いさドラゴンカップ はじめの書

いさドラゴンカップ
はじめの書
伊佐市ドラゴンボートレース実行委員会 (H27.3.3)
1
ドラゴンボートレース
『古代中国で生まれた、世界最古の手漕ぎ舟の競漕』と言われています。
日本でも、ペーロンやハーリー、競り舟など地域の伝統として行われるレースがありますが、
その原型は今から約 360 年前の 1655 年ごろに中国から長崎に初めて伝えられたと言われていま
す。長崎に停泊していた唐の舟の乗組員が、冬から春までの出港待ちの間に、ハシケといわれた
小舟で競漕したのが始まりで、現在の「長崎ペーロン」のルーツと言われています。
本場中国や東南アジアの大会では 20 人以上乗り込む大きな舟で速さを競い、今では全世界で
盛んに大会が開かれるスポーツとなっています。
現在鹿児島で開催されている大会としては、南大隅町の「根占ドラゴンフェスタ」、さつま町
の「鶴田龍舟祭」、伊佐市の「いさドラゴンカップ」のほか、南さつま市の港まつりなどがあり
ます。また、県民体育大会の正式競技種目にも登録されているほか、日本選手権大会が開かれる
など、年々愛好者の増えているスポーツです。
2
伊佐市菱刈カヌー競技場
伊佐市の誇る「伊佐市菱刈カヌー競技場」は、昭和 58 年に完成した湯之尾可動堰の整備によ
ってうまれた広い静水域を活用したものです。
この会場と隣接する湯之尾温泉街を活かし、川を活かしたスポーツ振興と地域おこしのため、
平成2年からドラゴンボートを使ったイベントが開催されるようになりました。
3
道具
①ドラゴンボート
下の図のような形で素材はFRP(強化プラスチック製)です。
図のように、舵、太鼓、座席を付けて使用します。なお、舟の船首及び後部に空気室が作られ
ており、舟が浸水してしまった場合も浮力によって完全に沈む事はありませんので、慌てずに
救助を待ちます。
※上から見た図
舵
座席
太鼓
※横から見た図
②舵とパドル
グリップとシャフトを手で握り漕ぎます。ブレードは、水中で水に力を伝える役割があり、
パドルは漕ぐ力を、舵の時は舟を曲げる力を水に伝えます。
(舵・パドルの部分の名称)
グリップ
シャフト
ブレード
舵はパドルと似たよ
うな形をしています
が、全体が長く、シャ
フトの部分よりもブ
舵
レードが長いのが特
徴です。
パドル
③太鼓
太鼓 1 個、バチ 2 本のセットで
使用します。
叩き方は様々ですが、太鼓手が叩く
のと同時に漕ぎ手もパドルで水を
漕ぎます。
上手なチームのリズムを真似た
バチ
りするのも大切ですが、漕ぎ手が漕
太鼓
ぎやすい自分たちのリズムで、掛け
声なども使いましょう。
4
選手
①舵取り(かじとり)
「舵取り」は、選手の中でただ一人全体を見渡せる選手です。またドラゴンボートの操縦
を受け持つ舟長でもあります。前進・後退・停止など、太鼓手や漕ぎ手への指示も的確に
行って下さい。もちろん護岸や他舟との接触・衝突を起こさないようにする事は、非常に
大切です。
Ⅰ 基本的な舵
下の図のように、自分が曲がりたい方向にドラゴンの尻尾(舵)を向けると覚えましょ
う。なお図3のように右に曲がる時の舵は、左に比べて角度が浅く曲がりにくいです。
図1(左に曲がる)
図2(直進)
舵のグリップは
水面に対して垂直
にする!
