平成 25(2013/`14)事業年度 事業報告

平成 25(201
2013/'14)事業年度 事業報告
A.法人の
法人の概況
1.設立年月
昭和 55 年 8 月 20 日
(平成 25 年 10 月 1 日付にて一般社団法人全日本コーヒー協会へ移行)
2.定款に
定款に定める目的
める目的
本会は、コーヒーの品質の維持向上、生産・流通の改善・合理化及び国際コーヒー機関
並びに加盟国等とコーヒーに関する情報を共用するほか協力しつつ、国内のコーヒー消費
振興に努め、国内コーヒー産業の相互の健全な発展を図るとともに、国民食生活の向上発
展に寄与することを目的とする。(定款 第 3 条)
3.定款に
定款に定める事業内容
める事業内容
本会は、目的を達成するため、次の事業を行う。
(1)コーヒーの生産、流通及び消費に関する事業
(2)コーヒーの普及啓発に関する広報事業
(3)コーヒーの品質の維持向上に関する事業
(4)コーヒーと健康に関する調査・研究事業
(5)国際コーヒー機関との交流、協力に関する事業
(6)コーヒー生産国との情報交換及び交流に関する事業
(7)コーヒー産業の持続的発展に関する事業
(8)コーヒーに関する内外の資料の収集、整備及び発信に係る事業
(9)コーヒーの生産、流通及び消費に関する施策の建議
(10)その他当法人の目的を達成するために必要な事業
(定款 第 4 条)
4.所管官庁に
所管官庁に関する事項
する事項
農林水産省食料産業局食品製造卸売課
5.会員の
会員の状況
種 類
会員合計
団体会員
個別会員
準 会 員
当期末
23
5
18
15
前期末増減
△ 1
0
△ 1
1
6.主たる事務所
たる事務所・
事務所・支部の
支部の状況
主たる事務所 東京都中央区日本橋箱崎町 6-2
マックス本社ビル別館 3F
(平成 26 年 9 月 30 日)
7.役員等に
役員等に関する事項
する事項
役
職
氏
名
常勤・
非常勤の別
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
会長理事
副会長理事
副会長理事
副会長理事
副会長理事
太田敬二
上島達司
萩原孝治郎
渡辺正人
武田太郎
副会長理事
渡邊桂三
非常勤
副会長理事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
専務理事
監
事
監
事
横山敬一
西埜伊宜
小川秀明
柴田 裕
辻 隆夫
山宮 明
鳥羽 豊
堀雄二郎
島崎隆平
上野敬郎
鈴木修平
加藤 保
西野豊秀
小林俊一郎
齋藤康之
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
常 勤
非常勤
非常勤
監
事
古山
俊
非常勤
監
監
事
事
塩澤敏明
山本和夫
非常勤
非常勤
所
9.許認可に
許認可に関する事項
する事項
なし
役
職
キーコーヒー㈱ 最高顧問
UCC 上島珈琲㈱ 代表取締役会長
萩原珈琲㈱ 代表取締役社長
ネスレ日本㈱ 常務執行役員
日本珈琲貿易㈱ 代表取締役社長
伊藤忠商事㈱ 食料カンパニー
食品部門 砂糖・コーヒー・乳製品部部長
味の素ゼネラルフーヅ㈱ 代表取締役社長
アラブ珈琲㈱ 代表取締役社長
小川珈琲㈱ 代表取締役社長
キーコーヒー㈱ 代表取締役社長
キョーワズ珈琲㈱ 代表取締役社長
高砂香料工業㈱ 執行役員
㈱ドトールコーヒー 代表取締役社長
ハマヤ㈱ 代表取締役社長
丸紅食料㈱ 代表取締役社長
三井物産㈱ 食品原料部長
美鈴商事㈱ 代表取締役社長
ワタル㈱ 会長
事務局
㈱エム・シー・フーズ 代表取締役社長
兼松新東亜食品㈱ 原料事業部菓子飲料課 課長
住友商事㈱ 糖質・飲料原料部
飲料原料チームリーダー
富士コーヒー㈱ 代表取締役社長
公認会計士
8.職員などに
職員などに関
などに関する事項
する事項
女性職員
嘱託(男性)
属
人 数
3名
1名
(平成 26 年 9 月 30 日)
平均勤続年数
17 年 3 月
3 年 10 月
(注)嘱託は週 2 回勤務
B.事業の
事業の状況
Ⅰ 管理部門
一般社団法人全日本コーヒー協会(以下「全協」という)の活動に必要な一般
管理業務を行うとともに、コーヒー業界を取りまく課題や制度改正等に関する情
報を収集し「AJCA ニュース」「全協海外情報」「会員向けホームページ」等を通
じてその状況を随時報告した。AJCA NEWS に ISIC(The Institute for Scientific
Information on Coffee)情報及び ICO のホームページに掲載されている健康情
報を和訳し掲載している。また、テレビ、新聞及び情報誌等のメディア、消費者
からのコーヒーに関する様々な問合せに対し適宜回答している。
Ⅱ 事業部門
事業部門(
部門(新第1
新第1次事業:
次事業:第 35 次広報・
広報・消費振興事業)
消費振興事業)
1.広報・
広報・科学情報事業
科学情報事業
(1)広報事業
広報事業は、11 月に前年度事業の報告会とそれへの反省を踏まえ、当年度事業
の方向を決めた。平成 25 年度事業は、①毎年、プレゼンテーションを行い前年
度からの蓄積をゼロとするのは無駄が多いので蓄積効果を考えた広報活動を実
施する、②2、3 年程度、企画コンセプトの方向性を決めて広報を行う。
(例えば、
タレント、イメージキャラクターやスローガンなど)、ただし、反応が悪ければ
中止することを前提とする、③プレゼンテーションは、時間の節約のため、ある
程度実績のあるところのみから提案を受けるようにし、電通、読売 IS、日本経済
社の 3 社とする、ことなどを基本に進めることとした。また、広報消費振興委員
会は、前年度に続き広報のターゲットをコーヒー消費のコア層である 40 代~60
代とし、この層に関心の高い健康を考慮した広報を行うこととした。
プレゼンテーションは 2 月に行い電通及び読売 IS から提案を受け、電通案を
採択した。
「10 月 1 日コーヒーの日」関係は、広告媒体を新聞とBSテレビとし、前年に
強い反響を得た松田優作を引き続き使って広報を行うこととした。また、国際コ
ーヒー機関(ICO)が 2015 年より「10 月 1 日」を International Coffee Day と
することとしたため、制定のお祝いを兼ねてプレイベントをトルコ大使館と共催
の形で実施することとした。
また、平成 24 事業年度にコーヒー産地の DVD を制作し好評を博したが、今年
度は消費者等から要望のある国内のコーヒー製品の加工工程及びコーヒーの淹
れ方、企業の秘書室等から要望のあるコーヒーの提供の仕方、更には「コーヒー
