スライド 1 - 中小企業魅力発信レポート

魅力発信
レポート
2010年版
はじめに
イワタツールは、創業82年という切削工具の老舗企業です。センター
ドリルの国産化を日本で初めて成功させてから、現在では10μ m以下
の極小径工具を発表するに至るまで、高い技術力と信頼性を証として
最先端の切削工具を作り続けてきました。
当社の長い歴史の中には、第二次世界大戦、高度成長、オイル
ショック、バブル経済とその崩壊というようにさまざまな困難がありまし
た。そうした環境にあっても、顧客の要求に真摯に耳を傾け、飽くなき探
究心と限界に挑戦し続ける心を持って、飛行機、自動車、ITといったそ
のときどきのリーディング企業のプロセス改善、品質向上に貢献してき
ました。その結果、特殊工具業界内では「知らない人はいない」と言わ
れるまでの知名度と信頼を勝ち得てきたのです。
こうした長い歴史のあるイワタツールですが、2009年に移転して新本
社を竣工し、工場には世界最新鋭の数千万円はする機械を揃えました。
また、組織も若返りを進め、平均年齢27歳の社員がどんどん新しい課
題に取り組んでいます。このように、イワタツールは、最先端を追求する
ためには設備も人にも投資を惜しみません。「創業82年の老舗ベン
チャー企業」それがイワタツールです。
あなたも私たちといっしょに世界一を目指してみませんか。
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1.会社データ
(1)基本情報
会社名
株式会社イワタツール
創業
1928(昭和3)年6月
代表者
岩田 昌尚
資本金
4,000万円
従業員数
社員19名、契約社員10名、パート等5名
売上高
5億3,000万円(2011年3月期末見込)
営業内容
工具及び機械の開発・製造・販売
(2)沿革
1928
センタードリルを初めて国産化、創業とともに製造販売を開始
1930
ベルトサンダーの特許を取得、日本で初めて製造販売を開始
1937
航空機部品の製造を開始
1940
株式会社岩田鉄工所を設立
1963
ハイス熱処理業務を開始、自社で一貫製造が可能となる
このころ、大企業の下請けから自社製品に注力
1982
熱処理受託加工を開始
1994
超硬工具の開発・製造を開始、特殊切削工具の製作を本格化
1998
株式会社イワタツールに社名変更
2003
ISO9001取得
2009
開発・製造体制強化のため、本社を現在地に建設・移転
2010
中国に子会社、愛思路精密工具を設立、中国進出を果たす
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1.会社データ
イワタツール
(3)企業理念
効果的運用
継続的改善
当社は、自らの品質マネ
ジメントシステムの効果的
運用と有効性の継続的改
善に努める。これにより、製
品質マネジメントシステム
製品開発
生産性向上
品やサービスの間違いの
ない供給を目指す。さらに、
この品質マネジメントシステ
ムを参考に生産性を高め、
高付加価値の製品・サービス、高性能ツール
安定供給
製品品質向上、コスト低減
開発を行い、社会に高性能
ツールを提供することで、
顧客企業
それらを利用する顧客の製
品品質向上とコスト低減に
貢献する。
(4)認証・資格・受賞歴等
2000年
愛知県知事より経営資源活用新事業計画の承認を受ける
2002年
経済産業省よりIT活用型経営革新モデル事業の認定を受ける
2003年
ISO9001取得
2005年
愛知県知事より経営革新計画の承認を受ける
2010年
経済産業省より戦略的基盤技術高度化支援事業の委託先として選定
される
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2.事業内容と取扱製品の特長
(1)製品の種類、特長、差別化のポイント
製品の種類
①センタードリル
創業当初に初の国産化に成功したイワタツールを代表する製品がセンタードリルで
す。自動車部品のシャフト類などを加工する際、まず、シャフトの中心にセンター穴
を開けてから加工が始まるが、それに使われるのがこのドリルです。
②特殊用途向けドリル
新素材をはじめとする高硬度材の加工、小径・微細加工等、耐久性や精度が要求
される加工に対応するドリルです。大手メーカーでは対応しきれない特殊用途向け
工具を中心に開発・製造しています。
③ベルトサンダー
センタードリルに継いで初の国産化に成功した製品で、長い歴史
があります。非常に耐久性が高く、工業用の研磨機として根強い
人気がある息の長い製品です。
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2.事業内容と取扱製品の特長
(1)製品の種類、特長、差別化のポイント
イワタツールの特長
センタードリルのパイオニアとしての知名度、技術力、一貫生産体制(自社での熱