図3(右に曲がる)
Ⅱ レース中の舵
大きな舵の動きは、舟のブレーキとなり漕ぎ手に負担となります。そこで、小さな動き
で確実に曲げる方法が必要になります。下の図のように、舵のブレード部分を曲がりたい
方向へ傾ける事で、レース中の舟を緩やかに曲げる事ができます。
なお、この時舵を傾けるとブレードに当たった水の力で舵が横に動こうとしますが、動
かないように固定するのがポイントです。
緩やかに左に曲がる
緩やかに右に曲がる
舵のグリッ
舵のグリッ
プを、右に傾
プを、左に傾
ける。
ける。
角度は
角度は
0~45 度
0~45 度
※左に曲げたい時には左に、右に曲げたい時には右にブレードを傾けます。その時、ブ
レードを傾ける角度が大きいほど舟の曲がりは大きくなります。
Ⅲ 右側通行を原則とします
伊佐市菱刈カヌー競技場
右に旋回
回
右に旋回
※対面するドラゴンボート同士は、互いに右方向への回避行動を取らなければならない。
②太鼓手(たいこしゅ)
「太鼓手」は、舟を漕ぐリズムを調整する役目で、大勢の漕ぎ手がバラバラに漕いだ時に
起きる舟の揺れや、パドルのぶつかり合いなどを防止し、漕ぎ手が漕ぎやすく、またスピ
ードの出るリズムを調節する重要な役割があります。また、ゴール前など漕ぎ手が苦しい
時には声を出し、選手を励ます事も重要です。
舟の一番前の座席に座りますが、舟の揺れも一番大きく感じる場所です。しっかりと座
席に座り、太鼓を足で挟むように体を固定しレースに臨みましょう。
※注意点として、舟の進行方向は見えませんので、舵取りとの連携が大切です。
掛け声で励ましながらリズムをとる太鼓手(写真一番手前)
③漕ぎ手(こぎて)
「漕ぎ手」は、ドラゴンボートのエンジンです。太鼓のリズムに合わせて漕ぎます。
まずパドルの持ち方は、「舟側の手」でパドルの上部グリップを握り、「川側の手」でパ
ドルの下側シャフトを握ります。
そして漕ぐときのポイントは、ゆっくりのリズムの時は大きく長く、早いリズムの時は強
く短く漕ぐことです。
「舟側の手」
漕ぎ方の種類(4 種類)とストップ
・フォワードストローク(前進)
・バックストローク(後進)
・ドローストローク(横移動)
・プライストローク(横移動)
・ストップ(停止)
「川側の手」
※ストップは危険回避の必須手段です。必ず習得しましょう。
Ⅰ
フォワードストローク(前進)
水面にパドルを刺すように水中に入れ、腕の力だけではなく腰から上の体を捻るように
使って漕ぎます。この時、漕いだ水面から泡が出ない方が力の伝達が出来ています。なお
泡が出るのは、パドルのブレードが水中に入るのが不十分な場合が多いようです。
舟の動き
Ⅱ
バックストローク(後進)
後ろの漕ぎ手のパドルに当たらないように、確認しながらパドルを水面に置き、そのま
ま水を前に運ぶように力を加えます。
舟の動き
Ⅲ
ドローストローク(横移動)
舟よりなるべく遠く、座った位置の真横の水面にパドルを入れ、自分の座席下に水を
送り込むように漕ぎます。
舟の動き
Ⅳ
プライストローク(横移動)
ドローストロークの逆で、
自分の座席横の水を外にかき出すようにパドルを使います。
この時のポイントは、○で示してある部分、パドルを舟のヘリに当てて漕ぐ事です。
舟の動き
Ⅴ
ストップ(停止)
自分の座席横を流れていく水を、押さえ込むようにパドルを深く水面に押し付けます。
Ⅵ
漕ぎ手の並び方
・前後左右のバランスを考慮して舟が水平になるようにします。
・体力があり、長くリズムよく漕げる人から前に乗り込みます。
なお体力が無くリズムに合わせられない人は、直前の選手のパドルと自分のパドルが
当たらないように注意しながら漕ぎましょう。
ドラゴンボートには漕ぎ手の座れる座席が6ケ所ありますが、前から1番目と6番目
(↓の箇所)には座りません。
5
装備
①ライフジャケット・救命胴衣
ドラゴンボート競技は、陸上競技で言えば短距離走と同じです。ゴールを目指し体力の限り
に漕いでいます。そんな競技中、不意に水中に転落、また舟が沈んでしまった時、慌てずに泳
げる人はほとんどいません。
だからこそ、体を浮かせる為の道具、命を守る道具としてライフジャケット(救命胴衣)の着
用は大切です。
子ども用の特徴
は、下に抜けない
ようにする股ひも
や、襟部分に浮力
の補助が付いてい
ます。
※着用する時は、必ずベルト類を締め体に密着させましょう。
