新たな手法を活用展開する 顧客ニーズの活用方法

実践マネジメント講座
戦略
コンタクトセンターの新たなマネジメント法
第
3
回
新たな手法を活用展開する
顧客ニーズの活用方法
ハッピーハート /TREE
パートナーコンサルタント 牧野
聡
VOC
(Voice of Customer)をいかに経営に活かすかが大切であると言われて久しい。コールセンターはVOCを収集・分析する上
で非常に重要な媒体となっているが、実際には、VOCを経営(運営)
に活かしているコールセンターはまだ多くはない。では、どの
ように活用したらいいか一緒に考えてみよう。
ケースが散見される。
ることが大切であるが、そのような仕
顧客ニーズ収集に大切なのは、現状
組みを作れば十分な情報収集ができ
顧客ニーズを収集しろと言われて
の顧客からの要望・問い合わせ・クレー
ると言うものでもない。
も、そう簡単にできることではない。
ム内容をまず体系的に分析・整理する
なぜなら、実際に登録するのはコ
多くのコールセンターは日常発生する
ことである。この作業を怠ったり、不
ミュニケーターとなることから、コミュ
顧客からの要望・問い合わせ・クレー
完全であると収集したデータが活かせ
ニケーターが顧客ニーズ収集の目的、
ムなどをフリー入力あるいはカテゴラ
なかったり、コミュニケーターも記録時
必要性をよく理解することが大切であ
イズして、コミュニケーターが架受電
に迷ったりする。体系的に分析・整理
る。自分達が登録した顧客ニーズが
時に記録するという方法をとっている
する為には、1 カ月間でいいので、全
どのように活かされるか理解すること
のではないだろうか?しかし、収集後
要望・問い合わせ・クレームを 1 件毎
で、登録情報量・精度が大幅に向上
に分析しようとすると、顧客ニーズを
に分類作業して、体系を構築する必要
する。一番、避けなければならない
分析 するには情報 が 適当ではない
性がある。体系は最低でも大分類と小
のは、十分な説明もなく、登録のオペ
分類の 2 階層化しておく必要性がある
レーションだけ展開することである。
(必要に応じて 3 階層以上も可)
。また、
登録することで、顧客からの問い
カテゴリー選択だけではなく、フリー
合わせ・クレームが削減し、自分達
入力での記録も詳細分析時には重要と
の業 務改善につながるとわかれば、
なる事から、フリー入力での記録も合
コミュニケーターは積極的に登録をし
わせて仕組み化するのが望ましい。
てくれるようになる。登録を多数して
なぜ顧客ニーズが収集できないのか
P R O F I L E
牧野 聡
GEコンシューマー・
ファイナンスにおい
て長年、各種コール
センター・事 務 セン
ター の 新 規 立 ち上
げ、センター長として
運 営 を 行 っ た 後、
コールセンターコンサルタント&トレーナー
として独立。ハッピーハート/TREEなどの
パートナーコンサルタントとして、大手クライ
アント企業のコールセンターのコンサルティ
ング、トレーニングを実施している。
URL http://www.happy-h.biz
42
Contact Center Management 2014.12
顧客ニーズ収集の仕組み
顧客ニーズは前述した通り、まず
は顧客からの要望・問い合わせ・ク
レーム内容を体系的に分析・整理し、
それに合わせた登録カテゴライズをす
くれたコミュニケーターを表彰するな
ど顧客ニーズ登録を奨励する仕組み
を導入することも効果的である。
収集したニーズの分析手法
収集した顧客ニーズはパレート図を
(
コンタクトセンターの
新たなマネジメント法
使用して分析すると分析が容易になる。
まず、体系化された顧客ニーズカテ
ゴリーを大分類で分析する。各種大
分類カテゴリーをパレート図で全体の
分類カテゴリーに細分化し、同様に、
パレート図で分析し、全体の 70 〜
80% となるものを特定する。こうする
ことで、体系化された顧客ニーズを反
平成 22 年 4 月度
平成 21 年 4 月度
250
の優先順位付けを行う。優先順付け
事務リスク
苦情登録
40.00
35.00
30.00
150
150
20.00
100
100
15.00
50
50
0
4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月11 月12 月 1 月 2 月 3 月
全体に昨年度より減少傾向にあり、苦情総数は減少している
0
10.00
5.00
4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月11 月12 月 1 月 2 月 3 月
0.00
改善 PJ「苦情カテゴリ−」時系列 40
80
35
70