処理)、最先端の設備を武器に、大手メーカーでは対応しきれない分野に注力し、
高品質の製品を開発・製造しています。
差別化のポイント
ドリルの機能は、「金属に穴をあける、削ること」ですが、たんに穴をあけたり、削っ
たりするだけでなく、イワタツールのドリルは次の3つのテーマにこだわります。
硬
加工の難しい高硬度材(HRC40~70、20D以上の貫通加工)
への対応
速
穴あけスピードの速さ
(世界最速1穴0.25秒、20,000穴以上加工)
美
精確さ・美しさ
(位置決めの精確さ、面取り加工仕上げの美しさ)
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2.事業内容と取扱製品の特長
(2)自社の強み
イワタツールの強みは、高度な開発設計力と金属加工に関する技術力です。これらの強
みは、以下に挙げる3つの資産からもたらされます。
人的資産
イワタツールの社員は、「何かを突き詰めよう」とか、「ある分野にすごく詳しい」とか、
「ちょっとマニアックな人が多い」 といわれます。会社はまだまだ発展途上ですが、技術
では世界一を目指しています。顧客の要望に応えるためには、飽くなき探究心とチャレ
ンジスピリットが一番大切だと考えます。
構造資産
イワタツールの設計開発は、社長がITのエキスパートという強みを生かし、徹底的にコン
ピューターを利用しています。業界ではめずらしく、3次元CAD・CAMを早期から導入し、
開発用データベースの構築、切削シミュレーションの適用、自動設計プログラムの開発
等、徹底的なコンピューター支援設計を行っています。
関係資産
イワタツールは、地元や中部地区の大学・研究機関を中心に産学官協同で実験を行っ
たり、精密機械加工メーカー、工作機械メーカーと共同して切削試験を行ったりしていま
す。本社を現在地(テクノヒル名古屋)に移転したのも、共同実験・試験のよりよい環境を
求めたためです。また、最先端の設備、材料を活用することから、世界的にも有名な測
定器メーカーと共同開発を行ったり、材料メーカーの新開発の試料を試用したりと、最先
端の技術を導入しやすい環境が整っています。
CKK
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3.業界分析
(1)SWOT分析
強み
・特殊工具業界での82年の伝統と知名度
・切削技術の蓄積とITの徹底活用
・自社開発製品の競争力
・大学・研究開発機関との共同研究
・メーカーとの共同開発・実験
・平均年齢27歳の若くて意欲旺盛な社員
・会社も社員も成長できるという実感
・風通しのよい企業風土
機会
・拡大する海外市場
・中国市場への進出完了
・精度の高い工具に対するニーズの拡大
弱み
・企業規模が小さい
・限られた資金力と人材
・海外での知名度不足
・コスト競争力の不足
脅威
・縮小する国内市場
・尐子化による人材採用の困難化
・自社製品の模造品の流布
○海外展開
・中国市場の強化→量産品対応で知名度確保
・中国以外の海外市場への進出
○国内対策
・特殊工具分野で、「硬」「速」「美」をさらに追求、差別化
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3.業界分析
(2)業界地図
主要なドリルメーカーが所属する業界団体として、日本工具工業会があり、2010年9月
現在、正会員34社、賛助会員16社が所属しています。
「機械統計」によると、ドリルの生産は、平成17年度の24,492百万円をピークに減尐し続
けています。一方、輸出は、平成20年度、リーマンショックの影響により一時的に落ち込
んだものの、平成14年度から一貫して伸び続けています。
資料出典:経済産業省「機械統計」
ドリル生産推移
(単位:百万円)
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
H14
H15
H16
H17
H15
H16
H17
H18
H19
(年度)
H20
ドリル輸出推移
(単位:百万円)
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
H14
H18
H19
H20
(年度)
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4.ビジネスモデルと自社のこだわり
(1)ビジネスモデル
研究機関
機械メーカー
材料メーカー
開発・設計
製造
材料供給
加工メーカー
・大学・研究機関の産学官共同研究
・取引のある材料メーカー・設備メーカー
からの最新技術動向の提供・協同実験
・他企業との共同実験
コンピューター支援設計の徹底的活用
・3次元CAD・CAMの早期導入
・開発用データベース構築
・切削シミュレーションの適用
・自動設計プログラムの開発
最新の設備(海外製機械の日本一号機
も装備)→設備メーカーとの協力関係
切断
切削
熱処理
加工ノウハウのデータベース化
