マイナンバー制度導入への準備と対策

本物の 一流専門家による Monthly column
経営コンサル
∼ 株式会社電通国際情報サービス ∼
◆ 3 つのセグメントからなる情報サービス
今回は、株式会社電通国際情報サービスを分析してみました。
同社は、親会社である株式会社電通と、子会社 14 社、関連会社
4 社により構成され、IT サービスと情報機器販売のサービス品目
を統合的に提供する情報サービス事業を行っています。
(単位:百万円)
2010
61,155
18,744
30.65%
▲ 296
▲ 0.48%
▲ 239
▲ 0.39%
▲ 139
▲ 0.23%
2011
60,232
19,706
32.72%
2,198
3.65%
2,352
3.90%
▲ 131
▲ 0.22%
2012
63,869
19,883
31.13%
2,350
3.68%
2,497
3.91%
1,518
2.38%
2013
72,764
22,493
30.91%
4,193
5.76%
4,312
5.93%
2,625
3.61%
2014
73,970
22,572
30.52%
4,311
5.83%
4,768
6.45%
2,875
3.89%
◆グループの強みを活かして高い付加価値を生む
電通国際情報サービスは、グループ会社の強みを出し合い、グ
2010 年は営業損失が出ましたが、その後、売上や営業利益率
ループ全体でより付加価値の高い商品にして販売し、グループ経
が改善されているので、成長の好循環に入っていると言えます。
営で利益を上げていることが分かります。
電通国際情報サービスは、金融・エンタープライズ・コミュニ
貴社の財務状態はいかがでしょう? 財務指標を時系列で見る
ケーションの 3 セグメント(以下 SG)で構成されています。こ
事で、現状を確認する事ができ、将来の打つ手が見えてきます。
れらの SG 別に売上高、営業利益率を調べてみると、エンタープ
コンサル部では、現在の企業力の総合評価を行い、将来の打つ手
ライズ SG は、常に営業利益率が低く、大きな赤字なので、お荷
について財務的な見地からアドバイスさせていただいています。
物的存在です。但し、エンタープライズ SG は、他の SG が電通
グループと協業している中で、同じ企業向けであっても「協業」 「自社も評価したい」というご要望はコンサル部までお気軽にど
うぞ!
しません。
0
相続税の申告が必要なボーダーラインとは?
◆概要
平成 27 年 1 月 1 日より相続税が改正されました。同日以降に
亡くなった場合、相続税の申告が必要となる対象人数が、以前と
比べて全国平均で 1.5 倍、都市部に限ると 2∼3 倍程度増えるの
ではないかと言われています。
要因は、相続税がかからないボーダーラインとなる「基礎控除
額」が、改正前の 6 割に下がったことにあります。
〈改正前〉平成 26 年 12 月 31 日までに亡くなった場合
5,000 万円+ 1,000 万円×法定相続人の数
〈改正後〉平成 27 年 1 月 1 日以降に亡くなった場合
3,000 万円+ 600 万円×法定相続人の数
このため、自宅の土地建物にプラスして預貯金などの金融資産
をお持ちの方は、評価額によっては申告が必要なケースが出てき
そうです。
◆申告が必要かどうかを 3 段階でチェック
【ステップ 1】持っている財産・債務を洗い出す
まず始めに、亡くなった人(=被相続人)が亡くなった日の時
点で所有している、全ての財産と債務を洗い出します。
財産から漏れやすいものとして、①先代名義のままの不動産 お問い合わせはお気軽にどうぞ! コンサル 1 課・2 課 03-6266-2545 井関・今井・山岸・上野・五島
②家族名義になっている預貯金 ③保険料の負担者が被相続人の
保険金 ④被相続人から相続時精算課税制度により贈与を受けた
財産 ⑤亡くなる前 3 年以内に被相続人から贈与により受けた
財産のうち、相続人が受けたもの(④を除く)
等がありますの
で、ご注意ください。
【ステップ 2】相続人が何人いるのか確定する
誰が相続人になるのかは、民法で定められています。通常は次
の順序で相続人になるかどうかを判定します。
①配偶者と子供(子供がいない場合は孫…と更に下の直系卑属)
②子供や孫の直系卑属がいない場合、配偶者と父母(父母がいな
い場合は祖父母…と更に上の直系尊属)
③子供(=直系卑属)及び父母(=直系尊属)の両方ともいない
場合、配偶者と兄弟姉妹
【ステップ 3】基礎控除額と比べる
ステップ 1 で計算した「財産−債務」 が、 ステップ 2 で確定
した相続人の数を入れてもとめた「基礎控除額」より多くなる場
合には、相続税の申告が必要となります。
お問い合わせはお気軽にどうぞ! 事業財産承継部 03-6266-2540 新垣・大谷・花田・野田・斎藤
税務
人事・労務
平成 27 年度税制改正大綱
マイナンバー制度導入への準備と対策
平成 26 年末に「平成 27 年度税制改正大綱」が発表されました。
法人税においては、地域経済を支える中小法人への影響に配慮し
て、大法人を中心に改革が行われる見込みです。
注目される法人減税は平成 27 年度を初年度とし、以後数年で、
法人実効税率(現行:34.62%)を 20%台まで引き下げることを
目指します。その際、制度改正を通じた課税ベースの拡大等によ
り、恒久財源を確保します。したがって、法人減税による財源確
保の施策にも注目しておく必要があります。ここでは財源確保の
施策を紹介します。
