Document

論
文
内
容
の
要
が 1/3 未 満 、グ レー ド B:壊死 組織 が 1/3 以上 2/3 未満、グレ ー ド C:壊死 組織 が 2/3
旨
以上、 と分 類し 、 ALA-PDT の 効果 判定 を行 った 。 結果、 各 LED にお ける 抗腫 瘍効
論文提出者氏名
論
文
題
日野
仁嗣
目
果は、 バイ オレ ット と緑 色 LED が同 等であ り、 こ れらは そ れ ぞれ 赤色 LED よ りも
有意に 高か った 。
5-Aminolevulinic acid-mediated photodynamic therapy using light-emitting diodes of
different wavelengths in a mouse model of peritoneally disseminated gastric cancer
本結 果よ り、 LED を 用い た ALA-PDT は 胃癌 腹 膜播種 治療 に対 して 有効 な治 療法
とな る可 能 性が 示さ れた 。 PDT に おい て 最大 の 効 果を 得る た めに は、 光感 受 性物 質
に対す る適 切な 波長 を有 する 照射 光源 を用 いる こと が重要 であ る。 PpIX の吸 収ス ペ
クトル は 410 nm、510 nm、545 nm、580 nm、635 nm 付 近に 5 つ のピ ーク をも ち、
論文内容の要旨
光線力学的治療(photodynamic therapy: PDT) とは 、生 体内 への 光感 受性 物質 の投 与
410 nm のピ ーク は 635 nm の ピー クの 約 30 倍で ある。 一般 に、 PDT の 効果 は癌 細
と、それ らの 吸収 スペ クト ルに 応じ た特 定波 長の 光 を照射 する こと から 成る 治療 法で
胞内に 蓄積 した 光感 受性 物質 に吸 収さ れた 光子 数に 相関 す ると いわ れ 、本 研究 にお い
ある 。 この 光 照 射に よ って 、 細胞 内 で は活 性 酸素 (reactive oxygen species : ROS)
て も 、 培養 細胞 で は ROS 産 生量 、殺 細胞 効果 とも にバイ オレ ッ ト LED が最 大、 赤
が 産 生 さ れ 、 細 胞 死 が 誘 導 さ れ る 。 5- ア ミ ノ レ ブ リ ン 酸 (5-aminolevulinic acid:
色 LED が最 小で あっ た。 また 、こ の結 果か ら 、 培 養細胞 では 、 ROS 産 生量 が PDT
5-ALA)は 天 然 ア ミ ノ 酸 の 一種 で あ り 、 そ れ 自 体 に 光 感 受 性 はな い が 、 癌 細 胞 内 で 光
の 効 果 を規 定す る 決定 的 な 因 子 であ る と考 えら れ た。 一 方、 生体 モ デル に おい て は、
感受性 物質 であ る protoporphyrin IX (PpIX)に 代謝 され蓄 積さ れる 。この 性質 を利 用
別 の PDT 効 果規 定因 子が 加わ る 。 照射 光の 組織 深 達度は 最も 重要 な因 子の 一つ であ
し 、5-ALA を 用いた PDT (ALA-PDT)は種 々の 悪 性腫瘍 に応 用さ れて きた 。一 方、
り、一般 に 、照 射光 の 波 長が 長く なる 程 、そ の組 織 深達度 も増 加 し 、生体 内で の PDT
ALA-PDT にお いて は 、赤色 光源 が頻 用さ れて きた が、PpIX の吸 収ス ペク トル には 5
で は よ り高 い効 果が 期待 され る。 よっ て、 最終 的な 生体内 での ALA-PDT の効 果は 、
つのピ ーク があ り 、ど の様 な波 長が ALA-PDT に お いて最 も適 切で ある かは 不明 であ
各々の 照射 光源 にお け る ROS 産 生量 、組 織深 達度 とい っ た PDT 効果 規定 因子 の力 関
っ た。本研究では、胃癌腹膜播種に対する発光ダイオード(light-emitting diode: LED)光源
係 によ って 決定 され ると 考え られ る 。本 研究 では 、胃癌腹 膜播 種モ デル に お いて 、バ
を用いた ALA-PDT の有用性についての検討を行った。また、異なる波長の LED 光源(バ
イオレ ット と緑 色 LED が同 等の 抗腫 瘍効果 を示 し 、これ らは 赤色 LED よ りも 強力
イオレ ット:ピ ーク 波長 410 nm、緑 色:ピ ーク 波 長 525 nm、赤 色:ピー ク波 長 635
であっ た。この こと から 、胃 癌腹 膜播 種治療 には 、赤色よ りも 、バ イオ レッ トや 緑色
nm)を使用、比較することで、照射光源の至適波長についても同時に検討した。
の照射 光の 方が 適し てい ると 考え られ た 。こ れは 、赤色 LED は 他 の LED と 比較 し、
まず、培養胃癌細胞株に対する ALA-PDT の効果について検討した。胃癌細胞株 MKN-45
を 1.0 mM の 5-ALA で 3 時間処理した後、各々の LED で 3.0 J/cm で照射を行い、ROS
2
ROS 産生 量が 少な く、さら に 、治 療対 象と なっ た 腹膜播 種は 約 1mm 程度 と 、照 射光
の 組 織 深達 度が 大き な問 題と なら ない こと が一 因と 考えら れた 。
産生量を評価した。結果、ROS 産生量はバイオレット>緑色>赤色 LED の順であった。
結論として、LED を 用い た ALA-PDT は 胃 癌腹 膜 播種 に 対し て有 効な 治療 法 と なり
また、胃癌細胞株(EGFP 発現 MKN-45、MKN-74、NUGC-4)に対して上記同様に ALA-PDT
得ると 考え られ た 。ALA-PDT の 臨床 応用 に向 けて は、生体 内で 最も 有効 な波 長を も
を行い、その殺細胞効果を WST assay で評価した。結果、いずれの細胞株においても
つ照射 光源 を選 択す るこ とが 重要 であ ると 考え らえ た。
ALA-PDT の殺細胞効果はバイオレット>緑色>赤色 LED の順であった。
続いて、BALB/c nude mouse を用い、EGFP 発現 MKN-45 を腹腔内注射し胃癌腹膜播
種モデルを作成した。移植 1 週後に 5-ALA 250 mg/kg を腹腔内投与し、5 時間後に開腹し
た。大 網上 に実 体顕 微鏡 下に 白色 光で 観察 可能 な 約 1 mm の腹 膜播 種結 節を 認め た。
これら の 結 節 は EGFP 蛍光 陽性 であ り、さ らに 同 部位に 一致 して 、PpIX 由 来の 赤 色
蛍 光 も 認 め た 。 こ の 胃 癌 腹 膜 播 種 モ デ ル に 対 し て ALA-PDT を 行 っ た 。 5-ALA
250mg/kg を腹腔内投与し、5 時間後に開腹し、大網上の腹膜播種結節に対して各々の LED
で 4.5 J/cm2 で照射を行った。48 時間後、標 的 とな っ た 腹膜 播種 結節 を切 除 し 、 HE 染
色を行 った 。それ ぞれ の播 種結 節に おけ る壊 死組 織 の範囲 で 、グ レー ド A:壊死 組織