体に合わないライフジャケット着用による事故もあります。
「大は小を兼ねません!」
②ウォーターシューズ(履物)
川の活動でよく見かける履物と言えば、スリッパやビーチサンダルなどが多いですが、川で
起きている事故の原因として、「流されたスリッパを取ろうとして溺れる」、「濡れた岩で、ビ
ーチサンダルが滑って転倒し怪我をした」などの事故例が多数ある事も知っておきましょう。
また、裸足の場合も同様で、割れた瓶や植物の棘などによる怪我をはじめ、保護者などがい
ざという時に小石等を踏んでしまい思うように動けず、救助が手遅れになる事も考えられます。
踵まで固定できるウォーターシューズなどがお勧めです。
※スニーカーなどでも十分です。
③ウェアー
綿などの素材は、吸水性に優れており濡れると重くなり体に纏わり
つきます。また体温を奪ってしまい低体温症の原因にもなります。
化学繊維で速乾性に優れた素材の物を選びましょう。
【参考 川に学ぶ体験活動協議会】
http://www.rac.gr.jp/index.html
6
伊佐市菱刈カヌー競技場及び用品等の使用、また使用時の留意事項
①伊佐市菱刈カヌー競技場(湯之尾滝上流川内川)
川内川河川事務所菱刈出張所への届け出が必要ですが、大会前の練習期間は実行委員会など
の主催団体が代表で届け出を行っています。
コース下流の湯之尾滝より 500M、湯之尾井関からは 100Mの位置にあるため、河川の水量
により使用できない事があります。
特に注意が必要なのは、伊佐市で雨が降っていなくても上流で大雨が降ると増水する事です。
【井関の開放時は使用不可、また増水による開放予告があるときも同じです。】
左図の△のポイントをクリックすると、
水位が詳しくわかる上図が開きます
※インターネットによる水位の確認サイト「早よ見やん川内川」、上流から「吉松」
「栗野」
「湯
之尾」でチェックすると、水量の増加や井関開放の予測ができます。
不安な時は、川内川河川事務所菱刈出張所へ連絡して下さい。(TEL0995-26-2459)
②ドラゴンボート・パドル・ライフジャケット
使用にあたっては、伊佐市教育委員会文化スポーツ課に申請が必要です。
所定の申請用紙(実行委員会HPに掲載あり)に記入し、担当課へ提出してください。使
用にあたっては、ライフジャケットを必ず着用する事や、用品の取り扱い、破損時について
の説明を受けます。※大会前の練習期間は、実行委員会が代表で申請をしています。
③使用時の留意事項
・休憩所(テント)の設置・・河原で、日影になる場所はありません。
・水分補給・・・・・・・・・運動とライフジャケット着用により予想以上に暑いです。
・雷・・・・・・・・・・・・水上での活動は危険です。早めの退避を。
・風・・・・・・・・・・・・風が強い時は、発着所より風上側で活動します。
・救急・・・・・・・・・・・救急箱はもちろん、休日当番医の確認をしておきましょう。
・監視・・・・・・・・・・・未成年者だけでの練習はできません。舟に乗らなくても、安
全を監視できる大人(責任者)が必要です。
◎いさドラゴンカップ大会
2002 年から始まったこの大会は、ドラゴンボートレースを通して、豊かな郷土の自然と
共生する心、家族や仲間と力を合わせ漕ぐ事で助け合う心、競い合い互いを高めあう心、
大会を通して伊佐を愛する心を育むことを目的としています。
大会運営には、カヌーやドラゴンボート愛好家をはじめ、行政や企業の協力や協賛金、住民
ボランティアの力によって運営され継続されています。
それら多くの人たちの協力や支援金を取りまとめて事業を進めているのが、伊佐市ドラゴン
ボートレース実行委員会です。
①種目
子どもから大人まで幅広く参加できます。また、競技志向の高いクラブチームとその他のチ
ームを分けてレースを実施するために「チャンピオン・オープンの部」は、選抜レースによっ
て種目を分けます。
・チャンピオン・オープンの部(選抜レースによって種目を分けます)
・レディースの部
・中学生の部
・小学生の部
②コース
全長 250Mの直線コースの 6 レーンで行います。
③年齢制限
チャンピオン・オープン・レディースの選手は、平成 28 年 4 月 1 日現在の満年齢で 16 歳以
上とします。
(子どもは乗舟できません。
)
小学生の部・中学生の部は、それぞれ漕ぎ手は小学生、中学生に限ります。
