軽油サルファーフリー対応の水素化脱硫触媒及び水素化脱硫装置

出 典 :JASE-W 国 際 展 開 技 術 集
http://www.jase-w.eccj.or.jp/technologies-j/index.html
P-09
キーワード
Y3
装置・設備
Z2
石油類
S4
FEMS
E17
石油製品・石炭製品製造業
千代田化工建設株式会社
軽油サルファーフリー対応の水素化脱硫触媒及び水素化脱硫装置
特 徴
用途
日本、北米、EU 等において、軽油中の硫黄濃度は、10-15ppm というサルファーフリーレベルに規制さ
れています。千代田化工建設(株)は、サルファーフリー軽油の生成に対応可能な水素化脱硫触媒(ハイブ
リッドチタニア触媒)、及び本触媒を用いた水素化脱硫装置を提供します。本触媒は、直留軽油、灯油の他、
FCC 分解軽油(LCO)、減圧軽油(VGO)などの窒素濃度が高く、難脱硫性の多様な油に対して、高い脱硫
性能を発揮します。
触媒の開発経緯
これまで商業的な軽油の水素化脱硫触媒には、主に触媒金属としてコバルト、ニッケル、モリブデン等が
担持されたアルミナ担体の触媒(アルミナ触媒)が用いられてきましたが、その一方で、単位表面積当たり
の脱硫反応性が高いことから、担体としてのチタニアのポテンシャルが注目されていました。しかしながら、
従来のチタニアを用いた触媒(チタニア触媒)には、比表面積そのものが非常に低いという大きな欠点があ
り、商業化に至っていませんでした。
弊社は開発の第一段階において、チタニア触媒の開発を進め、独自の触媒調製法により従来の課題を克服
し、市販のアルミナ触媒よりも高脱硫活性を有するチタニア触媒を開発しました。さらに開発の第二段階に
おいて、チタニアとアルミナの斬新な複合化を図ったハイブリッドチタニア担体の開発に至り、次いでハイ
ブリッドチタニア触媒、CT-HBT(Chiyoda thoroughbred hybrid titania)触媒の開発と商業化を達成しました。
CT-HBT 触媒の特長
CT-HBT 触媒のハイブリッドチタニア担体では、ナノ細孔を形成する骨格構造が、薄層のチタニアでコー
ティングされたアルミナ粒子で形成されています。この担体構造によって、CT-HBT 触媒は図 1 に示すチタ
ニア触媒とアルミナ触媒の両方の特長を備えています。CT-HBT 触媒では単位表面積当たりの反応特性では
チタニア触媒の特性が発揮され、しかもアルミナと同等の高い比表面積を有するため、高活性を発現します。
さらに本触媒では、比重が大きくかつ高価なチタニアの使用量が大幅に削減されており、高純度のチタニア
担体を用いたチタニア触媒よりも、大幅な軽量化とコストダウンが図られています。
チタニア触媒
アルミナ触媒
高脱硫活性
(触媒比表面積当り)
高脱窒素選択性
高比表面積
低充填密度
低コスト
高強度
革新的シナジー効果
ハイブリッドチタニア触媒
CT-HBT
弊社開発
触媒
アルミナ
市販触媒
0
50
100
150
200
相対水素化脱硫活性
図 1 CH-HBT 触媒の特長
図 2 直留軽油の水素化脱硫活性の比較
CT-HBT 触媒の水素化脱硫反応性
図 2 に CT-HBT 触媒と市販のアルミナ触媒による直留軽油の水素化脱硫活性の比較を示します。CT-HBT
触媒は市販アルミナ触媒に比べて、脱硫活性が 1.5 倍高く、反応温度を約 10℃下げることが可能です。反
応温度を下げることで装置運転の省エネルギー化と同時に、触媒の長寿命化を図ることが可能です。
図 3 は原料油に直留軽油を用いた CT-HBT 触媒による水素化脱硫実験において、生成油中の硫黄濃度を
10ppm に保持する為の反応温度の推移を示しています。本触媒の脱硫活性については、長期安定性が確認
されており、2 年間相当の連続運転に対応が可能です。
FCC で生成する LCO はサルファーフリーに脱硫処理することで、付加価値の高い製品軽油への転化が可
能となります。図 4 に各触媒で LCO 混合軽油を水素化脱硫処理する場合において、生成油中の硫黄濃度を
10ppm 以下に保持するために必要な反応温度の増加分を示します。原料油は LCO 混合割合が高くなるに従っ
て難脱硫性となるため、反応温度を上げる対応が必要となりますが、CT-HBT 触媒では市販のアルミナ触媒
に比べて、より低い温度上昇での対応が可能であるため、LCO の水素化脱硫処理への適用性が高いことが
分かります。
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+20
+30
必要増加温度(℃)
平均反応温度 (℃)
Commercial Alumina Catalyst
360
350
+20
劣化速度≒0.5℃/月
劣化速度≒1.5℃/月
340
+10
330
Base
320
-10
生成油S濃度=10ppm
0
50
100
150
200
経過日数
CT-HBT
+15
生成油S濃度< 10ppm
+10
+5
250
Base
0
10
20
LCO混合割合(vol%)
図 3 直留軽油の水素化脱硫実験における
CT-HBT 触媒の活性安定性
30
40
@(直留軽油+LCO)
図 4 LCO 混合油の水素化脱硫
処理で生成油の硫黄濃度
を 10ppm 以下に保持する
のに必要な温度増加
水素化脱硫装置への対応
総合エンジニアリング会社としてのメリットを生かし、ニーズに合った提案と対応が可能です。例えば、
触媒供給のほか、装置全般の設計・調達・建設(改造工事含む)に対応致します。
省エネ効果 & 特記事項
CT-HBT 触媒の省エネ効果
・従来よりも低反応温度において、水素化脱硫装置の運転が可能です。
・アルミナ触媒と比較すると、同じ脱硫活性における脱窒素反応性が高く、生成油の窒素濃度をより低減
可能です。
・難脱硫性のLCOや熱分解油を直留軽油と混合処理することで、付加価値の高い製品軽油への転化が可能
です。
・FCCに供給するVGOを本触媒で低窒素濃度に処理することによって、FCC触媒の窒素被毒を緩和し、
ガソリン留分の収率向上が期待されます。
導入実績または予定
国内 西部石油株式会社殿山口製油所
灯油 / 軽油水素化脱硫装置(写真)にて LCO が最大 30% となる原料軽油
の精製に対応
海外 なし
コンタクト先
千代田化工建設株式会社
〒220-8765
神奈川県横浜市西区みなとみらい四丁目6番地2みなとみらいグランドセントラルタワー
営業第1ユニット営業第2セクション
電話番号:045-225-7703
http://www.chiyoda-corp.com/