と健康」について DVD 化するほか、全協のホームページに紹介することとして作
業を進めていたものの、次年度に繰り越さざるを得なかった。
近年の消費者の情報ソースの変化及び将来のコーヒー愛好家の獲得等を考慮
し、全協ホームページのリニューアル化を図り、かつコンテンツを充実し、楽し
んでコーヒーに関する知見を高めることができるようしている。
①
マスメディアの活用
本年は、メディアがコーヒーブームとしていることもあり、事務局はテレビ
及び新聞等の多くの媒体のコーヒーに関する取材に対応した。コンビニコーヒ
ーの販売が目立ったため、メディアはコーヒーブームという捉え方であったが、
コーヒー飲用はブームという形で増えているのではなく、様々な根拠があって
伸びている旨の説明を行った。また、「コーヒーと健康」に関するメディアの
取り上げについても把握するよう努めた。
幾つかの報道事例を紹介すると、ⅰ Web のマイナビウーマンは「コーヒーは
1 日 2 杯まで?コーヒーの女性にうれしい6つのメリットと賢い付き合い方」
(2014.1)、ⅱ 読売ファミリーは「コーヒーの香り街一杯に“コンビニカフェ”
大ブレーク」(2014.1)、ⅲ SMBC マネジメントは「コンビニカフェのヒットで
進化するコーヒー市場」(2014.2)、ⅳ モノマガジンは「ゴールデンウィーク
にすぐ効くコーヒー情報号」で「コーヒーと健康」(2014.5)、ⅴ 日本経済新
聞社の日経消費インサイトは「コンビニコーヒーの波及効果」
(2014.6)、ⅵ The
Japan Times は「インスタントコーヒーからコンビニコーヒーまでの展開と美
味しさの進化」(2014.6)、ⅶ 朝日新聞は「コーヒー飲用における砂糖離れ」
(2014.7)、ⅷ 月刊 PHP に「コーヒーを楽しむ」
(2014.9)などである。また、
インドネシアのルーアックコーヒー、ゲイシャやティピカなどのコーヒーの品
種、ブルーマウンテンコーヒーの動向などの取材に協力した。
②
コーヒーの日事業
ア 新聞関係
ⅰ 当初 9 月 26 日より 29 日まで朝日新聞及び読売新聞に小型枠のティザー
広告を掲載し「10 月 1 日コーヒーの日」への関心を高める予定であった。
しかし、朝日新聞の虚偽報道の問題が明らかとなったため、急きょ読売新
聞と毎日新聞に換え、9 月 30 日は読売新聞については 15 段広告、毎日新
聞は 5 段広告とした。
更に、「10 月 1 日コーヒーの日」の読売新聞や読売オンラインのクイズ
応募者の正解者の中から 1 名に松田優作の愛車と同じ「ベスパ」をプレゼ
ントすることとした。
ⅱ 10 月 1 日は読売新聞に 15 段+15 段の 30 段広告、毎日新聞、北海道新聞、
河北新報、中日新聞(東京新聞及び北陸中日新聞含む)、中国新聞、西日本
新聞及び日刊スポーツに 5 段広告を掲載した。
ⅲ 地方紙 40 紙、47club の Web サイト及び読売オンラインに「10 月 1 日コ
ーヒーの日」を告知するほか、スイーツのプレゼントキャンペーン広告(オ
ープン方式、20 名×20 商品=400 名)を掲載した。
イ テレビ関係
ⅰ 10 月 5 日、12 日、19 日、26 日、11 月 2 日に BS 朝日で 20 時 54 分から
「喫茶優作第 2 弾」のミニ番組を放映し、朝日デジタルでも視聴可能とした。
ⅱ 出演者は「松田優作にゆかりのあるゲスト」を中心に、立木義浩、満島
真之介、とよた真帆、長塚圭史、竹中直人の 5 名である。
③
ウ
Web 関係
ⅰ Youtube 映画公式サイト「Cinemagene」において BS 朝日のミニ番組「喫
茶優作」を放映することとした。
ⅱ 「10 月 1 日コーヒーの日」関係記事を読売オンライン掲載した。
エ
イベント
ⅰ 9 月 27 日及び 28 日に恵比寿ガーデンプレスにて開催のカラダフェスタ
に共催した。
ⅱ 9 月 30 日及び 10 月 1 日にトルコ大使館文化部施設において、トルコ、
イタリア、ブラジル、コロンビア、インドネシアの参加を得て、世界コー
ヒー文化交流フェスタを開催した。毎日新聞が翌日の朝刊でイベントの内
容を写真入りで紹介した。
ⅲ 「10 月 1 日コーヒーの日」のキャラクターに起用した松田優作の命日
11 月 6 日にユナイテッド・シネマ豊洲において、夫人の松田美由紀さんを
交えたトークショーの開催と松田優作主演の「野獣死すべし」の映画試写
会を行うこととした。
ホームページの活用
全協ホームページで訪問者の多い「コーヒー統計」、
「コーヒーと健康」、
「コ
ーヒーレシピ」、
「コーヒー図書館」、
「コーヒー物語」の内容更新とその充実を
引続き図った。本年は、メディアがコーヒーブームと囃すこともあり、日本の
コーヒー需給表に関する問合せが群を抜いて多かった。
ホームページ Coffee Break 欄の「地球人のコーヒーブレイク」を「コーヒ
ービジネス最前線」に模様替えした。また、「Coffee Break」の掲載記事を引
き続き紹介するなどコーヒー飲用の世界を拡げるよう努めた。
また、「コーヒーができるまで」の動画を栽培・精選・輸出に分けて紹介し
ており、コーヒー関係者からも初めて生産地のコーヒー生産の状況を知ること
ができた、との声が寄せられた。また、本 DVD を TBS やテレビ朝日に貸し出し
た。
地球人のコーヒーブレイク
2013 年
11 月 ブリュッセル(ベルギー)
12 月 ロンドン(イギリス)
2014 年
1 月 ニューヨーク(米国)
3 月 ロッテルダム(オランダ)
4 月 シエナ(イタリア)
コーヒービジネス最前線
2014 年
5月ロンドン(英国)
7月ベルリン(ドイツ)
メディアより日本のコーヒー消費に関する問合せが極めて多いことから、日
本のコーヒー需給表を作成し掲載している。
④ 機関紙、小冊子を通じた広報
ⅰ 協会の自主刊行物であるコーヒーの健康啓発冊子「コーヒーとからだのお
いしい話」やコーヒーの基本知識広報冊子「コーヒーワールド」を消費者啓
発資料として引き続き配布した。
AJCA ニュースについては、一般紙掲載のコーヒー関係記事を収集し紹介す
るほか、ISIC(Institute for Scientific Information on Coffee)掲載論
文及び ICO ホームページ掲載の「コーヒーと健康」に関する論文の要約を翻
訳して紹介している。また、迅速性とコスト低減のため Web による提供に努
めている。
ⅱ 「Coffee Break」は、7,000 部印刷し都道府県の図書館、消費生活センター
