南知多町立篠島小学校PTA

家庭教育力の強化を図る
学校と保護者・地域とのつながりを深めるPTA活動
南知多町立篠島小学校PTA
1
はじめに
本校は、知多半島南端から高速船で約10分の海上にある篠島に位置し、児童数77名と
知多管内で最も児童数の少ない1級へき
地校である。漁業や観光業に従事する保
護者が大半で、昔ながらの三世代で暮ら
す家庭が多い。
ここ数年来続いている人口流出傾向は
篠島の喫緊の課題だが、その意味からも
島の将来を担う子どもたちへの期待は大
きく、「子は島の宝」を合い言葉に、地域
ぐるみで子どもたちの成長を温かく見守
り支える強い絆が残っている地区である。
【自然豊かな地に建つ篠島小学校】
2 研究への取組
(1)研究のねらい
本校区は、地域の結び付きが強く三世代で暮らす家庭も多いためか、良くも悪くも
「子どもの教育は学校に任せた。」とする昔ながらの気風が色濃く残っている。しかし
ながら、子どもたちの健全育成を目指す上で、家庭・地域・学校の連携は欠かすこと
ができない。
そこで、学校を基点とする各種活動をきっかけとして、保護者や地域との「つなが
り」を深めることで家庭での教育力を高めることができると考え、子どもたちを軸と
して保護者や地域の多くの方が積極的に関わり合えるPTA活動の在り方を目指して
研究に取り組んだ。
(2)PTA組織
総 会
理事会
健康・福祉部
研修部
広報・図書部
生活指導部
3 実践活動の概要
(1)全会員とのつながりを深める取組
本校の保護者世帯数は53世帯しかないが、会員相互が顔見知りの関係にある小規模
のメリットを生かすとともに、学校とのつながりも深めることを目指して全会員が一
人一役的にPTA活動に参加・協力するいくつかの機会を設けている。
① PTA四部の活動
全会員は、年度当初に行う所属希望調査を基にPTA四部のいずれかに配属さ
れ、年間計画に従い各部の活動を展開している。その主な活動を以下に紹介する。
ア、健康・福祉部
・校地内の施設のペンキ塗りや苗の植栽等の環境整備作業を行う。
・年2回の学校保健委員会の準備・運営に携わる。
イ、研修部
・講演会等の研修に参加する等、会員の研修にあたる。
・家庭教育教室(救急法講習会・親子ケーキ作り等)の準備・運営に携わる。
・2月のなわとび大会の準備・運営に携わる。
ウ、広報・図書部
・PTA新聞「みちしお」を学期に1回、年3回発行する。
・11月の図書館まつりの企画に参加し、低学年を対象とした読み聞かせを行う。
・図書の整理や修理など図書館の整備にあたる。
エ、生活指導部
・5月の交通安全教室での交通指導にあたる。
・救急法講習会へ参加する。
・夏休みに実施するプール開放期間中の水泳当番にあたる。
【健康・福祉部:環境整備作業】
② 資源回収活動(リサイクル活動)
篠島漁業協同組合のご厚意により大型
倉庫を借り受け、島民の協力により持ち
込まれた段ボールや新聞紙等の資源を一
時的に保管している。
これらの資源を搬出する「リサイクル
活動」は、月2回程のペースで回収業者
を呼び、全会員の当番制で年間を通して
行っている。
この活動で得られた収益金は、教育環
境の充実に有効に活用されている。
【生活指導部:交通安全教室の支援】
【大型倉庫に保管された資源の搬出】
③
親子除草作業
夏季休業中に、隣接する篠島中学校
と連携して小中PTA合同「親子除草
作業」を行っている。小学校の通学団
を母体とする6班に分かれ、校地内な
らびに通学路の除草作業を、親子で仲
良く取り組む姿がよく見られる。
漁業従事者の定休日である火曜日に
本作業を設定してることもあるが、ほ
ぼ全世帯の保護者が参加・協力してい
