文字・表記

文字・表記
日本語の難しさ
・文字の種類が多い
→漢字、平仮名、片仮名、ローマ字、数字
字数が多い、指導項目が多い、など、学習者に
も教師にも負担が大きい
日本語の正書法
・厳密な意味での正書法が存在しないが、標準的な書き方は
決まっている。
→助詞の「を」など。
・縦書き(右から左)と横書き(左から右)が一般的
→昔は横書き(右から左)も用いられた
・分かち書きはしない
→英語や韓国語などは分かち書きをする。
日本語は複数の文字があるため、分かち書きをしなくても
読みやすい。しかし平仮名のみで書かれた幼児向けの本
などは分かち書きをする場合もある。
文字の種類
・表音文字
→音だけを表すもので、意味はもたない。
平仮名やローマ字など。
・表意文字
→音だけでなく、意味も表すもの。
漢字など。
※表語文字
漢字は表語文字であるとも言われる。形、音、意味とい
う、語に必要なものを全て持っているためである。
機能語
単独では意味を持たず、文の中におかれて初
めて働きをもつもの。
日本語の助詞・助動詞など。
実質語
単独でも意味内容をもち、文から切り離しても
意味が通じる。
文字の書き分け
漢字
・実質語
・実質語の語幹
平仮名
・機能語
・実質語の活用語尾
片仮名
・実質語の中で、特に外来語
ローマ字
・実質語の中で、特に省略語など
漢字仮名交じり文
• 日本語の実質語は漢字で、機能語は平仮名
で書かれることが多いためこのように言われ
る。
→まとまりがとらえやすく、語や文節の切れ目
がわかりやすい
読点
• 読みやすくする、読み誤りを防ぐ効果がある。
母親が楽しそうに遊んでいる子供を見ている。
→母親が、楽しそうに遊んでいる子供を見てい
る。
→母親が楽しそうに、遊んでいる子供を見てい
る。
六書
『説文解字』(許真)の中でなされた文字の分析。
造字と用字の2つの面から分析される。
・象形文字・・・物の形をかたどって作られた文字
・指事文字・・・抽象的な事柄を記号で表した文字
・会意文字・・・二つ以上の漢字を意味の上から組み合わせ
た文字
・形成文字・・・意味を表す部分と発音を表す部分を組み合わ
せた文字
・転注・・・本来の意味ではなく、そこから予想される意味で用
いる用法
・仮借・・・字の意味に関わりなく、音だけを利用する用法
仮名遣い
・歴史的仮名遣いの文字は使わない。ただし助
詞の「を」は例外。
・「わいうえお」と発音される「はひふへほ」(ハ行
転呼音)は、「わいうえお」と書く。ただし助詞は
「は、へ」で書く。
・四つ仮名は「じ・ず」に統一。しかし例外として
「同音の連呼」「連濁によって生じた『ぢ・づ』」の
み「ぢ・づ」を用いる。
「せかいじゅう」VS「せかいぢゅう」
連濁によって生じた「ぢ」はそのまま用いるという規
則に則れば、「せかいぢゅう」が正しい。
しかし、「世界中」は1語という意識が強く、2語に分
解しにくい。「世界中」が1語だとすれば、連濁の規
則は適用されず「せかいじゅう」が正しいということ
になる。
結論:一応「せかいじゅう」が標準だが、「せかい
ぢゅう」も許容されている。
以下の語もどちらでもいいとされている。
いなずま、かたず、きずな、さかずき 等
連濁
二つ以上の語が繋がったときに、濁音になる。
和語は基本的に連濁し、漢語はしない。
ただし、例外もある。
・連濁しない和語→・構成要素が対等の関係
・2拍目以降に濁音がある
・連濁する漢語→・発音、長音の後
★連濁の有無により、語の構成がわかる場合がある。
例えば「草花」は連濁しているため、「草」と「花」が対
等の関係ではないとわかる。よって「草と花」ではなく
「草の花」であるといえる。
外来語について
・英語が日本語化するときの注意点
◇音節が増える
日本語は子音のみでの発音ができないため、英語を読む際に全ての
子音の後に母音を付け足される。「strike」という語は、英語では1音節
だが日本語になると「ストライク」という5音節になる。
◇子音・母音が減る
英語にあって日本語にない子音・母音は、似ている音に統合される。
例えば「bass」と「bath」はどちらも「バス」となる。sとthが「s」に統合さ
れる。(ちなみにこの場合も子音の後に母音「u」が付け足されてい
る。)
◇曖昧母音の音がスペリングによって変わる
日本語にはない母音のため、日本語で表記ができない。よってスペリ
ングの通りの音をあてる。例えば「camera」の「me」と「animal」の「ma」
は本来は同じ音である。しかし、スペリングでそれぞれ「e」「a」が使わ
れているので、片仮名表記の際にその母音をあてている。