産業用ロボットSIメーカーが 設計と検証業務の一気通貫を

トライエンジニアリング株式会社
産業用ロボットSIメーカーが
設計と検証業務の一気通貫を実現
業務効率と精度の一層の向上へとつなげる
導入の狙い
3次元CADとシミュレーションソフト
の連携を強化したい
多様なロボットソリューションを提供
する環境を整備したい
導入システム
3次元CAD『CATIA V5』
ロボットシミュレーションソフト
『DELMIA V5 fast CURVE』
ロボットシミュレーションソフト
『IGRIP』
導入効果
3次元設計とシミュレーションが一気
通貫で行えるようになった
操作性の向上でシミュレーションに要
する時間が短縮化された
オフラインティーチングの品質が向
上した
ロボットソリューションのシステムイ
ンテグレーション機能が強化された
—USER
P R O F I L E ———————————————————
トライエンジニアリング株式会社
●業種:機械製造業
●事業内容
:ロボットヘミングシステム(特許)、
ロボットヘミングシステムは世界各国の自動車生産現場で活躍している
愛知県名古屋市に本社があるトライエンジニアリング株式会社は、ロボットヘミン
グシステム(RHS)のパイオニア企業だ。業界に先駆けて10年ほど前から3次元
設計に取り組み、オフラインティーチングを実践してきた同社は、業務の一層の効
率化を目的にロボットシミュレーションソフトをリプレース。これにより設計とシミュ
レーションがシームレスで行われるようになり、設計検証の効率と精度が大幅にアッ
プした。同社はこうした設計環境と独自の技術力を生かし、新市場の開拓を含め業
容拡大を推進しようとしている。
ロボットポリッシングシステム(特許)、自動車
生産設備・治具、各種専用機の製造・販売
●従業員数:33名
(2014年12月現在)
高度な3次元CAD設計を推進するトライエンジニア
リング株式会社
2014年12月取材
鋼板を成形する装置で、従来のプレス
先進技術を駆使して
画期的な産業ロボットを製造
ストだ。1992年にトヨタ自動車株式
機械設計を主力業務として1974
会社に採用されて以来、これまで200
年に創業したトライエンジニアリング
台以上を世界12カ国の自動車メー
株式会社は、1980年代にロボット
カーに納入した同社は、RHSのパイオ
ヘミングシステム(RHS)の開発をス
ニア企業として広く知られている。
機と比較して非常にコンパクトで低コ
タートさせ、1991年に世界初の製品
「当初は月産数千台クラスの小規模
化に成功した。RHSとはロボットアー
な生産ラインで採用されていたので
ム先端の小さなローラーで自動車の
すが、最近は複数台のRHSを活用す
1
トライエンジニアリング株式会社
ることで大量生産にも対応するように
稼働できるよう最終調整される。
なり、市場自体は拡大しています。た
「中国など海外の自動車生産拠点に
だし、R H Sの基本特許が切れたこと
RHSを納入する場合も、技術者が現
で、同業他社が参入したり、大手自動
地に長期間赴いてしっかり組み付けま
車メーカーが装置の自社開発をしたり
す。そこで製造される製品の質まで担
するようになりました。また、将来的に
保する設備づくりが、私どものモットー
は軽量な樹脂製やCFRP(炭素繊維強
です」
と岡氏は語り、早くから取り組ん
化プラスチック)製の自動車開発が普
できた3次元設計のノウハウが、同社
及して、製造設備そのもののあり方が
の産業ロボットに対するユーザーから
変化する可能性もあり、当社としては
の高い評価につながっているのだと胸
ある種の危機感を抱いています」と説
を張る。
明するのは、取締役 統括本部 部長の
岡 丈晴氏だ。
RHSが主力製品であることには変わ
設計からシミュレーションまで
シームレスに行える環境を整備
りないが、同社は独自のロボット技術
同社は「3次元C A Dデータで設備
を応用し、自動車以外の産業分野にも
図 面を納 めてほしい 」という自動 車
今 後 も 自 動 車 製 造 ライン向 け の
マーケットを広げる戦略を立てている
メーカー の 要 望に応えるかたちで、
という。
業界の先陣を切って3次元設計化に
「家電メーカーや建設機械など、ロ
着手した。2次元C A Dなどの利用で
ボット加工技術を転用できる分野は少
取 引 の あった大 塚 商 会を通じ、3 次
なくありません。ほかにも現在、
ドイツ
元CAD『CATIA V5』を導入したの
のメーカーと協業してレーザー切断ロ
は2004年。当時の自動車生産設備
