65 - JRTR.net

65
2015年3月
論説
特集:日本の交通政策
地域鉄道輸送が抱える困難の克服と交通政策基本法の役割
斎藤 峻彦
近畿大学 名誉教授
日本の地域鉄道事業者は、主として利用の低迷による経営難に直面している。交通政策基本法は、
これらの問題を改善し、地方公共交通を維持するた
めに制定された。また、鉄道事業者、および地方自治体の中にもさまざまな経営努力を行っている例がある。本稿は、わが国の地方公共交通が抱え
る問題、交通政策基本法の役割、そして自治体、鉄道事業者の自助努力について論じる。その上で、不十分な財政支援、時代遅れの規制、そして権限の
中央集中により、交通政策基本法の目的達成が妨げられかねないと主張し、海外の交通政策に学ぶ必要があると提言する
たま駅長とともに創りあげた地域公共交通復権への軌跡
小嶋 光信
両備グループ
代表 兼 CEO
本記事の著者である小嶋光信氏は、岡山県に所在する総合交通企業、両備グループのCEOであり、衆議院で交通政策基本法について証言を行うほか、
地域公共交通の活性化についての執筆、講演活動も行っている。また、経営危機に瀕した交通関連企業の再生も手掛けている。本稿で、自らが再生
に関わった企業の例を取り上げながら、
日本の地域公共交通が直面している課題、およびその解決方法について述べる。
「魅力的な列車」施策の背景と概況
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) 営業部
近年、鉄道各社は、旅客を目的地に輸送するだけでなく、列車の外装や車内のサービスを通じて地域の列車に乗ることおよび地域観光を促進する、
「魅
力ある列車」の運行を始めている。JR東日本も例外ではなく、2012年10月以降、
「東北エモーション」、
「SL銀河」、
「越乃shu*kura 」、
「とれいゆ」などの
これまでにない個性的な列車の運行を開始している。列車開業に至った背景と、その概要について紹介する。
特別寄稿
東日本旅客鉄道 EV-E301系蓄電池駆動電車
長谷部 和則
東日本旅客鉄道株式会社 運輸車両部 車両技術センター
白木 直樹
東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 運輸車両部
滝口 裕之
東日本旅客鉄道株式会社 運輸車両部 車両技術センター
JR東日本は、運転に要するエネルギーとCO2排出量の削減を図るため、車両の軽量化、効率の高い動力装置の設置、回生ブレーキ使用などの対応策を
進め、電車の効率化に成功した。非電化区間を走行する気動車についても、環境負荷を低減するため、ディーゼルエンジンと蓄電池によるハイブリッ
ド動力装置を開発してキハE200形車両を製造し、2007年7月に小海線に導入した。これらの技術開発をさらに発展させ、2014年3月、JR東日本は、
より高出力、大容量の蓄電池を備え、架線集電・蓄電池の両方で駆動するハイブリッド車両・EV-E301系を東北本線(宇都宮―宝積寺間)及び烏山線
に導入した。本稿で、同車両の概要を紹介する。
もうひとつの視点から
一本のシャベルから ―東北でのボランティア体験―
マイケル・C・ブラニガン (キムラ・ケンジ)
全てが失われたとき、私たちを救うのは私たちの精神力、そして希望を持
つ力である。アメリカ人の倫理学の教授である著者による、東日本大震災
の被災地でボランティア中に出会った被災者、NGOスタッフ、そしてボラ
ンティアたちの精神力の強さと精神的な回復力についての証言。
トピックス
2014年8月から2015年1月
写真特集
魅力的な取り組みを行っている日本の地方鉄道
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