表紙 [更新済み] - アヴネット株式会社

Chapter 2
無線LANの電波の特性
無線LANで使用される電波(2.4GHz帯および5GHz帯)
では、以下の特性があります。
①波長が短い(2.4GHz = 約12.5cm、5.GHz = 約6.2cm)為、直進性が強い。
②回折(物陰に電波が回り込みにくい)
が弱いため、波長より小さなものは回折しますが、波長より大きなも
のは回折せずに反射します。
③金属は反射し、水では吸収されます。
④無線LANでは、
スペクトラム拡散方式(SS方式)
という耐干渉性・秘匿性・耐マルチパス性に優れた拡散方
式を採用しています。
ノイズ・妨害波による影響
802.11b/gでは2.4GHzの帯域を、802.11aでは5GHzの帯域を使用します。2.4GHz、5GHz帯域上
でのノイズによる電波干渉や電波を出す機器との電波干渉を引き起こす可能性があります。この電波干渉
を調べる場合、
スペクトラムアナライザという無線を測定する機器を使用します。
ノイズ・無線干渉・妨害波の
有無を確認をしない場合、通信速度が遅いという現象や通信出来ない現象が発生する可能性があります。
【 無線LANで影響を受けるノイズ・妨害波の要素の一例 】
①電子レンジ
②アマチュア無線
③既設(他社製)無線LANアクセスポイント
④盗難防止装置
⑤医療機器
⑥Bluetooth対応製品
⑦防災無線
⑧無線LAN搭載家電製品
マルチパスによる影響
802.11a/b/gの無線LANでは、2.4GHz帯または5GHz帯の直接スペクトラム拡散方式(Direct
Sequence Spread Spectrum)
を採用しています。2.4GHzの電波は波長が約12.5cm、5GHzの電
波は波長が約6.2cmと波長が短いため、直進性が強く、金属などの障害物があると反射(散乱)または減衰
(吸収)されその陰には直接届きません。
しかし、室内では天井、壁、床、棚等で反射して直接は届かない(見
通しでない)所にも届く事があります。電波は
『波』
ですので直接波と間接波(反射波)
が同一地点に届くと
合成され、強めあったり弱めあったりします。反射してきた電波は直接波より長い経路を通って来るので
『波』の位相が遅れてきます。
第2章
無線システム導入時の考慮点
13
Chapter 2
遅れが半波長(6.25cmまたは、3.1cm)即ち経路が半波長(及びその奇数倍)分長いと位相は反転してお
り、直接波と反射波の強さが同じだと打ち消し合って
“ゼロ”
となり、通信が出来なくなります。実際には直接
波以外に強度や位相の違う様々な反射波ができます。一般的にはアンテナから遠ざかるほど電波(電界強
度)は弱くなりますが、反射波との合成の影響で各地点での強度は様々になり数cmの違いでも差が出てし
まう
『マルチパスフェージング』
が発生します。
無線電波が到着する場所によっては、
反射の影響で波形の位相がずれてしまう。
図3-3. マルチパスフェージング概念図
極超短波(Ultra High Frequency)の電波、特に1GHz以上の準マイクロ波は光に近い伝搬特性になりま
す。障害物の陰には届きにくい『シャドウイング』
と、様々な反射の合成となる
『マルチパスフェージング』
は、
アクセスポイント側の送信電力を強くしても解決しません。これらは送信源が一ヶ所、受信機一台でも起こる
現象です。この他に、他のアンテナからの電波や、他のターミナルからの電波も影響を与えます。さらに
POSレジやコンピュータ、蛍光灯、電子レンジなどの雑音源についても考慮する必要があります。
こうした環境要因は、場所や時間帯により様々な変化をしています。
建築構造による影響
図面上では同じような構造の建物でも、以下の条件によって電波の伝播特性が異なります。
①柱の太さ・材質(例;鉄骨 or コンクリート 等)
②壁の厚さ・材質(例;コンクリート or 石膏ボード or スチール or ガラス 等)
③梁の太さ
④防火シャッター
第2章
無線システム導入時の考慮点
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同じような構造の建物でも、棚・什器のレイアウト及び、高さによって電波の伝播特性が異なります。
また、同じ棚・什器であっても、積んである商品・内容物によっても電波の伝播特性は異なります。
図4. 100%無線カバー(イメージ)
図5. 200%無線カバー(イメージ)
アンテナは電波を伝播させるために重要な役割を持っています。アンテナは大きく分けて、指向性の無い
タイプ
(無指向性)
と、指向性のあるタイプ
(指向性)の2種類があります。無線を使用させたい場所や用途
によって、使い分ける必要があります。
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