労働組合の要求の作り方

労働組合の要求の作り方
第26期機長組合選挙 乗員の職場を考える会推薦 立候補16名
私たち「乗員の職場を考える有志の会」では、今回の機長組合の執行委員選挙に当た
っての公約の一つに「職場の声を大切に、組合員の要求に基づいた組合活動を目指しま
す。」という項目を挙げています。
そこで今回は、労働組合の要求の作り方について少し考えてみたいと思います。
組合員が、組合(あるいは執行部)を信頼する上で、その要求が如何に組合員の要求
に基づいているか、言い換えれば、職場の実感に沿っているのかという要素は、非常に
重要な問題です。
その要求が、実現不可能なものや、職場感覚よりも極端に異なったレベルのもの場合、
組合あるいは執行部に対する信頼は低下してしまいます。そうならないために、民主的
な組合では、地道に職場討議を行ったり、アンケートを実施したり、あるいは多くの人
たちと話しこみをして意見を述べてもらう等の活動が非常に重要となってきます。
一方、非民主的な組合では、まず、会社が回答できる項目に沿って、要求が作られま
す。また、時として回答が如何にも組合の取り組みで実現したかのような自作自演が行
われます。1970 年代、乗員の御用組合であった運航乗務員組合でもよく取られた手法で
す。
このような観点で、私たち有志の会に対抗して立候補された 16 名の方々が掲げる「私
たちのビジョン」なるものを検討してみました。
組合の要求作りという観点で見てみると、上記「私たちのビジョン」の中で、特に気
になる部分が見えてきます。
彼らの公約の中に、以下の内容があります。
○ 少なくとも副操縦士に ATPL(所謂 ATR)を取得させる費用は JAL が企業と
して存続していれば発生する費用であって、前倒しするだけに過ぎません。
企業破綻に伴って訓練を停止させたことの弊害、すなわち、モチベーショ
ンの低下と、数年後の人的構成に大きな弊害が生じることについて再評価
し、まずは ATPL 取得訓練の即時再開について取り組みます。
ご存知のとおり、機長組合は副操縦士や訓練生を組織していません。彼らがいう「ATPL
取得訓練の即時再開」という要求は、いったいどこから出てきた誰の要求なのでしょう
か?機長組合は、副操縦士や乗員組合員からアンケートを取っていませんし、職場討議
も行っておりません。
乗員組合が職場の副操縦士の声を基に「ATPL 取得訓練の即時再開」という要求を掲げ、
それに対して機長組合がそれを支援する形で要求をあげるのであれば理解できますが、
乗員組合が要求する前に、機長組合独自でそのような要求を出す根拠はどこにあるので
しょうか?
一部の会社からの情報(最近執行部がよく使う非公式な情報)や不当労働行為を働い
た一部職制の声にもとづいて、上記のような要求をするのであれば、本末転倒です。
一部機長の価値観や判断だけで、副操縦士の要求を決めて良いわけはありません。
特に機長昇格訓練を伴わない ATR の訓練の再開には、注意が必要です。
乗員組合も最近見解を出していますが、現在の会社の対応、状況から判断して、ATR 訓
練の再開を行えば、所謂 1-2 編成(機長 1 名と副操縦士 2 名によるマルチ編成)を持ち
出してくると思われます。
現行、機長 2 名、副操縦士 1 名で実施されている B777 乗員を中心としたマルチ編成に
1-2 編成が持ち込まれたらどうなるでしょうか?益々、機長の必要数は少なく算定され、
機長昇格訓練はさらに先送りとなる懸念があります。
あるいは、この施策により、「機長の余剰は今よりも大きい。」とみなされ、更なる海
外他社への出向や地上業務への配置が増やされるかもしれません。
この点を十分に議論・検討し、それでも尚、FO の方々が「ATR 取得訓練の再開」を求
めるのであれば、しっかりと会社に 1-2 編成を行わせない楔を打った上で、その後の機
長昇格訓練の早期再開を前提に要求を立てるべきであると考えます。
私たちは、ATR を保持していることは副操縦士にとっての再就職に有利であるという声
があることも十分承知しています。
しかし、日本航空の再建のためには、現在在籍している優秀な副操縦士や訓練生に日
本航空の機長として昇格を果たしてもらうことが、不可欠であると認識しています。
したがって、「ATR 保持が再就職には有利である」という観点は、また別の次元で議論
されるべきであると考えています。
ぜひ私たちへ投票をお願いいたします。
P146 山﨑 秀樹
P156 鎌倉 俊広
P173 柴田 利浩
P205 篠永 昌久
P209 和波 宏明
P211 高橋 拓矢
P214 藤本 学
P215 梅木 仁
P231 中村 大作
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P223 粟田 浩之
P235 中村 光延
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