今日の 学びが 明日を 動かす

生産科学科
食品科学科
西村 苑夏さん
七浦 春風さん
生産科学科 3年
食品科学科 2年
石川県立小松高等学校出身
石川県立輪島高等学校出身
学びたい気持ちに貪欲に、
興味のあることを追求できる
有機化学の知識を
食品や薬の開発に
学習環境が広がっています
応用できる学びが魅力
動物が好きで、動物に関わることを学びたい
高校時代から得意だった化学を大学でさら
と思い生産科学科を選びました。最初は動物
に学んで将来につなげたい、
と考えた時に進路
ばかりに気持ちが向いていたのですが、入学以
として見えてきたのが食品科学科でした。2年
来、興味を持つようになったのがバイオテクノ
になり、有機化学の授業は難易度が上がり、食
ロジーの分野。遺伝子組み換えにより、人工的
に変 化に富んだ美しい花を生み出す技 術な
ど、研究者の考えが表現される世界に魅力を
感じます。授業以外では、先生が自主的に運営
する
「ポケットゼミ」に所属し、羊を育て、毛刈り
品系科目が増え、いよいよ本格的な学びが始
生命のつながりを学ぶ学問は、
動物と植物、
どちらの世界も面白い
まったと実感しています。有機化学は、日頃食
べているものに含まれるタンパク質や炭水化
をした羊毛の再利用として、植物の肥料に役
立てる研究を進めています。土に埋めることで
微生物が羊毛のタンパク質を分解し、栄養分
になるのではないかと仮説を立てて調べたとこ
ろ、羊毛の有無により植物の生育具合が明ら
かに異なることが分かり、現在さらに詳しい研
究を始めています。
星 佳菜絵さん
環境科学科 4年
宮城県多賀城高等学校出身
今日の
明日を
石川県立大学で学ぶという
こと。
それは、人と自然の調和
した社会を創造する力を養う
こと。
高い専門性を身につける
毎日の学びの積み重ねが 、
新 し い 時 代 を 切 り 拓 く。
物が体内で分解されていくメカニズムを化学
式で見ることが興味深く、身近に感じる学問で
す。
この学科で身につける化学の知識は、より
美味しく安全性や機能性の高い食品の開発、
新しい味覚や食感の開発に応用することがで
きるほか、将来は、化学や製薬分野への可能
性も広がっています。私は、薬と人体の関係に
関心があり、今後は薬理作用について学びた
いと考えています。
西山 駿さん
博士後期課程 自然人間共生科学専攻 1年
私立郁文館高等学校(東京)出身
身近な植物を対象とした、
安定セシウムの研究を通して
フィールドワークを通して
農家の人に役立つ
日々変化する自然を見つめる
解決策を導き出します
高校時代、夢中になって勉強した生物を大
大学3年のときに福島第一原子力発電所の
学でも学びたいと思い、環境科学科を選びま
事故が発生しました。人体に有害な放射能をも
した。環境に関する分野は裾野が広く、中でも
つ放射性セシウムが農地に降り注ぎ、農家の
フィールドワークが何よりの魅力です。例えば、
人が大打撃をうける様子をみて大きなショック
大学周辺の水田や水路に生息する水生動物
を覚えました。
このことがきっかけで、学部4年と
を調査し、
それらが農薬の使用でどのように変
修士課程では「土壌の環境と水稲の安定セシ
化するのかなど、身近な自然の中にも学びの
ウム吸 収にはどのような関 係があるのか」を
テーマがあふれています。卒業研究では、植物
テーマに研究をしてきました。博士後期課程に
生態学研究室に所属し、造成後10年が経過し
進んだ今、田んぼや畑でいろいろな種類の稲
た大学ビオトープの植生遷移の現状をまとめ、
を栽培し、セシウムを米に蓄積しにくい品種や
それらの植物の開花フェノロジー(花暦)
と気
除染に役立てられる品種があるのか調べてい
象との関係に注目した研究をしています。身近
ます。
自分の研究が社会のどのような位置にあ
な植物を対象としたフィールドワークを通して、
日々変化する自然を観察し、
これまで見逃して
いた現象に気がつく瞬間に、
この研究のやりが
いを感じています。
環境科学科
7
学びが
動かす
体内で有機物が
分解される