なお太鼓手、舵取りは大人の選手でもかまいません。
④女性限定
レディースの部、漕ぎ手は女性限定です。
⑤チーム編成
1 チーム 10 名(太鼓手 1 名、舵取り 1 名、漕ぎ手 8 名)で編成しますが、選手が不足する
場合は、漕ぎ手の人数を減らします。
ただし、小学生の部に限り太鼓手・舵取りの他、漕ぎ手を 10 名にできます。
⑥選手の配置
「太鼓手」と「舵取り」は必ず配置し、また競技上の安全を確保するため、舟の「左右」
「前
後」のバランスに注意し乗舟してください。基本的に、舟の最前及び最後尾の座席には漕ぎ手
は座りません。
⑦パドルについて
大会事務局が準備したパドル、また自前のパドルを使用する事ができます。
なお、大会事務局が準備したパドルを使用する場合は、乗舟する選手の責任において確認を
行い、破損等がある場合には係員に申し出てください。また予備パドルは 2 本までとします。
⑧ライフジャケット着用の義務
選手は、必ずライフジャケットを着用し乗舟します。例外はありません。
⑨レース編成
参加するレースの 3 つ前までに編成所に集合し、その後指示に従い乗舟します。
乗舟後は、レース妨害にならないように注意しながらスタート地点に向かい、スタート地点の
後方で待機する。レースは、原則 3~6 艇で行います。
⑩スタート
スタートの合図は、
「パドルを上げー」の後、
「レディー・ゴー」の合図で行います。この時
漕ぎ手はパドルを水面上に上げて待ちます。
なお、フライングがあった場合は再スタートとし、2 回目のフライングをした舟はそのレース
の最下位とします。
⑪漕法
漕ぎ手はドラゴンボートの漕ぎ手用腰掛け板に腰掛けた状態での漕法とし、片膝をついての
漕法及び立ち上がっての漕法については禁止とします。違反した舟は、そのレースの最下位と
します。
⑫コースアウトと妨害
自舟がコース両脇のブイを越えた場合は、コースアウトとなります。また、その時他舟へ衝
突しそうな場合は、舟を止めるなどの回避行動をとる責任があります。
舵を舟体からはずして操作したり、他舟に対し競技の妨害など、これらの行為をした舟も、
そのレースの最下位となります。
⑬ゴール
舟の先端がゴールラインに達したときとします。
⑭レース
Ⅰ チャンピオン・オープンの部
選抜レースのタイムにより上位 10 チームをチャンピオンの部に選抜します。また 11 位以
下をオープンの部出場チームとします。
チャンピオンの部は、抽選により準決勝の組合せを決め、その後の敗者復活戦・決勝につ
いてもレース結果により組合せを行います。
オープンの部は、選抜レースのタイムにより予選レースの組合せを行い、予選レースのタ
イムにより、上位 5 チームによる決勝レースを行います。なお順位決定戦は行いません。
Ⅱ レディース・中学生・小学生の部
予選レースのタイムにより、決勝及び順位決定戦の組合せを行う事とし、全ての順位をレ
ースによって決定します。よって必ず全チーム 2 回のレースに出場します。
⑮審判に対する不服申し立て
基本的に認めません。その判定は最終のものとします。
もくじ
1 ドラゴンボートレース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P1
2 伊佐市カヌー競技場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P1
3 道具・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P2~3
①ドラゴンボート ②舵とパドル ③太鼓
4 選手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P3~5
①舵取り ②太鼓手 ③漕ぎ手
5 装備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P8
①ライフジャケット・救命胴衣 ②ウォーターシューズ ③ウェアー
6 伊佐市菱刈カヌー競技場及び用品等の使用、また使用時の留意点・・・・・・P9
①伊佐市菱刈カヌー競技場 ②ドラゴンボート・パドル・ライフジャケット
③使用時の留意事項
◎ いさドラゴンカップ大会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P10~12
(競技要項解説)