イギリス船紀行(その 2) 英国サウサンプトンの小型フェリー 会長 池田良穂 サウサンプトンは、かつてのイギリスからの定期客船の発着港で、最初に訪れたのは大学 生の頃だった。大西洋航路の QE2 をはじめ、オーストラリア航路や南アフリカ航路の客船 が並んで停泊しているのに感動をしたものだった。しかし一時は、客船の寄港はほとんどな くなり、コンテナ船と貨物船の港になっていたが、クルーズ客船の時代になって再び客船の 姿が見られるようになった。毎月届く英国の雑誌「Ships Monthly」には、英国各地の港へ の入港客船の情報が載っており、中でもサウサンプトンが最も多く、月に 20~30 隻が入港 している。すなわち英国におけるクルーズハブ港となっているのだ。ロンドンから特急列車 で 1 時間半、高速道路で車でも同じくらいで到着できる点が評価されているのであろう。 このサウサンプトンの港内を小さなフェリーが運航されている。対岸のハイスという小 さな町とを結ぶ船で、朝から晩までほぼ 30 分おきに運航されている。旅客だけの輸送で、 車は乗れない。キュナードが主に利用しているオーシャンターミナルに停泊する客船の撮 影には、この船に乗るとすぐ近くを航行するので最適だ。これまで、サウサンプトンに来る たびに同フェリーには乗船していたがハイスで下船したことはなかった。 今回、ハイスに泊まることにした。滞在中にサウサンプトンに入港する 3 隻のクルーズ 客船の撮影のためには、ここが場所的に最適なためだ。 就航しているのは双胴の「グレート・エクスペディション CD」 。航海時間はわずか 15 分。 ハイスの港は、かなり長い桟橋がつきだしており、徒歩でもいけるが、小さな列車がその桟 橋の上を町まで走っている。料金は無料だ。 ハイツフェリーの「グレート・エクスペディ ション CD」 ハイツのフェリー桟橋。小さな列車が走る。 列車の内部 潮が引くと沖合まで干潟が広がる。フェリ ー桟橋の突端だけが水に浸かっている。 早朝 5 時半にフェリー桟橋の沖合を通過す る「アンセム・オブ・ザ・シーズ」
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