大学院理工学研究科 材料工学専攻 (金属物理学講座 金属物性学分野) 中村 教 吉男 授 史 教 蹟 授 春本 高志 助 教 専門分野: 回折結晶学,ナノ構造評価(TEM,X線) 金属物性,薄膜材料工学 電子メール:[email protected]/ [email protected]/ [email protected] TEL&FAX: 03-5734-3144 / 03-5734-3145 現在の研究内容と目指すもの 特異な物性を持つ金属ナノ材料の創成,先端手法による構造解析 結晶を知り,環境を整え,新規な物性を導く 主な研究テーマ ・高密度垂直磁気記録材料の開発 磁性薄膜は通常膜面内方向に磁化されやすく,膜面と垂直の方向に磁化されにくいものです.これは薄膜の形状による特性です. しかし,ハードディスクに使われている記録媒体には垂直磁化が必要になります.本研究室では磁性金属層の成長方位,界面(表 面)状態および内部応力を制御し,磁性金属層に垂直磁気異方性を持たせることに成功しました.この方法を用い,高密度垂直磁 気記録材料の開発を行っています.強磁性体と反強磁性体の界面交換相互作用による交換バイアス効果の研究も行っています. ・極薄金属薄膜の結晶構造及び物性の評価 一般的に厚さが数ナノの金属薄膜は連続膜にならなくて,島状構造をとります.本研究室では金属と濡れ性のよい下地を真空中 で作成し,その上に2,3ナノメートルの厚さでも連続的になる金属薄膜の作製ができました.このような極薄の金属薄膜はバルク 金属,島状構造の薄膜とも異なる物性を示すことが考えられます.現在さまざまな金属極薄膜を作製し,それらの結晶構造及び電 気,磁気,光など基礎的物性を研究しています. ・水素吸蔵薄膜,水素センサーの開発 水素社会の実現に向け,パラジウム(Pd)極薄膜,及び,Pd多孔質薄膜の水素化を研究しています.また,水素センサーへ応用 するために,薄膜作製法の改良にも取り組んでいます.特に,水素化・脱水素化の繰り返しによる劣化を抑制できるような下地層 の開発を行っています. X線反射率法によるCoPt/AlN多層膜の 周期性および界面構造の評価 透過型電子顕微鏡による垂直磁気異方性を持つ CoPt/AlN層状構造の断面観察 もっとやさしくいうと 材料の性質は基本的にその材料の中の原子の並び方(結晶構造)および原子間の電子のやり取り(電子構造,結合) によって決まります.しかし,材料のサイズ,あるいは材料を構成する結晶粒のサイズがある程度小さくなると,材料が 明らかに異なる性質を示すことがあります.これはサイズ効果と言います.また,材料の中に応力(ひずみ)がある場合 にも材料が特異の物性を示すことがあります.われわれはこれらの要素を綜合的に考え,新しい材料を創成し,結晶構 造明らかにしたうえ,技術進歩につながる優れた物性を追求します.
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