及び会員に配布した。
「Coffee Break」掲載記事は全協ホームページに掲載し、
Web 上での閲覧も可能としている。
78 号は「コーヒーの可能性を探る、
“カフェの街”メルボルン」、79 号は「カ
リオカたちの笑顔が待っている、リオ・デ・ジャネイロのカフェ」、80 号は「地
域コミュニティをつなぐ、ロンドンの個性派カフェ」を特集した。広報・消費
振興委員会において掲載内容について事前にチェックし間違いのないよう努
めている。
⑤
教育啓発
金沢大学の広瀬教授が中心となって主催する「大学公開講座・コーヒー学入
門」に助成するとともに、小冊子等の提供を行なった。
大学公開講座「コーヒー学入門
2014」
第1回
講義
平成 26 年 3 月 6 日(木)
(1)コーヒーの科学
(2)コーヒー飲用の歴史
第2回
講義
平成 26 年 7 月 26 日(土) しいのき迎賓館(石川県金沢市)
(1)水素コーヒーとこれからの金沢菓子
金沢大学名誉教授 廣瀬 幸雄
(2)コーヒーと菓子の「和」のはなし
東京大学特任教授 後藤 裕
「鹿珈家」(宮崎県都城市)
金沢大学名誉教授 廣瀬 幸雄
金沢大学講師
星田 宏司
第3回
平成 26 年 8 月 23 日(土) 高岡市生涯学習センターホール
(1)水素焙煎コーヒー
金沢大学名誉教授 廣瀬 幸雄
(2)珈琲と音楽の伝播に活躍したトルコ民族
金沢大学講師
上野 慶夫
(3)コーヒーと科学
櫻田嘉一郎
第4回
平成 26 年 9 月 6 日(土) ハートピア春江(福井県坂井市)
(1)水素焙煎コーヒー
金沢大学名誉教授 廣瀬 幸雄
(2)コーヒーの魅力について
佐野 周一
(3)モーニングサービスの現況~今後の可能性
金沢大学講師
伊藤 由紀弘
⑥ マスコミ関係者との交流
ⅰ 科学情報事業で得られた成果の広報とコーヒーに関する適切な認識を得る
ことを目的にマスコミ関係者を対象としたコーヒーサイエンスセミナーを開
催した。
第 18 回コーヒーサイエンスセミナー
実施日: 平成 26 年 9 月 19 日(金)
会 場: 丸ビルホール&コンファレンススクエア(丸の内)
セミナー 1:聖路加国際大学 聖路加国際病院 脳神経外科部長 篠田正樹
「コーヒー摂取と脳卒中予測因子との相関性:かくれ脳出血と脳梗
塞を中心として」
【 要約 】
2013 年 5 月より 2014 年 3 月までの入院脳ドック受診者 455 名を対象にアン
ケート調査を行い、コーヒーの摂取と脳ドックの所見を検討した。脳ドック所
見は小血管病(微小脳出血、無症候性脳梗塞、大脳白質病変)に注目し、その
陽性率をコーヒーの摂取状況とあわせ、検討した。内容はコーヒーの摂取量、
年数、頻度、種類についてアンケート調査を行った、結果は単変量解析でコー
ヒーを常飲する男性は全く飲まない男性に比べて小血管病が有意に少なく、女
性では大脳白質病変が有意に少なかった。コーヒー摂取と特に強い相関性が得
られたものは微小脳出血で、コーヒーを多く飲む人ほど、微小脳出血が少ない
関係が得られた。
セミナー 2:東京慈恵会医科大学 分子生理学講座 助教 山澤德志子
「コーヒーポリフェノールによる神経保護作用」
【 要約 】
脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血を合わせた脳卒中は罹患率、および死亡率が
高い3大生活習慣病の一つで、死亡原因の第3位に位置しています。しかし治
療法は発症直後の血栓溶解療法など依然として限られています。近年の疫学的
研究により、習 慣 的 コ ー ヒ ー 摂 取 に は 脳 卒 中 の リ ス ク を 低 下 さ せ る 効 果
が あ る こ と が 明 ら か に さ れ ま し た 。しかしコーヒーにはカフェインやポリ
フェノール等多くの含有成分があり、どの成分が効果を示すのかについては言
及されていません。ポリフェノールには、抗炎症、抗癌、抗酸化など様々な効
果が報告され注目されていますので、コーヒー摂取による脳卒中のリスクの軽
減はコーヒーに多く含まれているポリフェノールであるクロロゲン酸による
効果ではないかと考え、この仮説を培養神経細胞で検証しました。脳虚血では、
(1)グルタミン酸放出→(2)グルタミン酸受容体を介した Ca2+流入→(3)一酸化
窒素合成酵素(NOS)の活性化による一酸化窒素(NO)の産生→(4)NO シグナ
ルの活性化、の過程で神経細胞死が誘発されることが知られています。 マウ
ス胎児大脳皮質の初代培養神経細胞にグルタミン酸及び NO による神経細胞死
を誘発して、クロロゲン酸の効果を調べました。クロロゲン酸投与はグルタミ
ン酸による細胞死を有意に抑制しましたが、NO による細胞死には効果があり
ませんでした。従って、NO が産生されるまでの過程にクロロゲン酸が作用し
ている可能性が示唆されます。
ⅱ
正副会長・広報正副委員長及び記者会との懇談会を年末に開催し、昨年の業
界重大ニュースを選びながら一年間を回顧するとともに、各 5 団体の来年の
抱負を披露した。
⑦
全国団体への協賛
全国団体が行う広報・消費拡大事業を補完する次の事業に協賛を行った。
1.日本家庭用レギュラーコーヒー工業会
(1)事業内容
小学校 4 年生から 6 年生をメインターゲットとし、その世代をサブター
ゲットにレギュラーコーヒーの普及・啓蒙活動を積極展開する。
(2)事業経費の概算
① イベント企画、制作、運営費用
28 万円
② 朝日新聞掲載料金
315 万円
③ 朝日小学生新聞告知料金
157 万円
合計
500 万円
(注)6 社のコンペにより朝日新聞を選定。
(3)
協賛金申請額
500 万円
2.日本インスタントコーヒー協会
(1)事業内容
前年同様、
「My Favorite Coffee Time~インスタントコーヒーですごす、
幸せなひととき~」と題してフォトコンテストを実施する。表彰式には
メディア・報道機関にアプローチし、これらを通じて多くの消費者に紹
介し、コーヒーの消費振興につなげる。
(2)事業経費の概算
① 企画・タレント出演料
② イベント会場費
③ イベント会場設営
④ PR 関係費用
⑤ その他運営費
合計
300 万円
100 万円
100 万円
200 万円
100 万円
800 万円
(3)協賛金申請額
500 万円
3.全日本コーヒー商工組合連合会
(1)事業概要
① テーマ:
「10 月 1 日はコーヒーの日 女性に″コーヒーを贈る日″」
② キャンペーン期間:平成 26 年 9 月 1 日(月)~10 月 31 日(金)
③ 実施エリア・店舗:全国
喫茶・飲食及び物販店舗
