I-Scoverからハイプ・サイクルを作成してみた

I-Scoverからハイプ・サイクルを作成してみた
2015年1月6日
松平
(OKI)
© Copyright 2015 Oki Electric Industry Co., Ltd.
S OKI CONFIDENTIAL
要旨
ガートナーが毎年発表している先進テクノロジのハイプ・サイクルを、IScover論文数から作成を試みた。
ガートナーのハイプ・サイクルは、テクノロジとアプリケーションの成熟度
と採用率をグラフィカルに表示したもので、新技術は、それぞれ下記の5
つのフェーズを経て推移するとされている。
テクノロジの黎明期
「過度な期待」のピーク期
幻滅期
啓蒙活動期
生産性の安定期
仮説として、この5つのフェーズに応じて論文数が推移すると考えられ、
まず、ハイプ・サイクル2011年版と2014年版のキーワードについて、IScoverの各年の論文数を集計した。その後、5年移動平均により平滑化
し、各フェーズのキーワードをグラフ化した。
2011年黎明期の「Internet of Things」や幻滅期の「メッシュ・ネットワー
ク」などハイプ・サイクルに非常に近い曲線を描いている。
論文数の推移をウォッチすることで、最適な投資タイミングを判断するこ
とが可能と考えられる。
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ガートナーのハイプ・サイクルとは
ガートナーのハイプ・サイクルは、テクノロジとアプリケーションの成熟度
と採用率をグラフィカルに表示したもので、新技術は、5つのフェーズを経
て推移する
ガートナー 2011年版ハイプ・サイクル
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ハイプ・サイクルの5つのフェーズ
テクノロジの黎明期
新たな製品やテクノロジが出現すると、潜在的なテクノロジのブレークスルー
から新たなハイプが生まれます。多くの場合、新技術とそのアプリケーション
の周辺には熱狂と活気がみなぎっていますが、利用可能な製品がない場合
や商用面の有望性が実証されていない場合もあります。
「過度な期待」のピーク期
このフェーズでは、専門性が極めて高いかまたは使いにくいことがある第1世
代の製品に対して、期待が高まります。初期の宣伝で多くの成功事例が取り
上げられますが、通常は多くの失敗が伴います。
幻滅期
第1世代の製品の問題点が表面化します。通常は、テクノロジに対する期待
が現実を超えたことがその原因です。
啓蒙活動期
第2世代と第3世代の製品がリリースされ、テクノロジが初期段階の成熟に向けて進化
し始め、メソドロジとツールが加わって開発プロセスが簡素化されます。
生産性の安定期
このフェーズでは、テクノロジがビジネスにもたらすメリットが肯定的に評価さ
れるようになり、主流企業が採用を開始します。
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ハイプ・サイクルの技術キーワード
2011年版と2014年版のハイプ・サイクルの技術キーワード
I-Scover論文検索で、件数が50件以上のもの
2014年
黎明期
流行期
流行期
流行期
幻滅期
幻滅期
幻滅期
幻滅期
安定期
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2011年
黎明期 量子コンピューティング
黎明期 音声翻訳
黎明期 Internet of Things
ビッグデータ
流行期 拡張現実
M2M
流行期 クラウド・コンピューティング
NFC
回復期 音声認識
流行期 インターネット・テレビ
幻滅期 ジェスチャ認識
幻滅期 メッシュ・ネットワーク
回復期 QRコード
回復期 生体認証
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技術キーワードの論文数グラフ
各年の技術キーワードの論文数
年によって小刻みに変化しており、平滑化が必要
件数の少ないものは変化が見えにくく、正規化が必要
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正規化&移動平均
各年の論文数をピークを1として正規化、5年移動平均
ハイプ・サイクルに近い曲線を描くキーワードがある
各フェーズのキーワードが混在
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2011年ハイプ・サイクル黎明期の技術キーワード
「Internet of Things」は急激に上昇している
「量子コンピューティング」はピークを過ぎ、下降している
(ガートナーの見解とは異なり、ピーク期か幻滅期と考えられる?)
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2011年ハイプ・サイクル「過度な期待」ピーク期
「インターネット・テレビ」はピークを過ぎ、下降している
(ガートナーの見解とは異なり、幻滅期と考えられる?)
「クラウド・コンピューティング」はピークに近づきつつある
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2011年ハイプ・サイクル幻滅期の技術キーワード
「メッシュ・ネットワーク」はピークを過ぎ、下降している
(ガートナーの見解と非常に近い曲線)
「ジェスチャ認識」は90年代後半に一度ピークがあり、再度上昇している
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2011年ハイプ・サイクル回復期の技術キーワード
「音声認識」はピークを過ぎ、下降
「QRコード」「生体認証」は、ともに長期にかけて上昇
(幻滅期を経ずに普及した技術?)
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考察
2011年黎明期の「Internet of Things」や幻滅期の「メッシュ・ネットワー
ク」などハイプ・サイクルに非常に近い曲線
⇒論文数の推移をウォッチすることで、最適な投資タイミングを判断可能
2011年、2014年で黎明期の「量子コンピューティング」はピークを過ぎて
下降、2011年回復期の「音声認識」も下降状態など、ガートナーの見解
と異なるキーワードも散見
⇒派生技術などの詳細な分析も必要
「クラウド・コンピューティング」などの短期的にピークに達するキーワード
と、「音声認識」などの長期にかけて上昇するものがある
⇒認識技術などの顕在ニーズを解決する技術は、長期化する傾向
「QRコード」など幻滅期を経ずに普及する技術もあると考えられる
⇒企業のプレスリリースなども利用して、さらなる分析も必要
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