臨床研究治験活性化のための取り組みについて

臨床研究・治験活性化における
取り組み
久留米大学 臨床試験センター
大靍 則安 上野 高史 志波 直人
1
臨床研究実施体制図
事業運営
H27年度より一部改組予定
H27年度より一部改組予定
久留米大学
(運営委員会)
(学長)
倫理審査
(倫理委員会)
利益相反管理
(産学官連携推進室)
研究者
臨床試験センター
知的財産管理
臨床研究実施部門
(知的財産本部)
ITシステム構築
センター長;1名
(情報システム室)
大学病院
(病院長)
副センター長;1名
企画・立案
コンサルティング
(バイオ統計センター)
外来・病棟
救命・救急センター
教育
普及・広報
企画・立案
プロジェクト
マネジメント
モニタリング・
監査
データ管理
CRC
薬剤部
看護部
CRC業務;17名
CRCアシスタント業務;1名
事務局業務;7名
検査部
事務部
他の医療機関
:臨床研究支援部門
他の医療機関
他の医療機関
他の医療機関
:臨床研究実施部門
2
治験実績
~契約課題数・契約症例数~
【治験の契約課題数】
【治験の契約症例数】
(件)
(例)
新規
140
継続
総数
121
120
継続
総数
547
543
478
393
84
85
76
80
300
45
42
33
405
372
400
305
60
51
60
新規
600
500
102
100
40
121
200
36
229
164
173
171
H24年度
H25年度
142
100
20
0
0
H23年度
(ベースライン)
H24年度
H25年度
H26年度
予測値*
H23年度
(ベースライン)
H26年度
予測値*
総契約症例数に占める割合
総治験数に占める割合
医師主導治験
医療機器治験
H23年度
(ベースライン)
3
2
国際共同治験
25
H24年度
H25年度
2
7
3
9
H26年度
予測値*
3
8
34
42
51
● 治験総課題数は、経年的に増加し、H26年度はH23年度の約1.5倍に到達
する勢いである。
● 医療機器治験については、H24年度より依頼数が著しく増加している。
● また、国際共同治験については、H24年度より毎年10件程度増加しており、
H26年度には、全体の42%を占める予定である。
医師主導治験
H23年度
(ベースライン)
24
H24年度
H25年度
22
20
H26年度
予測値*
20
医療機器治験
23
59
70
58
国際共同治験
112
160
207
224
● 契約総症例数は、経年的に増加し、H26年度はH23年度の約1.4倍に到達
する勢いである。
● 新規治験依頼に関しては、1件あたり4例程度の契約で推移している。
*;4月~1月の実績に加え、3月IRB審査準備段階の治験を含めた予測値
*; 4月~1月の実績に加え、3月IRB審査準備段階の治験を含めた予測値
3
治験実績
~実施率および組入れ状況(組入数・FPI)~
【終了課題における治験の実施率】
(%)
100
【 FPI 】
治験薬投与症例をカウント
治験薬投与症例をカウント
86
84.6
81
本学
目標値
H23年度
H23年度
80
60
1.
2.
3.
4.
放射線療法に伴う消化器症状
肺高血圧症
汎発性血管内凝固症候群
クローン病
4試験
1.
2.
3.
4.
5.
6.
