『研修設計マニュアル』計量テキスト分析の試み

日本教育工学会 第 31 回全国大会
『研修設計マニュアル』計量テキスト分析の試み
Quantitative Text Analysis of Training Design Manual
鈴木 克明
Katsuaki SUZUKI
熊本大学大学院
教授システム学専攻
Graduate School of Instructional Systems, Kumamoto University
<あらまし>
人材育成の文脈でインストラクショナルデザインの基礎を扱った大学院レベルの
教科書について、計量テキスト分析を行った。55,278 語を対象とした分析結果では、4,544 文で 5,528
語の異なる語句が用いられており、最頻出語句は「研修」
(1,722 回)で、次に「学習」
「組織」
「自分」
「評価」「必要」「行動」「受講」「目標」が続いた。対応分析の結果、課題4に関する章で他と比べて
独特な語句が用いられる傾向がみられた。
<キーワード>
インストラクショナルデザイン
1.はじめに
人材育成の文脈でインストラクショナルデザ
インの基礎を扱った大学院レベルのテキスト『研
修設計マニュアル』を刊行した(鈴木 2015)
。本
発表では、鈴木・合田(2013)の手法に従って、
本書の概要をより客観的に把握するために行っ
た計量テキスト分析の結果を報告する。
2.研究方法
計量テキスト分析ツール KH Coder を用いた。
翻訳版の入稿時本文テキストデータをもとにし
て、本書の構成(5部・11 章)に従って<h1><h2>
タグを挿入した。分析前処理では、本
文で用いられている略語「ID」「ROI」
「HPI」
「HPT」
「HRD」
「SME」
「e ラーニン
グ」を強制抽出語に指定した。
計量テキスト分析
KH Coder 研修設計
門や担当者としての自己成長を扱った課題4に
関する章に異なる語句が用いられている傾向が
見られた。
謝辞
本研究は、科研費基盤研究 B(課題番号:23300305)
の補助を受けたものである。
参考文献
鈴木克明(2015)研修設計マニュアル:人材育成のた
めのインストラクショナルデザイン.北大路書房
鈴木克明・合田美子(2013)
『インストラクショナルデ
ザインとテクノロジの動向と課題(仮)
』 計量テキ
スト分析の試み. 日本教育工学会第 29 回全国大会
(秋田大学)発表論文集, 679-680.
3.結果と考察
KH Coder は、テキストデータに含ま
れている総計 135,012 語のうち 55,278
語を自動抽出した。合計 4,544 文で
5,528 語の異なる語句が用いられてお
り、最頻出語句 100 語は表1に示す通
りで、
「研修」が 1,722 回でトップだっ
た。次に「学習」
「組織」
「自分」
「評価」
「必要」
「行動」
「受講」
「目標」が続い
た。
図1に共起分析(段落ごと、最小出
現数 90 回)の結果を示す。また、課題
ごとの頻出語句の特徴を調べた対応分
析(最小出現数 90 回)の結果を図2に
示す。個別の研修プログラムの設計に
関わる他の課題に比べて、研修担当部
図1
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共起分析の結果
2015 年 9 月 21 日(月)9:00〜 11:00 会場:A301
1a−A301−05
表1 最頻出語句 100 語
抽出語
研修
学習
組織
自分
評価
必要
行動
受講
問題
目標
学ぶ
考える
事例
方法
思う
表
レベル
情報
職場
成果
時間
行う
場合
人
担当
出現回数
1722
552
354
332
316
299
278
275
258
256
240
238
224
215
209
205
196
194
183
176
172
167
166
164
161
抽出語
部門
効果
調査
課題
結果
計画
確認
知識
提案
モデル
人材
可能
教育
分析
開発
戦略
実施
解決
仕事
使う
達成
業務
章
専門
教える
出現回数
159
140
136
135
134
131
130
130
130
129
127
126
126
126
124
122
118
117
117
116
116
113
111
110
108
抽出語
示す
経験
年
ID
支援
社員
顧客
応用
活用
職務
内容
改善
管理
自己
選択
理由
スキル
目指す
前
例
言う
持つ
変容
e ラーニング
工夫
出現回数
107
104
104
103
103
103
102
101
100
99
98
97
97
96
96
96
92
91
90
90
88
88
88
86
84
抽出語
次
多い
変化
視点
設計
テスト
文化
求める
システム
実現
妥当
見る
項目
事前
書く
状況
役割
ニーズ
学び
知る
プロセス
経営
上司
得る
用いる
出現回数
83
83
83
82
82
81
80
79
78
78
77
76
76
76
76
76
76
75
75
75
74
74
72
72
72
図2 対応分析の結果
- 48-