しまなみ農業だより 作業を行ってから、3月下旬 にマシン油乳剤 %の 倍を 散布します。この散布で、ヤ ノネカイガラムシ以外のカイ ガラムシや越冬しているハダ ニ・コナジラミ類も同時に防 除できます。 ○第1世代防除 (5月下旬以降) 5月下旬から、越冬したカ イガラムシが産んだ卵が孵化 し、第1世代があらわれ始め ます。 この時期の防除は、枝や葉 に対する寄生の防止と、第1 世代の卵から生まれる第2世 代の発生を少なくすることが 目的です。 第1世代の幼虫発生ピーク が6月中旬~7月上旬なの で、6月から7月の摘果時期 に果実への寄生状況を観察 し、1回の作業で1匹でもい たら防除を行います。 発生がみられたらアプロー ドエースフロアブル1000 倍を、通常防除をする場合は マシン油乳剤 %を150倍 で散布します。 ○第2世代防除 (7~8月) ガラムシの第 世代の発生 ピークは8月中旬から9月上 旬です。この時期に孵化した 幼虫は果実に寄生して大きな 被害を与えるので、防除は十 分に行う必要があります。 幼虫の発育は早く、1齢か ら2齢までは約 日、成虫ま では ~ 日と短くなりま す。成虫になると被覆物質に より防除がむずかしくなりま すので、第2世代の防除は果 実に寄生させないことが最大 のねらいです。 防除適期は第1世代と同じ よ う に 2 齢 幼 虫 の ピ ー ク で、 第2世代1齢幼虫初発日から ~ 日後ごろの8月上旬か ら中旬に、スプラサイド乳剤 を1500倍で、樹冠の奥 ま で 液 剤 が 行 き 届 く よ う に、 たっぷり散布します。 前述したカイガラムシ各世 代 の 発 生 時 期 は 目 安 で あ り、 その年の気象条件により前後 します。圃場で樹体をよく観 察し、効果的な時期に防除し て被害を減らしましょう。ま た、農薬を使用する際は希釈 倍率や使用時期、回数等を農 薬ラベルで再確認してくださ い。 2015年6月 10 2 15 かんきつのカイガラムシ対策 すべての発育ステージで行わ れますが、1齢や2齢などの 若い齢期の個体はほとんど死 亡し、翌年の発生源となるの は未成熟成虫と成虫です。春 以降の発生を少なくするため には、まず越冬期の防除が大 切です。 幼虫で越冬するカイガラム シは、せん定前の 月下旬か ら1月中旬にかけて、マシン 油乳剤 %の 倍か、マシン 油乳剤 %の 倍いずれかを 散布すると効果的です。冬期 はロウ物質が薄いので、マシ ン油に包まれると呼吸ができ ず、窒息死します。越冬密度 を下げることで、春以降の初 発を大きく抑えます。 12 ○越冬期応急防除 60 40 (3~4月) 60 第2世代は7月上旬から中 旬に孵化します。ヤノネカイ 45 35 97 97 カイガラムシはかんきつ栽培における重要害虫で、葉や 枝、果実に寄生して樹液等を吸汁し、密度が高くなると樹 を枯死させることもあります。また排せつ物に繁殖するす す病菌によって果実が汚れ、寄生した果実の周囲は緑色が 残り着色が遅れるなど、品質を著しく低下させます。 挙げられます。 カイガラムシ防除のポイン トは、冬期にカイガラムシの 密度を下げること、幼虫の発 生時期を把握して、虫体に被 覆物が十分に形成していない 幼虫の発生ピークに防除を行 うことが大切です。カイガラ ムシの種類・生態等を再確認 し、適期防除につとめましょ う。 ○越冬期防除( ~1月) イセリアカイガラム イセリアカイガラム シ シ寄生状況 30 40 97 95 月~1月にかけて防除で きなかったところは、発芽後 の4月にあらためて防除する ことが重要です。 前年、果実にカイガラムシ がついていた圃場では、3月 以降に剪定を行いながら被害 の様子を観察して、カイガラ ムシの発生しやすい樹幹内部 を中心に寄生の有無を確認し てください。 寒害を受けやすいところ や、樹勢の悪いところは剪定 12 12 越冬は1齢から成虫までの フジコナカイガラム フジコナカイガラム シ シの被害 近 年 、 か ん き つ 栽 培 に お け るカ イ ガ ラ ム シ 類 の 被 害 が 拡 大し て お り 、 そ の 原 因 は カ イ ガラ ム シ の 卵 や 虫 体 が ロ ウ 状 の 物 質 で 覆 わ れ て い る た め、 薬剤 を 散 布 し て も 薬 液 が 虫 体 にか か り に く い こ と 、 樹 冠 内 部・ 下 枝 の 葉 裏 に 寄 生 す る た め防 除 が 難 し い こ と 、 密 植 園 が増 加 し て 薬 剤 が か か り に く くな っ て い る こ と 、 温 暖 化 の 影響 に よ り カ イ ガ ラ ム シ の 初 発時 期 が 早 く な り 防 除 適 期 が 合わ な く な っ て い る こ と 等 が ヤノネカイガラムシ ヤノネカイガラムシ の被害 50
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