肺癌
ホモシスチン尿症
肝細胞癌、多血性腫瘍
肺高血圧症
C型慢性肝炎
クローン病
6試験
40
H24年度
H24年度
20
0
H23年度
実施症例数
契約症例数
実施率(%)
H24年度
H25年度
H23年度
H24年度
H25年度
74
86
86.0
102
126
81.0
115
136
84.6
契約症例数、実施症例数ともに、経年的に増加しており、実施率も本学の
目標値である80%をクリアしている。
【年度内稼働治験における組入数】
組入れ症例数
H23年度
H24年度
H25年度
116
160
164
H26年度
H26年度*
年度*
1. 心アミロイド―シス
2. 肺癌
3. 局面型乾癬
*;1月までに契約した28件中
3試験
多くの受託治験において、国内最速の
多くの受託治験において、国内最速の
患者組入れを達成している。
患者組入れを達成している。
組入れ症例数については、H24年度から著しい増加が認められる。
4
臨床研究の審査数および介入試験の審査状況等
【倫理委員会における審査件数】
H23年度
(ベースライン)
H24年度
H25年度
H26年度
(1月実績)
267
387
335
274
総審査数*(件)
*1;医療の倫理および生命の倫理にて審査された研究
【 最近の審査状況 】
(件)
100
介入試験(医薬品)*1
介入試験(医療機器)*2
遺伝子等に関する研究*3
88
84
80
60
35
40
25
26
20
20
0
H25年度
H26年度
(1月実績)
*1;介入を伴う研究であって医薬品を用いた予防、診断又は治療方法に関するものであり、臨床研究に関する倫理指針(平成20年厚生労働省告示第415号 第13(1)①)に該当する研究
*2;介入を伴う研究であって医療機器を用いた予防、診断又は治療方法に関するものであり、臨床研究に関する倫理指針(平成20年厚生労働省告示第415号 第13(1)①)に該当する研究
*3;ヒトゲノム遺伝子解析/遺伝子治療/ヒト幹細胞倫理指針が適応される研究に関するもの
5
治験手続の効率化
【治験等の効率化に関する報告書の徹底】
1.治験手続きをGCP
験手続きをGCP省令等の要求に沿った必要最低限の手順等で実施する
GCP省令等の要求に沿った必要最低限の手順等で実施する。
省令等の要求に沿った必要最低限の手順等で実施する。
GCP改定の都度、SOPおよび契約書の見直しを実施している。
2.IRB審査資料の統一化と電子化を
IRB審査資料の統一化と電子化を行う。
審査資料の統一化と電子化を行う。
統一書式導入済み。iPadを用いた電子的審査については、H26年9月より実施している。
3.医療機関における治験実施体制の整備と役割分担を適正化する
医療機関における治験実施体制の整備と役割分担を適正化する。
機関における治験実施体制の整備と役割分担を適正化する。
関連部門との役割分担表を作成。また、GCPに即した依頼者との役割分担を実施している。
【統一書式の徹底】
契約書等、統一書式でカバーできない書類のみ残存している。
【共同IRB等の活用】
NPO治験ネットワーク福岡に、2試験の審査を依頼している。H27年4月より1試験依頼予定である。
また、重複審査は行っていない。
6
コストの適正化
≪H23年度~
H23年度~≫
年度~≫
≪H26年度~
H26年度~≫
年度~≫
①ポイント表を廃止
ポイント表を廃止し、独自に作成した労働時間
ポイント表を廃止
に見合う経費算出方法を導入した。
経費=(業務時間)×(業務単価)+(利益)
①依頼者と協議・検討の上、マイルストン・ペイメント
マイルストン・ペイメント
の受け入れを一部開始した。
の受け入れを一部開始
②一部前納制を廃止
一部前納制を廃止し、出来高制へ移行させた。
一部前納制を廃止
②観察期脱落症例が多く見込まれる試験においては、
依頼者から提案のあった場合に限り、実績に応じた
観察期脱落例費用の請求を行っている。*1
③モニタリング費用を廃止
モニタリング費用を廃止した。
モニタリング費用を廃止
観察期脱落例費用を廃止した。
④観察期脱落例費用を廃止
観察期脱落例費用を廃止
⑤治
治験薬管理経費を廃止
験薬管理経費を廃止した。
経費を廃止