メカニズムに
興味があります
身近な自然の変化から、
環境問題を紐解く手がかりを探ります
土壌の環境と
水稲のセシウム吸収には
どんな関係があるのか
るのかを意識するように心がけ、最終的に農家
の人に役立つ成果が提示できるように取り組
んでいます。
大学院
8
独 創 的な発 想をカタチ に 。大 学と企 業 の 垣
根を越えた 学 術 研 究 が 注目され て います。
バイオ・環境・食をキーワードに持続可能な社会の創造をめざす石川県立大学では、
それぞれの学科で従来の
知の継承だけでなく、独創的な学術研究を推進し、高度化・専門化する内容を教育・研究するとともに、
専門領域の広がりや学際的な領域への展開を視野に入れた教育・研究を行っています。新しい領域を開拓し、
未来を切り拓くチャレンジスピリットにあふれた研究を紹介します。
植物と微生物のバトルフィールド
病原菌の「感染力」
を科学的に理解
植物の「抵抗力」
を栽培技術に応用
植物病原体の感染メカニズムを解明し、
病原体から植物を守る新技術を開発する
身近な食品の不思議を科学的に解き明かし、
より良く、美味しい食品を追求する
髙原 浩之 准教授
本多 裕司 准教授
生産科学科 植物生産基礎系 植物病理学分野
農作物に感染し、大きな被害を及ぼす植物病原体
食品科学科 食品機能系 食品素材科学分野
加賀蓮根の「食感」
「 粘り」の要因を探る
野菜や果物を育てると、収穫時期が近づくにつれて心がときめきます。
しかし、
それが病気で
石川の伝統野菜「加賀野菜」の一つである加賀蓮根を使った料理はモチモチ感があり、粘
侵されるとどうでしょうか。農家にとっては丹精込めて育てた農作物が病害で収穫困難に陥る
りが良いのが特徴です。
レンコンは水分を除くと半分以上が澱粉のため、
この研究室では加賀
ことは、収入減に直結します。地球上には農作物に感染して多大な被害を及ぼすさまざまな植
蓮根から得られた澱粉の性質を詳しく分析することで、加賀蓮根の独特の食感と粘りを解明
物病原体が存在し、
その被害は毎年、世界で8∼10億人分の食糧にも相当すると算出されて
しようと研究しています。
レンコンの主要産地である茨城県産のものと比べると、加賀蓮根の
います。植物病理学は、
このような地域農家のローカルな問題から人口増加、食糧危機といっ
澱粉の粒子は大きく、糊化しやすいことがわかってきました。現在、生産農家の方の協力をい
た社会的問題までの幅広い分野を担う研究領域です。
ただきながら、
さらに研究を進めています。
特定の植物や品種にだけ感染するのはなぜ?
グルテンフリーの米粉パンづくりに挑戦
植物病の原因には、糸状菌(カビ)
・細菌・ウイルスなどがあり、人間の場合とよく似ていま
この研究室では、
グルテンを含まない米粉だけで焼いたパンの品質改良にも取り組んでい
す。
しかし、
ある植物病原体はヒトや動物はもちろん、ほとんどの植物に感染することができな
ます。小麦に含まれるタンパク質は水を加えてこねると、
グルテンというタンパク質の網を作り
い代わりに、特定の植物や品種にのみ高確率で感染し、激しい病を引き起こします。
この疑問
ます。パンは、
グルテンがなければ焼いた時にしぼむため、一般的な米粉パンもグルテンを添
を解明するため、当研究室では病原糸状菌が植物に感染するしくみと感染の成否を決定する
加して膨らませています。
しかし、
それでは小麦アレルギーの人は食べることができません。
さま
病原性因子に関する研究成果を挙げてきました。
この分子メカニズムをさらに解明すること
ざまな糖や酵素を添加した結果、
タンパク質を分解する酵素を添加することで、柔らかくふっく
で、将来の農作物保護に役立つ新技術の開発が期待できます。
加賀蓮根の澱粉
グルテンを含まない米粉パン
らとした米粉パンができあがることがわかりました。
環境と調和する農業の実現に向けて、
多様な植物遺伝子の機能を解析し、
農地管理のあり方を根源から探る
先端バイオテクノロジー研究にいかす
百瀬 年彦 准教授
三沢 典彦 教授
