オンライン会社説明会 質疑応答

オンライン会社説明会 質疑応答
2015 年 3 月 17 日(火) 20:00~20:45
【プレゼンター】
常務執行役員 広報部担当 村松 実
【研究開発について】
Q/薬の開発にはどれくらいの期間や開発費がかかるのですか?貴社の薬を 1 つ例にとって教
えて下さい。
A/医薬品の研究開発から承認・販売に至るまでの期間は、早いもので 10-11 年、長いもので
は 17 年くらいかかります。研究開発に必要な費用については、医薬品の研究開発は成功
確率が非常に低いという特徴があり、多くの薬剤が途中で開発中止となるため、1 つの製品
が販売に至るまで、少し前までは 1000 億円かかるというのがコンセンサスでした。
現状においては、この数字が更に大きくなり、2000 億円に近付いていると予想しています。
Q/医薬品を政府に申請してから政府が認可するのにどれくらいの日にちがかかるのでしょう
か。
A/通常は申請から承認まで 1 年半から 2 年の期間がかかりますが、治療満足度が低い疾患の
治療薬については、迅速に審査するシステムがあるため、1 年から 1 年半くらいで承認され、
市場に投入されることもあります。
Q/研究開発投資は、概ね幾らぐらい(あるいはどの位の比率)なのか?またそれは、グローバ
ル市場の中での競合他社比較では十分なものなのか?
A/当社の研究開発費は 700 億円程度であり、国内・海外大手企業と比べて規模で劣っていま
すので、限られた原資を効率的に活用する必要があります。
当社は、中長期的な事業戦略に従って、自らの手で最後まで仕上げる製品、他社とのアラ
イアンスを活用しで進めるべき製品に分別しています。
後者については、海外での開発・販売を他社にお任せし、販売に応じてロイヤリティ収入を
得る戦略をとっています。
Q/研究開発に関して、特に当社に特徴的なことは何か?
A/当社は、市場の将来性が見込まれるとともに、他社に対して技術的、あるいはノウハウの蓄
積という視点で競争力がある領域として、「糖尿病・腎疾患」「自己免疫疾患」「中枢神経系
疾患」「ワクチン」という 4 つの領域を重点疾患領域と定め、研究開発資源を集中し、研究開
発を加速させています。
1
Q/新薬開発パイプラインについて、フェーズ 3 にあるものの市場規模と売上貢献開始時期を教
えてください。
A/現在フェーズ 3 にある開発品の内、売上に大きく貢献すると期待している薬剤は、アルツハ
イマー型認知症治療薬「MT-4666」、統合失調症治療薬「MP-214」です。これらについては、
可及的速やかに臨床試験を終了し申請する予定です。申請時期については回答を控えさ
せていただきます。
Q/創薬アライアンスを組む相手の選定基準は?
A/創薬ステージにはさまざまな形でアライアンスを展開する余地があります。アライアンスを組
む場合、いくつかパターンがあります。
1 つは共同研究です。それはアライアンス先の企業とリスクを均等に分担するやり方です。
もう 1 つは導入です。他社が創製した開発段階の医薬品の営業権を当社が獲得します。開
発段階から当社が取り組むことになります。逆に当社が創製した医薬品を他社に導出する
やり方もあります。
もう 1 つ重要なことは、アカデミアとの協業です。当社もいくつかの大学と創薬ステージにお
いて研究のアライアンスを締結しています。
Q/国内に3カ所ある創薬研究拠点を2カ所に集約されたが、 今後の創薬のスピード感と見通
しを具体的に教えてください。
A/当社は現状で 3 か所ある研究拠点を 2 ヵ所に統合集約する計画を進めています。研究者同
士が距離的に近いところでコミュニケーションを活発にとり議論を展開することが創薬研究に
おいて重要なポイントであると考えており、今回の拠点統合によって、そのような形ができ上
がると期待しています。
【国内事業について】
Q/貴社は国内では苦戦しているとの記事を見たことがありますが、実際のところはどうなので
しょうか?
