意見書 情報公開・個人情報保護審査会 御中 福島事故に対する対策が早期に実施され、国民の不安を払拭されることを望むものである。 本諮問事件は下記理由により取り下げる。 1. 諮問事件 諮問番号:平成 27 年(行情)諮問第 298 号 事件名:廃炉・汚染水対策事業費補助金に係る補助事業者の提案書の 一部開示決定に関する件 2. 取り下げ理由 本事業の中間報告が資源エネルギー庁より平成 27 年 1 月 29 日にホームページ上で公開さ れた。代替工法に関する概念検討事業の 4 事業について精読した。 気中あるいは水中で溶融した燃料デブリを回収する工法は研究レベルで検討されているも のの建屋補修から燃料デブリ回収までに至る全体を捉えた工法がない。それらの検討状況を 列記すると、 まず、燃料デブリについての臨界対策、冷却対策、遮蔽対策、回収装置の対 放射性がいずれも検討不十分である。 第二に水素爆発や炉心熔融により建屋や格納容器、原子炉基礎であるペデスタルには無数 の亀裂や浸食があり、建屋そのものの耐荷重が損なわれており、格納容器は機密性が確保さ れておらず、ペデスタルは鉄筋が切断しており、これに対する建屋補修、耐震対策も未検討 である。 第三に燃料デブリの回収を進めると燃料デブリが食い込んでいるペデスタルの基 礎を削ることになり、原子炉圧力容器か見れば、自らの足元を切ることになりそれに対する 転倒対策も検討されていない。 第4に燃料デブリが格納容器外に広がっている場合に対し ては全く想定外のところである。しかし高濃度の汚染水を大量に流出している現状から格納 容器外に燃料デブリが存在することは十分にありうることである。 いずれも心許無い検討状況である。 いずれの事業も表-1 の通り、現実に直面した問題を過小に見たりあるいは無視している。 取り組むべき問題をあえて避けている以上、現実的な工法でないと判断され、あえて情報公 開を求めたところで、出発点が間違っている以上、成果が期待できない。したがって本諮問 事件の情報公開を取りやめる。 3. 参考 当方でも現実にある課題を真正面にすえて燃料デブリ回収工法の検討を添付の通り行った。 いずれの課題もクリアした工法を策定したので、福島事故早期解決のためにご参照願う。 今後もホームページや Facebook などで現実的な福島事故対策の検討を行っていくのでそ ちらもご参考ください。 平成 27 年 6 月 16 日 森重晴雄 表-1 燃料デブリ回収工法の各組織の取り組み状況 平成 27 年 6 月 16 日 バックエンド推進セ 事業者 IHI AREVA 清水建設 ンター 原子力損害賠 原子力損害賠 原子力損害賠 福島事故対策検討会 償・廃炉支援機構 償・廃炉支援機構 償・廃炉支援機構 特許出願済み 上 上 側面 上、回収塔を原子炉建屋横に設 クリーン環 ATOX 境推進、木村化工機 工 アクセス 上また側面 上 上または側面 上 法 置 回収装置 マニュプレーター ワイヤーソ- マニュプレーター マニュプレーター マニュプレーター マニュプレーター マニュプレーター ボーリング 水位 なし なし なし なし 原子炉上部まで 燃料デブリまで なし 氷 燃 臨界対策 なし なし なし なし なし なし なし ホウ酸、カドミウム、形状指定 料 冷却対策 なし なし なし なし なし なし なし 液体窒素 デ 遮蔽対策 なし なし なし なし なし なし なし 氷と銅 ブ 機器の耐放射性 なし あり なし なし なし なし なし あり、接触部、金属 リ ロボット使用せず 飛散対策 格納容器のみ 格納容器のみ 格納容器のみ 格納容器のみ 格納容器のみ 格納容器のみ 格納容器のみ 氷と銅で燃料デブリを覆う 廃棄物の減量対策 なし なし なし なし なし なし なし 補強材の大半は氷、解凍後、汚 染物質分離、蒸留 保管容器の概念 なし なし なし なし なし なし なし あり 建 原子炉建屋 なし なし なし なし なし なし なし アイスプラグ 屋 原子炉格納容器 なし なし なし なし なし なし なし アイスプラグ 補 ペデスタル なし なし なし なし なし なし なし コンクリートで補強 根きり対策 なし なし なし なし なし なし なし コンクリートで補強 格納容疑外の燃料デブリ 対応不可 対応不可 対応不可 対応不可 対応不可 対応不可 対応不可 可能 作業員の被爆対策 なし なし なし なし なし なし なし あり。氷と銅で遮蔽 実績 なし なし なし なし なし なし ボーリングは TMI で実績あり。 強
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