を 分かりやすく説明しよう

分配金については﹁累計受取分配
金 額﹂﹁累 計 買 付 金 額﹂に は 含 ま
れていないため、説明する際には
注意が必要である。
また、トータルリターンは投資
信託ごとに記載されているので、
お客様が複数の投資信託を保有し
ている場合、保有する投資信託全
体の損益を知りたいときは、それ
ぞれの金額を合計する必要がある
ことにも触れておきたい。
トータルリターンの
説明ポイント
﹁買付金額と評価金額との差額が
たがって、この四つの金額は、お
有期間中に受け取った分配金と売
それは見た目の損益であって、保
いるお客様は少なくない。しかし
すれば、それは﹁評価金額﹂に反
合、再投資により保有口数が増加
なお、分配金再投資コースの場
かもしれないし、場合によっては
をしっかりと伝えたい。
うえで欠かせない概念であること
の投資状況をより正確に把握する
をトータルリターンといい、現在
るお客様にとっても、現時点の正
と大幅に値下がりしていても、保
た投資信託の評価額が5000円
例えば、8000円で買い付け
−
に疑問を抱くお客様も少なくない
確な損益を把握できるトータルリ
00円のプラスとなる︵5000
損益︵トータルリターン︶は10
額が4000円であれば、本当の
有期間中に受け取った分配金累計
ターンは非常に便利であることを
運用アドバイスへの
アピールしたいところだ。
が、それもトータルリターンの計
差 大
ど
してもらえるはずである。
分配金額等が大
見 目 損益
−
このように、見た目の損益であ
円+4000円 8000円︶。
トータルリターンの考え方を特
る3000円のマイナスに惑わさ
活用方法
に活かせる主なケースとしては、
なお、前述のシミュレーション
で は、︵分 か り や す く 説 明 す る た
次の二つが考えられる。
基準価額の大幅なマイナスばか
きな安心材料となるだろう。
プラスならば、お客様にとって大
大切である。トータルリターンが
リターンを把握してもらうことが
れず、本当の損益であるトータル
めに︶手数料や税金、保有口数は
お客様がその含み損に悩んでいる
価額が大幅に値下がりしており、
こうしたケースの多くは、基準
一憂しているケース
お客様が基準価額の動きに一喜
考慮していないが、実際のトータ
ルリターン通知書では、原則とし
て手数料や税金、保有口数が考慮
された金額が記載されていること
に注意してほしい。
分配金額が大きい投資信託の場
までに受け取った分配金もしっか
アドバイスのポイントは、それ
スも考えられる。
ことを根拠に、継続保有するケー
ーンで見れば運用はプラスである
お客様であっても、トータルリタ
りを憂慮して損切りを考えていた
り考慮してもらうこと。分配金利
場合が考えられる。
買付金額︶
回りが高い投資信託であれば、保
合、累計受取分配金額も大きくな
は、大きく異なる可能性が高い。
るため、トータルリターンと見た
近年の傾向として、分配金をたく
有期間中に受け取った分配金の累
目の損益︵評価金額
さん出すタイプの投資信託が主流
計は相 当 な 金 額 に な る は ず で あ
−
−
場合
−
も っ と も、︵ト ー タ ル リ タ ー ン
基準価額 下げ
元本払戻金
となっていることを鑑みれば、ト
る。それを考慮すれば、お客様が
思っているよりも含み損は小さい
ータルリターンを把握してもらう
意義は非常に大きい。
20
2015・ 1月1日号
トータルリターンの
概要と計算方法
﹁トータルリターン﹂とは、投資
信託の保有期間中に支払われた分
配 金 や 売 却 額 を 含 め た﹁累 計 損
益﹂のことである。この考え方に
よって、現時点の評価金額︵基準
価額︶だけでは見えてこない、投
資信託の運用状況をより正確に把
握することができる。
﹁トータルリターン通知書﹂に記
載されているトータルリターンの
金額を見れば、現時点の正確な損
益がひと目で分かり、非常に便利
客様への説明において欠かすこと
計算時点の損益である﹂と思って
ては、お客様への説明︵詳細は後
の で き な い 要 素 で あ る︵ 図 表︶。
トータルリターンの計算方法は
映される。よって、再投資された
トータルリターンはプラスになる
そして、この本当の損益のこと
﹁評価金額+累計受取分配金額+
また、同じ種類の投資信託を頻
かもしれない。
てはしっかりと捉えておきたい。
累 計 買 付 金 額﹂。し
繁に買い増したり、一部売却を繰
金額
通知書に記載されているトータ
り返したりと、機動的な売買をす
累計換 金 額
買付金額﹂の金額と異なること
ル リ タ ー ン の 金 額 が、﹁評 価 金 額
四
述︶に際しては﹁トータルリター
意味 理解
計算要素
ンがどのように計算されるのか﹂
である。預かり資産の担当者とし
2
却金額があれば、それらの受取金
買付金額の累計(買付時の基準価額×
買付口数÷計算口数)
トータルリターン通知書を確認す
累計買付金額※3
について、しっかりと理解・納得
保有期間中に受け取った売却金額の累
計(解約価額×換金口数÷計算口数)
額を考慮した金額こそ、本当の損
累計換金額※2
るうえでも重要なポイントとなる
保有期間中に受け取った分配金の累計
(1口当たり分配金×保有口数)
してもらうよう心がけたい。
累計受取分配金額※1
益であることを強調したい。
計算時点の基準価額×計算時点の保有
口数÷計算口数
ため、これらの金額の意味につい
評価金額
算について理解を得られれば納得
−
トータルリターンを分かりやす
く説明するには、単純な数字を使
って、具体的にシミュレーション
するのがよいであろう。
例えば、1年前に8000円で
カ月︶を受
と
き
い
買い付けた投資信託の評価額、す
なわち計算時点の基準価額が70
00円だとしよう。
円×
3
この場合、一見すると損益は1
円の分配
000円のマイナスである。しか
し、保有期間中に毎月
計720円︵
け取っていることになる。また、
途 中 で500円 を 換 金︵一 部 換
金︶していれば、この金額もすで
に受け取っている。トータルリタ
ーンは、すでに受け取ったこれら
の金額も含めて算出する。したが
って、この場合のトータルリター
ンは﹁7000円+720円+5
00円 8000円﹂となり、2
ここまで説明すれば、トータル
20円のプラスとなる。
基本的には税引後の金額
換金手数料(消費税込み)が差し引かれた金額
購入手数料(消費税込み)が加算された金額
※1
※2
※3
トータルリターンの計算要素
図表1
1
そ
の
リターン通知制度について、説明のポイントを解説する。
リターンの計算式である﹁評価金
1級FP技能士
を と
な
る
す
る つ
の
と
の き
い
も ほ
CFP
藤原久敏
累計買付金額﹂について、理
の
ここでは、新たに適用が開始された投資信託のトータル
金が出ていれば、この1年間で累
60
額+累計受取分配金額+累計換金
額
も
12
特 いま投資信託のアフターフォローに
集 どう取り組むか
こんな
ポイントを
押さえて
解・納得してもらえるだろう。
に
よ
て り
い
る
2015・ 1月1日号
21
を
60
た
を
分かりやすく説明しよう
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