革新的構造材料

革新的構造材料
Structural Materials for Innovation
Structural Materials for Innovation
国立研究開発法人
科学技術振興機構
イノベーション拠点推進部 SIPグループ
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K s五番町
http://www.jst.go.jp/sip/k03.html
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
「革新的構造材料」のご紹介
ご挨拶
S I P( 戦 略 的イノベーション創 造プロ
この目標を達成するために、航空機のエ
グラム)は 、C S T(
I 総 合 科 学 技 術・イノ
ンジンおよび 機 体 に用いられる部 材を
ベーション会 議 )が司 令 塔 機 能 を発 揮
主な対象に、
し、科 学 技 術イノベーションを実 現する
ものとして創設されました。SIPは府省・
分野横断型のプログラムであり、基礎研
究から実用化・事業化までを見据えて推
進します。その課 題の一つが「 革 新 的 構
造材料」です。
(A)航空機用樹脂の開発とFRPの開発
(B)耐熱合金・金属間化合物等の開発
(C)耐環境性セラミックス
コーティングの開発
(D)
マテリアルズインテグレーション
日本の工業材料、特に構造材料は日本
の4つの研究開発項目を挙げ、研究開発
の産業全体を支え続けてきました。しか
を推進します。
し、欧米に加えて新興国も猛追し、その国
本課題には産学官72機関(企業27、
際競争力の強化が重要課題です。一方、
大学35、公的(非営利)機関10)が参画
エネルギー・環 境の観 点からは、排出ガ
します。
これらは拠点となる機関を中心に
ス削減が求められています。
ネットワークを構 成し、連 携して研 究 開
SIP「革新的構造材料」は、強く、軽く、
発、人材育成、国際連携などにも積極的
熱に耐える革新的材料を開発し、航空機
に取り組んでいきます。
を始めとする輸送およびエネルギー産業
SIP「革新的構造材料」の研究開発成
での実機適用、エネルギー転換・利用効
果が日本の産業・エネルギーの課題解決
率 向 上を目指しています。さらに材 料 技
に貢 献するよう、努力を続けてまいりま
術を基盤に、裾野産業も含めた我が国の
す。関 連する省 庁をはじめ、皆 様のご指
航空機産業を育成、拡大していきます。
導、
ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
PD(プログラムディレクター)
岸 輝雄
東京大学 名誉教授 物質・材料研究機構名誉顧問
概要
■PD
岸 輝雄(東京大学 名誉教授)
■サブPD
香川 豊(東京大学 教授)
体制図
PD
田中 千秋
(東レバッテリーセパレータフィルム株式会社 相談役)
北岡 康夫(大阪大学 教授)
■管理法人
国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)
サブPD
総合調整
推進委員会(内閣府)
■研究開発項目
(A)航空機用樹脂の開発とFRPの開発
(B)耐熱合金・金属間化合物等の開発
国立研究開発法人
科学技術振興機構(管理法人)
(C)耐環境性セラミックスコーティングの開発
(D)
マテリアルズインテグレーション
■参画機関(平成26年度)全72機関 (企業27・大学35・公的(非営利)機関10)
■実施期間 平成26年度より5年間
各研究領域
■事業費 平成26年度 36.
08億円
●内閣府SIPホームページ
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/
●JST SIPホームページ
http://www.jst.go.jp/sip/
(A)
航空機用樹脂の
開発とFRPの開発
(D)
マテリアルズ
インテグレーション
(B)
耐熱合金・
金属間化合物の開発
(C)
耐環境性セラミックス
コーティングの開発
St ructural Materials for Innovation
革新的構造材料研究の全体構想
内閣府、文部科学省、経済産業省が相互に補完して、包括的、全国的な構造材料研究を支援します。
文部科学省
内閣府
拠点形成
セラミックスコーティング
基礎・学理
基礎・学理
元素戦略
NIMS
SIP
樹脂・FRP
※1
発電
耐熱合金・金属間化合物
航空機
実証
JAXA
マテリアルズ
インテグレーション
ISMA ※2
開発刷新
マテリアルズ
インフォマティクス
炭素繊維
ナノ炭素材料
鉄鋼
接合
CFRP
非鉄金属
鉄道
自動車
産業機器
経済産業省
※1 元素戦略プロジェクト
(所管:文部科学省)
※2 新構造材料技術研究組合(Innovative Structural Materials Association)
平成26年度NEDO委託事業(未来開拓研究プロジェクト、所管;経済産業省)
日本の構造材料研究の持続的発展を目指した