→設備の動作ソフトウェアの自社開発
熱処理工程の内製化
→高品質・短納期・コスト低減に貢献
研削
検査
梱包・出荷
代理店
ユーザー
販売力があり、利益率の高い付加価値
製品の納入→代理店との協力関係
顧客ニーズに対する柔軟な対応
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4.ビジネスモデルと自社のこだわり
(2)自社のポジション
イワタツールが得意とするのは、安く大量に供給される汎用加工用のドリルではなく、超
硬度の材料・加工の難しい材料や、高速度加工、微細・高精度加工といった、顧客がドリ
ルに求める「硬」「速」「美」の価値に対応する特殊加工ドリルです。
こうした高品質・高性能ドリルを提供することにより、高収益を実現し、さらなる高品質を
追求する投資が可能となるのです。
大量生産
大手の
競合メーカー
特殊加工
汎用加工
イワタ
ツール
中小の
競合メーカー
尐量生産
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5.将来に向けた事業展開
(1)これまでの実績
売上高は順調に伸びています。その時代のリーディング産業・企業に製品を納入してい
るためです。2009年はアメリカのリーマンショックの影響を受けましたが、2010年にはそれ
以前の売上高に回復する見込みです。
売上高推移
(単位:百万円)
600
500
400
300
200
100
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010 (年)
見込
主なエンドユーザー
【自動車業界】
トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社、スズキ株式会
社、三菱自動車工業株式会社、いすゞ自動車株式会社、アイシン精機株式会社、アイシ
ン・エィ・ダブリュ株式会社、株式会社デンソー、豊田合成株式会社、株式会社豊田自動
織機、トヨタ紡織株式会社、ゼネラルモーターズ、メルセデス・ベンツ、ボルボ・カーズ・コー
ポレーション、ビー・エム・ダブリュー株式会社、フェラーリ
【家電業界】
ソニー株式会社、シャープ株式会社、松下電器産業株式会社(パナソニック株式会社)、三
洋電機株式会社、株式会社日立製作所、エプソン販売株式会社、ブラザー工業株式会社
【航空機業界】
三菱重工業株式会社、川崎重工業株式会社、富士重工業株式会社
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5.将来に向けた事業展開
(2)将来ビジョン①
こ
れ
ま
で
の
実
績
当
社
の
強
み
将
来
の
ビ
ジ
ョ
ン
・センタードリルおよびベルトサンダー初の国産化に成功
・自社製品の本格的開発製造
・その時代を代表する業界のリーディング企業を顧客に
取り込む
人的資産
知的資産
関係資産
開発設計力
加工技術力
・売上高20億円
・経常利益4億円
・研究開発体制の継続と強化
・海外販売力の強化と知名度アップ
・ブランド力強化
売上高20億円、経常利益4億円
今後さらなる投資を継続・実現するための売上・利益を確保します。
研究開発体制の継続と強化
研究開発力の強化は、イワタツールブランドの生命線。とくに国内市場にあっては、高
価格高付加価値の製品を継続的に供給する体制を継続します。
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5.将来に向けた事業展開
(2)将来ビジョン②
海外販売力の強化と知名度アップ
急成長する海外市場(とくに中国、タイ等)へ
積極投資し、販売力を強化します。これま
で、海外ではイワタツールの名前はほとんど
知られていませんでした。そのため、海外向
けには、まず、流通量の多い、価格競争力
のある汎用ドリルを投入してきました。こうし
た普及品を通じて、イワタツールの認知度を
上げ、ドリルメーカーとしてのイワタブランド
の確立を目指してきたのです。今後は、国内
と同様の高性能ドリルを投入し、高性能・高
品質メーカーとしてのブランド作りを目指して
いきます。
ブランド力の強化
国内市場では「イワタツール」ブランドは、か
なりの程度浸透していますが、さらに付加価
値の高い製品を供給することによって、ブラ
ンド力を高め、ユーザーの掘り起こしを狙っ
ていきます。
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6.人材育成方針
(1)イワタツールの企業文化
イワタツールを一言で言うと「老舗のベンチャー企業」です。創業以来82年の歴史をも
つ特殊工具メーカーのパイオニアですが、社員は平均27歳とひじょうに若いです。社員
が若く会社も成長しているので、新しい仕事をどんどんまかせてもらえます。仕事を
どんどんこなすので、スキルアップのスピードも速く、他社で育った中途入社組の社員