④ キャンペーン方法:オープンキャンペーン(応募抽選方式)
⑤ 当選者総数:330 名
⑥ 告知方法:雑誌及び Web
(2)事業経費の概算
① 印
刷
費:
② PR
活
動
費:
③ ノベルティ(商品)費:
④ W e b
関
連
費:
⑤ 企画・クリエティブ費:
⑥ 事 務 局 運 営
費:
≒合計(消費税込)
(3)協賛金申請額
1,100,000 円
450,000 円
1,175,000 円
705,000 円
690,000 円
1,438,500 円
6,000,000 円
500 万円
4. 会員団体への事業協賛金支出総額
(1) 日本家庭用レギュラーコーヒー工業会
(2) 日本インスタントコーヒー協会
(3) 全日本コーヒー商工組合連合会
合
計
500 万円
500 万円
500 万円
1,500 万円
⑧
コーヒーの国内加工及びコーヒーと健康啓発等 DVD の制作
コーヒー飲用の拡大と共に、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーの
加工工程、コーヒーのお客様への出し方、コーヒーと健康との関係などをホー
ムページなどで紹介して欲しいとの問い合わせがあり、これに応えるため紹介
する動画の製作に取り組んだが、国内取材の難しさがあり次年度に移行せざる
を得なくなった。出来上がれば、全協ホームページに紹介するほか DVD 化し、
中学や高校等からの要望にも応えていきたい。
昨年制作した産地紹介 DVD は、テレビ朝日、TBS、農林水産省等に貸し出し
た。
(2)科学情報事業
①
ブレーンドクター制度の継続
科学情報活動を支える中心的存在であるブレーンドクター制度を継続する。
現在の顧問ドクターは、石川俊次元神奈川工科大学教授、矢ケ崎一三国立宇都
宮大学特任教授(東京農工大学名誉教授)、永田知里岐阜大学医学部教授の 3
名である。
ブレーンドクター
常 任 石川俊次(医療法人社団勝優会たまち徳栄ビルクリニック院長)
非常任 矢ヶ崎一三(宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センター
特任教授)
非常任 永田知里(岐阜大学大学院医学系研究科教授)
非常任ドクターには、助成研究の審査関係等を中心に担当していただい
ているが、必要に応じ全協の課題に協力をお願いしている。
②
研究助成制度と成果発表会
ⅰ
研究助成の公募
コーヒーと健康を中心とする学術研究を振興するために研究助成課題を公
募したところ 59 件の応募があった。
公募方法
1.協会ホームページに募集要領を掲載
2.大学及び国立の医療機関等 80 に対し、学内ホームページ等への公募
広告掲載を要請(無料)
対象研究分野: 「コーヒーの効用」に関する研究
応募方法: 協会規定の応募要項に必要事項を記入の上郵送にて提出
応募期間: 平成 25 年 12 月 13 日から平成 26 年 1 月 14 日
助成金額: 1 件 150 万円を限度額とする
助成期間: 平成 26 年 4 月1日から平成 27 年 3 月 31 日
採 択 数: 10 課題
ⅱ
選 考
ブレーンドクター並びに科学情報正副委員長と同専門委員で構成する選考
会で、応募課題から次の 10 課題を選考し研究助成の課題とした。
平成 26 年度(第 18 回)研究助成一覧
1.足達 寿 (久留米大学医学部 地域医療連携講座 疫学研究室 教授)
「習慣的なコーヒー摂取は、心拍数を減少させ、全死亡を低下させる」
2.吉岡
研一
3.山道
信毅
(国立がん研究センター研究所 ゲノム安定性研究分野
主任研究員)
「コーヒーによるゲノム安定性の保持効果と細胞形質転換の防御効果の
研究」
(東京大学医学部付属病院 消化器内科 第 108 研究室
消化器内科助教 研究室長)
「コーヒー摂取による睡眠への影響の探索的データ解析」
4.西村 智 (自治医科大学 分子病態治療センター 分子病態研究部 教授)
「コーヒー摂取による褐色脂肪細胞機能変化の生体イメージによる解析」
5.山本
洋介
(京都大学医学部付属病院 臨床研究総合センター
医学研究科 医療疫学分野 特定講師)
「コーヒー摂取習慣と健康関連 QQL との縦断的関連:大規模コホート研究」
6.小林
謙一
(東京農業大学 応用生物科学部 生物応用科学科
栄養生化学研究室 助教)
「蛍光標識化コーヒーポリフェノールを用いた大腸がん増殖抑制機構
の視覚化」
7.玉井 郁巳 (金沢大学 医薬保健研究域・薬学系 薬物動態学
「コーヒーの血清尿酸値低下作用機構とその責任成分の同定」
8.庭野
吉己
教授)
(東北大学大学院 歯学研究科 生体適合性計測工学講座
教授)
「コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸及びカフェイン酸による口腔内炎
症性疾患の改善効果」
9.山手 百合香 (大阪市立大学大学院 医学研究科 皮膚病態学 研究員)
「コーヒーによる紫外線照射後皮膚炎及び色素沈着予防効果の検討」
(国立保健医療科学院生涯健康研究部 地域保健システム
研究分野 特命上席主任研究員)
「禁煙治療を受ける人の習慣的なコーヒー摂取習慣が睡眠の質に及ぼす影響」
10.大庭
志野
ⅲ 研究助成の成果発表会
前年度の研究助成の成果を発表し、研究内容の理解及び評価を行うとともに、
交流会を開催し相互の意見交換を行った。
第 17 回研究助成発表会
実施日: 平成 26 年 6 月 20 日(金)
会 場: アルカディア市ヶ谷
発表者:
1.辻 一郎(東北大学大学院医学研究科 教授)
「高齢者におけるコーヒー摂取が認知機能に及ぼす影響」
2.堀尾文彦(名古屋大学大学院生命農学研究科 教授))
「自己免疫性膵臓 β 細胞破壊による1型糖尿病に対するコーヒーの発
症抑制効果」
3.篠田正樹 (聖路加国際病院 神経外科 部長)
「コーヒー摂取と脳血管障害予測因子との相関性:脳ドック受診者にお
ける頸部内頚動脈プラークと微小脳内出血への影響」
4.村井稔幸(大阪大学大学院 医学研究科 助教)
「コーヒー成分による細胞膜ナノドメイン制御を介した癌の浸潤・転移
抑制作用の検討」
5.古賀俊策(神戸芸術工科大学大学院 応用生理学研究室 教授)
「コーヒー摂取が活動筋の酸素供給と需要のマッチングに及ぼす効果」
6.山澤 德志子(東京慈恵会医科大学 分子生理学講座 助教)
「コーヒーポリフェノールクロロゲン酸による脳卒中予防の検証とその
作用点の解明」
7.足立 哲夫(岐阜薬科大学 臨床薬剤学研究室 教授)
「コーヒー含有ポリフェノールのエピジェネティクス制御能」
