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民法予習編
第 1 回目
レジュメ
・民法予習編
<準拠教科書> 総則 ⇒ 「民法の基礎 1」
(佐久間 先生)
物権 ⇒ 「民法の基礎 2」
(佐久間 先生)
・民法 1 条 1 項「私権(しけん)は、公共の福祉に適合(てきごう)しなければならない」
=私人間における人間関係
国家
・憲法とは何か?
私人
私人
国家の存在を基礎づける基礎法
(私人間における権利関係)
⇒私権は社会常識に適合しなければならない
⇒社会常識に適合しているならば、どんな私権でも設定できる
⇒「私的自治の原則」=私人間(しじんかん)のことは、私人で
決定できるとする原則
・民法 1 条 2 項「権利の行使及び義務の履行は、信義(しんぎ)に従い誠実に行わなければな
らない」
=「信義誠実の原則」「信義則」
1 条 1 項の権利の設定の場合と異なり、権利の行使に関する条文
⇒権利の行使についても、社会常識にしたがって行わなければいけない
・民法 1 条 3 項「権利の濫用は、これを許さない」
1 条 2 項と同様に解釈できる
ここまで、民法における私的自治の原則と信義誠実の原則が現れた条文
・民法 3 条「私権の享有(きょうゆう)は、出生(しゅっしょう)に始まる。」
⇒人は、生まれることをもって、権利を行使することができる
⇒私人間が対等であることを示す
=「権利能力(けんりのうりょく)平等の原則」
=権利を設定または行使することができる資格を、みな平等にもっている
権利能力は、生まれることによって、享有し、死ぬことによって、消滅する
では、権利関係はどうなるのか?
⇒「相続」する
・民法 882 条「相続は、死亡によって開始する」
・民法 896 条「相続人(そうぞくにん)は、相続開始の時から、被相続人(ひそうぞくにん)
の財産に属した一切の権利義務を承継(しょうけい)する」
・民法 886 条「胎児(たいじ)は、相続については、既に生まれたものとみなす。」
相続という例外的な場合に、胎児は「生まれたものとみなされる」ので、
相続についての権利能力が認められる
父親(死亡)
父親(死亡)
⇓
胎児(死亡)
胎児(死亡)
⇓
母親
母親
胎児が死亡した場合は、父親を相続することができない
⇒死亡した父親を相続した胎児を、さらに母親が相続することはできない
⇒母親が父親を直接相続する
解除条件説:胎児に権利能力を認めて、死産のときに遡ってなかったことにする
停止条件説:生きて生まれて、初めて胎児のときに遡って権利能力があったことにする
(判例)
・胎児の権利能力についての例外規定
886 条 相続
721 条 損害賠償
965 条 遺贈
・父親が行方不明の場合はどうなるか?
・民法 30 条 1 項「不在者の生死が 7 年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の
請求により、失踪の宣告をすることができる。」
・民法 31 条「前条第 1 項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同
条第 2 項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡した
ものとみなす。
」
7 年が経過した時点をもって、法的に死んだことになる ⇒ 相続
・民法 32 条 1 項「失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの
証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失
踪の宣告を取り消さなければならない。」
=失踪宣告の取り消しの制度
では、船旅に出て、漂流により行方不明となり、10 年後に帰ってきた場合は?
10 年後
7 年後
行
方
不
明
失
踪
宣
告
失踪宣告から、失踪宣告取消までの 3 年間、権利能力はないのか?
失踪宣告は、失踪者の権利能力を否定するものではない
⇒権利能力はある
失
踪
宣
告
取
消
残された家族が、失踪宣告によって、いったん失踪者の財産を相続したあと、
失踪宣告取消がなされた場合はどうなるか?
民法 32 条 1 項「この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行
為の効力に影響を及ぼさない。
」
善意=「知らないこと」
32 条での「善意」=失踪者が生きているのを知らないこと
⇒失踪宣告取消がなされた場合でも、それまでになされた行為は、
「失踪者が
生きていることを知らなかったのであれば」有効である
では、だれが、善意であればいいのか?
失踪者
相続
ご家族
取引相手
ご家族?取引相手?双方?
⇒双方が善意でなければならない
失踪者に財産的不利益を受けさせるわけにはいかないから
失踪者(父親A)
(前婚)
(後婚)
ご家族(母親B)
再婚相手C
・失踪者Aの生存の事実につき、BC双方が善意ならば、
AB間の前婚は復活しない
・BCいずれかが、悪意であるならば、
AB間の前婚は復活する(重婚状態となる)
特別失踪
・民法 30 条 2 項「戦地の臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべ
き危難に遭遇した者の生死が、
それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後
一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
」
⇒戦争がやんだ後、船舶が沈没した後、その他危難が去った後に
死亡したものとみなされる
(レジュメここまで)