ボットの開発を進めていますが、その
業界では、製品データのやり取りやシ
デモ機に対する反響は大きく、裾野の
ミュレーションだけを目的に導入する
広いレーザー加工機市場は特に有望
ケースが見られたが、同社は全設計業
なのではないかと思います」
務で3次元C A Dを活用するという方
同社の強みは、3次元CADデータ
針を立て、試行錯誤を繰り返しながら
の活用によって部品設計を標準化す
設計標準化などの取り組みを進めて
ると共に、産業用ロボットシミュレー
きた。
ションシステムを活用したオフライン
「この10年の間にロボットで加工さ
ティーチングにも、積極的に取り組ん
れる製品の形状は次第に複雑化し、生
でいることだ。設計技術グループと製
産工程上の待ち時間を短縮するため
造技術グループが、3次元C A Dデー
に、複数のロボットが設置されるケー
タをもとにロボットの複雑な動きをコ
スも増えています。それぞれのロボッ
ンピュータ上でシミュレーションし、
トの位置関係を適切に把握しながら設
設置する位置や干渉具合を徹底的に
計することを通じて、私たちの設計技
チェックして、そのプログラムを実機に
術も向上し、以前は見つけられなかっ
フィードバック。組付後の試験も丹念
た細かな干渉も可視化できるようにな
に行うことで、ロボットが高い精度で
りました」と話すのは、統括本部 設計
2
取締役 統括本部 部長
岡 丈晴氏
「今後ロボットシステムインテグレーターを目
指そうとしている当社にとって、3次元CAD
とロボットシミュレーションソフトを使いこなす
ことは、これまでにも増して重要なテーマと
なっていくはずです」
統括本部 設計技術グループ グループ長
瀬見井 大志氏
「3次元CADはプラットホームが変わると操
作法が変わるので、バージョンアップ時など
にオペレーターがスムーズに移行できるよ
う、万全のサポートをしていただけることを
期待します」
3次元CADを駆使して精度の高い産業用ロボットシステ
ムを設計。3次元CADとロボットシミュレーションソフトの
連携がオフラインティーチングの質を高める
技術グループ グループ長の瀬見井 大
証業務を一気通貫で行えるようにする
志氏。
と共に、ロボットシミュレーションに要
オフラインティーチングのノウハウ
する時間も大幅に短縮した。初心者が
を確立したことで、ロボット設置時の
『I G R I P』で4日ほどかけていた作業
不具合の事前検証がスムーズになり、
が現在は2日ほどになり、熟練すれば
今では現場での誤差を限りなくゼロに
1日を切ることも可能だという。また、
近づけられるようになったという。
ソフト上でロボットを自在に動かしな
これまで『CATIA V5』のライセン
がら設備や治具の形状も変えられる
スを7本に増やし、強度解析ソフトの
ため、自由度の高いフレキシブルな設
追 加などを行ってきた同 社は、この
計ができるようになった。
ほどロボットシミュレーションソフトを
「これまではC A Dデータの管理も
『IGRIP』から『DELMIA V5 Fast
煩雑でしたが、3次元CADとロボット
CURVE』に更新した。その大きな目
シミュレーションソフト間のデータ変
的は、3次元設計業務のさらなる効率
換が不要になり、ルールさえ取り決め
化である。
ればネットワーク上でトラブルを起こ
「 基 本 的 な 仕 様 は 従 来 利 用して
すことなく保管できるようになりまし
い た『 I G R I P 』とほぼ 同 様 で すが 、
た」
と瀬見井氏。
『DELMIA V5 Fast CURVE』は
こ の ように『 C A T I A V 5 』と
『CATIA V5』のプラグインソフトで
『DELMIA V5 Fast CURVE』の
あるため、設計者自身がロボットの動
連携は同社に大きな収穫をもたらした
きや干渉のチェックを容易に行えるよ
が、技術スタッフはそれで満足するこ
うになりました。これまで3次元CAD
となく、設計の品質をいっそう高める
設計とロボットシミュレーションは別の
ソフトウェアの機能性アップを望んで
スタッフによって行われていましたが、
いる。その一つが、3次元CADによる
例えばロボットシミュレーションソフト
モデリング時の操作性向上だ。
のオペレーターが『十分な隙間がある
「立体物の造形をマウスで行うのは
から干渉しない 』と判断しても、設計
難しく、あたかも手で粘土を造形する
者は『もう少し余裕を取りたい』
と思う
ような
“感覚的なモデリング”
ができれ
ことがあります。設計者の負担は増え
