や至適治療の確立は進んでいない。 こうしたなかドイツでは、二次性 CNS浸潤を伴うindolentおよびaggressiveリンパ腫患者の登録研究が2011年に開始されており、 登録症例数はすでに100例を超えた。 今回 Hirsch氏らは、 107例の患者データの解析結果を報告した。 ● 初診時に二次性CNSリンパ腫と診断された患者 (コホート1)は17例、再発時(コホート2)は90例であった(表1)。 ● コホート2では、 寛解導入療法として56%にR-CHOP療法が施行され、CNS予防は16%に実施されていた(表1)。 ● CNS病変部位は脳実質限局が55%と多く、 コホート2では全身性リンパ腫は36%と少なかった。 ● 二次性CNSリンパ腫の治療として化学療法が92%、 抗がん剤の髄腔内投与が52%、大量化学療法+自家造血細胞移植(HD-ASCT) が40%に施行され、 リツキシマブは58%に投与された(表2)。 ● 無増悪生存期間(PFS)中央値は8.1ヵ月、 全生存期間(OS)中央値は16.7ヵ月であり (図A, B)、治療内容別ではHD-ASCT施行例お よび3回以上のリポソーム化シタラビンの髄腔内投与例のOSが良好であった(図C, D)。 結論:今回示された二次性CNSリンパ腫の治療転帰は既報より良好であるが、その背景にはCNS移行性の高い化学療法の普及が関与すると 考えられた。 患者背景 表1 CNS病変への治療内容と治療反応性 表2 n=107 年齢中央値(範囲) % 62.5歳(26-83) コホート1/コホート2 組織型 aggressive B細胞リンパ腫 マントル細胞リンパ腫 T細胞リンパ腫 indolent B細胞リンパ腫 その他 寛解導入療法(コホート2;n=90) R-CHOP CHOP R-CHOP/CHOP+他の全身性化学療法 他の全身性化学療法 治療歴なし CNS予防(コホート2) 診断からCNS再発までの期間中央値(コホート2) 17/90 16/84 77 5 2 20 3 72 5 2 19 3 50 7 18 12 3 56 8 20 13 3 14 16 n=106 % 全身性化学療法のみ 47 44 全身性化学療法+抗がん剤の髄腔内投与 51 48 抗がん剤の髄腔内投与のみ 4 4 放射線療法のみ 2 2 治療なし 1 1 86 52 88 53 リツキシマブ 62 58 HD-ASCT 42 37 40 88 5 5 CR 26 32 PR 15 18 SD 5 6 PD 36 44 化学療法レジメン(n=98) 大量メトトレキサートベース 大量AraCベース BCNU/Tiotepaベースレジメン 11.1ヵ月 放射線療法 CNS病変部位(n=106) 脳実質 髄膜 脊髄 上記のうち複数 58 30 2 16 55 28 2 15 全身性リンパ腫(コホート2;n=86) 31 36 治療反応性(n=82) 診断時にすでにCNS病変が認められた17例(コホート1)と、再発時にCNS病変が認めら れた90例(コホート2)の計107例のデータが集積された。 BCNU:カルムスチン OS、PFS 図 (%) 100 A:コホート全体のPFS (%) 100 PFS中央値:8.1ヵ月 B:コホート全体のOS (%) 100 OS中央値:16.7ヵ月 C:HD-ASCT施行例のOS (%)D:リポソーム化シタラビンの髄腔内投与例のOS 100 80 80 80 80 無 増 60 悪 生 存 40 率 全 60 生 存 率 40 全 60 生 存 率 40 全 60 生 存 率 40 20 20 20 20 0 0 10 20 30 期間 40 50 60 (週) 0 0 20 期間 40 60 (週) 0 0 10 20 30 期間 40 50 60 (週) 0 髄腔内投与回数>2回 OS中央値:18.8ヵ月 (n=18) 髄腔内投与回数≦2回 OS中央値:4.9ヵ月 (n=11) 0 10 20 期間 30 40 (週) 3回以上のリポソーム化シタラビンの髄腔内投与例ではOSは良好であった。 提供: この資材は学会の最新情報を掲載しています。掲載されている薬剤の使用に あたっては各薬剤の添付文書を参照ください。
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