は目を丸くします。
(2)イワタツールの組織と仕事
イワタツールグループ
2011年開設予定
イワタツール
製造課
前
工
程
・
検
査
G
W
R
G
生産・製造技術
愛思路精密工具
研究開発課
H
L
G
営業技術課
イワタツールタイランド
営業課
営
業
企
画
G
営
業
事
務
G
Tool-Discovery
総務課
経
理
・
総
務
G
情
報
管
理
G
生産設備のセッティング 品質・生産性の向上
新製品量産の立ち上げ・新規設備の開発・導入
研究開発
基礎研究・産学官共同業務、新製品開発 試作 評価テスト
特許取得 技術情報の提供
営業技術
顧客(ユーザーでの生産技術者など)への、技術導入・サポート・設
計及び提案、技術的な情報収集、客先訪問・技術的PR・顧客の生産
技術支援、代理店対応、積算・見積・納期管理、図面作成
営業
営業企画→広報・カタログ・展示会企画設営、Web・チラシ・新聞・マ
スコミ対応
営業事務→受注・顧客対応、一般的な技術対応
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6.人材育成方針
(3)人材育成の方針とキャリアパス
イワタツールは、「ものづくり」の企業なので、現場がいちばん大切だと考えています。新
入社員は、配属部署に関係なく、まず、現場を体験していただきます。それから、本人の
希望・適性に応じて配属部署が決まります。
生産・製造技術
はじめに機械操作を習得したのち、製造や生産管理を
担当してもらいます。そしてパソコンによる3次元シミュ
レーション、製品テスト等、製品開発のあらゆるプロセ
スにかかわってもらいます。
研究開発
はじめは製造現場で自社開発製品の特徴を学んでい
ただきます。それから、当社の新製品開発へとステップ
アップしてもらいます。
営業技術
イワタツールの営業スタイルは提案型。ユーザーの声
を製品開発に生かすため、展示会・代理店からの情報
収集を積極的に行います。営業スキルはもちろんのこ
と、技術に関する知識も身につけていただきます。
(4)資格取得の奨励
イワタツールの社員は、会社の本業に関係あるなしにかかわらず、あらゆることに興味を
持って視野を広げることが大切であると考えます。そこで資格の取得を奨励しています。
社員ひとりひとりの成長が、長い目で見て本業の発展にも寄与すると考えるからです。
資格取得、社員教育セミナーのための費用は会社が負担します。
勉強に必要な本の代金も会社が負担します。
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6.人材育成方針
(5)先輩社員の声
営業技術課課長 安藤克則(33歳)
趣味:ドライブ
うちの会社は、何かのオタクだという人が多いから、「プライベートで遊びに行
こうか」となると、みんな意見がバラバラ。仕事がそれだと困りますね。「他の
人には興味なし、一人でやって行きたい」という人はうちの会社には向いてい
ません。また、「人とコミュニケーションとるのは好きだけど、誰かに指示される
ことだけやっていたい」という人も向いていません。「コミュニケーションの好き
なオタク」、そんな人といっしょに仕事がしたいですね。
研究開発課課長 長江良太(28歳)
マイブーム:仕事 休日の過ごし方:ホームセンター巡り
あーでもない、こーでもないと、好きなことだけに没頭できたらどんなに楽しい
ことか!!でも現実は、お客さんからの急な呼び出し、展示会での説明、不具
合の対応と、いつも「俺がもう何人かいたらいいのに」なんてことを考えてしま
う毎日です。そんな中でも、やっぱり、一生懸命知恵を絞って0から1を生み出
したとき、そんなときが一番楽しいですね。これまでまったく世の中になかった
ものを自分の頭で考え、実際に形にしたら値段が付いて、誰かが使ってくれ
る。これって結構スゴイと思いませんか。
営業事務課主任補佐 鈴木千裕(23歳)
趣味:ネットショッピング
学生の頃に学んだ中国語を活かした仕事に就きたいと思い、イワタツールに
就職。受注業務を通じて、製品のこと、お客様の対応などを学んだ後、中国へ
出張することになりました。入社したばかりの頃は、受注業務に忙しさとやりが
いを感じていたけれど、いざ中国の子会社がスタートし、お客様との取引を任
されることになったら、それまで先輩社員に頼っていた技術的な対応も自分で
やることに。大変でも、逃げずにこなしていくことで次のステップが見えてき
て、それがやりがいにつながっていく・・・。自分の成長が実感できます。
採用に関するお問い合わせ窓口
株式会社イワタツール 営業課 木村、関口
Tel: 052-739-1080(代) E-mail: [email protected] URL: www.iwatatool.co.jp
レポート作成支援者: 中小企業診断士 服部 功
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