中村 一孝 氏 後藤 陽子 氏

杉浦地域医療振興助成
住民力をあげ孤立させない地域づくり
−専門職と地域住民とでつくる
コミュニティ食堂−
中村 一孝 氏
後藤 陽子 氏
おおた高齢者見守りネットワーク
代表
大田区地域包括支援センター入新井
保健師
1.背景
ある。その人たちは、誰かの見守りや声かけがなければ容
高齢化の一途を辿る我が国において、認知症や孤立死
易に孤立してしまう。同じ地域で暮らす他の住民や専門
など高齢者にまつわる問題は重要課題である。地域で暮
職からの働きかけがあることで繋がりを保ち、住み慣れ
らす高齢者を見守れるのは、普段から近くにいる住民同
た地域での生活を継続することができる。その緩やかな
士であり、
その見守りだけでは難しくなる時、
スムーズに
繋がりと見守りが行われるひとつの社会資源をつくるこ
専門職による支援が開始する仕組みが求められている。
と、そしてその場をつくる住民の地域での役割を醸成す
「おおた高齢者見守りネットワーク(愛称:みま∼も)」
ることを目的とする。
は、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続することを目
的に、
高齢者に関わる専門機関や地域団体、
企業等が協働
3.計画
し、平成20年より活動している
(平成26年度、協賛事業所
平成27年6月より、週1回、食数限定でサポーター手作
は80を超える)
。その取組の一つである「みま∼もステー
りのランチを提供する「コミュニティ食堂」を開催する。
ション」では、地域住民と共に「地域の誰でも集える場」
運営主体はサポーターが担い、メニュー監修や住民への
「役割をもって活動できる場」
をコンセプトにサロン活動
周知等、協賛事業所の専門職(管理栄養士、介護支援専門
を行っている。当活動は平成23年に始まり、現在では年
員等)の協力も得る。
間230講 座、の べ 参 加 者 数 は 年 間1700名 に の ぼ る。ま
た、この取組に積極的に参加・協力する住民
「みま∼もサ
4.期待される結果
ポーター」
(以下、サポーター)は90名を超える。多くの地
当事業は、住民という同じ立場の者が開くからこそ敷
域住民が当活動に参加している一方、
地域には、
周りとの
居が低く寄り合える場となり、日常的で緩やかな住民同
繋がりが少ない人、繋がりを絶っている人も沢山いるの
士の見守りの体制、繋がりの構築が期待できる。そして、
が現実である。
その場をつくるサポーターにとっては地域での役割をも
つことができる。また、様々な専門職が関与していくこと
2.目的
前述した周りとの繋がりが少ない人、繋がりを絶って
いる人を見守っていくには、お仕着せの「見守り」ではな
く、生活圏内に何気なくいる人が、
緩やかに日常的に関わ
り合うことが必要である。
つまり、
それができるのは住民
同士である。
当事業では、
その住民自身が主体となって繋
がりあう場をつくる「コミュニティ食堂」を展開する。誰
でも気軽に寄れる場を目指すが、その中でも利用者とし
てターゲットとするのは、
今は支援を受けていない、
又は
少しの支援を受けているが継続的な見守りが必要な人で
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で、支援が必要な住民への早期の関わりも可能となる。