Q/後発品への置き換えが進む中で、貴社が利益を確保する具体的な方策を教えてください。
Q/ジェネリック医薬品が日本でも浸透してきているが、この流れは貴社にとって追い風なの
か?それとも逆風なのか?
A/日本の医薬品市場は、2 年に 1 度の薬価切り下げ、ジェネリック医薬品の促進など、日本政
府による医療費抑制策の影響を大きく受けています。特に、既にジェネリック医薬品が参入
している新薬(長期収載品)の売上が大きく落ち込んでいるのが現状です。
スライドでお示しした通り、当社は 2011 年度以降、7 つの新製品を市場に投入しました。当
社はこれまで長期収載品に依存する割合が高い状況でしたが、現在はジェネリック医薬品
の影響を受けない新薬に依存した経営体質への転換を進めています。
2
Q/ジェネリック医薬品の比率が低いのでは。
A/現状において、当社のジェネリック医薬品の比率は決して高くはありません。当社がジェネリ
ック医薬品を取り扱っている理由は、さまざまな患者さんのニーズにお応えするためです。
低価格なジェネリック医薬品に対するニーズお応えするために、当社は 31 種類のジェネリッ
ク医薬品を取り揃えています。
しかしながら、あくまでも当社の主力品は新薬です。投資の優先順位としては、新薬、ワクチ
ン、ジェネリック医薬品という順番になります。ジェネリック医薬品の比率を、リスクを冒して
まで大きくするという選択肢はとっていません。
Q/今後、最もシェアを伸ばしたい領域は?
A/当社の現在の主戦場である国内では、トップ商品であるレミケードの貢献により、自己免疫
疾患領域において非常に大きなプレゼンスを持っています。もう一つの重点領域は糖尿病
領域です。この領域で当社は 2 つの新製品を保有しており、第一三共との戦略的アライアン
スにより、4,000 名の営業体制の下、今後大きく進展するものと期待しています。
Q/MRの女性は多いですか?
A/毎年、多くの女性 MR を採用しており、女性社員の比率は年々増加する傾向にあります。
【ロイヤリティ収入について】
Q/ノバルティスのジレニアの売上は、2014 年は米国以外で大きく伸長していますが、2015 年は
どういう見通しでしょうか。市場環境と合わせて解説をお願いします。
A/多発性硬化症はグローバルで 1 兆円の市場規模があると考えています。2015 年度において
も米国、欧州でジレニアの売上が順調に拡大するものと予想しています。
Q/ロイヤリティが前年比でとても増加していますが、来期、再来期の傾向についてどうみれば
いいのか教えてください。
A/当社のロイヤリティ収入の内、一番大きい割合を占めているのは多発性硬化症治療薬「ジレ
ニア」です。ジレニアは現在、順調に売上を拡大しており、それに比例してロイヤリティ収入
も拡大していくものと予想しています。もう一つの柱が 2 型糖尿病治療薬「インヴォカナ」です。
インヴォカナは米国の内分泌医によって最も処方される 2 型糖尿病治療薬になっており、今
後ますます拡大するものと予想しています。
Q/ロイヤリティ収入が増えることのメリットは?
A/ランニングロイヤリティは全てキャッシュで入ります。当社はこのランニングロイヤリティを
様々な場面で活用することが可能になります。
3
【海外展開について】
Q/海外の事業展開について質問です。 地域別の売上げを見た際に、北米の数字が非常に小
さいと思います。 今まで、北米でのビジネスにおいて何が問題であったのでしょうか。 今後
の課題克服の戦略があればお教え願います。
A/現状では、当社は米国に販売拠点を有していませんが、世界最大の市場である米国展開の
加速化に向け、昨年 12 月、米国関係会社の再編を実施しました。米国の大学・ベンチャー
等からの創薬シーズ・技術・開発品の獲得や後期開発品・製品の導入等を通じてパイプライ
ンの充実をめざします。
Q/貴社の売上は基本国内市場向けと認識しているが、将来的に、例えば中国をはじめとする
アジア市場での展開についてはどう考えているのか?
