秋の観音山観察会 - NPO法人自然観察指導員埼玉

秋の観音山観察会
北部埼玉自然観察グループ
9月26日(土)<天気曇り>に定例の秋の観察会を観音山で実施しました。
参加者は会員を含め9名でした。
秋の深まるこの時期は、春のカタクリやキスゲ、夏のヤマユリの花はありません。
植物、昆虫等広く観察することにして観察会を始めました。
紫のハギの花が目立ちます。茎、葉を見るとテントウムシの幼虫やアリがいます。
アリがいるということはと目を凝らすとアブラムシが茎についています。アリはアブ
ラムシの近くを動き回っていて、アブラムシの出す液をもらっているようで す。アリ
はアブラムシから食料をもらい、アブラムシはアリがいることで身を守ってもらうと
いう「共生」関係がハギの茎の上でできています。ツルウメモドキにはカメムシの仲
間、アラカシにはジャノメガの幼虫がいます。この時期は越冬の前であり、それぞれ
準備を一生懸命している様子です。クモが巣を張っている。ジョロウグモで、大きい
のがメスでオスはこれより小さい。巣を3枚も張って冬に備えしっかりと栄養をつけ
ようとしている。
山を登っていくとドングリが落ちている。縦長のドングリはコナラのもので、球に
近いのがクヌギのもの。道にコナラの枝先が数センチ、ドングリ付きのまま落ちてい
る。チョッキリムシの仕業だ。手に取ってみるとドングリのお椀の近くに小さな傷が
あり、ここからドングリの中に卵を産み付けてある。卵から幼虫になり、ドングリを
餌として食べ成虫となる。昆虫も子孫を残す手段を工夫しているものだ。クヌギの幹
にはヨコヅナサシガメがいる。カラムシにはアカタテハの幼虫がいる。
観音山の頂上には最近まで通信用の建物があったが撤去され、そこは更地となって
いる。倒木後の日光がたくさん差し込む場所のようになっている。そうした場所には
すぐに木や草が生え始める。ここにはカラムシ、アカメガシワが生えてきていた。毎
年観察を重ねることでその場所がどうなるか確認することができる。 ヒヨドリジョウ
ゴの赤い実も目立つ。だがこれは毒草なので口にいれてはいけない。
この時期はキノコが生えるが数は少なかった。林内にクサウラベニタケ、畑の端に
キツネノエフデが生えていた。
観音山を西に下りて、段丘面の境に沿って歩いて観察する。林と田の境で、ムクノ
キ、エノキがある。日光がよく射すので、クズ、カナムグラ、 エビヅルなどの蔓植物
が繁茂している。
ゆっくりじっくり観察し、この時期の植物や昆虫を植生や生態等も含め たくさん知
ることができました。