6(財)国際教育振興会 日米会話学院 日本語研修所

6(財)国際教育振興会
Ⅰ
日米会話学院
日本語研修所
日本語教育機関の所在地及び代表者名
1
所
在
地
電話
2
設
3
役職・代表者名
Ⅱ
置
者
東京都新宿区四谷 1−21
〒160−0004
03−3359−9600
(財)国際教育振興会
所長
宮崎道子
研究内容
1
研究課題
ビジネス日本語のコミュニーケーション・スキル向上を目的とした上
級学習者向け教材開発
2
研究組織
(代表者名)宮崎道子
(研究員名)瀬川由美
3
紙谷幸子
北村貞幸
研究目的
近年、上級ビジネスクラスの学習者が増えているが、
「待遇表現が使いこなせるようにな
りたいが、いつも同じような表現になってしまい、適切に使う自信がない」
「会話はできる
が、ニュースなどの情報文を正確に聞き取ることができない」
「ビジネスメールが正しく書
けない」という声が非常に多いことを実感する。ところが、彼らのニーズを満たすような
実践的な上級ビジネス教材は少なく、素材も古いものが多い。日本社会のおかれている現
状を考えても今後外国人ビジネスマンは増えることが予想され、上記のような教材開発研
究に取り組むことにした。
Ⅲ
研究成果の概要
1
会話教材
・対象
日本語能力試験 2 級程度の能力を持ち、現在日本語でビジネス活動を行って
いる、あるいはこれからビジネス活動を行う外国人。
・到達目標
ビジネスにおけるマナーや知識、習慣、状況などを理解した上で、様々な場
面に応じて待遇表現を使い分け、円滑にビジネス活動を行うことができる。
1―ⅰ
上級ビジネス会話教材の分析
市販されている 3 種の教科書を取り上げ、その構成を比較・分析した。合わせて機能表
現と文型を抽出した。
1―ⅱ
学習者の問題点の把握
『BJTビジネス日本語能力テスト聴解・聴読解実力養成問題集』を会話教材として上
級ビジネスクラスで使用した。場面ごとに学習者のロールプレイとスクリプトを評価し、
エラーの傾向と問題点を分析、取り上げるべき場面と文法項目を選択した。
1―ⅲ
各場面に応じた会話の作成
学習者が多く従事している職種(技術、営業、マーケティング、総務・人事・経理、経
1
営・企画)で、実際に交わされている日本人同士の会話を録音し、その構成を分析した。
そして、1−ⅰで抽出した機能表現と文型、1−ⅱで選択した場面と文法項目を踏まえな
がら、あいづちや言いよどみに留意した会話文を作成した。語彙については、上級者向
けの実践会話教材を作るという目的から難易度が高いものであっても取り上げた。
1−ⅳ
試用と今後の課題
試作の 1 課を上級ビジネスクラスで使ったところ、学習者には難易度が高かったにもか
かわらず、
「自分の弱いところに気づかされた」と概ね好評で、対象とする学習者に有効
であるとの感触を得た。しかし、会話が長過ぎるという指摘もあり、今後も引き続き検
討を重ね、整備していく必要がある。
2
聴解教材
・対象
会話教材に同じ。
・到達目標
推測力や予測力を使ってニュースなどの情報を聞き取り、要点を書くことができ
る。
2―ⅰ
学習者の問題点の把握
『BJTビジネス日本語能力テスト聴解・聴読解実力養成問題集』を聴解教材として上
級ビジネスクラスで使用し、学習者のエラーの傾向と問題点を分析、取り上げるべき題
材を選択した。
2―ⅱ
教材の作成
政治・経済・社会のニュースを題材に、構成のしっかりした 600 字程度の書き言葉によ
る情報文を作成し、話し言葉で録音した。
2―ⅲ
試用
1つの題材について、毎日1時間上級ビジネスクラスで試みた。その手順は以下のとお
りである。
①
学習者にテープを 1 度だけ聞かせ、要約を書かせる。
②
要約を発表させ、表現や文法の誤りをクラスで検討、情報文の構造や文全体の構成を
意識させる。
③
テープの後に続き、口頭練習を繰り返し行う。
④
情報文を配り、音読練習をする。書くときと話すときの文体の違いを意識させる。
2−ⅳ
効果と今後の課題
週 5 日、3 学期続けたところ、程度の差はあるが、どの学習者にも聞き取り力と書く力
に伸びが見られた。最初は何も書けず、言えなかった学習者が、聞き取れた単語や接続
詞から判断される前後の文脈から推測して要点を書いたり、説明できるようになった。
こうした学習法に一定の効果があることはわかったが、上級のニュース教材は常にアッ
プデートする必要がある。それは、ニュースを聞き取るには推測力や予測力が助けにな
るが、その力をつけるにはニュースの背景の理解と関連語彙の定着が前提となるからで
ある。したがって、一冊の教科書として作成するというよりは、例えばインターネット
配信のような形で毎日提供できるのが教材としては理想的である。この点を今後の課題
としたい。
2
3 ビジネスメール教材
・対象
会話教材に同じ。
・到達目標
3―ⅰ
場面に応じて適切にビジネスメールを書くことができる。
学習者の問題点の把握
『BJTビジネス日本語能力テスト読解実力養成問題集』を教材としてビジネス文書ク
ラスで使用した。学習者に場面を与えて文書を作成させ、エラーの傾向と問題点を分析
した。これを踏まえ、次の段階の作業として実践的なドリル問題を作成したい。
3