出来高払い方式を採用
*1:近年増加している遺伝子変異を認める患者を対象とした治験および長期間ウォッシュ
アウトを必要とする治験等が該当
マイルストン・ペイメント方式を導入
コストの適正化については、実績に基づく算定として「やらずぼったくり」の解消、モニタリング費の別途請求
の廃止、費用の透明性等を考慮し、H23年度より「出来高払い方式」へ転換した。H26年度には依頼者と協議・
検討の上、業務実績に応じた「マイルストン・ペイメント方式」の導入を開始した。
7
医師等の人材育成及び確保①
【臨床研究・治験に精通する医師の育成】
文部科学省;未来医療研究人材養成拠点形成事業
メディカルイノベーションコースおよび臨床試験認定登録医コース/インテンシブコース
コース名
および
対象者
修了要件
および
履修方法
履修科目等
受入目標人数
①メディカルイノベーションコース
1.大学院医学研究科;大学院生(修士・博士課程)を対象
②臨床試験認定登録医コース/インテンシブコース
1.大学病院・医学部附属医療センター;後期研修医・一般医師を対象
①メディカルイノベーションコース
1.修士課程:必修課目10単位、選択科目3単位以上を履修し試験に合格すること。
2.博士課程:必修課目12単位、選択科目3単位以上を履修し試験に合格すること。
②臨床試験認定登録医コース/インテンシブコース
医学・医療及び学際領域の国内外講師による講演を受講すると共に臨床研究・治験現場での実習を行い臨床試験認定
登録医の資格を得ること。
①メディカルイノベーションコース
1.必修科目:臨床研究主任研究者養成ユニット講義(2単位)、バイオ統計演習(1単位)、臨床試験実習(2単位)、
知的財産権論講義(1単位)、トランスレーショナルリサーチ実習(1単位)等。
2.選択科目:研究者養成リテラシー(1単位)、臨床·基礎研究と生命倫理(1単位)、科学的根拠に基づく医療(1単位)等。
②臨床試験認定登録医コース/インテンシブコース
1.医学・医療及び学際領域の国内外講師による講演の受講(関係法規、医薬品・医療機器の開発、臨床試験の生物統計、
企業主導・医師主導治験、医療訴訟、医学・医療における知財戦略等)。
2.臨床研究・治験現場での実習。
対象者
H26年度
H27年度
H28年度
H29年度
計
大学院生
10
10
10
10
40
後期研修医
50
50
50
50
200
一般医師
20
20
20
20
80
計
80
80
80
80
320
メディカルイノベーションコース、および臨床試験認定登録医コース/インテンシブコースを設置し、研究倫理に
関する教育・研修を行うことにより、計画的に臨床研究・治験に精通する医師の知識ならびに技術の向上に努
めている。
8
医師等の人材育成及び確保②
≪臨床試験認定登録医コース (インテンシブコース) ≫
1)対 象 者 ; 後期研修医、一般医師
2)就業期間; 1年
3)履修内容; 臨床試験に関するOJT(実習)、 e-learning、 セミナー受講
4)目 標 数 ; 70名(後期研修医 50名、一般医師 20名)/年
4月
5月
6月
OJT
8月
9月
10月
10月
11月
11月
12月
12月
1月
2月
1日間受講(約8時間)、毎月1~2回実施
e-learning
セミナー
7月
倫理および法規制、約10ヵ月間開講
治験未実施医師(後期研修医等)向け
治験実施経験医師(更新対象者)向け
国策や治験を取り巻く環境の変化、治験に携わる医師の要件等、年2回実施
≪メディカルイノベーションコース≫
1)対 象 者 ; 大学院生
2)就業期間; 修士課程2年、博士課程4年
3)履修内容; 臨床研究主任研究者養成ユニット講義、4大学間双方向連携テレビ講義受講等
4)目 標 数 ; 10名/年
9
3月
医師等の人材育成及び確保③
H26年度 臨床試験認定登録医コース(インテンシブコース) OJTプログラム
(目的 )
● GCPに即した治験の流れについて、実際にどのようにして治験が進行していくか体験しながら学ぶ。
● 同意説明文書や重篤な有害事象報告書、症例報告書等を作成する際に必要な内容について理解する。
● 治験担当医師としての役割や治験関連部署等の役割を理解する。
No.
