平成 27(2015)年 2 月 13 日 環境エネルギー政策研究所 飯田 FIT 法省令改正における2つの重要論点 以下、FIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)の 省令改正は、法の趣旨そのものを毀損しかねない論点を含んでいるのではないか。 1. 「接続可能量」という実質的な制約キャップの出現の問題 (1) 「接続可能量」という用語・概念 ① さまざまな仮定のもとでの「系統制約」の視点のみからの「試算値」にすぎない 経 こ れま での系統WG での議論を 踏ま えた接続可能量の算定方法① 資源 ② 実質的に「上限キャップ」として運用される 【 E 】 揚水式水力 【需給バランス断面 ③ 結果として自然エネの多様な「恩恵が制約」される問題 揚水式水力については、 再エ ネ余剰時に揚水運転を 行い、 再エ ネ受け入れ のために最大限活用する こ と と し た。 その際には、 以下の三点を 考慮。 【 F 】 出力抑 1 . k W: 再エ ネの出力( 下図の高さ ) に対し て、 揚水運転が対応可能か ④ さらにこれが政府としてのエネルギー需給見通しの「制約」とされる問題 年間3 0 日ま 2 . k Wh : 揚水可能量が、 余剰再エ ネ量( 下図の面積) に対し て十分か 3 . 週間運用: 揚水し た水を 、 夜間等に放水( 揚水発電) が可能か。 によ る 需給調 (2) 算定の前提条件に関する問題 【 E 】 揚水発電 接続可能量を 【 F 】 出力抑制 ① 過大な太陽光・風力出力算定(2σ) 【 D 】 太陽光 【 E 】 揚水運転 ② 過大な原子力想定(震災前30年平均) 太陽光・ 風力 ついては、 合 A を 採用する と ③ 過大な火力電源最低出力 需 量が少ない日 要 太陽光 天) を 考慮し (3) 自然エネルギー導入への努力不足 【 D】 風力 ① 広域運用の不活用 【 C 】 火力電源( 最低出力) ② 最小限の他社連系線活用 【 B 】 原子力、 地熱、 水力等 ③ 気象予測の不活用 【 A 】 需要 【 B 】 原子力、 地熱、 水力等 【 C 】 火力発 需要については、 2 0 1 3 年度の各社需要 原子力、 地熱、 水力の出力については、 震 火力発電の出 ④ デマンドレスポンス(需要抑制)の不活用 実績に、 余剰買取によ る 太陽光発電の自 災前過去3 0 年間の設備平均利用率を 用い 再エ ネ特措法 家消費分を 考慮し た実需要を 用いた。 て評価し た。 なお、 バイ オマスについては、 提と し て、 安 ⑤ 分散電源の不活用 ま た、 最低需要については、 4 月又は5 過去の実績を 用いた。 な下限値ま で 月の休日( G Wを 除く ) の晴天日昼間の 太陽光発電の出力が大き い時間帯の需要 と し た。 ま た、 地熱、 小水力、 バイ オマスについて は、 導入が見込ま れる 案件を 織り 込んだ。 2. 事業の公正さおよび金融の視点の欠けた「出力抑制」の問題 (1) 出力抑制自体は必要な施策、とくに時間単位への移行は良い改正 (2) 最大の問題点は、事業の公正さおよび金融の視点が欠けていること ① 無償での出力制御(太陽光360時間、風力720時間、約8%)は過大すぎる ② ファイナンスがつかない時間制限のない無補償で�出力制御(指定電気事業者制度) (3) 原則は出力制御に対して「補償」を前提とする公正な制度とすべき ① 出力制御は系統運用の一環であり、系統費用(総括原価)に計上すべき し ながら 、 可 的な運用を 行 資料.再エネ普及に係る日独政策比較 項目 FIT 価格決定時期 ドイツ 発電開始の日 (注 1) 日本 備考 (12/18 政府方針) (日本・方針関連) 接続申込時(FIT 認定時) →接続契約時 FIT 利用枠 *有無 なし(太陽光は設定) 接続可能量という枠、風力枠 *風・太陽出力の前提 実績値を基にシミュレーション 追加接続枠発生時に要検討 例:地熱・水力等に配慮 確率的手法による試算(2σ) 系統運用 *優先性 あり:接続、送電、給電 実質なし 試算上火力運用に配慮 *上下双方向流通 実施 上→下の一方通行の思想強い 規制緩和で限定的に可能 *広域連系線活用 実施 制約多い 中長期的検討の問いかけ *コスト負担 送配電会社 再エネ事業者 中長期的検討の問いかけ *容量制約理由の拒否 不可 可 中長期的検討の問いかけ *責任者 送配電会社(注2) 一般電気事業者 分離後は送配電会社 *調整手段 Flexibility(注3)活用 火力、揚水、出力抑制 連系線は個別調整分のみ 系統増強 需給調整 -市場取引を活用 出力抑制 *優先給電 再エネ抑制は最後 優先性なし 中長期的検討の問いかけ *対象範囲 全体 500kW以上→全体 今後の受付から(注 4) *抑制基準 なし 30日→360hr(太)、720hr(風) 今後の受付から(注 4) *停止量の補償 補償あり(注2) 30日超は補償→無制限無補償 接続枠超の申請(指定事業 者) 市場原理導入:入札制 新事業より 追加接続枠発生時に要検討 例:非住宅太陽光 -大規模太陽から段階的に (注1)赤字は今次資源エネルギ-庁検討項目(12/18発表) 、青字は風力の扱いに要留意 (注2)需給調整のための介入・出力抑制の順序 ①系統運用措置:逆潮流(Negative-Virtical-Load) 、給電発電所変更(Redispatch)等、②市場的措置:需給調整 契約に 基づく負荷の活用や発電の出力抑制、③在来電源に対する出力抑制(経済補償なし) 、④再エネ電源の出力 抑制(損失収入の95%補償) (注3)Flexibility:調整電源(火力、水力、原子力等) 、蓄電池(揚水等) 、連系線、需要家反応、出力抑制等 (注4)既存に訴求する追加接続効果は大きいとし、パブコメ如何では既存事業に訴求できるとの含み。 【出典】山家公雄『 「再エネ再接続」政府が検討したこと、しなかったこと 再エネ接続再開に向けた政府方針につ いて(2) 』日経ビジネスオンライン 2015年1月8日 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150105/275788/?n_cid=nbpnbo_leaf_bn
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