◆青色欠損金の控除額縮小 増
・大法人の控除限度(現行:所得の 80%)を、平成 27 年度に「所
得の 65%」
、平成 29 年度に「所得の 50%」に引き下げます。
・繰越期間(現行:9 年間)については、10 年に延長します。
(平
成 29 年度に生じた青色欠損金から適用)
◆受取配当金益金不算入制度の見直し 増 減
・ 持株比率が低い株式等への投資は、 益金不算入割合(現行:
50%)を引き下げることとします。持株比率 5%以下の場合は
20%益金不算入(証券取引所で取引される投資信託以外の株
式投資信託は全額益金算入)とします。
・持株比率が高い株式への投資について、100%益金不算入とし
つつ、持株比率の基準(現行:25%以上)を「1/3 超」に引き
上げます。
◆外形標準課税の拡大 増
・ 大法人の法人事業税のうち、 外形標準課税※(現行: 全体の
2/8)を、平成 27 年度に「全体の 3/8」
、平成 28 年度に「全
体の 4/8」に拡大します。
※法人事業税(道府県税)を、建物の規模や面積、従業員数、売
上高など企業活動や事業規模を反映する基準を導入して課税す
る方式。
◆租税特別措置の見直し 増
・今回適用期限が到来する 21 項目の措置についてゼロベースで
検討し、19 項目の措置について見直しを行います。
また、今後の検討事項として、大法人向けの法人事業税の外形
標準課税の更なる拡大、生産性向上設備投資促進税制などの措置
法見直し、減価償却方法を定額法への一本化、法人事業税を損金
不算入化などが挙がっています。その動向や実施時期などに注目
しておきましょう。
TOMA では、
「税制改正セミナー」を開催し、平成 27 年度税
制改正大綱について分かりやすく解説しております。この機会に
最新の税務情報をお聞きになりませんか。
お問い合わせはお気軽にどうぞ! 法人 1 部 03-6266-2531 田村・佐々木・松本(浩)・猪股・佐藤(邦)
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7
相続・事業承継
気になる企業の財務分析
売上高合計
売上総利益
売上高総利益率
営業利益
売上高営業利益率
経常利益
売上高経常利益率
当期純利益
売上高当期利益率
1 5 48
396 2
◆マイナンバー制度とは
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等
に関する法律(以下、マイナンバー法)
」が 2013 年 5 月に国会で
成立しました。これにより、国民一人ひとりに 12 桁のマイナン
バーが割り当てられ、年金・医療・介護などの社会保障や、各種
税金、災害対応時など、様々な場面で利用されることになります。
マイナンバーの付番と通知は 2015 年 10 月から順次行われ、
2016 年 1 月から利用開始されます。会社では、利用開始までに
全従業員のマイナンバーの確認と管理をする必要があります。
◆特定個人情報に関する保護措置
個人情報のうち、内容にマイナンバーを含むものを特定個人情
報といいます。この特定個人情報の取扱いについて、マイナンバ
ー法では厳格な保護措置を定めています。例えば、利用範囲は限
定的に定められ、原則として源泉徴収票や社会保険などの行政機
関に行う手続き以外で利用することはできません。本人の同意が
あったとしても利用してはならないと定められています。
安全管理措置としては、特定個人情報を扱う区域への入退室管
理の強化などがあり、入退室ドアの IC カード化やナンバーキー
化が推奨されています。盗難や漏洩の防止策としては、施錠でき
る書庫やキャビネットへの保管、データの暗号化などが挙げられ
ています。また、これらの物理的安全管理措置以外に、人的安全
管理措置が必要になります。マイナンバーの管理は人が行うもの
ですから、担当者への教育や指導を行っていくことが大切です。
◆情報漏洩等に対する罰則の強化
マイナンバー法は個人情報保護法の特別法として位置づけられ
ており、特定個人情報を管理・利用する際の情報漏洩等に関して
は、より重い罰則が定められています。マイナンバー法と個人情
報保護法との違いは下表の通りです。
行為
マイナンバー法
個人情報保護法
個人番号利用事務等に従事する者が、正 4 年以下の懲役もしくは
当な理由なく特定個人ファイルを提供
200 万円以下の罰金、併科
−
上記の者が不正な利益を図る目的で個人 3 年以下の懲役もしくは
番号を提供又は盗用
150 万円以下の罰金、併科
−
委員会から命令を受けた者が委員会の命 2 年以下の懲役もしくは
令に違反
50 万円以下の罰金
6 月以下の懲役もしくは
30 万円以下の罰金
上記の者が虚偽の報告や資料提出、検査 1 年以下の懲役もしくは
の拒否妨害など
50 万円以下の罰金
30 万円以下の罰金
偽りその他不正の手段により個人番号 1 年以下の懲役もしくは
カードを取得
50 万円以下の罰金
−
罰則には両罰規定が定められているものもあり、会社と従業員
の両方が責任を問われる場合があります。マイナンバー制度の導
入に向けて、まずは会社の体制づくりを進めましょう。
TOMA グループでは 2 月 12 日に「マイナンバー問題解決セミ
ナー」を開催いたします。ご参加ください。
お問い合わせはお気軽にどうぞ! 人事労務指導部 03-6266-2551 渡邉・出蔵
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