≪解説≫ 親 密 な “My name is Sherlock Holmes. This is my intimate friend and 仲 間 そ の 人 associate, Dr. Watson, before whom you can speak as freely as 嬉しい before myself. Ha! I am glad to see that Mrs. Hudson has had 感 覚 火を灯す お願い 近 づ く the good sense to light the fire. Pray draw up to it, and I 注文する 観 察 す る shall order you a cup of hot coffee, for I observe that you are 震 え る shivering .” “It is not cold which makes me shiver,” said the 低 い 要 求 す る woman in a low voice, changing her seat as requested. “What, then?” また一文ずつ行きましょう。 “My name is Sherlock Holmes. 『私がシャーロックホームズです。』 日本語をそのまま訳すと “I am Sherlock Homes.”となりますが、そ のような言い方をするのは特殊な場合です。 逆に、日本語で『私の名前はシャーロックホームズです。』とはあまり聞 かない表現ですね。 親 密 な 仲 間 This is my intimate friend and associate, Dr. Watson, before そ の 人 whom you can speak as freely as before myself. 親 密 な 仲 間 ‟This is my intimate friend and associate, Dr. Watson,” で、 『こちらが私の親友で、仲間の ワトソン博士です。』 ‟This is ~“ は、『これは~です。』 ですが、人を紹介する時にも使うほ か に 、 電 話 で 、 『 私 は ~ で す 。 』 と い う 時 に も 、 ‟ This is Watson (speaking).” という言い方をします。 ワトソン博士は、ホームズの intimate friend であると同時に associate でもある、と紹介しています。 Associate は、最近では、同じ会社で働いている人たちの事をこのように呼 んだりします。 そ の 人 before whom you can speak as freely as before myself. この ‟whom” は、ワトソン博士の事です。関係代名詞を用いないで表現 すると、 You can speak before Dr. Watson as freely as before myself. “as freely as” は、『同じように自由に』 ですから、 『貴方は、ワトソン博士の前では、私の前でと同じように自由に話すことが出 来る』 というわけです。 嬉しい 感 覚 Ha! I am glad to see that Mrs. Hudson has had the good sense 火を灯す to light the fire. “Ha!” は単に感嘆詞なので大した意味はありません。 ‟I am glad ~“ は、『~できて嬉しい。』 『お会いできて光栄です。』 という表現を、‟I am glad to see you.” と習 ったと思います。 『私は見て嬉しい』 と言っていますが、何を見て嬉しいのかというと、‟that” 以降の文章で、 感 覚 火を灯す ‟Mrs. Hudson has had the good sense to light the fire“ 『ハドソン夫人が』、 ‟has had” ですから、 『持っていた』 『持っていた』ものは、‟the good sense” “sense” は 『洋服のセンスが良い。』 なんて言う時の 『センス』 で、『感 覚』。 ‟to light the fire” の ‟to” は、直前の ‟sense” の説明になっていて、 『火をつけるほどの(良い感覚)』 ということですね。この場合の 『火をつけ る』 とは、暖炉に火を入れる、ということです。 お願い 近 づ く 注文する Pray draw up to it, and I shall order you a cup of hot coffee, 観 察 す る 震 え る for I observe that you are shivering.” お願い Pray “祈る”という意味の単語ですが、“please”と同じように、“どうぞ~し てください。”という使い方もあります(あまり聞きませんがね)。 近 づ く ‟draw up to it,“ 主語がなくて動詞から始まる文章は ‟命令形”でした ね。 『それ(暖炉の火の事ですね)に近づきなさい。』 注文する 観 察 す る I shall order you a cup of hot coffee, for I observe that you 震 え る are shivering. 注文する I shall order “ I shall order” と “I will order” の違いですが、 “shall”を使うと、それが勤めであるかのようで、『(自分のためではなく貴方 のために)注文しましょうか?』という感じがあります。 “I will order ~” という言い方をすると、単純な意思伝達で『注文します ね。』という感じです。 a cup of hot coffee コーヒーとか、お茶とかは数えられないので、“一杯の コーヒー”という言い方をします。 観 察 す る 震 え る for I observe that you are shivering. この ‟for” も、『~というのも』 と理由を示す ‟for” です。 “observe” は 『観察する、視察する』 と言った意味。 『‟that”以降の状態が見て取れるから』 とホームズは言っていて、 震 え る ‟that you are shivering“ “be + ~ing” は、『今~の状態にある』 で すから、 『今、まさに震えていること』 となります。 “It is not cold which makes me shiver,” “cold”が 関係代名詞 “which” の先行詞で、『それは寒さではありません、 私を震わせるのは』 ここでは “make ~(動詞の原形)” の説明を。 この形で “~に(動詞)させる” という意味になります。 「 し え き この様な動詞を『使役の動詞』といいますが、“let” “have”に同じ用法があり ます。 低 い said the woman in a low voice, low voice は“低い声”ですが、声を発しているのが女性ですから、音程が 低い、というよりは、小さな声で、ということでしょう。 要 求 す る changing her seat as requested. 彼女の(座っている)椅子を変えながら、という 分詞構文、という表現で す。 分詞構文で気を付けることは、主語は本文の主語と同じであること。 この文章での本文は、 ‟said the woman”ですから、『彼女が、椅子を変え ながら、「寒くて震えているのではない」 と言った。』 というわけです。 “as requested” は 『要求されるままに』 と言うことになりますが、ホームズ は ‟要求“ したわけではなく、『もっと火の近くに寄ったらどうですか?』 と勧 めたのですから、『言われたとおりに』 位の邦訳が順当なところでしょうか。 “What, then?” 『じゃあ、何?』 というのですが、そのままの翻訳ではちょっと変なので、『それ では、一体どうしたことです?』 ≪要約すると≫ 『僕がシャーロックホームズです。こちらは私の親友のワトソン博士です。信頼 のおける男ですのでなんでもお話下すって結構です。 あぁ、ハドソン夫人は気が利いていますね。暖炉に火を入れてくれた。 どうぞもっと近くによって暖まってください。熱いコーヒーも注文しましょうか?ず いぶんと震えていらっしゃる。』 『寒くて震えているのではございません。』 夫人は勧めに従って暖炉の近くに席を移しながら答えた。 『おや、それではどういったわけで?』 ==========6 月 5 日 12 =========
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