2015.1.30 号 - 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター

2015.01.30
ニ ッ セ ン ケ ン 分 室 「 思 い つ き ラ ボ 」 No.33
製 品 プリントにもいろいろな手 法 があります・・・
前号では蓄光商品について取り上げたのですが
プリントの紹介をしたところ
いう要望がありましたので
話の流れで製品
もう少し詳しく説明してほしいと
今回のテーマは製品プリントを取り
上げたいと思います。プリントには生地の製造段階でプリント加
工するものと生地を裁断したのち
もしくは製品に仕上げてから
プリントを載せる方法とがあります。生地段階でプリントするも
のは製品になったときにランダムな柄になってもよいものか
又
はパターンの型入れが決まっているものになります。
製 品 プリントはプリントの位 置 が生 地 段 階 では決 められないも のやユニフォームなどチーム名 や会 社 名 を
小 ロットで入 れたい場 合 などに適 しています。例 えばスポーツユニフォームの場 合
胸 位 置 にチーム名 を
背 中 に背 番 号 を入 れたい時 には出 来 上 がった製 品 に入 れた方 が位 置 ズレの心 配 も少 なくてすみます。
手 間 は掛 かりますが思 い通 りにマーキングが可 能 になります。前 号 で掲 載 したプリントの種 類 は
染料プリント
白もしくは淡色生地に染料をもちいた捺染プリント
顔料プリント
濃色生地に生地色より淡い色を載せる捺染プリント
ラバープリント
フロッキー
ラメプリント
グリッター
ゴム系樹脂をもちいた顔料プリントで伸縮生地に対応
フロッキーシートを用いて圧着する起毛プリント
細かい金属箔をちりばめたプリント
さらに細かい金属箔を顔料に混ぜ込んだプリント
発泡プリント
顔料に発泡剤を混ぜて加工し加熱して膨らますプリント
蓄光プリント
バインダーに蓄光原料を加えた暗所で光るプリント
芳香プリント
香り付き微小ビーズを混ぜた匂いのするプリント
アクアプリント
感温プリント
撥水差を利用して濡れた時に柄がでるプリント
温度変化によって色が変わるプリント
でしたのでそれぞれについてもう少 し詳 しく説 明 しておきます。
プ リン ト 手 法 の 紹 介 : 染 料 プ リン ト ・ 顔 料 プリ ン ト・ ラバ ー プリン ト 編
染 料 捺 染 プリント
染 料 を 用 いた プリントで すが “ 染 料 と顔 料 ” の 違 いを 先 に説 明 し て おき ます。 染 料 の 定 義 は JIS L
0207 繊 維 用 語 ( 染 色 加 工 部 門 ) に記 載 されていて 染 料 は「 水 などの媒 体 に溶 解 又 は分 散 し 、繊
維 などに親 和 性 があって吸 着 さ れ、ほぼ満 足 できる堅 ろう性 をもつ色 材 (番 号 7032)」と あり 顔 料
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp
2015.01.30
の定 義 は同 じく JIS L 0207 には「水 に不 溶 で、繊 維 に対 して親 和 性 のない有 色 性 の微 粒 子 。これを
繊 維 に適 用 するにはバインダーといわれる接 着 剤 が必 要 。(番 号 7014)」とあります。定 義 付 けしよう
とするとこのような言 い回 しになってしまいますが 要 は水 に溶 けるものが染 料 で水 に溶 けないものが
顔 料 と理 解 しておけばいいと思 います。白 もしくは淡 色 生 地 に使 用 としているのは濃 色 の生 地 に染 料
を浸 み込 ませても濃 色 に吸 収 されてしまうので色 を表 現 できないからなのです。白 生 地 にプリントする
ときのもっとも一 般 的 な手 捺 染 の方 法 です。
いきなり話 が逸 れますが“捺 染 ”は正 しくは“なっせん”と読 みます。会 話 では“なせん”と読 み “手 捺 染 ”を
“てなせん”と読 んでいますが正 しくは“てなっせん”となります。そんな細 かいこと言 わないでよ といった感
じになりますが “てなせん”と読 ませるときは“手 な染 ”と書 くことになります。通 常 の文 章 では“手 捺 染 ”で
すが JIS の規 格 書 の中 には“手 な染 ”と出 てきます。あまり役 に立 たない雑 学 ですが正 しい情 報 も知 って
おきましょう。
顔 料 捺 染 プリント
濃 色 の生 地 には染 料 は使 いにくいので顔 料 を使 用 します。染 料 は生 地 の中 に浸 透 していきますが
顔 料 は浸 透 せずに生 地 の上 にのっている状 態 になります。したがって生 地 の色 より淡 い色 でもプリン
トができるのです。ただバインダー(接 着 剤 )を使 っていますので乾 燥 するとプリント部 分 は硬 くなってし
まいます。白 生 地 に黒 色 のプリントを刷 るときは染 料 でも顔 料 でも使 えますが 黒 生 地 にプリントする
ときは顔 料 しか使 いません。染 料 プリントか顔 料 プリントかを見 分 けるのは生 地 の裏 を見 たときに色 が
透 っているのが染 料 で透 っていないのが顔 料 とするのが基 本 になりますが 最 近 は加 工 技 術 も向 上
していて簡 単 には見 分 けられないものも出 回 るようになってい ます。
ラバープリント
顔 料 を使 いますがゴム系 の樹 脂 に顔 料 を混 ぜてつかいます。ゴム系 なので伸 度 はかなり出 すこともで
きます。普 通 の顔 料 プリントだとニットのような伸 びる生 地 にプリントすると生 地 が伸 びたときにプリント
がついていかずヒビが入 るように割 れてしまいます。
とくにスパンデックス使 いの生 地 だと伸 びについてこれるプリントが要 求 されますがそれに対 応 ができる
プリントとなります。ゴム系 の樹 脂 を使 いますので触 ったときの感 触 は少 し粘 着 性 を感 じてしまいます。
奥 深 き プリ ン ト 技 術 の世 界
プリントの手 法 は数 多 くありますので1回 の原 稿 でおわるとも思 ってはいませんが3つの紹 介 だけで原 稿 が
これほど長 くなるとは思 ってもいませんでした。次 回 はサンプル画 像 も入 れるようにして説 明 したいと思 いま
すが今 回 はここまでと致 します。
原稿担当
竹中
直 (チョク)
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