血管超音波検査が診断の手掛かりとなった bow hunter 症候群 の 1 例

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血管超音波検査が診断の手掛かりとなった bow hunter 症候群 の 1 例
◎川手 応記 1)
医療法人 円会 瀬口脳神経外科病院 1)
【はじめに】
2 頸椎レベルで狭窄を認める. 8 月確定診断目的で頭頸部血
bow hunter 症候群は,頸部を回旋したことで, 椎骨動脈が頸
管撮影施行.左回旋位で同部位軽度狭窄を認める. 9 月経頭
椎や周囲組織の圧迫により血流障害を示し,脳幹症状を呈す
蓋超音波検査施行.
る症候群である.頸部血管超音波検査は頸部回旋による血行
Rt.VA-PSV 変化なし.(後屈位は計測不可)狭窄および症状も
動態評価が容易に可能であるため,bow
強くないため,外科的治療は行わず経過観察.頸部過回旋お
hunter 症候群の診
前屈位で大後頭窓より左 90 度回旋位
断に有用と考えられる.今回,頸部回旋による頸部血管超音
よび長時間の頸部回旋を避けるよう指導.
波検査および経頭蓋超音波検査が診断の手掛かりとなった
【考察・まとめ】 bow hunter 症候群の 1 例を経験したので報告する.
頸部血管超音波検査において,頸部回旋による VA-PSV の変
【症例提示】 化が,bow hunter 症候群の診断に有用であった 1 例を報告.
59 歳,男性.既往歴:1988 年 4 月もやもや病を原因とした脳
前屈位で大後頭窓からの経頭蓋超音波検査は,血流低下が認
内出血.左浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術施行.現病歴:
められなかったことより,左 90 度回旋・後屈位の時に,椎骨
2014 年 5 月頸部回旋時浮遊感(車運転時のバックする際,頸
動脈狭窄が示唆された.よって,頸部回旋による血行動態観
部左回旋時に意識が遠のく)を主訴に来院.頸部血管超音波
察には回旋角度の他,前後屈位での観察必要.通常の頸部血
検査施行.右椎骨動脈最大収縮期血流速度(以下 Rt.VA-
管超音波検査では異常を認め難いため, VA-PSV の著明な低
PSV)が,左 90 度回旋位で低下を認める.
下時には,回旋角度を変えての血流速度の測定が,この疾患
7 月狭窄部位同定
のため頸部 3D-CDA 施行.頸部左回旋位で右椎骨動脈が第
を発見するのに大きな手掛かりになる.