8.斉木 臣二(順天堂大学医学部付神経内科 准教授)
「コーヒー含有成分のオートファジー調節効果の検討・癌とパーキンソ
ン病モデル細胞を用いて」
9.増田 俊哉(徳島大学大学院 ソシオ・アンド・サイエンス研究室 教授)
「焙煎を想定したコーヒー成分による食生活型生活習慣病予防能の検証」
10.中澤 徹(東北大学 眼科 眼科学分野 教授)
「コーヒーの飲用が眼血流に及ぼす影響とコーヒーポリフェノールの神
経保護効果の検討」
③
ポリフェノール分析について
最近、コーヒー製品の中にはクロロゲン酸やポリフェノールの含有量を包装
の表中央に記載し、異様に高い数値を記すものもある。一方、消費者庁は食品
表示法において栄養表示の強化を図る方向にあるほか、景品表示法の改正に伴
い「優良誤認」、
「有利誤認」、
「誤認される恐れのある表示」などについて取締
りを強化する方向にある。行政が問題視した時には事業者が挙証責任を求めら
れ、食品表示に関する事業者責任はこれまで以上に重いものとなる。
このため、個々の事業者の責任でコーヒー豆の成分分析を行うとしてもコー
ヒーに含まれる成分のメルクマールとなる分析方法や数値は必要と考えられる
ので、全協でそのような位置づけを行う方向で検討を進めている。事業年度を
繰り越すこととなったが、まとまれば全協ホームページに分析方法や含有量を
公開し、説明のつかない表示をなくしたいと考えている。
全協は本件について以下のように回答することとした。
焙煎したコーヒーには、クロロゲン酸類やこれらが焙煎により変化した種々
のポリフェノールが含まれる。全日本コーヒー協会のホームページの文言「
「コ
ーヒー1
ーヒー1 杯(約 140cc)
140cc)には約
には約 280mg のポリフェノールが含
のポリフェノールが含まれ、
まれ、・・・」
・・・」で
の「ポリフェノール」
ポリフェノール」は、クロロゲン酸類や焙煎で生じるその他ポリフェノー
ルを含む、総ポリフェノール量である。総ポリフェノールはポリフェノールの
全体量を表現する方法として広く用いられている。一方、ポリフェノール量の
指標として代表的なポリフェノール分子の量で表現することがある。コーヒー
の場合クロロゲン酸類が代表となるが、クロロゲン酸類に限るとその量は総ポ
リフェノールよりも低くなる。故に、クロロゲン酸類だけの量を指標にクロロ
ゲン酸類を表示することは、間違いではない。
④
健康情報対策
ISIC 等から E-mail で送られてきた健康情報を関係者に配布するほか、会員
向けホームページに掲載した。また、毎月のサマリーを和訳後、AJCA ニュース
に掲載しており、本年度から ICO ホームページに掲載されている「コーヒーと
健康」についても掲載している。
2.安全安心対策
安全安心対策事業
安心対策事業
(1)
主要コーヒー生産国における農薬の使用実態調査
コーヒー生豆の輸入の円滑化と消費者に安全で安心なコーヒーを供給する
基礎資料を得るため、生産国においてコーヒー栽培に登録されている農薬と実
際に使用される農薬の実態調査を前事業年度に引き続き、委託して実施した。
調査対象国は政情不安により調査不能のイエメンを引き続き外し、対日輸出増
著しいラオスを加えた 24 ヶ国である。
本年度の委託現地調査は、ウガンダ及びエチオピアからクロルピリホスが検
出されたため、生産地及び保管場所の実態を調べるべくエチオピア、ウガンダ、
ケニア、タンザニアの 4 ヶ国とした。
(2) コーヒー生豆の平成 24 年実施残留農薬の分析検査の反省点について
① 2012 年の 24 ヶ国農薬検査用サンプルの手当については、例年通り輸入協
会長会社にお願いしたが、エクアドル及びドミニカ共和国産コーヒー生豆は
入手困難とのことであったため、この 2 ヶ国を除いた 22 ヶ国で検査を実施す
るとして、委員及び理事会に報告していた。
②
③
検査終了後、太田会長名で検査結果について例年の形式で通知文書を発出
したところ、会員社より 24 ヶ国農薬検査結果となっていないのは問題との
意見が寄せられ、当該社より検査用生豆を提供するので再度検査し 24 ヶ国
農薬検査結果として報告して欲しいとの要望があった。このため、エクアド
ル及びドミニカ共和国産コーヒー生豆の検査を行い、新たに 24 ヶ国農薬検
査として文書(全協通知 26-2 平成 26 年 3 月 20 日)を発出した。
事務局としては、追加検査は割高になることもあり、2013 年検査について
は、このようなことのないよう関係各社で協力し検査用コーヒー生豆の入手
を行うこととした。
「日本のコーヒー豆供給国におけるコーヒー栽培に関する調査」
調査対象国: 日本のコーヒー生豆輸入量のシェアが、2012 年において、
99.7%となる上位に位置する輸入国 24 ヵ国
ブラジル、コロンビア、ベトナム、インドネシア、グアテマラ、
タンザニア、エルサルバドル、パプアニューギニア、
ホンジュラス、コスタリカ、ペルー、ニカラグア、メキシコ、ケニア、
インド、ジャマイカ、ドミニカ共和国、ウガンダ、中国、エチオピア、
キューバ、エクアドル、米国(ハワイ)、ラオス
調査方法:
調査対象国の、政府関係機関、業界団体等に郵便、E-mail を用
いて農薬の使用状況、登録等の情報を収集し、昨年度の調査報
告を更新補完した。コロンビア、グアテマラ、エルサルバドル、
ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカの6ヶ国については現地調査
を行った。
調査実施期間: 2013 年 7 月~12 月
調査報告:
2014 年 1 月
委託調査機関: プロマーコンサルティング
(3)
ポジティブリスト制度に対応する残留農薬等の自主検査の実施
コーヒー生豆生産・輸出国の農薬登録とその使用実態をプロマーコンサルテ
ィングに委託して調査し、これを基に国別検査は当該国で実際使用されている
農薬を対象に、生産国からコーヒー生豆の標準的銘柄を取り寄せ、従来通り国
別検査(使用農薬の残留状況、アフラトキシン総量(平成 23 年度より検査対
象広がる。)及びオクラトキシン A のカビ毒検査含む。)に加え、コーヒー生豆
を含む穀類・種実について残留農薬検査対象とされる 405 農薬の残留農薬検査
を一斉分析手法により行うこととし、国別検査を厚生労働省登録検査機関であ
る日本食品分析センターに、一斉分析を同じく厚生労働省登録検査機関である
日本エコテック株式会社に委託し実施した。
全協通知 26-2
平成 26 年 3 月 20 日
御中
一般社団法人全日本コーヒー協会
会長 太 田 敬 二