人材
育成
研究拠点・ネットワークの構築
構造材料の
持続的な研究拠点・
ネットワーク
ナノテクの
本プロジェクト終了後も、日本の構造材料研究が持続的に発展するよう、
各領域に研究拠点とそれらを核とするネットワークを実現します。その中で、未解決研究課題を
ブレークスルーすべく、先端ナノスケール計測技術などのナノテクノロジーを最大限活用して、
研究を推進します。併せて人材育成、国際連携にも積極的に取り組みます。
対象材料の耐熱性
活用
対象材料の適用部位
FRP
250
国際
連携
CFRP
樹脂
CFRP
(比強度
∼450)
※3
チタン合金・ニッケル合金
EBC TiAl
※4
150
Ti合金
TiAl
金属間化合物
100
50
Mg
合金
Al
合金
200
温度
比強度(MPa/( g/cm 3))
200
Ni
基合金
単結晶
セラミックス
Ni基合金
複合材
700
1200
(耐熱)温度(℃)
金属間化合物
白金族金属
1700
(低圧)
(高圧)
ファン
圧縮機
(高圧)
(低圧)
燃焼機 タービン
※3 炭素繊維強化プラスチック
※4 耐環境性コーティング(Environmental Barrier Coating)
航空機用樹脂の開発とFRPの開発
航空機エンジン・機体のさらなる軽量化を目的とする材料技術の開発。
主な研究開発
■機体用既存オートクレーブ法に替わるプリプレグ真空圧成形技術
■機体用CFRPモジュール設計とブロック一体化工法の融合技術
■エンジン用耐衝撃性・耐熱高分子基複合材料の成形技術
■成形プロセスモニタリング、品質保証技術構築
■接合・長期耐久性評価技術、非接触・非破壊検査技術
■低環境負荷、易成形加工性、低コストを重視した高分子基複合材料の開発
材料適用部位
材料技術
新成形技術
ドライファイバー
配置装置
尾翼スキン
3次元ギャップ
樹脂注入成形(RTM)装置
分割プレス
複合プリフォーム
新成形技術で
製造
特殊バインダー
付与装置
賦形装置
(RTM;Resin
Transfer Molding)
炭素繊維を配置して樹脂を付与後、賦形して複合プリフォームを作製し、樹脂含浸を行い成形する。
プリプレグ製造技術
テーププレースメント
炭素繊維
熱可塑性樹脂
プリプレグ
炭素繊維の織物に熱可塑性樹脂を含浸させプリプレグを作製し、
プリプレグをテーププレースメントして、金型中でプレスすることにより成形する。
ファンブレード
成形モニタリング
インナーフレーム
埋込光ファイバ
補強材
モニタ
ひずみ
温度
革新プリプレグ・新成形技術で製造
チタン製部品のCFRP化
(軽量化、低コスト化、国産化率向上)
機体(翼・胴体)用CFRP
No.
拠点型課題
研究開発課題
計測機器
温度・ひずみ履歴
モニタリングと
品質評価
複合材構造
ユニット名
ユニット代表者
A01
航空エンジン用途国産熱可塑性樹脂・CFRP開発
荒井 政大(名古屋大学)
A02
高生産性・高信頼性脱オートクレーブCFRP構造部材の知的生産技術の開発
遠藤 真(東レ)
航空機用高生産性革新PMCの製造・
A03 品質保証技術の開発
A04
A05
個別テーマ実施型
課題
埋込光ファイバセンサによる
残留応力などの計測
プレス
耐熱高分子基複合材(耐熱PMC)の適用技術研究
小笠原 俊夫(JAXA)
成形プロセスモニタリング・モデリングの学術基盤研究
◎○武田 展雄(東京大学)
複合材料接合・長期耐久性評価技術
岩堀 豊(JAXA)
A06 炭素繊維強化複合材料のレーザ超音波用励起光源と汎用検査法開発
渡邊 誠(NIMS)
A07 高強度・高透明GF−PC複合材料の開発
山尾 忍(出光興産)
A08 構造部材用テキスタイルコンポジットの開発
山口 定彦(旭化成ケミカルズ)
A09 セルロースナノファイバー強化樹脂の開発
中島 康雄(古河電気工業)
A10 植物由来の炭素繊維複合材料の開発
仁宮 一章(金沢大学)
領域長:武田 展雄(東京大学) ◎:領域長 ○:拠点長
耐熱合金・金属間化合物等の創製技術開発
航空機用ジェットエンジンや発電用タービンの主要材料であるTi合金やNi合金等の材料・加工技術を更に発展させる
ことに加え、新材料として注目されるTiAl金属間化合物の本格実用のための材料・プロセス技術を開発します。
主な研究開発
■シミュレーションやデータベースを活用したTi合金、Ni基合金等の革新的な大型・実用的鍛造技術
■施工性・生産性に優れた、
レーザ粉体肉盛技術
■成形品の寸法精度および耐疲労特性に優れた、粉末射出成形技術
■Ti合金、Ni基合金等の次世代合金設計のための要素技術開発
■高圧圧縮機・低圧タービン翼向け、TiAl金属間化合物の材料設計および鋳造・鍛造技術
材料適用部位
材料創製技術
Ti合金
鍛造プロセス技術
ファンケース
レーザ粉体肉盛法による
ニアネットシェイプ成形
TiAl金属間化合物
溶解技術
溶解から製造まで
一貫した革新的
プロセス技術の実現
低圧タービン動翼
既存プロセスより余肉を
減らしたニアネット成形
Ti合金、Ni基合金
鋳造プロセス技術
圧縮機・タービン静翼
No.
