熊野本宮観光協会が「外国人おもてなし委員会」設置 官民協働で外国人受入の課題を共有 英語版の時刻表、5カ国語(英・中・韓・スペイン・ポルトガル)に対応の救急体制、宿泊施設 で無料 Wi-Fi 環境整備、避難場所の英語表記 世界遺産「熊野古道」で知られる和歌山県田辺市。14 年には世界遺産登録 10 年を迎え、同市 本宮町では 10 月末時点で外国人宿泊客数が 5640 人と前年から倍増し、12 年比では約3倍に増 えている。国人旅行客急増の背景には、世界遺産効果はもちろん、外国の有名な旅行ガイドブッ ク「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で 11 年から取りあげられるようになったことや口 コミでの認知度が上がったことがあるという。 熊野本宮観光協会は 07 年から看板の英語併記などで外国人の受入体制の整備を進めてきたが、 宿泊施設などにおける外国人旅行客の受入に関する具体的な課題などを協議検討する場として、 14 年5月に田辺市熊野ツーリズムビューロー(熊野 TB)とともに「外国人おもてなし委員会」 を設置した。同委員会は、同観光協会、熊野 TB を中心としつつ、行政から市観光振興課、県観 光交流課、市消防本部が参加している。同観光協会と熊野 TB で課題を共有するとともに、行政 が把握しきれない具体的な事例をもとに行政側に問題提起をする課題などを整理し、解決に向け て働きかける活動も行っており、同委員会の参加者からは「他の宿泊施設の先進事例が参考とな る」 「課題の共有や情報交換などで連帯感が生まれる」と好評だ。 田辺市熊野ツーリズムビューローは、05 年の田辺市の合併に伴い、翌 06 年4月、田辺市内の観 光協会(田辺・龍神・大塔・中辺路町・熊野本宮)を構成団体として設立した、官民協働の観光 プロモーション団体。 (組織図は「田辺市熊野ツーリズムビューロー」より提供) 同委員会では、宿泊施設にアンケートを実施して外国人の受入に関する現状や課題を共有し、 議題として取り込む。未解決の課題もあるが、行政による対応も含めてこれまでに、バス停や各 宿泊施設などに英語版の時刻表を配置し、英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語に 対応する 24 時間の救急体制も整え、湯の峰温泉など熊野本宮にある大半の宿泊施設で無料の Wi-Fi 環境を整備したほか、宿泊施設の避難場所の英語表記も作成。また、外国人には説明が分 かりにくいとされた入湯税や湯の花に関する説明をした看板を試験運用中だ。 「施設や時刻表の英語併記や英語対応は期待していなかった」と実際の外国人対応に外国人旅 行客は驚き喜んでくれるという。 熊野本宮観光協会は「今後も現場の生の声を広く活かせるように取り組む。同時に、観光分野 だけでなく学校・銀行・交通・医療機関などとも連携する必要があり、地域全体でのおもてなし で熊野ファンやリピーターを増やす方策を検討していきたい」と意気込む。 問い合わせ先 実施主体名: 熊野本宮観光協会 T E L : 0735-42-0751
© Copyright 2024 ExpyDoc