環境科学科 生産環境創造系 農地環境学分野
附属生物資源工学研究所
植物遺伝子機能学研究室
土の成り立ちを踏まえて、農地のあり方を考える
高付加価値物質の効率生産
地球誕生から長い年月を経て、岩石は風化作用を受けて土となり、土は豊かな生態系を育
植物遺伝子機能学研究室では、モデル植物や大腸菌を用いて、陸上植物が持つ多様な代
み、
自らの肥沃度を高めながら生命のつながりを支えてきました。
その肥沃な土をもとに農地が
謝系遺伝子の機能を解明し、得られた知見を利用して、付加価値の高い天然有機化合物を
作られ、
そこでは現在、主として単一の作物が栽培され、化学肥料や農薬が使われ、重機が用
有用農作物や大腸菌に効率的に生産させます。
また、植物細胞を用いて医薬品等の有用タン
いられるなどして、系を単純化する方向での農業が営まれています。系の複雑さが増すととも
パク質を効率的に生産するシステムの構築も行います。
に肥沃な土が形成された過程を考えれば、現在の農業が農地にさまざまな問題を引き起こす
ことは、当然の結果と言えるのかもしれません。
土の中の熱・物質の移動に着目し、農地管理に活かす
学習の世界から研究の世界へ
農地環境学研究室では、適切な農地管理のあり方を見いだすため、土の中の熱・物質移動
学生は、植物や微生物を扱う先端(モダン)バイオテクノロジー研究に触れることにより、科
に着目しています。土の中では太陽エネルギーを原動力として、熱・物質が絶え間なく流れ、
そ
学的知識を身につけるための従来の「学習」の世界から離れて、初めは答えが分からない「研
の流れは地中環境を刻々と変化させています。農地での流れが自然界のものとかけ離れてい
究」の世界を体験することができます。
さらに、
この分野における先端的な研究者・技術者の育
けば、農地には自然界と大きく異なる環境が形成されるわけです。
この研究室では人と農地の
成も行います。
関わりに問題意識を持ち、土の中の熱・物質の流れを自然界に近づけた農地づくりで、人の
農地環境計測装置について学生に指導する様子
9
生命のみをつなげようとする単眼的思考の農業からの脱却をめざします。
アスタキサンチン生合成遺伝子を導入した大腸菌や植物
10
Bioproduction Science
F ood S c ie n c e
‘ルビーロマン’
の品質向上を
目指し、台木の違いによる
果実品質を研究しました
研究テーマ
乳酸菌を添加して、
長期保存が可能な
果物の外果皮抽出物から
免疫調節機能に関わる
人の手で作る伝統調味料
魚醤「いしる」
を
家畜飼料化を試みました
成分を発見しました
科学的に分析しました
研究テーマ
研究テーマ
塩蔵発酵食品中の微生物挙動に関する研究
モヤシ屑サイレージの発酵品質と栄養価
内藤 光さん
常川 千春さん
富澤 真美さん
中村 早希さん
生産科学科 農場研究室 生産科学科 動物栄養学研究室
食品科学専攻 食品衛生学研究室
食品科学専攻 食品微生物学研究室
2015年卒業
2015年卒業
修士課程1年
修士課程 1年
山梨県立韮崎高等学校出身
岐阜県立各務原西高等学校出身
私立高崎健康福祉大学高崎高等学校(群馬県)出身
福井県立藤島高等学校出身
台木を変えれば、
ブドウの品質は良くなる?
ただ廃棄されるモヤシ屑、
再利用できる方法は?
ブドウの国内主要産地である山梨県で育ち、
もともと果樹に興味があっ
モヤシの製造工程において大量に発生するモヤシ屑は、処分に多額の
果物の多くは果肉部のみが食べられ、果皮の多くは廃棄されます。
しか
石川県には原料(イカ)
に塩だけを入れて熟成させた伝統的な魚醤「いし
たため、石川県の特産ブドウ
‘ルビーロマン’の生育と果実品質に関する研
費用を要するため、飼料化の検討がなされてきたものの、
その栄養価や消
し、本来棄てられるだけの果皮にも有用な成分があるのではないかと考え、
る」
がありますが、
その熟成には微生物の働きが不可欠です。
しかし、
このよ
廃棄されるだけの「皮」にも
有用な成分があるかも?
発酵食品中の塩分濃度は
微生物の働きに影響する?