コーヒー生豆の残留農薬の分析検査(平成 24 年実施)結果について
平素は、当協会に対し格別のご協力を賜り誠にありがとうございます。
当会が、平成 24 年実施のコーヒー生産国における農薬調査に基づく残留農
薬及びカビ毒検査について、先に 22 ヶ国の検査結果を報告しておりましたが、
今般エクアドル及びドミニカ共和国より検査用コーヒー生豆が入手でき、検
査結果が出ましたので、前回検査報告に付加して検査結果一覧表を作成いた
しました。下記のとおりご報告いたします。
記
1.検査対象コーヒー生豆の生産国等
(アラビカ)
ブラジル、コロンビア、インドネシア、グアテマラ、タンザニア、
コスタリカ、メキシコ、ホンジュラス、パプアニューギニア、インド、
エルサルバドル、中国、ペルー、ニカラグア、ジャマイカ、ケニア、
ウガンダ、エチオピア、キューバ、米国(ハワイ)、ラオス、エクアドル、
ドミニカ共和国
(ロブスタ)
インドネシア、ベトナム、インド、エクアドル
2.分析項目
① 生産国別に使用実績のある農薬
*132 種類
延べ 623 農薬
* コーヒー生産国 24 ヶ国を対象とした委託調査(調査期間:平成 24 年
8 月~12 月、平成 25 年 3 月報告)により使用が確認されている農薬。
検査対象の生産国は 24 ヶ国、日本の平成 24 暦年度のコーヒー生豆輸
入量の 99.7%をカバーしている。
② 一斉分析法により検査可能な農薬 405 種類
③ かび毒(総アフラトキシン(B1,B2,G1,G2)、オクラトキシン A)
なお、オクラトキシン A は EU 基準値 5ppb を規制値として用いた。
3.委託検査機関(厚生労働省登録検査機関)
国別検査:一般財団法人日本食品分析センター
一斉分析:日本エコテック株式会社
4.最終検査結果
全て「基準値以内」又は「検出せず」であった。
(4) エチオピア産コーヒー生豆及びホンジュラス産コーヒー生豆の残留農薬基
準値超えについて
① エチオピア産コーヒー生豆
ア 4 月 24 日に本件に関して、厚生労働省から輸入者と共に説明に出向くよ
う求められた。厚生労働省の関心は、異なった輸出業者から 2 例目となる
違反を出して、検査命令書発出とならないように全協でも措置して欲しい
という趣旨であった。(添付資料)
イ
2013 年 6 月にウガンダ産コーヒー生豆よりクロルピリホス(有機リン化
合物)が基準値を超えて検出されていることから、その時 O 社から受けた
報告内容を再度厚生労働省に説明した。
ウ
厚生労働省は違反コーヒー生豆について、トレースがどの程度可能なの
か聞いてきた。これに関して途上国産品であるコーヒーのトレースには限
界がある旨回答した。
エ
厚生労働省の全協への自主検査要請については、検査命令が発出されて
いない段階で、エチオピア産コーヒー生豆のみを自主検査対象とすること
は説明がつかないので、自主検査は会員個々の判断に任せていただくこと
とした。ただ、輸出サンプル検査に関して、これまでの塩素系物質に加え
クロルピリホスを加えていただく趣旨のメールを、5 団体宛に発出した。
添付資料
平成 26 年 4 月 24 日
場所:厚生労働省輸入食品安全対策室
出席者:厚生労働省、全協
エチオピア産コーヒー生豆からのクロルピリホス検出に係る
厚生労働省ヒアリング概要について
(厚労省)エチオピア国におけるクロルピリホスの使用実態はわかるか。
(全協)我々の知見ではエチオピア国のコーヒー生産地でクロルピリホスが使用さ
れているとは考えていない。コーヒー生産国におけるコーヒー栽培への登
録農薬や使用農薬調査でもエチオピア国では使われていないと理解して
いる。
ただ、昨年、ウガンダ産コーヒーに高濃度の農薬汚染があり、当該輸入企
業が調べたところ、コーヒー保管倉庫で薫蒸替わりに使用されていたこと
がわかった。
(厚労省)2 例目が出ると検査命令措置をとらなければならないので、全協から会
員に本問題を知らせ、違反が出ないようにして欲しい。
(全協)昨日、エチオピア産コーヒー生豆より、クロルピリホスが 0.19ppm(基準
値 0.05ppm)検出され、違反となり、厚生労働省より異なる輸出業者で2例
目の違反が出ると検査命令の発出となるので、十分注意して輸入されたい。
また、エチオピア国からコーヒー生豆を輸入される方には、輸出サンプルに
ついて是非クロルピリホスの検査を行っていただきたい、との連絡をした。
加えて、全協アウトサイダーでエチオピア産コーヒー生豆を輸入さ
れている方を知っていたら、クロルピリホスに注意するようお伝えくださ
い、とメールを発出している。
(厚労省)エチオピア産コーヒー生豆に対し自主検査を行っていただけないか。厚
労省としても 2 例目の違反を出したくない。
(全協)2 例目が出て検査命令となるのも困るので、持ち帰らせていただく。
(厚労省)アウトサイダー対策はできないか。
(全協)昨日の会員への連絡のように会員がコーヒー輸入を手掛けるアウトサイダ
ーを知っておればエチオピア産コーヒー生豆の状況を連絡するようにお願
いしている。しかし、我々はアウトサイダーの状況は殆ど把握していない、
残留農薬違反が出て初めて知ることが多い。
(厚労省)クロルピリホスについて残留農薬基準値の改定申請を行わないのか。
(全協)行う考えはない。理由は、エチオピア産コーヒー生豆からリンデン等が検
出され検査命令が発出された時、日本の農薬メーカーにリンデン等の基準値
改定に協力して欲しいと要請したが、国内生産のないコーヒー生豆について
農薬メーカーは残留農薬データを取ることに全く魅力を感じない、として断
られている。1,000 万円提供すると言ったが、栽培等のデータ取得は億単位
の金が必要と言われた。クロルピリホスは日本で使用されているがコーヒー
栽培のためでないから農薬メーカーには何のメリットもないだろう。
(厚労省) インポートトレーランス(コーヒー輸出国が当該国の農薬データ
を基に残留農薬基準値変更を求めること)での基準値変更はどうか。
(全協) エチオピアもインドネシアもコーヒーに関する残留農薬栽培等のデータ
は持っていないからインポートトレーランスでの基準値変更は無理であ
る。
(厚労省)トレースはどうか。
(輸入者)ECX 以降でしかできない。
(厚労省)前回は麻袋が問題であったが、今回はどうか。
(輸入者)調べている段階でありわからないが、麻袋ではないと思う。
②
ホンジュラス産コーヒー生豆
平成 26 年 9 月 24 日に日本珈琲輸入協会より、ホンジュラス産コーヒー生豆
よりクロルピリホスが 0.38ppm(基準値 0.05ppm)検出されたとの連絡をいた