圧縮機・タービンディスク
個別テーマ実施型
課題
拠点型課題
個別テーマ実施型
課題
恒温設備が不要な高速
型鍛造による成形
研究開発課題
B21
拠点型課題
高圧圧縮機動翼
革新的プロセスを用いた
B22 航空機エンジン用
B23 耐熱材料創製技術開発
(PRISM※)
B24
ユニット名
ユニット代表者
大型精密鍛造シミュレータを用いた革新的新鍛造プロセス開発と材料・プロセスDB構築
◎○御手洗 容子(NIMS)
航空機エンジン部品用レーザ粉体肉盛による革新的生産技術開発
井頭 賢一郎(川崎重工業)
航空機エンジン部品用金属粉末射出成形技術の開発
三浦 秀士(九州大学)
次世代合金設計のための要素技術開発
◎○御手洗 容子(NIMS)
B25 熱間多軸多方向変形下における航空機用耐熱合金の加工プロセス開発
鳥塚 史郎(兵庫県立大学)
B26 高強度Ni基ディスク材料の実用的加工プロセスの開発
今野 晋也(三菱日立パワーシステムズ)
B27 発電用蒸気タービン向けの高強度大型鍛造ディスク部材の開発
木村 一弘(NIMS)
B28 航空機実装を目指した超急冷マグネシウム合金の製造基盤技術開発
河村 能人(熊本大学)
B29 ジェットエンジン用
B30 高性能TiAl基合金の
B31 設計・製造技術の開発
高性能合金の組織・プロセス設計指導原理の構築
○竹山 雅夫(東京工業大学)
高品位・低コスト素材製造技術開発
坂本 浩一(神戸製鋼所)
革新製造プロセス開発/検証
高橋 聰(IHI)
B32 方向制御層状TiAlタービン翼の製造技術開発
安田 弘行(大阪大学)
B33 火力発電蒸気タービンプラント用TiAl鍛造合金動翼の開発
吉成 明(三菱日立パワーシステムズ)
領域長:御手洗 容子(NIMS) ◎:領域長 ○:拠点長
※
ロウ
PRISM(Process Innovation for Super Heat-resistant Metals)
耐環境性セラミックスコーティングの開発
航空機エンジンの燃費改善とCO 2排出削減に大きな貢献が期待される耐熱・軽量セラミックス部材の実用化に向けて、
使用時の過酷な環境からこの部材の表面を守り、部材の長期使用を可能にする耐環境性コーティング技術を開発します。
主な研究開発
■高温の酸素・水蒸気環境で、優れた環境遮蔽性と耐熱サイクル性を長期間持続させるコーティング技術
■高温環境で耐熱・軽量セラミックス部材の損傷許容性を長期間持続させるコーティング技術
■コーティングの材料設計、
プロセス開発、評価を通じた、
コーティング性能の効率的・効果的な発揮
■高靭性と耐熱性を併せもつ軽量セラミックス系部材へ適用可能な耐環境性コーティング技術
開発技術
材料適用部位
コーティング設計とそれを実現するプロセス技術
耐環境性コーティング
電子ビームPVD成膜法によるEBC
の構造制御と組成制御
熱衝撃緩和層
水蒸気による減肉防止/
水蒸気遮蔽層
熱応力解析や健全性評
価解析等によるEBCの
解析・評価
酸素遮蔽層
燃焼器(ライナ)
高圧タービン
(動翼、静翼、シュラウド)
耐熱・軽量セラミックス部材
結合層
界面制御コーティング
耐熱・軽量
セラミックス部材
高強度レーザ
原料ガス
環境遮蔽設計
高温、酸素・水蒸気環境
1,400℃の
酸素・水蒸気環境
部材の表面を守り、長期使用を可能とする高性能な
耐環境性コーティング(EBC)の開発が不可欠
セラミック部材の力学特性・破壊特性から
界面制御コーティングを解析・評価
レーザCVD法
など
コーティングの評価
EBC:Environmental Barrier Coating
燃焼ガスによる熱サイクル試験で
実機適用可能性を評価
No.