ただいている。
【通学路に生い茂った雑草の刈り取り】
④ 登校時の交通当番
子どもたちの安全な登校を目指し、全会員の当番制による交通指導を行っている。
通学路にある3箇所の横断歩道を指導場所と定め、各会員が学期に1回ずつ年3回
の交通指導にあたっている。
(2)父親会員とのつながりを深める取組
本校の父親会員には、「PTA活動は、母親に任せておけばよい。」との考えをも
つ方が多い。そこで、父親会員に少しでも学校とのつながりを強め、本校PTA活動
への理解を深めてもらうおうと、学校行事に絡めたいくつかの機会を設けている。
① 親子ふれあい工作教室
毎年2月に、親子で簡単な工作に取り組む「親子ふれあい工作教室」を開催して
いる。実施日を休漁日である火曜日に設定したり、父親が活躍できる工作内容を取
り入れたりする等の工夫を重ねてきたことで、父親が参加するものとの認識がすっ
かり定着し、ほぼ全世帯の父親が参加している活動となっている。
② 親子ソフトボール大会
本校では、4年生以上が全員参加する部活動(男子はソフトボール、女子はバス
ケットボール)を行っているが、2月には6年生の部活動引退を祝い、各部とも親
と子の対抗試合を実施している。
特に、ソフトボール部ではOBや腕自慢の父親も多く、高い出席率を誇っており、
父親会員が学校へ足を運ぶ貴重な機会となっている。
【親子ふれあい工作教室】
【親子ソフトボール大会】
(3)地域とのつながりを深める取組
地域には、「子どもたちのためならば」と、快く学校の教育活動に協力してくれる
気風がある。また、島上げての祭礼行事もいくつかあり、地域の絆はとても強い。そ
んな島の人的財産を生かしつつ、地域とのつながりをより深められるよう努めている。
① 篠島ウミガメ隊の活動
3年前の夏にアカウミガメが島の砂浜
で産卵したことを発端に、美しい砂浜を
維持しようと全校児童からなる篠島ウミ
ガメ隊が組織された。
篠島ウミガメ隊の清掃活動は、ウミガ
メの産卵期である夏までは毎週水曜日の
登校時に継続して行っている。
この活動は、保護者を含む地域の大人
たちの心を動かし、年を重ねるごとに活
動の輪は地域へ着実に広がっている。
【地域に広がる篠島ウミガメ隊の活動】
② ぎおん祭への参加
7月に行われる祭礼「ぎおん祭」では、
午前中に縦割り班単位で作成した子ども
神輿を担ぎ、地域の家々を練り歩く。そ
の際には、教師の他にPTA理事も帯同
し、子どもたちの活動を支えている。
訪ねた家々から労いの声をかけられ、
子どもたちは島の一員としての自覚を高
めていくのである。
午後からは、砂浜で全校児童が参加する
【地域を練り歩く子ども神輿】
相撲大会が行われる。この相撲大会の土俵づくりでも、多くの保護者や地域の方が
快く協力してくれている。熱闘を繰り広げる子どもたちを温かく見守る島の大人た
ちの輪に、地域の一体感を見て取ることができる。
③ 餅つき大会
2学期終業式後に、老人会の全面的な協力を得て「餅つき大会」を行っている。
会当日には多くの老人会会員の方々が来校され、子どもたちへの餅つき指導から、
つきたての餅のふるまいまで、精力的に子どもたちと関わっていただいている。
つきたての餅を頬張る子どもたち笑顔から、地域との結び付きが広がっていく。
4
おわりに
「島の宝」である子どもたちを軸に、学校・家庭・地域が連携しながら相互のつなが
りを意識して各種実践を進めてきたが、それら一つ一つの積み上げが、家庭での教育力
の向上に結び付いたとの確かな手応えを得ることができた。
今後も、地域の特性を十分に生かしつつ、各家庭での教育力の向上に結び付くような
PTA活動の充実を目指して尽力していきたい。