イオン堺鉄砲町ショッピングセンター(仮称)下水処理水の高度複合利用実証事業 [H26年度成果概要] 株式会社関電エネルギーソリューション 本事業では、地域に存する未利用エネルギーである下水処理水を再生水として熱利用する。大型商業施設内のヒートポンプ熱源として、給 湯・空調用に多段利用(カスケード利用)する他、外調機での外気予熱に活用することにより、下水再生水の活用によるCO2排出量やエネル ギー消費量の削減効果等の検証を行うことを目的としている。また、今後の開発案件のモデル事例となることを目指したい。 設備の概要 補助事業者 所有設備範囲 下水再生水の高度複合利用 施設内に引き込んだ下水再生水の未利用熱を給湯熱源として利用した 後、空調熱源としても利用する。 【1】冷房負荷のある期間 (夜間)下水再生水を給湯熱源機の熱源水として利用した後、 後段で温度低下した下水再生水を空調熱源機の冷却水 として多段利用する。 【2】冷房負荷のない期間(冬季) (昼間)外気温度低下時、下水再生水を外気予熱に利用する。 給湯負荷が大きく、夜間蓄熱した貯湯量では不足する 場合、下水再生水を給湯熱源機の熱源水として利用する。 (夜間)下水再生水を給湯熱源機の熱源水として利用する。 工夫点 蓄熱システムの採用 下水再生水の高度複合利用システム 再生可能エネルギーの有効活用として温熱源の熱源水と冷熱源の冷却水を下水再生水配管で直列に接続し同時稼動させることで、同時稼動しない場合 に比べ熱源システムの効率向上が期待できる。 ところが、一般的に商業施設の冷熱負荷は夏季/昼間に大きく、冬季はほとんど冷房負荷がない。 一方、給湯(温水)負荷は冬季に大きく、時間帯は給湯利用時間帯に応じて変動することになる。 そのため、冷房熱源と給湯熱源が同時に稼動する時間は給湯利用の成行きに委ねることになり、同時稼動によるシステム効率向上は見込みにくい。 対策として、給湯熱源が連続的に稼動させるため蓄熱方式を採用した。これにより空調熱源についても夜間に稼動させる必要性が生じ空調熱源についても 蓄熱方式を採用することで、できるだけ空調・給湯熱源の同時稼動する時間が長くなるよう工夫した。 1 課 題 事業名:○○ ○○○○○ ○○○○○ ○○○○○ ○○○○○ ○○ 取り組みの効果 システム効率向上のための課題 カスケード利用による効果と蓄熱方式採用による効果 本事業では、下水再生水熱のカスケード利用効果による冷熱源の効率 向上について実証する予定である。 また、冷熱源の効率向上の条件である空調・給湯熱源の同時稼動率を 上げるため熱源水、冷熱源ともに蓄熱方式を採用しているが、実運用時 の同時稼動率について実証検証の中で分析、評価、改善を行う予定であ る。 (目標値) ●給湯ヒートポンプとブラインチラーの同時稼働率 約65% ●カスケード利用による冷熱源のシステムCOP 約2.5%向上 ●給湯熱源、空調熱源の同時稼動時間 給湯ヒートポンプ夜間運転時間をできるだけ長くすることで後段の空調熱 源の冷却効果を高めることが期待できるため蓄熱開始時点で残湯量をで きるだけ少なくし、空調熱源と同時稼動する時間ができるだけ長くなるよう 工夫する。(ただし、給湯使用量に依存する) ●(下水再生水-水)熱交換器の効率低下防止 下水再生水は、堺市三宝下水処理場で高度処理されているため、標準 的な下水再生水より水質はよいと考えられる。ただし、熱交換器の効率へ の影響については十分に想定できるものではないため、継続的にモニター 監視し熱交換器のメンテナンスを実施する必要がある。 本年度の成果 本年度実施した実証内容 給湯ヒートポンプとブラインチラーの同時稼働率は、ブラインチラーの夜間 運転時間に対して、年間平均で約65%と想定している。 実証段階において「同時稼動率実績」と想定値との差異について、その要 因について分析、評価を行う予定。 本年度は、熱源設備導入工事の内、一部工事を実施した。 (ドレン排水管工事) そのため実証段階に入っていないが、導入効果は以下のとおり。 ・省エネ効果:7.2%(原油換算9.2キロリットル/年) ・省CO2効果:7.2%(24トン/年) ・再生可能エネルギーへの依存率:9.2% ・経済性:コスト回収6年 今後の展開等 COP→ 冷却水温度→ 設備導入と実証検証 冷却水温度(給湯同時稼動なし) 冷却水温度(給湯同時稼動あり) COP(給湯同時稼動なし) COP(給湯同時稼動あり) 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 冷却水温度とブラインチラーCOPの関係 11月 12月 平成26年10月 イオンモール株式会社 建築着工 平成26年12月 堺市下水再生水供給施設工事着手 平成28年 3月 イオンモール株式会社 (仮称)イオンモール堺鉄砲町開業(予定) 平成28年 3月~ 実証検証 【実証検証(予定)】 下水再生水熱の多段利用(カスケード利用)による効果として、冷熱源 の効率向上を実証する。また、熱源水と冷熱源ともに蓄熱方式を活用す ることで、空調・給湯熱源の同時稼動時間の運用実績についても評価す 2 る予定。
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