究を行いました。
‘ ルビーロマン’は大粒でルビーのような鮮やかな赤色の
化率は明らかになっておらず、水分含量が高く腐敗しやすいことから、飼料
外果皮の成分が免疫調節機能に及ぼす影響評価を行いました。外果皮に
うな耐塩性の微生物を自然に生育させる塩蔵発酵食品の微生物挙動に
ことが特徴ですが、粒の大きさや着色度などに厳しい基準があり、商品化
にするには長期保存を可能にすることが条件となっていました。
そこで、乳
はさまざまな農薬や防除剤といった化学物質が付着し、
これらが免疫機能
は、未だに多くの不明点があります。
そこで、塩蔵発酵食品の品質の安定を
率の低さが課題となっています。
そこで、栽培に使う台木に樹勢の異なる2
酸菌添加によるサイレージ化(乳酸発酵)を検討し、
その栄養価と蛋白質
評価に影響を及ぼす可能性が考えられたため、実験には有機JAS認定さ
見据え、魚醤などの水産発酵食品における塩分濃度と微生物叢の関係に
ついて調査、研究を行いました。
さまざまな塩分濃度で仕込んだ魚醤と予め
種類を用意し、
さらにそれぞれ2倍体と4倍体の合計4パターンの台木で‘ル
分解性を評価する研究を行いました。実際に作った飼料を附属農場の羊
れた某果実の外果皮を使用しました。研究の結果、果物の外果皮抽出物
ビーロマン’
を栽培し、
その生育具合と果実品質を調査しました。
この研究
に食べさせてみると、発酵による酸味がきつく最初は食べなかったものの、
には、免疫活性促進および抗アレルギー作用を示す免疫調節能が存在す
大腸菌やビブリオ、
ブドウ球菌、芽胞菌といった一般的な腐敗細菌で汚染
を通して台木によって品質に大きな違いが出ることがわかり、
‘ ルビーロマ
工夫と改良を重ねることで食べるようになりました。
この研究は現在、実用
ることが示唆されました。今後さらに詳細な解析を進め、生体で機能する免
を施した魚醤の微生物叢の変遷を追跡したところ、塩蔵による汚染の減少
ン’の着色を改善する手がかりを掴むことができました。
化に向けて動いています。
疫関連細胞への影響評価を行っていきます。
を評価することができました。
4年間の教育・研究が、社会と
卒業研究。
それは4年間の学びの集大成であり、新たなはじまりです。一人ひとりが
入り江状の河岸と
緩やかな流れの好気的な
生息地の形成が必要でした
つ な が る 、未 来 へ つ な が る 。
「生産生物」
「 環境」
「 食品」
と向き合い、考え、
そして想いを込めた発表をご紹介します。
赤色色素の遺伝子を導入し
ソライロアサガオの
花色の改良を試みました
体内の微生物を探し出し、
栄養摂取と消化の
メカニズムを探求中です
研究テーマ
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研究テーマ
果物の外果皮における免疫調節機能の研究
ルビーロマンの生育と果実品質に関する研究
研究テーマ
エンドウマメから単離した
乳酸菌株によるEPSの
免疫賦活効果を
実証しました
研究テーマ
能登半島における絶滅危惧種
エゴツルクビオトシブミの生育に関与する
園芸用Ipomoea属植物へのアスタキサンチン
カワヤツメ幼生の生態と保全に関する研究
微生物の組織学的探索
生合成関連遺伝子の導入に関する研究
荒川 裕亮さん
棚田 一仁さん
北山 亘祐さん
環境科学専攻 流域環境学研究室
修士課程1年
私立白鷗大学足利高等学校(栃木県)出身
環境科学専攻 微生物生態学研究室
修士課程1年
広島県立呉宮原高等学校出身
応用生命科学専攻 植物細胞工学研究室
修士課程2015年修了
私立星稜高等学校(石川県)出身
研究テーマ
乳酸菌Leuconostoc mesenteroides NTM048株が
産生する菌体外多糖の免疫賦活能に関する研究
早川 あすかさん
生物資源工学研究所 応用微生物学研究室 2015年卒業
岐阜県立中津高等学校出身
絶滅危惧種の「カワヤツメ」
半閉鎖的環境で育つ生物の
アサガオの花の色は、
植物由来の乳酸菌は
どのように守るべき?
栄養摂取に微生物が関与?
自由自在に作られる?
健康食品に応用できる?