A/中国をはじめとするアジアでは、日本や米国、欧州で承認された製品の早期投入およびそ
れぞれの市場に合致した製品の積極的導入をめざしています。中国およびインドネシアで
は、将来の需要拡大に対応するため建設を進めていた新製剤棟が本年 1 月に竣工しまし
た。
Q/海外売上比率について今後どのようにしていきたいとお考えですか?
A/中期経営計画では、海外売上高比率 15%以上を目標としています。2013 年度の海外売上
高比率は 14.4%であり、海外に導出した 2 製品のロイヤリティ収入拡大に伴い年々上昇して
います。今後もロイヤリティ収入の拡大が見込まれ、海外売上高比率は更に上昇すると予
想しています。
【中期経営計画について】
Q/中期経営計画の最終年度になるかと思います。先程のお話で基盤整備が軸との事でしたが、
進捗状況と着地予想をお願いいたします。
A/当社の中期経営計画の最終年度となる 2015 年度の目標数値、売上高 4,100 億円、営業利
益 650 億円は必達という認識です。
基盤整備の進捗については、国内の医薬品ビジネスは新製品投入により着々と基盤整備
が進んでおり、2014 年度をボトムとして、売上高、利益ともに右肩上がりに伸長していくよう
な姿ができ上がったと考えています。
グローバル展開では、グローバル戦略製品と位置付けている 3 つの開発品の開発が順調
に進んでおり、基盤整備は総じて計画通りに進んでいると評価しています。
Q/貴社のROEの考え方を教えてください。
A/現状において、当社は ROE を指標としていませんが、ROE が会社経営における重要な指標
であることは十分に認識しています。現在策定中の次期中期経営計画では、ROE について
も検討する予定です。
4
【株主還元について】
Q/ここ数年は配当金を増額していませんが、2015 年度は増額を考えられていますでしょうか?
Q/長く会社を愛するためには、優待制度は意味が有る物かと思いますが、検討の余地はあり
ますか?
Q/株主優待制度はありますか?
A/当社の株主還元の基本方針である、成長に向けた投資と、株主の皆さまへの安定的、継続
的な配当のバランスを取ることが重要であると考えています。2015 年度の配当については
現在検討中です。
株主優待については、一般用医薬品の提供など検討しましたが、生活者の皆さまのニーズ
が多様であることから無理があると判断し、基本的に配当金という形を取らせていただきた
いと考えています。
【その他】
Q/ファイザーをはじめとして製薬会社の大型化は世界規模で進んでいるように思われます。貴
社も更なる合併の予定はありますか?
Q/この 20 年の間に数多くの合併・統合を繰り返しているが、その効果は既に期待通りに十分
出ているのか?それともまだまだこれからなのか?
A/パイプラインを拡充するような製品導入・企業買収は積極的に行いますが、規模拡大のため
の合併が現状では考えていません。
Q/かなり立派な新社屋を建てられていますが、何か大きな特徴のようなものがあれば教えて
下さい。
A/総合設計制度を採用した地上 14 階、地下 2 階の免震構造となっており、非常用電源設備、
2 回線受電など災害に備えた設備を採用しています。 2 階には大阪道修町・北船場の地域
コミュニティとの共生・貢献の一環として「田辺三菱製薬史料館」を設置しています。
公開空地は、道修町や三休橋筋の地域コミュニティとの共生・貢献を視野に入れ、薬草タイ
ルを施した植栽枡を設置するなど、まちなみづくりに努めています。
Q/薬関係の株は年末から年始・春に上げてくるのに何か理由が有るのでしょうか。
A/株価について言及する立場にありませんので、お答えは控えさせていただきます。
以上
5