時間
講義テーマ
達成目標
1
9:00~
9:40
オリエンテーション
2
9:40~
10:10
治験とGCPについて
治験や臨床研究の位置づけや法規制について理解する。また、治験担当医師がGCPを遵守して、治験
を行うことの重要性を理解する。
3
10:10~
11:00
目標症例数の設定
(スクリーニングシステム使用)
匿名化された被験者スクリーニングシステムを用いて、適切な目標症例数の設定を行う。治験の組み入
れ期限等を考慮した当院における適正な症例数設定を行うことができる。
4
11:10~
12:00
同意説明文書の作成
模擬プロトコールを読み取り、模擬同意説明文書の修正を行う。GCPに則した適切な同意説明文書を作
成することができる。
5
13:00~
14:40
同意説明の模擬体験
(ロールプレイ)
医師役(OJT受講者)と被験者役(CRCが担当)に分かれ、同意説明(模擬体験)を行う。その後、同意説
明文書に盛り込む内容についてグループディスカッションを行い、より良い同意説明文書及び同意説明と
は何かについて理解を深める。
6
14:50~
15:20
治験の実際について
(関連部署等の見学)
講義資料をもとに院内の実施体制について学ぶ。関連部署等(検査部、薬剤部、医事課、治験掲示コー
ナー)の見学を通して、医師がすべきことは何かを理解する。
7
15:20~
16:00
治験審査委員会(IRB)について IRB委員会の構成や役割について理解する。
8
16:10~
16:50
重篤な有害事象(SAE)の報告
SAE発生時の対応の流れやSAEの定義について学ぶ。電子カルテを活用し、SAE報告書作成、提出等
の対応ができる。
9
16:50~
17:30
症例報告書(CRF)の作成
CRFの作成方法について学ぶ。医師の判断が必要となるような項目(グレード判定、治験薬との因果関
係、コメント等)の記載ができる。
10
17:30~
18:00
まとめ
臨床試験登録医コースの年間スケジュール並びにOJTで理解すべき内容の説明。
アンケートやレポート作成を通して、今後の課題について考える。
10
医師等の人材育成及び確保④
【臨床研究・治験に携わる人材の確保】
臨床研究・治験に携わるCRCや事務局員等の人員数(常勤者数)
H23年度
(ベースライン)
H24年度
H25年度
H26年度
CRC
12
15
12
(+派遣CRC;6)
17
(人事交流を含む)
CRC
アシスタント
1
1
1
1
事務局員
5
6
6
6
H26年4月より人事交流開始。関連部門との連携を密にすることで、看護部および薬剤部より、計5名の人事
交流を開始し、支援人材の充実を図っている。
上級者臨床研究コーディーネーター養成研修
養成研修終了者
H23年度
(ベースライン)
H24年度
H25年度
H26年度
2
1
1
1
5名のCRCが、上級者臨床研究コーディネーター養成研修を終了した。
11
国民・患者への普及啓発
【臨床研究・治験の意義に関する普及啓発】
H25年度
H26年度
開催日
H26年2月8日
H26年6月5日
講座名
がんサロンちっご
がん教室
対象者
一般市民
院内患者(家族を含む)
意見交換会
あり
あり
臨床研究・治験の意義に関する普及啓発については、毎年、国民・患者の視点からよりわかりやすい内容とし
ている。また、国民・患者を対象とした意見交換の場を設け、積極的に実施している。その他、治験参加が可能
な情報については、ホームページや院内の治験掲示コーナーにて最新情報を提供しており、閲覧方法について
も、これらの講座で紹介している。
12
小児疾患、希少・難治性疾患等の医師主導治験等
医師主導治験(継続中)
年度
対象疾患
薬剤/機器
診療科
主任研究者
H23年度
神経膠芽腫
薬剤
脳外科
本学
H24年度
去勢抵抗性前立腺癌
薬剤
泌尿器科
本学
H25年度
MELAS
薬剤
小児科
-
H25年度
先天性心疾患に伴う肺動脈狭窄
機器
小児科
-
H25年度
前立腺癌
薬剤
泌尿器科
本学
対象疾患
薬剤/機器
診療科
H22年度
ホルモン不応性再燃前立腺がん
薬剤
泌尿器科
H22年度
胎児頻脈性不整脈
薬剤
小児科
H24年度
原発性乳がん
薬剤
乳腺外科
H26年度
中枢神経系原発悪性リンパ腫
薬剤
脳外科
先進医療B(継続中)
年度
小児疾患、希少・難治性疾患に関する医師主導治験、ならびに医療機器・先端医療等に関する臨床研究を
複数実施している。
13