5億年前から存在する
「カワヤツメ」は、近年個体数が減少し、2007年に
エゴツルクビオトシブミは、主にエゴノキの一枚の葉を巻いて揺籃(ゆり
アサガオやサツマイモのようにサツマイモ属の植物には、人々に馴染み
身体に良い菌を調べて健康に役立てたいと考え、エンドウマメから単離
は環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に登録されました。石川県でも個体数
かご)
を形成し、
その中に一つ産卵する生物です。揺籃内は半閉鎖的な空
深い園芸的価値の高い植物が多くあります。
しかしながら、アサガオではカ
した乳酸菌株が産生する菌体外多糖の研究に取り組みました。エンドウマ
が減少していることが示唆されていたものの、
その生態は把握できていませ
間を形成し、葉は外界から揺籃を保護する防御壁としての役割を持ちま
ロテノイドのような濃い黄や橙色の色素の生産能力がないため、花色の変
メの乳酸菌株は、野菜由来の乳酸菌178株のうち最もIgA(免疫グロブリ
んでした。
そこで河川におけるカワヤツメ幼生の生態と保全の方向性を示
す。
このため、卵は成虫になるまで揺籃内で安全に成長する一方で、幼虫
化に乏しく、西洋アサガオのソライロアサガオに至っては花色がわずか3種
ンA)産生誘導活性の高い菌とされ、粘性の帯びた菌体外多糖(EPS)を
すことを目的に、石川県能登半島北部の町野川を調査河川として、輪島市
期には揺籃の一部しか食べることができず、幼虫はその可食部から効率よ
類しか知られていません。
そこで、形質転換により赤色の色素の遺伝子で
多量に産生することが特徴です。近年、
この乳酸菌が産生するEPSの免疫
北円山付近の中流150mを対象に調査を行いました。
その結果、幼生の多
く栄養摂取する必要があります。栄養摂取には何らかの微生物が関与して
あるアスタキサンチン生合成関連遺伝子群を導入し、新たな花色・葉色、
賦活効果が報告されていることから、
このEPSを機能性食品として応用す
くは河 岸が入り江 状の止 水 域で捕 獲され、保 全 事 業には人 工 的 河 岸で
いることが示唆されていたため、
この研究では成虫の包埋法の改善および
高付加価値といった園芸的価値を高める研究を行いました。細胞レベルの
るために性状を明らかにし、生体内においてのEPSの免疫賦活効果をマウ
あっても植生を生やし、構造物を置くなどして緩やかな流れのある好気的
卵や幼虫の樹脂包埋を実施し、オトシブミ体内の微生物相の組織学的探
実験では、明らかに目に見える変化があり、新しい花色誕生の可能性を感
ス生体試験で確認しました。将来的には、
この研究で扱ったEPSがサプリメ
な生息地を形成することが必要とわかりました。
索をより深めようと試みました。
じることができました。
ントやガムに使われ、機能性食品になればと考えています。
Environmental Science
Re se a rc h I n st it u t e for Biore sou rc e s a n d B iot e chnology
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実験の授業が増えて学びが充実!
遺伝子解析の実験が興味深いです
植物の匂い成分、
テルペンに注目!
病気の治療や暮らしに役立てたい
生物に共通して存在する遺伝子を学びたいと考え、
この大学に入学しま
植物遺伝子機能学研究室で石川県が開発したフリージアを対象に、匂い
した。学年が上がるにつれて実験の授業が増え、勉強がますます楽しくなっ
の成分(テルペン)を作る遺伝子を単離する研究を行っています。テルペン
てきました。DNAを抽出する実験では、
そのDNAの情報の中にどのような
は、植物が生産する多様性に富んだ化合物で、人の役に立つさまざまな機能
遺伝子が含まれるかまで解析することができ、興味を持って学んでいます。
を持っています。植物から得られる量はごく僅かのため、大腸菌に培養してテ
生産科学科は、農業・畜産から分子・遺伝子まで、幅広い領域から自分の
ルペンを合成し、薬や人の暮らしに役立てることが目標です。
この大学は先
テーマを選ぶことができ、就職先も多種多様です。将来は、大学での学び
生指導が丁寧で、
スムーズに研究を進められる環境が整っています。
を生かして自分に合った進路を見つけていきたいです。
鈴木 淳平さん
生産科学科 3年
静岡県立静岡東高等学校出身
すべての学生が
学ぶ喜びを体感中!