30
説明(窓口)
情報
25
説明(電話)
商品
20
書類
15
サービス
10
応対
60
50
40
施設
10
0
25.00
苦情全体の中で事務リスクの占める割合は減少傾向にある
大分類時系列表
90
20
さらに、複数ある特定した小分類
250
苦情発生内訳(苦情登録・事務リスク)
200
30
映させた分析ができる。
300
200
70 ~ 80% となるものを特定する。次
に、特定した複数の大分類を中・小
苦情発生件数
(時系列)
300
)
「商品」が毎回多く、その次に「応対」「サービス」となっている
の為には、インパクト、容易性、リス
窓口(待ち時間)
5
0
.4 .5 .6 .7 .8 .9 .10 .11 .12 .1 . 2 .3 .4
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 23 23 23 23
預金(事務)
4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月10 月11 月12 月1 月 2 月 3 月
説明(窓口)
、応対(電話)は改善効果が傾向で見られる
毎月、VOC 項目を KPI レポートに入れ、発生カテゴリー毎の時系列推移をウォッチする。
PJ 化して改善施策を展開したカテゴリーの推移を確認し、減少したら、次なる優先順位カテゴリーの
改善 PJ を立ち上げる。
ク度、経済効果などの重要項目で評
価を実施し、総合ポイントの高いもの
図2 VOCのKPI 化
を優先順位が高いものとする。
なければ、部分的な改善策しかでき
分析結果の改善方法
ず、根本的な改善ができないからだ。
PDCAサイクル化の重要性
優先順位付けが決まり、改善対象
関係部署で協議し、原因分析のア
大事なのは、VOC も KPI 化して毎
が確定したら、コールセンターだけで
クションを実施し、原因特定、改善施
月の KPI レポートの中でカテゴリー
はなく、関係部署が集まり、改善 PJ
策の決定・展開を実施する必要性があ
毎の発生件数の推移をウォッチしてい
を立ち上げる。コールセンターで収集
る。改善施策については、パイロット
くことである。
した顧客ニーズであるが、改善のため
展開を行って、試行検証結果から本
前述の改善施策の効果もしっかり
には関係する部署が一緒に取り組ま
番展開を決定すると言う方法もある。
ウォッチして効果検証をする必要性
1:大分類パレート図
100.00
60
80
90.00
80.00
50
70
40
70.00
60
30
60.00
50
40
10.00
商品
応対
サービス
施設
0.00
書類
れば、該当の顧客ニーズカテゴリーの
100.00
90.00
80.00
70.00
60.00
50.00
40.00
30.00
20.00
10.00
0.00
改善は一旦、終了として、次なる優先
順位の顧客ニーズ PJ を同様に立ち上
げて、改善に取組む。
顧客ニーズの収集~改善活動に終
わりはなく、PDCA サイクル化して毎
4:小分類で上位項目優先順位評価・PJ 化
3:中分類で上位項目の小部類パレート図
態度その他
預金入出金
ローン・融資手数料
預金金利
態度訪問
ローン・融資金利
ローン・融資規定
預金カード
預金手数料
説明訪問
ローン・融資事務
預金通帳
態度窓口
説明電話
説明窓口
預金事務
40
35
30
25
20
15
10
5
0
不明
10
リスク性
運用商品
0
20.00
言葉遣い
10
30.00
態度
40.00
ローン/融資
20
説明
20
50.00
預金
30
0
がある。そこで、効果が得られてい
2:大分類で上位項目の中部類パレート図
90
100.00
90.00
80.00
70.00
60.00
50.00
40.00
30.00
20.00
10.00
図1 パレート図を使用した分析~優先順位付け
当月発生率
発生頻度
経営インパクト お客様不満度 接遇 合計
預金/事務
5
5
5
5
5
5
説明/窓口
1
5
1
1
1
1
説明/電話
2
5
2
2
2
2
ローン融資/事務
2
5
2
2
2
2
態度/窓口
2
4
2
2
2
2
預金/通帳
1
3
1
1
1
1
関係部署が集まり PJ 化して分析~原因特定~
改善施策の決定~展開
月取り組んで行くことで、VOCを経営・
運営に活かすことができる。
顧客ニーズの活用についてご相談等
お困りのことがあればお気軽にご連絡
ください。[email protected]
2014. 12 Contact Center Management
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