ば、と思うことがあります。最近は短納
るものの、設計からシミュレーションま
期のニーズが増えているので、設計工
でシームレスに行える環境整備は、当
数の削減にもつながる革新的なデバ
然オフラインティーチングの品質を高
イスが開発されることを期待していま
めることにつながると思います」
と、瀬
す」
(瀬見井氏)
見井氏は語る。
「大塚商会さんには、こうした現場
の声を吸い上げ、メーカーとの仲立ち
となって製品の改善にフィードバック
設計の自由度が高まり
作業時間も大幅に短縮
ソフトメーカーに働きかけ、
『DELMIA
『DELMIA V5 Fast CURVE』は、
V5 Fast CURVE』のユーザー企業
これまで切り離されていた設計と検
のオペレーター同士がさまざまな情
3
されることを期待します」
と言う岡氏は
トライエンジニアリング株式会社
報を交換できる場を設けることを企画
内でアイデアを出し合った結果、治具
中だ。
の開発につながりました」
(岡氏)
「操作に関しては大塚商会さんやソ
同社には、
「道具は徹底的に使いこ
フトメーカーからいろいろとアドバイ
なす」という社風がある。それを使い
スを受けていますが、セオリーでは2
こなした先に何があるかをイメージし
アクションを要するところが、あるコマ
ながら試行錯誤することが、RHSに象
ンドを使えば1アクションで済むという
徴される
“オンリーワンの技術”
の開発
ような、現場のオペレーターが独自に
につながっている。
発見したノウハウも少なくないはずで
「R H Sを基軸に事業を展開してき
す」と、設計業務のあくなき生産性向
た当社は今、そのさらなる進化を追求
上に意欲を示す。
する一方で、ロボット技術を応用した
トータルソリューションを提供できる
企業になることを目指しています。ロ
ロボット技術を応用した
幅広いソリューションを提供する
ボットメーカーはこれまで、ロボット単
3次元設計の技術とそのデータを
が、ロボットと周辺アプリケーションを
応用した新規事業展開を模索する同
融合させることで、ソリューションの可
体の性能アップを命題としてきました
社は、樹脂積層タイプの3次元プリン
能性は無限に広がるでしょう。これか
ターの活用も進めている。その一例
らは、ほかのロボットメーカーなどと
が、自動車の製造工程で位置決めをす
も協業し、ロボットのシステムインテグ
るための治具の製造だ。
レーターとして活躍の場を広げるつも
自動車の組付工程に使われる治具
りです」と岡氏は同社の将来像を展望
は、これまで金属製が一般的だった。
し、そのためには大塚商会による多面
しかし、治具素材が樹脂なら作業者が
的なサポートがますます重要性を増す
最適な持ち方をできる形状に自由に
だろうと言う。
造形でき、しかも軽量化が図れる。そ
「3次元CADだけではなく、ハード
の特質を生かして開発された、自動車
ウェアやネットワーク、サーバー、デー
のエンブレムを正確な位置に貼るた
タバックアップに至るまで、大塚商会
めの治具は非常に好評で、多くのメー
さんには当社のI T関連を全般的にサ
カーに採用されているという。
ポートしていただいてきました。複雑
「数年前に航空機部品の実物大モ
化した近年のIT環境は、システム管理
デルを製作する案件を受注した際、当
者を置かなければリスクを負うように
時まだ目新しかった3次元プリンター
なってきていますが、私どものような
を試験的に導入しました。3次元CAD
規模の企業には、専任のスタッフを置
を採り入れたときと同じで、新しいも
く余裕がありません。そうした面のケ
のは積極的に採り入れてそのメリット
アも含めたトータルサポートをお任せ
とデメリットを検証しようという姿勢が
できると、私たちも安心して技術開発
当社にはあります。購入した3次元プ
に邁進することができます」
リンターがたまたま樹脂積層方式だっ
岡 氏 は 大 塚 商 会 へ の 期 待 を そう
たので、ほかに活用の道はないかと社
語って締めくくった。
3次元設計の技術とそのデータを応用した新規事業展開
するため、樹脂積層タイプの3次元プリンターも活用。自
動車の製造工程で位置決めをするための治具の製造を
行っている
トライエンジニアリング株式会社のホームページ
http://www.trieg.co.jp/
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2015年2月に作成されました。
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