だいた。本件について厚生労働省から特段の連絡はなかった。平成 25 年 6 月
から 3 件の残留農薬基準値超えがあるが、いずれもクロルピリホスで本農薬に
ついてはコーヒー保管施設において薫蒸剤的に使用されている蓋然性が高い
ようにみえる。
3.国際協力
国際協力・
協力・社会環境事
社会環境事業
(1)
①
国際交流・協力事業
国際コーヒー協定関係
◎ 3 月会議(112 回理事会(International Coffee Council))
ア 理事会
今理事会では非加盟のオブザーバー参加国出席者が座る席が用意され、加
盟国を増やしたいという Silva 事務局長の強い意志が感じられた。事務局長
の冒頭挨拶で中国、ロシア、ペルー、韓国、ラオス、ネパール、スリランカ
などの非加盟国との交渉状況について説明があり、日本についても前週、駐
英日本国大使館を訪問し再加盟を正式要請したと報告した。
第 4 回世界コーヒー会議開催地について、2015 年万博期間中にミラノで開
催したいというイタリアとアフリカで初の世界コーヒー会議を開催したいと
いうエチオピアの間で意見が分かれたが、2016 年 3 月の第 116 回理事会開催
時にエチオピアで第 4 回世界コーヒー会議を開き、イタリアでは第 115 回理
事会開催時(2015 年 9 月 28 日~10 月 2 日)に世界コーヒーフォーラム(Global
Coffee Forum)を催すこととした。また国際コーヒーデー(International
Coffee Day)が 10 月 1 日と決められ、2015 年 10 月 1 日にミラノ万博会場で
祝うことも決められた。
民間部門諮問委員会(PSCB)
Galindo 執行役が最近のコーヒー市場動向について報告。また、中米のサ
ビ病被害及びアフリカの黒色コーヒー枝ボーラー被害の状況について説明し
た後、成長著しいアジアの消費市場の現状についての報告があった。また、
韓国が成長する韓国市場について数字を挙げて紹介した。ラオスコーヒー協
会会長から同国コーヒー生産状況についての報告があった。全協も 2013 年の
コーヒー生豆輸入量がこれまでの新記録と紹介した。またヨーロッパコーヒ
ー連合(ECF)からは EU における添加カフェイン問題についてこれまでの経
緯及び欧州食品安全機関(EFSA)の報告期限が 6 か月伸びたことが報告され
た。
イ
統計委員会(SC)
事務局からこれまでの加盟国のデータ報告状況につき説明があり、規則を
守らない生産国に対し規則遵守が呼びかけられるとともに、状況改善を図る
ためタスクフォースを作ること、更には報告作成用ツールを新たに制作する
ことが決められた。
ウ
融資フォーラム検討会(CG)
ブラジルで開催された第三回フォーラムでの AJCA の寄付に対し感謝の意
が表された。事務局から第 3 回融資フォーラムのテーマであった『農民の組
織化』に関する報告書が 9 月の理事会までには完成すると報告された。第 4
回フォーラムのテーマとして『如何に農民の要望に沿った融資を引き出すか』
が決められた。
エ
プロジェクト委員会(PJ)
コモディティー共通基金(CFC)の財政状況が厳しく、無償供与が廃止さ
れるなど融資条件が厳しくなったため、ICO の審査基準も厳しくなった。4
つのプロジェクトが審査されたが、理事会付議が決められたのはカメルーン
の『コーヒーバリューチェーンにおける女性参画促進 PJ』のみであった。エ
チオピアの『同国産コーヒーの市場価値向上 PJ』は、前回の会議で内容不十
分として理事会付議見送りとなったものだったが、PJ のパートナーでもある
Illy Café 社及び国連工業開発機関(UNIDO)が独自ルートで直接 CFC に掛
け合い審査されることが決められ、ICO 理事会の事後承認を求めてきた案件
とのことで、手続きに不満とする意見もあったが、結局 CFC が納得している
なら仕方がないと理事会に付議されることがきまった。
オ
◎ 9 月会議(113 回理事会(International Coffee Council))
ア 理事会
Silva 事務局長からボリビアが ICO に加盟したこと、ラオス、ネパール、
ロシアは 2015 年に加盟することになろうとの報告があり、日本のコーヒーの
日イベントに招待され出席する予定だが、この機会に ICO 復帰を促すために
日本政府関係者に面会する予定とした。
第 4 回コーヒーセクターファイナンス諮問フォーラムが開催され、
『コーヒ
ー農家への融資の橋渡し』と題し検討された。アジア開発銀行、米大陸開発
銀行、国際融資協会(IFC)、世界銀行、スペイン世界開発援助庁、オランダ
低開発国輸入支援センター、オランダ開発銀行、ドイツ投資銀行(DEG)、イ
タリア・ラテンアメリカ機構、米国国際開発機構(USAID)、国際貿易融資同
盟(FAST)、ノイマン財団、Rabo 銀行農業基金など、農業融資に関係する世
界の銀行・機関代表 22 人が出席した。参加各社が融資方針を説明し、具体的
な融資例を紹介すると共に公開パネルでは融資関係者が司会者や会議出席者
からの質問に答えた。また名刺交換会も催され、生産国参加者と融資関係者
が直接交流する機会も持たれ、活発な意見交換となった。
2015 年からスタートする『国際コーヒーデー』については、販売促進・市
場開拓委員から提案された Oxfam のチャリティー基金創立案につき議論され
たが最終日にも決着はつかず、今後は加盟国間で電子回覧により成案が煮詰
められることになった。
(日本では Oxfam Japan への寄付は税控除の対象とな
らない。)
融資諮問フォーラムの評価が高く、第 5 回会議は 2015 年 3 月にロンドンで
開催されることになった。
民間部門諮問委員会(PSCB)
ICO がサポートしている世界コーヒー研究所(World Coffee Research)か
ら研究所の概要や、サビ病に耐性のある新品種に関する研究のプレゼンがあ
った。欧州コーヒー連合(ECF)からは Caffeine 及び Acrylamide に関する
EU の状況について、Caffeine 問題は欧州食品安全機関(EFSA)の評価レポー
トの提出が遅れているが今年末までには提出されるだろうとし、また
Acrylamide については EU 行政が規制しようと動いているが自分たちとして
も最大値が決められることだけは避けたいと考えているとの話があった。
『International Coffee Day』関連では Oxfam が、ミラノ万博の公認市民団
体として、イベントの一つとしてチャリティー基金を集めたいとし、イタリ