研究開発課題
C41
拠点型課題
C42
C43
耐環境セラミックスコーティングの構造最適化及び信頼性向上
C44
個別テーマ実施型課題
C45 軽量耐熱高靱性耐環境コーティングの開発
領域長:高田 雅介(JFCC) ◎:領域長 ○:拠点長
ユニット名
ユニット代表者
コーティング技術の開発
◎○高田 雅介(JFCC)
EBCの評価・解析
赤津 隆(東京工業大学(佐賀大学))
界面制御コーティングの評価・解析
後藤 健(JAXA)
実機システム適用可能性評価
中村 武志(IHI)
牛田 正紀(三菱重工航空エンジン)
マテリアルズインテグレーション(MI)
多様な素材・プロセスの組み合わせから製造される部材・構造体の性能や寿命等を、理論、経験則、計算科学、
データベース等を融合し、
ビッグデータを活用して予測するシステムを開発することにより、開発時間の大幅短縮、
効率的な開発、
コスト低減、材料選択・利用加工プロセスの最適化、構造体の信頼性予測や診断・メンテナンス性の向上、
更には研究開発拠点、人材育成拠点、国際ネットワーク構築等に資するシステムを目指します。
MI;理論・実験・計算・データの融合
金属材料のMIシステム(高強度鋼の溶接継ぎ手性能を例題として先行実施)
組織予測システム
材料利用の条件
要求性能・・
材料組織
相構成、粒径、
方位・・
性能予測システム
組織、硬さ、残留応力等を
予測
疲労、クリープ、脆性破壊、
水素脆化等を予測
入力
性 能
材 料
プロセス
時間依存:疲労、
腐食、クリープ・・
金属、セラミックス、
樹脂、複合材
出力
材料条件
プロセス条件
使用環境
寿命推定
破壊確率
脆化要因
数値モデリング
実験、データベース
理論、経験則
ビッグデータ活用
特性空間分析システム
数値モデリング
実験、データベース
データ処理・
解析機能
による支援
理論、経験則
ビッグデータ活用
シュミレーション
材料特性
シュミレーション
統合システム(MIとしての機能発揮)
強度、延性、靭性・・
未活用材料情報を取得して、構造材料の
パフォーマンスや寿命を予測
nm
mm
nm
陽 電 子 による
塑性変形時の
ボ イド 変 化 イ
メージング
PIXE(粒子線励
起 X 線 )に よる
H、B、C、N、Oの
イメージング
µm
高分子材料
複合材料
物質・構造
セラミックス
コーティング
物質・
構造
mm
cm
組織・特性
m
性能
(時間依存)
界 面 、非 平 衡 熱 力 学
2D
µm
全ての構造系材料へMIを展開
5µm
5µm
3D
赤:異相
桃:変質相
5µ
アトムプローブによる粒界での
析出物の三次元イメージング
m
青:欠陥
研究開発課題
D61
拠点型課題
D62
D63
性能
(時間依存)
黄:母相
XAFS(X線吸収微細構造)-CT
による異相界面と亀裂起点の
三次元イメージング
No.
組織・特性
マテリアルズインテグレーションシステムの開発
D64
数学的手法、時間依存性の組込み
ユニット名
共通
基盤
ユニット代表者
組織予測システムの開発
◎○小関 敏彦(東京大学)
性能予測システムの開発
榎 学(東京大学)
特性空間分析システムの開発
井上 純哉(東京大学)
統合システムの開発
小出 康夫(NIMS)
拠点型課題
D65 溶接部性能保証のためのシミュレーション技術の開発
○廣瀬 明夫(大阪大学)
拠点型課題
D66 構造材料の未活用情報を取得する先端計測技術開発
○大久保 雅隆(AIST)
拠点型課題
D67 「界面」を通じた、構造材料における未解決課題克服のための技術構築
○津﨑 兼彰(九州大学)
D68 高温物質移動および組織の時間依存挙動のシミュレーション技術開発
松原 秀彰(東北大学)
D69 計算機を用いた材料支援技術への時間依存特性導入技術
毛利 哲夫(東北大学)
D70 高性能高分子材料の長期時間依存特性の予測技術の開発
栗山 卓(山形大学)
D71 構造用高分子材料の実用型最適設計・総合評価支援ツールの開発
藤元 伸悦(新日鉄住金化学)
D72 マテリアルズインテグレーションへの数学的アプローチ技術開発
西浦 廉政(東北大学)
D73 構造材料開発に利用する計算熱力学に関する技術基盤構築
菖蒲 一久(AIST)
個別テーマ実施型
課題
領域長:小関 敏彦(東京大学) ◎:領域長 ○:拠点長