樋口 雄貴さん
食品科学科 4年
新潟県立長岡向陵高等学校出身
インド伝統医学のハーブの
免疫調節機能に注目しています
食品のアレルギー抑制効果や免疫賦活効果に興味があり、実験で評価す
ることでアレルギーや免疫機構についての知識を習得したいと考え、大学院
に進みました。
自分がアレルギー体質ということもあり、研究を通して体内でど
のような現象が起きているのかを明らかにしていくことに研究の面白さを感じ
ています。研究の過程では、自分で考えて行動することの大切さや失敗して
もその結果と向き合い、次に活かす姿勢の大切さも学びました。
好きなことを追求する時間は楽しい。多彩な学びや研究を通して
気付いたのは、学ぶ楽しさと成長を実感できる喜び。
平野 里枝さん
食品科学専攻 修士1年
長野県立伊那北高等学校出身
from Students!
子どもたちに自然の楽しさを伝える
理科教員を目指して学んでいます
私たち人間の日常生活が、水や土壌といった自然環境に与える影響に関
心を持っています。環境科学科では、化学や物理、生物などの知識を幅広く
身につけることができ、興味のある分野を深く学ぶこともできます。先生と学
生の距離が近く、何事も相談しやすいことも特長です。夢は、高校の理科教
師になること。大学では自然科学の知識を多く身につけ、将来子どもたちに自
然の楽しさを教えられる授業ができればと考えています。
長井 貴広さん
環境科学科 3年
新潟県立高田高等学校出身
教養科目の楽しさにふれたことで
視野が広がり、考え方が変わりました
食品に関する研究と好きな化学の勉強ができることに魅力を感じ、石川県
立大学に入学しました。
これまで履修した科目では、
「ジェンダー論」に関心を
持ちました。この授 業ではジェンダーの始まりから学び、
「白雪 姫 」をジェン
ダー的に考察するなどして、女性らしさや男性らしさについての考え方が変わ
る機会になりました。1年の時には専門科目はありませんでしたが、2年から少
しずつ増えてきたので、研究の扉を開けた感じがしています。
門田 久瑠実さん
13
食品科学科 2年
福井県立敦賀高等学校出身
学生の自主性を大切に、楽しく学べる
「ポケットゼミ」は、魅力がいっぱい!
「本物の研究をするぞ!」のポケットゼミに所属し
ポケットゼミ 一覧(2015年)
ています。
このゼミでは、学生が各々やってみたい研
●
究に取り組んでいます。私は
「抗生物質投与下でも
●
高い生存率を持つ乳酸菌の選定」に関する研究を
●
行っていますが、ゼミで毎年挑戦している
「サイエン
●
ス・インカレ」
( 文部科学省主催)に出場した時に幅
●
広い分野の方々から指摘を受け、自分では思いつ
●
かなかった視点を発見することができ、
ますます研
究が面白くなりました。
加藤 智子さん
●
●
生産科学科 3年
私立金城学院高等学校(愛知県)出身
●
●
ヒツジ
クワガタをとるタカをみる
コンピューター・プログラミングに挑戦しよう!
ワクワクする本をみつけよう
ーAction to Find Delightful Booksー
果物を作って、食べよう
金沢工業大学との連携による地域活動
今年もやります。県大出版部
新規シンビオジェニック因子および
新規腸内細菌の探索
●
●
●
●
●
●
●
能登・里海プロジェクト
環境教育の実践
大学キャンパス
いきもの調査
Presentation in English
for graduate students
食虫植物を育ててみよう。
増やしてみよう。
グルメ物理化学
TOEICミニ講座
本物の研究をするぞ
シャンソンで学ぶフランス語
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未 来を動 か す 人 へ。輝く先 輩 たちは 、
将来の君たちの姿。 Messages from
Graduates
毎年、多くの学生が石川県立大学から羽ばたいています。夢を追いかけている人。未来を変えようとする人。
地域貢献に励む人。高度な研究と学びは、一人ひとりの道へとつながっています。
在 学 中 に 研 究の醍 醐 味 を 知 り 、研 究 職の道へ
豪 雨 被 災の経 験 が 、土 木 を 学 ん だ きっか け で す
生 産 現 場 と 消 費・販 売 現 場の橋 渡 し を 担いま す
食 品 に 特 化 し た 学 び で 知 識の基 盤 を 築 き ま し た
現 場 に 出 て 学 ぶ 姿 勢 を 今 も 大 切 に し ていま す
人 と 生 き 物 に や さ しい環 境﹁ 里 山 ﹂を 守 り ま す