ア政府と ICO の承認が前提としながら具体的な提案を行った。
イ
プロジェクト委員会(PJ)
一次産品共通基金(CFC)の Singh 事務局長代行から CFC 基金欠乏のため、
同基金の貸し出し条件が厳しくなり、全ての融資が原則ローン返済が義務付
けられることになったとの説明があった。今までは ICO の PJ 委員会で審査し、
理事会で承認受けたものが CFC に回され、これまでに ICO コーヒー関連で3
8プロジェクト 104 百万米ドルの資金が CFC から融資されたが今後は難しく
なる。
ウ
販売促進・市場開拓委員会(PM)
2015 年 10 月 1 日に Milano 万博で催される『International Coffee Day』
イベントについて議論され、Oxfam からチャリティー基金創設の提案があった。
エ
オ
コーヒーセクター融資諮問フォーラム開催委員会(CG)
コロンビア FNC の Juan Esteban 氏が議長として開催した第 4 回融資諮問
フォーラムには幅広い金融関係者が集まり有意義な会議になったと高く評価
された。
シルヴァ ICO 事務局長講演会
全協は、ICO の International Coffee Day 制定を記念し、シルヴァ事務局
長を招聘し、
「ICO と世界のコーヒー市場」と題する講演会を持った。講演内容
は、気候変動のコーヒー生産に及ぼす影響や 2020 年までの世界のコーヒー消
費見通しなど、興味あるものであった。講演終了後、シルヴァ事務局長歓迎レ
セプションを行ったところ、外務省から岸田文雄大臣、農林水産省から中川郁
子農林水産大臣政務官、事務次官、農林水産審議官、コロンビアやブラジル大
使なども出席し、日本国の ICO 復帰を期する全協にとり有意義なものとなった。
②
③
太田会長の中南米訪問について
太田会長は、7月 25 日から8月4日までの安倍総理の中南米5ヵ国訪問に、
同行した。訪問国は、1番目がメキシコ、2番目がトリニダード・トバゴ、3
番目がコロンビア、4番目がチリ、5番目がブラジルであった。
極めてきつい日程であった状況を、コロンビア到着から出発までのスケジュ
ールでみると、7 月 28 日ボゴダ着 18 時 25 分(日本時間 8 時 25 分)、29 日午前
安倍総理とサントス大統領首脳会談(太田会長は待機)、12 時 5 分から 25 分ま
で民間人 5 名を交えた拡大首脳会談(太田会長同席:NHK ニュースで会談の模
様を放映)、13 時~14 時 25 分サントス大統領主催午餐会、15 時~18 時まで FNC
本部で日本・コロンビア経済合同委員会(太田会長スピーチ)、委員会はコロン
ビア側代表がムニョス FNC 総裁、日本側は小島三菱商事会長が代表で各々挨拶、
18 時 30 分から 20 時 30 分まで日本政府主催レセプション、30 日 9 時 20 分(日
本時間 0 時 20 分)ボゴダ発サンチャゴへ、となっている。
全協事務局も会長出発まで役所や経団連などとの調整が数多あったが、総理
の訪問はいろいろ秘すものがあるらしく出発日までなかなか知らされず、困っ
た。
ブラジルでは太田会長は渡邊副会長と共にゲレル農務大臣を表敬訪問した
ところ、ゲレル農務大臣より日本に対し ICO への再加盟要請があった。
9 月 3 日午前に経団連において中南米訪問の報告会があり、小島経団連副会
長も「さすがに体力的に厳しい訪問日程であった」、政府や関係者からの日程の
連絡がもう少し早く円滑にいかないものかなどの意見が出た。外務省の中南米
局長(訪問当時)は、訪問 5 ヶ国のうち 3 ヶ国は女性大統領であり、総理も改
造に当たっては期するものがあるのでないかとしていたが、午後には 5 人の女
性閣僚誕生が報じられた。
海外のコーヒー関係機関等の全協訪問
9 月 25 日にコロンビアコーヒー生産者連合の Luis Genaro Muñoz 総裁が全協
を訪問し幹部と意見交換したいとのことであったが、直前にムニョス総裁は来
④
日できなくなり、Carlos Alberto Gonzalez FNC 営業本部長と Santiago Pardo
東京事務所長の訪問となった。ゴンザレス本部長は、コロンビアのコーヒー生
産がカスティジョ種に植え替えた効果が現れ、順調に回復している旨説明した。
(2)
会員研修事業
実施日:平成 26 年 7 月 11 日
会 場:南青山会館
演 題:「新食品表示法について」
平山潤一郎 農林水産省調査官
(前消費者庁食品表示企画課企画官)
(3)
2013 年度環境自主行動計画の取りまとめ・報告
環境自主行動計画
2013 年環境自主行動計画について、会員企業 4 社からのデータの提出があり、
環境自主行動計画を策定した。全協は、CO2排出原単位での削減目標を 2005
年度基準で 2010 年までに3%削減し、原料豆使用量 1 トン当たり CO2排出量
を 1.03 とすることとしていた。
2012 年実績は 1.056 と基準年を 0.2%上回り、2010 年目標値を上回る結果と
なった。調整後数値も 1.032 と 1.03 を超えている。これまで環境自主行動計画
参画企業は、熱源を石炭や重油から都市ガスに転換し、CO2 の発生抑制に努めて
きたが、東電福島原発事故に起因する原子力発電の極端な比重低下やエネルギ
ー源価格上昇による熱源の選択の影響をいかんともすることができず、CO2排
出量の増加につながったとみている。
バイオマス系可燃廃棄物については化石燃料代替物として、事業所内におい
てサーマルリサイクル利用するほか、バイオマス発電施設の燃料源として利用
している。
なお、農林水産省より新たな CO2排出目標値の策定を求められているが、全
協として新たな目標値の設定にはやぶさかでないが、国のエネルギー政策が明
確にならない中で、数値を立てることとなるため、慎重な検討が必要として未
だ提出していない。
①
食品廃棄物リサイクル施設調査
3 月 25 日に千葉県旭市溝原在のブライトンピッグ社の食品廃棄物リサイク
ル施設を視察した。この企業は、コンビニや食品企業等より食べられるが何ら
かの事情で食品としての価値を失ったものを収集し、発酵槽で乳化して豚の餌
としており、使用頭数は 10 万頭で日本最大である。視察時は関東地方の豪雪
から 1 ヶ月近く経過していたが雪により出荷できなかった麺類等がまだ納入さ
②
れていた。また、目的地に行く車内でコーヒー業界には余り関係のない施設で
あると話していたが訪問メンバー2 社の食品廃棄物があった。食品廃棄を出さ
ない工夫が必要であると感じた。