一軸延伸ポリイミド薄膜の光学リターデーションおよび 面内複屈折の温度依存性の解析 (東工大院理工) ○保田 雄亮・松田 祥一・照井 貴陽・安藤 慎治 d∆nYX/dT (ppm/K) In-plane birefringence, ∆nYX In-plane birefringence, ∆nYX Retardation (µm) Retardation (µm) [緒言]近年の集積光学技術の発展により、光波長板をはじめ (a) O O とした光の偏波状態を制御する光学部品が導波路型光回路や N N 光配線基盤上に集積化することが要求されてきている 1)。光 O O 波長板は光波回路中における偏波依存性を解消するために用 (b) O O いられているが、これは一軸延伸ポリイミド薄膜の光学リ N O N ターデーションの性質を利用したものであるため、温度依存 O O 性が非常に重要である。そこで、本研究では一軸延伸ポリイ ミド薄膜のリターデーションの温度依存性および面内複屈折 Fig.1 Molecular structure of (a) BPDA/ PDA and (b) PMDA/ODA polyimides (PIs). (∆nYX) の温度依存性を解析することを目的とした。 5.60 [実験]BPDA/PDA(Fig.1(a)) と PMDA/ODA(Fig.1(b)) の 2 種 BPDA/PDA 3.38 PMDA/ODA 類のポリイミドを用いた。試料はポリイミドの前駆体である 5.58 ポリアミド酸を成膜後、一軸延伸・加熱イミド化することに 3.36 より作成した 3-4)。リターデーションは平行ニコル回転法 4) に 5.56 3.34 より、また、試料の加熱はホットステージ (Mettler Toledo: 5.54 FP82HT) にて行った。 3.32 [結果と考察]Fig.2 に BPDA/PDA と PMDA/ODA の一軸延伸 40 80 120 160 200 Temperature (°C) ポリイミド薄膜の得られた最大のリターデーションにおける 温度依存性を示す。 どちらも温度の上昇とともにリターデー Fig.2 Temperature dependence of reションの減少が確認された。また、これら2つの温度変化の tardations for uniaxially drawn PI films. 挙動に大きな相違は見られなかった。しかし、エリプソメト BPDA/PDA 0.37 リーを用いた測定から、 それぞれのポリイミド薄膜の膜厚方 0.165 PMDA/ODA 向の線膨張係数として異なる値が得られた (BPDA/PDA = 0.365 152 ppm/K, PMDA/ODA = 164 ppm/K)。これより ∆nYX の温 0.16 度依存性を算出したところ、BPDA/PDA の方が温度の増加 0.36 に伴い、∆nYX 大きく減少していくことが示された(Fig.3)。こ 0.155 5) れは Vuks の式の温度微分 より、BPDA/PDA の方が延伸方 40 80 120 160 200 向に強く配向し、 その結果大きな複屈折を有していたためと Temperature (°C) 2 2 3) 説明できる。また、(<cos (yY)> − <cos (yX)>) と面内複屈 Fig.3 Temperature dependence of esti折の温度依存性 (d∆n/dT)の関係 (Fig.4) より、((<cos2(yY)> − mated in-plane birefringences for PI films. <cos2(yX)>) の値が 1 に近づき分子鎖が延伸方向に強く配向 -100 していくとともに ∆nYX の温度依存性が大きくなることが示さ BPDA/PDA PMDA/ODA -80 れた。 同程度の配向度では BPDA/PDA の方が PMDA/ODA よ -60 り大きな d∆nYX/dT を有しているが、これは前者がより大きな 固有複屈折 (∆n 0 ) を有するためであると解釈できる( BPDA/ -40 PDA:∆n0=0.51, PMDA/ODA:∆n0=0.33 @1.31µm)。 -20 1)H. Ma, A. K. Y. Jen, and L. R. Dalton, Adv. Mater., 14, 1330 (2002). 0 2)S. Ando, T. Sawada, and Y. Inoue, Electron. Lett.,29,2143(1993). 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 3)S. Matsuda and S. Ando, J. Polym.Sci. Part B; Polym <cos2(yY)>-<cos2(yX)> Phys.,41,418(2003). 4)S. Ando, T. Sawada, and S. Sasaki, Polym. Fig.4 The relationships between molecuAdv. Technol., 12,319(2001). 5) 照井 貴陽・松田 祥一・安藤慎 lar orientation and d∆n/dT for uniaxially 治 高分子学会予稿集 53(2),4660 (2004). drawn PI films. Temperature Dependence of Optical Retardation and In-Plane Birefringence in Uniaxially Drawn Aromatic Polyimide Films. Yusuke YASUDA, Sho-ichi MATSUDA, Yoshiharu TERUI, and Shinji ANDO (Department of Organic and polymeric Materials, Tokyo Institute of Techonology, Ookayama 2-12-1-S1-21, Meguro-ku, Tokyo 1528552) Tel, Fax: +81-3-5734-2889 E-Mail: [email protected]
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