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宮下 奈緒さん
山川 将径さん
有賀 梨紗さん
山村 達也さん
山内 理瑚さん
山崎 裕也さん
博士後期課程 自然人間共生科学専攻 2015年修了
石川県立金沢泉丘高等学校出身
石川県環境部 温暖化・里山対策室
環境科学科 2014年卒業
富山県立水橋高等学校出身
株式会社 国土開発センター
博士前期課程 食品科学専攻 2013年修了
名城大学附属高等学校出身
イチビキ株式会社 研究・商品開発センター
博士前期課程 生産科学専攻 2011年修了
静岡県立浜松湖東高等学校出身
協友アグリ 株式会社
環境科学科 2014年卒業
福井県立藤島高等学校出身
福井県三国土木事務所
博士前期課程 応用生命科学専攻 2014年修了
愛知県立豊橋東高等学校出身
石川県工業試験場
里山里海の保全活動を推進し
地域の活性化に貢献します
身につけた生物の知識を基に
自然環境保全に努めています
食卓においしい笑顔を届ける
商品ブランドを育成します
学校・地域・家庭及び事業者における環境
建設コンサルタントとして自然環境の調査を
保全活動や里山保全活動を推進するための
担当しています。在学中から自然環境の保全
業務を担当しています。より多くの方に里山里
に関わる仕事に就きたいと考えていたので、現
からの私の夢であり、食品に特化した学科を持
海に関わっていただくことで、石川県全体の元
在の仕事にやりがいを感じています。大学で学
つ 石 川 県 立 大 学に進 学しました。在 学 中は
気につながっていることに仕事のやりがいを感
んだ生物の知識は今、大変重宝しています。
ま
じています。大学では農業を中心に学びつつ、
た、大学で身につけた野外での活動を通して
農家の潜在ニーズに役立つ
提案を心がけています
暮らしの安全を守るため
土木分野で地域を支えます
県内企業の技術支援、発展に
研究職として貢献します
食品メーカーで商品企画・開発の仕事に携
農薬メーカーで農薬の営業を担当し、現在
急傾斜対策や河川維持修繕、道路改良に
研究職として、石川県内の食品企業の技術
わっています。この業界に進むことは、幼い頃
は技術的な営業フォローを主として、生産現場
関わる事業において、設計書の作成や工事の
的支援や食品の栄養表示に関する分析、食品
での薬剤の実証試験などを行っています。在
発注、現場監督業務のほか、地域や小学校で
の異物分析、県産食材・副産物を用いた商品
学中に取り組んだ「イネの白未熟粒」の研究は
の防災出前授業なども担当しています。土木
開発・研究などを行っています。在学中は微生
ローヤルゼリー主 要 性タンパク質アピシンの
今、仕事で水稲農家やJAを訪問すると生産現
分野に進んだきっかけは中学の時に福井豪雨
物の多 彩な力に魅了され、大 学 院に進み、応
抗原抗体反応を用いた迅速定量法の確立に
場で非常に重要なテーマであったことを実感し
で被災した経験でした。集中豪雨に興味を持
用微生物学や遺伝子工学の研究に取り組み
食品や環境分野の講義も受けることができま
学ぶ姿勢を大切に、仕事においても現場から
取り組み、実験に失敗する度に原因を追究し
ます。研究の過程では新しい知見を得るだけで
ち、一般土木と農業土木が学べる石川県立大
ました。大学で学んだ食品加工学や食品衛生
した。
「 里山」は、農業やそれに関連した生業、
学ぶことを意識しています。在学中は、大学周
て次につなげる努力を重ね、前向きに取り組む
なく、自分で試験設計等を考えてマネジメント
学に進学し、卒業論文で福井豪雨について研
学の知識と大学院で培った論理的思考は、現
環境などの多様な側面をもっているため、大学
辺に生息する生物を調べて発信する活動にも
姿勢を身につけることができました。大学で学ん
することも重 要 視されます。作 業 の 流れを覚
究しました。
この学びを生かし、福井の人々が
在の仕事でもそのまま役に立ち、食品分野に
の時に幅広く学んだことが現在の業務にも役
取り組み、積極性やコミュニケーション能力を
だ食 品に関する幅 広い知 識は現 在の仕 事に
え、後輩に教える大切さを学び、自分自身も成
安心して生活できるまちづくりをめざし、土木分
関わる一通りの知識と実験経験があるため、
ス
立っていると実感します。
身につけることができました。
しっかり繋がっています。
長することができました。
野で地域に貢献したいと考えています。
ムーズに業務を行うことができています。
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