貝毒は熱に強く、加熱しても毒性は 失われません。

暑い季節が、やってきました。
・下痢性貝毒
室内外の温度差に、体がついていかず、
日本沿岸部で発生する下痢性貝毒は、3 種のプランク
体調を崩されてしまう方も多いのではな
トンが原因と考えられています。
いでしょうか。適度な温度管理、水分摂
<症状>
取を心がけましょう。
腸管において特異的な細胞毒性を示し、粘膜の浮腫
さて、今回はこの時期危険な食中毒について取り上げ
を伴う生理的障害を与えます。これにより、強烈な下
たいと思います。その中でも貝毒について紹介します。
痢を引き起こします。通常、摂食後 30 分~4 時間以
内に発症。他、吐気、嘔吐、腹痛などの症状が現れる
【貝毒とは何か?】
ことがあります。
貝毒とは、ホタテやカキなどの二枚貝が餌として有毒
食後から発症時間が短いこと、加熱調理された食材で
プランクトンを食べることで毒素を一時的に蓄積し、こ
も発症することなどから、発症例の多い病原微生物を原
れを食べた人が中毒症状を起こす現象を呼びます。食用
因とする食中毒と簡易に区別するポイントとなります。
となる二枚貝自身には毒素を作り出す能力はありませ
ほぼ 3 日間で回復し、重症化はまれで、死亡例はありま
ん。日本で問題となる貝毒には、有毒プランクトンの種
せん。
類によって「麻痺性貝毒」と「下痢性貝毒」の 2 種類が
あります。
【流通している貝は大丈夫?】
貝類の食中毒件数は、
全体の 10%以下と少数ですが、
貝毒の発生が報告されていても、販
死亡する例もあるため、発生件数が少ないからといって
売店では貝が売られています。これは
軽んじることはできません。
貝毒の監視が二重三重の監視機構で行
貝毒は熱に強く、加熱しても毒性は
われており、毒化した貝類が市場に出
失われません。
回ることは基本的にはないからです。
また、原因プランクトンの出現からあらかじめ貝毒発
【貝毒による食中毒症状】
生を予測する手法も開発されてきており、急に大騒ぎに
・麻痺性貝毒
なるようなことは無くなってきています。
日本沿岸部で発生する麻痺性貝毒は 4 種のプランクト
ンが原因となっています。いずれもアルカロイドの一種
ただ、自分で採った貝などは、出荷規制の対象外のた
である毒素を産生します。水溶性で熱に強い天然毒です。 め注意が必要です。「安全宣言」が出ていない海域の二
最も毒性が強いものでは、猛毒のサリンと同程度である
言われています。
<症状>
通常、食後 10~30 分で唇、舌、顔面などがしびれ、
手足の発熱感がはじまり、重症の場合は運動失調や呼吸
困難を起こし、死に至ることもあります。
毒素は、食後数時間以上(12 時間以上)経過すると
枚貝は、採っても食べることはできません。
自分で海に出かけて採取する場
合は、その海域が貝毒の出荷規制海
域になっていないかどうか確認す
るようにしましょう。
楽しい海のレジャーが台無しに
ならないように注意しましょう。
体外に排泄されます。
その間、治療法はなく胃洗浄、点滴、人工呼吸など対
処療法のみです。すぐに医療機関に相談するようにしま
参考;有毒プランクトンと貝毒発生/貝毒に注意しまし
ょう/貝毒による食中毒の防止と発生時期
しょう。
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学校町薬局